お知らせ
第4回 4Gレビューコンテスト 最終結果発表
今回の大賞受賞者,および佳作受賞者は……残念ながら「該当なし」という結果となった。
理由はいろいろと考えられるが,今回から新たに設けた文字数制限(全角2400文字以内)に苦しめられたレビュアーが多かった,という印象が強い。"書くべきこと"と"書きたいこと"のバランス取りに苦労し,どちらも中途半端になってしまった……というレビューが少なくなかった。少ない文字数でキチンとしたレビューを書くのは非常に難しいことだが,大賞を目指すのならば,クリアしなければならない問題である。
また時代を反映して,MMORPGを扱ったレビューが非常に多かったのだが,プレイ時間が非常にかかるというジャンルの性質上か,多くのレビュアーが,扱ったMMORPGしか遊んでいないと見受けられたのも残念。さすがに10も20もMMORPGを"遊び込む"必要はないが(不可能に近いし),レビュー記事を少しでも良くするために,"ほかのゲームと比較する"という手法は非常に有効なので,極力ほかのゲームにも目を向けてほしいところである。
第1回から第3回にかけて,投稿作品のレベルは着実に上がっており,審査する側としても前回を超えるものを期待していたのだが,残念な結果になってしまった。
実際問題,初めて大賞受賞者が出た第3回は非常にレベルが高く,それ以上を期待するのは,非常に厳しいのかもしれない。とはいえ,実際に第3回で達成されている以上,同レベルのものを期待してしまった。次回コンテストのでのリベンジを待っている。
さて,こんな結果になったとはいえ,「もう少しここをこうすれば……」というレビューは,いくつか見受けられた。第一次審査を突破したTogaさん,Trauさんの作品はもちろん,ほかにも無視できないレビュアーが何人かいるので,作品の冒頭部分のみ引用しつつ,編集部からのコメントを入れて紹介しよう。
※レビューコンテストという性質上,作品の引用部分は,誤字・脱字や句読点の表記など,最低限の校正しか行っていません
「スター・ウォーズ ギャラクシーズ完全日本語版」
(レビュアー:Toga)
<冒頭部分>
今あなたがプレイしているMMORPGは本当に「MMO」と呼べるものだろうか? パーティを組む以外は他人と接する機会がほとんどない,狩り場争いをするPCは敵,戦闘も生産も全部自分でこなす,1人のキャラで無理な場合は2ndキャラを作る……。これを果たして「MMO」と呼んでいいのだろうか?
昨年12月にMMORPG「スター・ウォーズ ギャラクシーズ完全日本語版」(以下,SWG)が発売された。「ルーク・スカイウォーカーのように反乱軍に入ってジェダイを目指せる!」「ボバ・フェットのような賞金稼ぎになって帝国軍に加担できる!」というだけでスター・ウォーズファンにとってはたまらないものがあるだろう。ではスター・ウォーズを知らない人にとってもSWGは楽しめるのだろうか? 答はYesだ。何を隠そう,筆者自身もその一人である。筆者は映画に登場するチューバッカですら誰のことだか知らなかったが,十分にSWGの世界を楽しめている。
「他人との触れ合い」という,主題をきちんと定めて立論しており,ほぼ首尾一貫した文章となっている点は評価できる。ただし,論説文でなく"レビュー"に求められるのは,主題もさることながら,そのゲームのトータルなイメージを手際よく伝えることであるはず。主題に特化した分プレイの雰囲気や基本的な魅力を伝える部分が弱くなってしまったのは残念なところ。「そのゲームは果たして面白いのか?」「そのゲームのどこが面白いのか?」という根幹の部分をきっちり押さえるために,定めた論点を活用していれば,より良いレビューとなっただろう。(Guevarista)
文章自体はテンポなども含めて非常に良いと思うのですが,話の構成がこなれてない点が残念です。冒頭に,本作品について「他人との触れ合いに絞る」と書いてありながら,そのすぐ下からはスキルの話が始まっていたりなど,文章の前後の関係などがやや甘い詰めなのが否めません。
また書くポイントを一点に絞る場合は,冒頭の説明には気を付けるべきです。この内容では,「そもそもSWGがどんなゲームなのか」がまったく分からないのではないでしょうか。「EverQuestをベースに〜」など,より具体的にゲームの雰囲気をつかめる文章があればよかったと思います。(TAITAI)
「JUNKMETAL」
(レビュアー:Trau)
<冒頭部分>
鉛弾の飛び交うMMO!!
独特の3D・MMO・FPS・RPG。
3DロボットアクションにPvP(対人戦)要素を大きく取り入れたMMOである。
プレイヤーは近未来,アルター8と呼ばれる辺境の惑星に落とされた開拓民である。
だがそこは,グールと呼ばれる謎の大型機械生命体が人類に対して明確な敵意を示し,徘徊する土地だった。
開拓者であるプレイヤーは,ジャンクメタルと呼ばれるロボットを操り,それに対抗し開拓を進めることになる。
モンスターを倒し,開拓に関するさまざまな情報を集め,アルター8の開拓を進めるのがJUNK METALの基本的な流れである。
"意気込み"を感じさせるレビュー,という印象だ。
レビューに書き慣れていない人特有の"つたなさ"も散見でき,全体としては評価が低くなってしまった。しかし,そんなものは慣れである。
このレビューからは,レビュアーの「最高のレビューを書いてやろう!」という気概が,ビンビンと伝わってくる。この意気込みを忘れてしまったライターや編集者を(自分のことを棚に上げても)少なからず知っているので,読んでいて,なんだか恥ずかしい気持ちになってしまった。初心忘るべからず,である。(Iwahama)
「ミュー 〜奇蹟の大地〜」
(レビュアー:mafia)
<冒頭部分>
「ミュー 〜奇蹟の大地〜」(以下,MU)。このけして広大とは呼べないマップ,しかしそこにはMMORPGのすべての要素がつまっている。MUはそれを自分に感じさせてくれた,まさに奇蹟のMMORPGである。
現在,多種多様なMMORPGが巷には溢れ,機能性,ゲーム性,グラフィックスなどなどのさまざまな点で,MUをはるかに凌駕しているゲームもたくさんある。しかし,あえてここでMUをレビューしたい。その意図は後記するので,まずはMUをレビューしよう。
"さまざまな点で,ミューをはるかに凌駕しているゲームがたくさんある"という出発点が設定されていて,"このあとなにが来るのか?"と期待させてくれるレビューでした。文章の"切り口"を決めて書こうという気持ちがうかがえます。
ただその着地点が「MMORPGはコミュニティが大事」という一般論に落ち着いているのがやや残念です。次は"自分なりの切り口"をじっくり考えてみてはいかがでしょうか。(Gueed)
「Master of Epic:The ResonanceAge Universe」
(レビュアー:Ela)
<冒頭部分>
2003年3月末には旧タイトル「Resonance Age」(レゾナンスエイジ)で公開テストが行われた「Master of Epic:The ResonanceAge Universe」(以降,MoE)。正式サービス前のオープンβテストの行われている今日(2005年1月9日),ゲーム紹介も兼ねたレビューをお伝えしよう。
世界各地に現れたイルミナという謎の女性の幻影。その女性の呼びかけに応じた者たちが伝説の島ダイアロスへ決死の旅へと向かう。
あなたの分身であるキャラクターは,ダイアロス島に流れ着いた旅人という設定だ。
今回設けられた2400文字という厳しい制限の中,かなりの駆け足ではあるものの作品を一通り紹介しており,「MoEならではの独特の魅力」も上手に見抜いて書き出しています。それでいて,メーカーのパンフレットのような紹介文ではなく,プレイヤーの立場で実際にゲームに触れてみたというレビュー感も多少は伝わる内容で,バランスの良い記事に仕上がっています。レビュー感が多少ではなく,もっとしっかりと伝わる内容であったなら,きっと素晴らしいレビューになったことでしょう。(Kawamura)
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