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印刷2019/01/12 00:00

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Creativeの3Dサウンド技術「Super X-Fi」に対応した初のゲーマー向けヘッドセット「SXFI AIR C」がCES 2019で公開

画像集 No.010のサムネイル画像 / Creativeの3Dサウンド技術「Super X-Fi」に対応した初のゲーマー向けヘッドセット「SXFI AIR C」がCES 2019で公開
 PC向けサウンドカード「Sound Blaster」シリーズで名高いCreative Technology(以下,Creative)が,最近,非常に力を入れて開発を行っているバーチャルサラウンド技術に「Super X-Fi Technology」(以下,Super X-Fi)がある。
 これはユーザーの耳の写真などを分析して,個人に最適なサラウンドプロファイルを作り上げることを最大の特徴とする技術だが,その概要と,最初の製品であるドングル型USBサウンドデバイス「SXFI AMP」で何ができるのかについては,2018年6月のCOMPUTEX TAIPEI 2018におけるレポート記事で詳しく紹介している。


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 スマホのカメラで左右の耳と顔を撮影し,使いたいヘッドフォンと再現したい部屋の広さを選ぶだけで,ユーザーのためにヘッドフォンの3Dサウンド出力を自動的に最適化してくれるという,魔法のような技術「Super X-Fi」。開発したCreativeによるデモへ参加できたので,ゲームにおける可能性を探ってみよう。

[2018/06/07 00:00]

 そのSuper X-Fiに対応する初のゲーマー向けワイヤードヘッドセット「Creative SXFI AIR C」(以下,SXFI AIR C)と,Bluetooth対応のワイヤレス&ワイヤード両対応ヘッドセット「Creative SXFI AIR」(以下,SXFI AIR)が,CES 2019に合わせて正式に発表となった。COMPUTEXのときの製品は,汎用のヘッドセットに対応したドングル型のUSBデバイスだったが,今回の製品はそのドングルの機能を内蔵した,単体でSuper X-Fiに対応できる製品群となる,
 本稿では,両ヘッドセットの実機と,SXFI AMPによるデモについて紹介したい。

ゲーマー向けとしては初のSuper X-Fi対応ヘッドセットであるSXFI AIR C
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Super X-Fiは,スマホのカメラとAIでユーザー1人1人に最適なバーチャルサラウンド環境を作る


 Super X-Fiの概要については,COMPUTEXでのレポート記事に詳しくあるので,未見の人はそちらを先に読んでほしいが,ここでも簡単に説明しておこう。
 Super X-Fiを簡単に説明すると,1人1人異なる耳や顔の形などに合わせてユーザー固有のプロファイルを生成して,そのプロファイルをもとに仮想的な7.1chサラウンドサウンド環境を作り出す技術である。

 Super X-Fiの面白いところは,耳や顔の形を検出するのに,Androidスマートフォン用アプリ「SXFI App」を使うところだ。スマートフォンのカメラで左右の耳と正面から見た顔写真を撮ると,アプリが写真を解析して耳と顔の形をデータ化するので,ユーザー1人1人で異なるプロファイルを自動で生成するのである。

SXFI Appで耳と顔の写真を撮って,その形をデータ化している様子。耳や顔の上に表示されたワイヤーフレームの像が,写真を解析して得られた形状である
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 このプロファイルは,Creativeが用意したクラウド上にあるユーザー固有のアカウントに保存されるので,使いたいSuper X-Fi対応デバイスにPCやスマートフォン経由でダウンロードする。すると,そのデバイスでユーザーに合わせた最適なサラウンドサウンド環境が実現するというわけだ。

SXFI Appの流れを説明したスライド。Creativeのアカウントでログインし(左),アカウントに保存されたプロファイルを選択(中央),SXFI Ampに接続するヘッドフォンを選んで準備完了だ(右)。なお,今回のデモでは,デモルームの音響空間情報(Measurements)があらかじめ用意されていたため,SXFI Appでの選択プロセスは省略された
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 逆に言うと,ユーザー固有のプロファイルがない状態では,Super X-Fiの実力は発揮できない。筆者は,Creativeブースでデモの開始を待っている間に展示してあったSXFI AMPを試してみようとしたのだが,説明員から「だめだめ。君のプロファイルが入っていないSXFI AMPでは,正しい体験が得られないから無駄だよ」と制止されてしまったくらいだ。

 Super X-Fi対応デバイス内には,Creative独自開発のSoC(System-on-a-Chip)「X-Fi UltraDSP」が内蔵されており,サラウンド処理に必要な演算と信号処理を担当している。そのおかげで,PCだけでなくゲーム機やスマートフォンでもバーチャルサラウンドサウンドを利用できるというわけだ。

USBドングルタイプのSXFI AMPが対応する機器を示したスライド。PCだけでなくゲーム機でも使えるが,スマートフォンやタブレットは,今のところAndroid端末にしか対応していない。デモの参加者からは,「AppleのCEOにデモ機を1セット送れば,喜んで対応してくれるよ!」というジョークが飛び出していた
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SXFI AIR C&SXFI AIR


背面側から見たSXFI AIR C
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 ヘッドセットに話を戻して,まずはSXFI AIR Cから見ていこう。
 SXFI AIR Cは,USBまたは3.5mmミニピンによるアナログ接続に対応するワイヤードヘッドセットで,SXFI AIRシリーズではエントリーモデルに位置付けられている。北米市場向けのCreative直販サイトでは,すでに販売を開始しており,価格は129.99ドルだ。

 見た目には,取り立てて変わったところはなく,左エンクロージャに着脱可能なブームマイクやインタフェース,ボタン類を装備したごく普通のヘッドセットといったところだ。

インタフェースや操作系は,すべて左エンクロージャにまとめられている。左の写真は前方斜め下側から見た状態で,上側からエンクロージャ側面のLEDイルミネーション機能のオン/オフボタン,ブームマイクが並んでいる。右写真はブームマイクを外した状態で,その右にUSB Type-Cポート,3.5mmミニピンのライン入力端子が並ぶ
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左エンクロージャをやや後ろ側から見ると,マイクミュートボタン,ヘッドフォン出力音量調整ダイヤル,そしてSuper X-Fi機能のオン/オフボタンがある。ちなみに,右エンクロージャには何もない。イヤーパッドはメッシュ状になった布製で,柔らかく耳を包み込む(右)
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 一方,上位モデルに位置付けられているSXFI AIRは,USBとアナログ接続に加えて,Bluetooth 4.2接続にも対応するのが大きな特徴だ。北米市場向けのCreative直販サイトでは,2019年2月に出荷開始の予定で,価格は159.99ドルとなっている。

SXFI AIR。カラーバリエーションは写真のBlackと,Whiteの2種類を用意している
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 左エンクロージャにSDカードスロット(※対応するSDカードの種類は未公開)を備えているのもポイントで,SDカード内に保存したMP3やWMA,WAV,FLAC形式の音声ファイルを,ヘッドセット単体で再生可能だ。
 さらに,左エンクロージャの側面がタッチパッドとなっており,指でなぞることで音量調整や曲の再生操作などが可能となっていたり,Nintendo Switchのチャット機能に対応していたりといった特徴もある。
 なお,バッテリー駆動時間は最大約10時間とのことだ。

インタフェースや操作系が左エンクロージャ側面に集中しているのは,SXFI AIR Cと変わらない。左写真は前方下側から見たところで,ヘッドセットの上から見て電源ボタン,着脱可能な「NanoBoom Microphone」,USB Type-Cポート,3.5mmミニピンのライン入力端子の並びだ。右写真は左エンクロージャを後方下側から見たところで,下側からBluetoothオン/オフボタン,SDカードスロット,Super X-Fiのオン/オフボタンとなっている
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 SXFI AIRは機能全部入りの製品ということで,PCとスマートフォンで共用したいという人に適した製品かもしれない。

SXFI AIR CおよびSXFI AIRの主なスペック
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SXFI AMPのデモを体験。参加者が一番驚いたのは「モノラル音源」のサラウンド化


 さて,SXFI AMPによるデモのほうだが,実のところデモの仕組みや手順は,COMPUTEX TAIPEI 2018のレポート記事におけるデモと変わらないものだったので,詳しい説明は省略して,ここでは初出のスライドを中心に紹介していこう。

USBスティックタイプのSXFI AMP。税別149.99ドルで販売中だ
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 デモを体験する前に,参加者のアカウント作成と耳や顔の計測は済ませておく。デモルームに入ったあとは,ひととおりの説明を聞いたうえで,デモを順次体験していくという流れで行われた。ただ,デモの画面は撮影禁止であり,デモ終了後は次の参加者を入れるためにすぐ退室させられてしまったので,体験中の写真を撮影できなかったのは残念だ。

SXFI AMPの説明スライド。全長は67mm,幅は16.7mmという小さなデバイスだ。バッテリーは内蔵していないので,USB接続が必須である
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PCにSXFI AMPをUSB接続すると,7.1chのサラウンドサウンド環境として認識される
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 デモルームには,スピーカーによる7.1chサラウンドシステムが設置されており,スピーカーから流れるサラウンドサウンドと,SXFI AMPによる7.1chバーチャルサラウンドサウンドの違いがあるかを体験できるようになっていた。

※7.1chといっても,下図のように,5.1chの2Dレイアウトに2chのハイトスピーカー(天井部)を加えた5.1.2chの構成のようだ。

デモの冒頭では,スピーカーでサラウンド音声を出力して,SXFI AMPに接続したヘッドセット風のマイクで音声を取り込み,室内の反響をデータ化するプロセスも実演された
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 7.1chサラウンドを体験するデモでは,Super X-Fi機能をオン/オフして,機能の有無で聞こえ方がどう変わるかを体験できた。SF映画「アバター」の1シーンを使ったデモは,正面近い音源がメインだったため,あまりサラウンド感を感じられなかったが,武侠映画の1シーンを使ったデモは,登場人物の周囲で鳴る楽器の音があらゆる方向から聞こえてくるのを体験できた。

 また,筆者が驚かされたのは,モノラルの音楽(=非サラウンド音源)を仮想サラウンド化するというデモだ。Super X-Fiをオフにすると,頭の内部で音に定位するのだが,Super X-Fiをオンにすると,音源の位置が頭の中ではなく前方から,まるで小さなライブ会場に立っているような感じで聞こえるのだ。これは最近のサラウンド機器で可能になった音源の表出化(Externalization)による効果だが,これにはほかの参加者も一様に驚いた様子であった。
 ただ,演算で作った音の不自然な感じも少しはあったので,非サラウンド音源のサラウンド化は,人によって好みが分かれることになるかもしれない。

 今回のデモは映像作品と音楽によるものだけだったので,ゲームでの実力を体験できなかったのは残念だ。ゲームにおける音質や遅延の有無,サラウンド効果の具合については,製品版を使った評価の機会を待ちたい。

CreativeのSuper X-Fi特設Webページ(英語)

  • 関連タイトル:

    Sound Blaster

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