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[TGS 2017]Razerの新しい「Yellow」キースイッチはFPS&MOBA特化型――製品担当者が語る
まず,Yellowスイッチの主なスペックだが,ストロークは3.5mmで,スイッチがオンになるアクチュエーションポイントの深さは1.2mmという仕様になっている。公称バネ荷重は45g。アクチュエーションポイントにおけるクリック感やクリック音のない,ストレートなフィーリングのスイッチである。
少なくともクリック感については,ZF Electronics製メカニカルキースイッチ「Cherry MX Red」と同じ方向を向いたものと説明できるだろう。
ちなみに,従来からある「Razer Orange switch」「Razer Green switch」(以下順にOrangeスイッチ,Greenスイッチ)だと,ストロークは4mm,アクチュエーションポイントの深さは1.9mm。またいずれもクリック感があり,Greenスイッチは大きなクリック音も伴う。
Tandon氏によると,Yellowスイッチは「FPSやMOBAに最適化した設計」だそうだ。FPSやMOBAで求められる高速な反応を得るために,クリック感をストレートとし,さらにストロークとアクチュエーションポイントも短くしたというわけである。
なお,Yellowスイッチの1.2mmという浅いアクチュエーションポイントは,ストレートな打鍵感と不可分だそうで,「ストレートなスイッチは(クリック感やクリック音を付加するために)バネの負荷に変化を付ける必要がない。そのためアクチュエーションポイントを浅く設定することができる」とのことである。
もう1つ,Yellowスイッチで注目したいのは,キーの押下後,指を離したことをキースイッチが認識するまでの距離を示すリセットポイントが,アクチュエーションポイントと同じ深さになっていることだ。OrangeスイッチやGreenスイッチはアクチュエーションポイントからの戻りが0.4mmあるので,ここもYellowスイッチの大きな特徴ということになる。
少し難度の高い表現を使うと,アクチュエーションポイントとリセットポイントの間に差を付けた特性のことを,「ヒステリシス特性」(hysteresis property)と言う。このヒステリシス特性を持つスイッチはチャタリング(chattering,入力の誤認識)が発生しづらく,タイプミスの低減に効果があるのだが,RazerはYellowスイッチではあえてヒステリシス特性を排除している。
そのためTandon氏は「OrangeスイッチとGreenスイッチは,ゲームだけでなく,オールラウンドに使えるスイッチ」と位置づけていた。YellowスイッチでRazerは,文字入力などといった一般的な用途における使い勝手を犠牲にしてでも,より高速に反応することを重視したというわけだ。
ただ,「設計はRazerで行った独自のスイッチ」である点は強調していたので,その点は付記しておきたい。
というわけで,(ノートPC「Razer Blade Pro」などが採用する薄型スイッチ「Razer Ultra-Low-Profile Mechanical Switch」を例外として)Razerのゲーマー向けキーボード用メカニカルキースイッチは,これで3ラインナップ構成となった。
OrangeスイッチとGreenスイッチは最近のゲーマー向けキーボード用メカニカルキースイッチとしては保守的なスイッチなのだが,その中で,ほぼゲーム専用,しかも高速な応答が要求されるFPSやMOBA専用に近いキースイッチが加わったことで,Razer製キーボードの選択肢はさらに面白いものになったと言っていいだろう。
冒頭でも紹介したとおり,フルキー仕様のRazer BlackWidow Chroma V2であれば現時点でもYellowスイッチ搭載モデルを入手可能だ。Razer製ゲーマー向けキーボードの購入を考えているなら,個性的なYellowスイッチの存在も頭に入れておくことをお勧めしたい。
Razerのキースイッチ解説ページ(英語)
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