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極私的コンシューマゲームセレクション:第11回「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」
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印刷2007/08/14 14:50

連載

極私的コンシューマゲームセレクション:第11回「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」


» 今回の「極私的コンシューマゲームセレクション」では,Wiiの「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」を紹介する。編集部のTeTが,プレイ中の姿を親に見られながらも黙々と遊び続けたこのゲーム。恥ずかしさなんて気にしちゃいられないほど,のめり込むための秘訣も紹介しよう。



■ドラゴンクエストの血を受け継いだ“体感アクション”RPG

本作の音楽は,すぎやまこういち氏と松前真奈美氏が担当。オープニングはもちろん,あの「序曲」。余談だが,筆者は「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」発売当時,書店で序曲を歌いながら同作の攻略本を買い求める人を見たことがある
 「ドラゴンクエスト」(以下,DQ)シリーズファンの筆者が今回紹介するのは,Wii専用タイトルとしてリリースされた「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」(以下,DQS)だ。筆者がどれくらいDQシリーズが好きかというと,ビアンカじゃなくてフローラを選んだばっかりに,ビアンカに生涯寂しい思いをさせてしまったことを心から悔やみ,「面白半分に結婚する相手を決めちゃダメ」ということを学ばされたほどである。最近では,面白半分でも構わないのではないか? いやむしろ,それぐらいの勢いがなければいけないのではないか? などと思ったりもするが,まあそんな具合のDQシリーズファンなのだ。

 閑話休題。言うまでもなくDQSは,DQシリーズの流れを汲んだ作品で,ゲームソフトとしては,DQシリーズ初の“体感アクションRPG”である。
 本作がDQシリーズおよび旧来の派生タイトルと大きく異なっているのは,いうまでもなくその操作方法だ。3次元モーションセンサーを搭載したWiiリモコンを振ると,その動きに合わせて画面に映るモンスターが真っ二つになっていくというのが最大のポイント。
 単体の玩具として2003年に発売された「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」(以下,剣神ドラゴンクエスト)を,Wii用にアレンジして,新たなストーリーを用意したような感じ,と言えば,剣神ドラゴンクエストを知っている人ならばイメージが掴めるだろう。剣神ドラゴンクエストを知っていて,DQSは知らないという人がどれだけいるかは疑問だが。

DQシリーズでおなじみのモンスターを,斬って斬って斬りまくろう。時折,すばしっこいアイツが画面を横切ることも


物語のカギを握るのは,仮面と女王だ
 また,DQシリーズとしては初めて,仲間や敵ボスキャラがフルボイスでしゃべりまくるのも特徴。ただ,DQシリーズの伝統(一部例外はあるが)にのっとって,主人公は終始無言なので,何となく変な気分だ。
 筆者は本来,プレイヤーキャラクターである主人公がダラダラ長話をするような展開じゃ,感情移入できないぜ! と思うタイプなので,このDQシリーズの伝統は好きなはずなのだが,周囲がペラペラしゃべるのに自分だけが沈黙を貫いていて,あれよあれよという間にストーリーが展開していくと,自分の意志とは裏腹に周囲に巻き込まれているような,そんな違和感を抱かずにはいられなかったのも事実(まあ,現実ではよくある話なんだが。会議のときとか)。でも,全体的に声優陣が良い仕事をしているので,細かいことは気にしないでおこう。

 本作の舞台となるのは,5年前に“魔王”を倒して平穏を取り戻したばかりのアルソード王国である。魔王討伐5周年を祝う祭りで城下町がにぎわっているさなか,かつて魔王討伐に参加していた女王の様子に異変が生じ始める。
 女王と共に魔王を討伐した英雄,バウドの息子である主人公は,アルソード王国の王子ディーンや,僧侶セティア,そして父と共に女王の行動の謎を追い,アルソード王国の平和を守れるのか? こんな物語が,章立てで展開していく。基本的には,章が進むごとに冒険できるフィールド(ステージ)が一つずつ追加されるという流れである。

主要なキャラクターがフルボイスでしゃべりまくるのも本作の特徴。上段左から,剣術の師匠として操作方法を教えてくれるナッジ,主人公の父親バウド,アルソード王国の王子ディーン,僧侶セティア


■仲間が戦闘終了時に褒めてくれるのが嬉しい

道中,分岐点が登場することも。間違ったほうを選ぶと袋小路に行き当たるが,そこから元の分岐点へは一瞬で戻れる
 プレイ時の視点は,一人称が採用されている。マップ上を歩くときは,Wiiリモコンの十字キーを上方向に押すか,Wiiリモコン背面にあるBボタンを押せばいい。この両方を同時に押せば,走ることもできる。十字キーで左右を押せば,その方向を向くし,下を押せば後ずさりする。ただ,移動の自由度はかなり低めで,足を踏み入れられる場所は限定されている。
 アルソード王国の城内や城下町は,一見するとあちこち歩き回れそうなのだが,実際には行けない場所が非常に多い。そして城から一歩外に出れば,基本的に直進か後ずさりのみ。道なりに進みながら,決まった場所で登場する敵を倒し,時折現れる分岐点を適切に選んでいけば,その章のボスに到達するというデザインになっている。このあたりは,先述した剣神ドラゴンクエストと同様だ。
 分岐点で進むべき道を間違えたとしても,行き止まりには宝箱などがあるし,そこから元の分岐点までは自動的に戻れるので,取り返しのつかないことにはならない。また,途中で町に戻りたくなったときも,メニュー操作をするだけで瞬時にワープ。HPがほとんど残っていないときに,ドキドキしながら町を目指すといった楽しみは味わえないが,ゲームに慣れていない人でもストレスを感じることなく楽しめる仕様といえるだろう。

 戦闘中は,剣で敵を叩き切る,敵の攻撃をはじき返す,盾で防御する,そして必殺剣を繰り出す,といった行動を取る。章によっては,ディーン,セティア,バウドのうち一人とパーティを組んでステージに挑める(章が進めば好きな場所に好きなキャラクターと行けるが)。DQシリーズ伝統のAIで「ガンガンいこうぜ」をはじめとした命令を彼らに事前に出しておくことで,特殊攻撃や呪文を使って戦闘をサポートしてもらう,という感じだ(その都度プレイヤーが行動を指定することも可能)。
 ちなみに彼らは戦闘終了時に,「その調子だ!」とか「かっこいいよ!」なんて具合にプレイヤーを褒めてくれることがある。これは,褒められて伸びるタイプなのに褒められる機会が滅多になく,結果として現実世界で伸びていない筆者にとって,非常に嬉しいものだった。

戦闘終了時,仲間が褒めてくれることがある。「一緒に冒険してるんだな」と思わせてくれる演出だ


手に入れた武器によって,習得できる必殺剣は変わる。どんな武器に強化し,どんな必殺剣を覚えていくかは,プレイヤー次第だ
 成長システムにはレベル制が採用されている。ただし,従来のDQシリーズでは戦闘終了時に倒したモンスターの経験値が加算されていたが,本作ではモンスターを倒すごとにリアルタイムで経験値を獲得できる。主人公のみならず,一緒に冒険に出ている仲間もレベルアップし,ときには新たな呪文を覚えたりもする。
 ここで注意したいのは,主人公が使用する必殺剣についてだ。レベルさえ上げれば,新たな必殺剣を覚えていくのでは? と思ってしまう人もいるかもしれないが,本作では新たな武器を手に入れる都度,新たな必殺剣を覚えるという仕組みになっている。
 そこで重要となるのが“素材”集めだ。モンスターを倒したときなどに手に入るアイテムの中には,主人公の武器を強化するための素材がある。武器とゴールド(ゲーム内通貨),そして必要なだけの素材を持って武器屋に行って強化してもらうことで,新たな武器が誕生するのである。
 武器の強化は一方向ではなく,途中で炎,氷,雷という三属性で分岐するため,どんな必殺剣を覚えるかは,強化させる方向次第。ただ,素材とゴールドをためる根気さえあれば,全必殺剣を覚えることも可能な仕様となっているので,やり込み派でも安心だ。

 やり込み……ということでいうと,ステージクリア後にクリア時間や連続ヒット数などによって採点が行われ,獲得した点数に応じたランク(D〜EX)が表示される。ランクごとにさまざまなアイテムが手に入るのだが,より高ランクを狙って同じステージを繰り返し遊んだりするのもなかなか楽しい。いかに効率良く,格好良く,モンスターを切り刻み続けることができるか? など,自分自身で課題を見つけながら遊ぶのも,また一興だ。

本作で一番体力を消費するのは,必殺剣を繰り出すときだろう。必殺剣によっては,なかなかハードな運動を強いられることも


■本作を楽しみまくるには,本気で取り組むのがベスト

ステージクリア後に表示される結果。これを少しでも良くするべく,同じステージに繰り返し挑んでいると,1回のプレイ時間はそんなに長くないはずなのに,気付くと数時間が経過。そして汗だくになっている自分……
 記事執筆時点で筆者は,本作を20時間以上プレイしており,隠し要素も含めて一通りクリア済みである。最近の大作RPGと比較すると(比較するものじゃないかもしれないが),あっけないほどすぐに終わってしまったという印象だ。うまくプレイしようとか,ステージクリア時のランクを上げようとか,全必殺剣を覚えようとか,そういったことを思わずに,ただクリアに向けて真っすぐに進むだけであれば,あっさりクリアできる難度に設定されている。
 実際,各ステージをクリアするのに必要な時間は,序盤であれば10分やそこら。その間,なんとなくWiiリモコンを振っているだけでもモンスターを倒せるし,ストーリーも展開していくのである。そういう意味では“ぬるい”ゲームであると思う。ただ,本作においてはこの“ぬるさ”こそが重要なのではないだろうか。
 ご存じのとおり,ニンテンドーDSやWiiは,既存のゲーマー以外の層をゲームに振り向かせようというコンセプトで生まれたプラットフォームだ。そのため,Wiiを持っている人の中には,「ゲームが得意ではない」人も数多くいるだろう。
 でも,そんな人達だって,ちょっと強いザコモンスターや,けっこう強いモンスターに苦しめられながらも,最終的に倒すことができれば,「ゲームって楽しいなぁ!」なんて思ってくれるのではないだろうか。そして本作は,そのあたりを狙っているのではないだろうか。そのためにも,一般的な知名度が高いDQシリーズである必要があったのではないだろうか。だろうかだろうかうるさいだろうか。

DQシリーズでおなじみのキャラクターも登場。思わず「お前が言うな〜」と言いたくなってしまうような独特のセリフ回しや,セティアがプレイヤーに付けるあだ名のセンスも,DQシリーズらしさに溢れている


「ちいさなメダル」集めも,やり込み要素の一つ。なお,ちいさなメダルは戦闘時にモンスターから奪えることも
 では,ヘビーゲーマーにとって,つまらない作品であるかというとそういうわけでもない。モンスターを叩き斬るのは文句なしに爽快だし(筆者の場合,この爽快感に魅せられて繰り返し遊んでいるようなものだ),前述のようなやり込み要素もきっちり用意されている。隠し要素だって,なかなかスリリングだ。全要素を遊び尽くそうとしたら,けっこう骨が折れる(実際には筋肉痛になる程度)。
 でももし,「やっぱ物足りないゲームはちょっと……」なんて思うならば,遊び方を変えてみることを提案したい。本作は“体感アクションRPG”である。Wiiリモコンを握った手首をひょいひょい軽く動かすだけだって,遊べなくはない。が,もっと“体感”すれば,楽しさだってもっと増すはず。モンスターを斬ったら残心を示し,必殺剣を出すときには大声で技の名前を叫んでみよう。声を出すのが恥ずかしいなら,心の中で叫ぶだけでもいい。仲間達の会話を聞きながら,相づちを打ってみるのもいいだろう。とにかく,役になりきって遊んでみるべきなのだ。なんせ本作は,Role-Playing Game(役割を演じるゲーム)なのだから。

一見簡単そうに見えて,やってみるとけっこう難しいミニゲーム。4人対戦も楽しめる(Wiiリモコンは一つでOK)


 ……とまあ,文章でいろいろと書いてはみたが,この面白さを伝えるのは難しいんじゃないかとも思う。そこで,連載記事「男色ディーノのゲイムヒヒョー」でおなじみ,プロレスラーの男色“剣士”ディーノ選手に本作をプレイしてもらい,その模様を写真に収めてみた。国際的な感じや青果市場などが大好きなプロレスファンからは,「剣士っていうかメカ?」なんて声も聞こえてきそうだが,れっきとした剣士であることは,この写真からも伝わるはずだ。

 こんな風に,自分でプレイするだけじゃなく,人がプレイしているのを見ていても面白いっていうのが,このゲームのいいとこなんじゃないかなとも思う。

“本気で遊ぶ”。これが,本作を必要以上に楽しみまくる秘訣だ(本気すぎて表情が素)

■■TeT(4Gamer編集部)■■
コンシューマゲームの話をすると,たいていは「それもう予約した」という返事が返ってくるほどのコンシューマゲーム機大好きっ子。でもその大半は,ゲームをクリアするまで気力が続かない現代っ子。そして,マルチプレイが楽しいという評判を聞いて購入したゲームでも,ソロプレイしかやったことがないという一人遊びっ子でもある。

ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔
対応機種:Wii
メーカー:スクウェア・エニックス
発売日:2007年7月12日
価格:6800円(税込)
CEROレーティング:A(全年齢対象)
公式サイト:http://www.square-enix.co.jp/dragonquest/sword/

(C)ARMOR PROJECT / BIRD STUDIO / GENIUS SONORITY INC.
SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.
(C)KOICHI SUGIYAMA


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    ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔

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