男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第123回：「発売延期や中止について思うこと」

著者近影

　さて，まだまだ予断を許さない状況が続くものの，表面上はいろいろと落ち着いてきて，だいぶ日常が戻ってきたわね。もちろん，まだまだ戦っている人々はいるし，これからも長い目で見て戦い続けなきゃいけない人もいる。まだ戦いは終わっていないの。というか，ここからが本当の戦いなのよ。
　これから日本は，いろんな問題を解決しなきゃいけない。私は日本はいい国だと思っているけど，もっといい国にしなきゃいけないってことを今回突きつけられたわ。
　我々日本人は，阪神淡路大震災，そして今回の東北関東大震災と，わずか20年足らずの間に二度もの大震災に見舞われているわ。もちろん大震災とまではいかなくても，新潟県中越沖地震をはじめ，マグニチュード7近くの地震なんて，毎年のように起きている。
　今後，固有地震である東海地震もいつ起こるかわからない。あらためて，日本は地震の国なんだなと思うわね。そして，日本人は地震のたびに立ち上がる。
　阪神，東北関東，どちらの大震災も私は直接被災したわけではないから偉そうにはいえないけど，いくらキレイごとでも立ち上がらなきゃいけない。そのために，みんなで引き続き出来ることをしていきましょう。
　おそらく，責任問題がどうこうっていう泥臭い話がそう遠くない将来に出てくるでしょうね。現地の生活を元通りにするだけでなく，今後，日本人としてどうあるべきかを考えていく。それを含めて復興と呼ぶんだと，私は思うわ。

　というわけで，ここから日本の復興が始まるわけだけれど，難しい話は私もよく分かんないから，ひとまず今週はゲイム界に起こった震災の影響について考えてみようかと。
　震災がゲイムに与えた影響というと，ゲイマーレベルでは，いろんなゲイムが発売延期になった点が挙げられるでしょうね。詳しくは4Gamerの過去記事でチェックしてもらうとして，とくに3月17日に発売予定だったタイトルが軒並み発売延期したのがね……。
　その中でも，「龍が如く OF THE END」は，私だけでなくきっと読者の多くも楽しみにしていたはず。ただ，どのパブリッシャも，発売延期をケツ意するのには，大いなる勇気が必要だったと思うわよ。
　商品は完成しているのに，お金は入らない上，余計にランするわけだからランニングコストがかかるわ。でも，それを覚悟のうえで，世の中の状況を見て発売を延期したという配慮には，頭が下がる思いよ。
　だから，我々ファンは発売延期を絶対に責めちゃいけない。いつかプレイできるんだから，その日を楽しみに待てばいいのよ。

　問題は，発売中止になったタイトル。
　「ガン★ロコ」と「絶体絶命都市4 -Summer Memories-」。これらのタイトルが発売中止となった気持ちの整理を，我々はどうつけたらいいのかしら。我々っていうか私が，なんだけど。

　ところで，今からどうでもいい話をするわよ。今年からこの連載の下のほうに「今週のハマりゲイム」ってコーナーができたんだけど，そこのXbox 360の部分が常に「ごめん」な感じになってるのよ。これに関して，自分でも本当にごめんって思ってて。マイクロソフトにもごめんって思ってて。
　だって，ゲイマーを名乗っているのに，Xbox 360を持ってないに等しい状態なのよ？　厳密には，持っていても使えないのよ？　ヘビーゲイマーとしては申し訳ない気持ちでいっぱいよ。
　そりゃね，普通に考えたら私にとってXbox 360は，そこまで必要ではないの。というのも，Xbox 360が得意とする洋ゲイって，私あんまり得意じゃないし，よしんばヤりたいゲイムがあったとしても，だいたいPlayStation 3版も出るし。
　だが！　ではなんで筋金入りのゲイマーはXbox 360を好むのか。それは，マニア級のゲイマーは，自らがマイノリティーであることを好むからに他ならないからだと思うの。ゲイムって，基本，自分に酔う遊びなわけじゃない。どれだけ上手く動かせたか，どれだけ集めることが出来たか，どれだけ感動したか……。
　突き詰めると「自分がどう感じたか」がゲイムのだいご味なわけ。そんなことを言ったら，ほかのエンターテイメントも全部当てはまるるんだけど，それでもゲイムは自己陶酔/自己満足の度合いが大きいわ。
　なぜなら，ほかのエンタメに比べてゲイムは与えられるだけではなく，自分でプレイできるから。なので，ほかのエンタメ以上に“ゲイム＝自己陶酔”ということがいえなくもないわけ。

　そこで，Xbox 360さんの出番ですよ。Xbox 360さんは，ゲイマーにとっての免許みたいなもんで，これさえ持っとけば「ヘビーゲイマー」と名乗ってもいいような錯覚に陥れる不思議なアイテムなの。PCエンジン，メガドライブ，3DO REAL，バーチャルボーイ，ワンダースワンカラ―あたりもこれに当たるわね。
　だから，持っていることがすでに自己陶酔という名のゲイムとして成立してるわけですよ。悩みとしては，そこまで分かっていながら，なかなかXbox 360を復活させられない，復活させてないくせにゲイマーを名乗っている私のこのジレンマ。お察しいただけるかしら？
　今のままでは，Xbox 360はでかい図体しやがって，ただの家電にもなりゃしない。先日までは，このまま収納してしまうと忘れてしまう！　と思ってあえてテレビの横に置いておいたのに。節電するべく，真っ先にコンセントから抜いたわ。ホラ，待機電力の問題もあるし。
　でも，言い訳じゃないけど，私，ガン★ロコに合わせてXbox 360を復活させようと思っていたのよ。今こんなことを言うと後出しジャンケンみたいで恐縮だけど，去年のゲイムショウでプレイして，ホントに楽しかったの。だから買おうと思ってて……。
　何があって発売中止になったのかは分からないけど，本当に残念ね。加えて，私のXbox 360の復帰時期が本格的に未定になったのも残念。

　そして，絶体絶命都市4。これも，アイレムソフトウェアエンジニアリングから発売中止の理由が述べられてないから想像でしか語れないけど，今回の震災の影響が全くないと言えば嘘でしょうね。発売日が何度か延びていたから，あるいは震災だけが理由ではないのかもしれないけども……。
　私としては，このシリーズはただ単に地震をテーマにしたゲイムってわけではなく，地震・災害の際に何をすべきか，どうやって生き延びるか，つらい状況でも人間らしくいられるのか，といった，防災メッセージ的なゲイムだと思っていたのよ。それだけに，このタイミングで発売中止となったのは我がことのように悔しいわ。プレイできなくなったという意味では，我がことだけれども。

　まあ，ガン★ロコにしろ，絶体絶命都市4にしろ，本当に残念に思っているのは作り手さんに他ならないでしょうけどね。だって，長い年月お金と時間と知恵を注ぎ込んで作ってきたものが，評価すらされないわけだから。
　面白いか面白くないかは，人の目に触れて初めて答えが出るもの。無論，企業的にも売れるか売れないかは発売しないと本当の答えが出ない。それが，苦渋の決断でスタートラインにすら立てなかった。
　エンターテインメントを手掛けるものとして，こんなに悔しいことはないでしょうね。心中お察しします。そして，どんな事情があったかは分からないけれど，退いた勇気を私は尊重します。

　とまあ，こんな感じで震災後のゲイム界のニュースをゲイマー視点でちょっぴり気にしたわけだけれども，実は今，私はめちゃくちゃゲイムをプレイしているわ。なぜなら，エアコンを使わないようにしていたら風邪をひいて寝込んでしまったから。外に出歩けなかったし，テレビもあまり見なかったし，ヤレることといったら，積まれていたゲイムをプレイするくらい。
　それに伴い，先週私が勝手に設立したゲイム募金も相当貯まっているわ。今数えてざっと5000円分くらい。これからも増えるだろうから，順調に元気玉が育ちそうね。これが役に立ってほしい，ちゃんと届いてほしいと心から思うわ。
　そんなこんなで，みんな今週も一生懸命普通の生活を送ろう。どいつもこいつも頑張ろう！　モニターの前にいるあんたも，いないあんたも，もちろん私もな。ではまた来週。