連載
インディーズゲームの小部屋:Room#728「tERRORbane」
ドリーム・シアターのグラミー賞“最優秀メタル・パフォーマンス”受賞を祝してお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第728回は,BitNine Studioが開発した「tERRORbane」を紹介する。本作は,バグだらけのゲームのテストプレイヤーとなり,あの手この手を使ってどうにかゲームを進めていくアドベンチャーゲームだ。最高傑作の呼び声も高い2ndアルバム「Images & Words」に衝撃を受けてから,もう30年か……。
本作の舞台は,開発者が「史上最高のゲーム」だと豪語しているゲームの世界。しかし,「TERRORBANE」と題されたこのゲームは,実際には何から何までバグだらけで,1つとしてまとなところがない。プレイヤーはそんなゲームのテストプレイヤーに選ばれた主人公となって,数々のバグを逆手にとってゲームクリアを目指すことになる。
ゲームの目的は,このどう見ても未完成の「TERRORBANE」をオープニングからエンディングまで通しでプレイしながら,開発者が“機能リスト”だと言ってよこしてきた“バグリスト”をチェックすること。開発者とはチャットソフトでつながっており,ゲームの途中でしょっちゅう割り込まれては,こちらのプレイに横槍を入れられるのだが,たまに手助けをしてくれることもある。
「TERRORBANE」は一見すると,ファイナルファンタジー風のターン制RPGのように見えるが,バグのために支離滅裂なアドベンチャーゲーム(?)と化している。戦闘シーンの画面にはそれらしいコマンドが並んでいるが,毎回違ったバグが発生するせいで,期待どおりに進行することはほとんどない。一応,キャラクターのステータス画面なども見ることができるが,もちろんそれらはすべて,ただの雰囲気づくりだ。
ツッコミどころは,バグだらけのゲーム内容だけではない。この出来栄えで,どうしてそんなに胸を張れるのかと問い詰めたくなる,無駄に自信満々な開発者の発言も傑作で,いらない設定ばかりでダラダラと長いゲームのオープニングを飛ばそうとすると,怒り狂って全部見終わるまで先に進ませないようにしてくるなど,とにかくプレイヤーを笑わせてくれる。
ゲーム内のバグを利用して勝手にパラメータを書き換えたり,スプライトの不具合に便乗して地形をすり抜けたりといった,クレイジーとしか言いようがないハチャメチャな攻略方法が満載で,文字どおり最後まで何が起こるか予想できない本作。随所に有名タイトルのパロディなども盛り込まれており,とことん笑えるユーモアたっぷりのゲームに仕上がっている。
そんな本作のPC版はSteamにて1640円で発売されているほか,ニンテンドーeストアでNintendo Switch版が配信中。楽しく笑って,暗い気持ちを吹き飛ばしてくれるゲームなので,興味を持った人はぜひどうぞ。オススメです。
■「tERRORbane」公式サイト
http://www.terrorbane.com/- 関連タイトル:
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(C)Lhander 2021.
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