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  • カプコン
  • 発売日:2006/09/28
  • 価格:8379円(プラチナコレクションは3999円,ともに税込)
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極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」
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印刷2007/11/05 21:02

連載

極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」


» 今回,本コーナーの執筆を担当するKawamuraは,第5回とか第12回とかの記事を見るに,CEROレーティングZ指定ばっかりプレイしている気がしていた。今回取り上げるのは「デッドライジング」と,やっぱりZ指定なのだが,面白いものは面白いからいいのである。大人だけのたしなみともいえるので,18歳以上の大人な読者の皆さんはご一読あれ。



※このゲームは「CERO: Z 18才以上対象」です

そもそもゾンビとは


画像集#001のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」
 現在は一般的に広く認知された“ゾンビ”は,ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画三部作,その2作めにあたる1978年公開の「ゾンビ」(原題 Dawn of the Dead)で形作られたものといっていいだろう。
 中には,当時のゾンビファンにとって衝撃的だった「バタリアン」のように“走る”ゾンビもいたが,その後の一般的なゾンビ文化は,元のうすのろなゾンビを選んだようだ。
 やがてゾンビは,マイケル・ジャンソンの「スリラー」のPVや,カプコンの「バイオハザード」といった良作に恵まれ,少しずつ世界中のお茶の間になじんでいったのではないかと思われる。なおゾンビについては,連載「剣と魔法の博物館 モンスター編」第13回に詳しいので,気になる人はそちらをご覧いただきたい。

画像集#003のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」
 25年以上前,まだ小学校に上がるか上がらないかの頃の私は,たぶん当時の同年代の中でトップクラスの,ホラーがまったくダメな少年であった。もう,ホラー映画なんか観たら,怖すぎて死ぬとずっと思っており,数秒と直視していられなかった。ところが当時,テレビで放映されていた「ゾンビ」を,なぜか観てしまったのである。突然ギャー! ビクッ! というタイプのホラー映画と違い,どちらかというとパニック映画に近いこの映画に,してやられたのである。
 ネタバレになるので割愛するが,この映画の結末は,私にとって巨大なトラウマとなってしまった。以後20年以上,私はたびたび“ゾンビの夢”に悩まされることになるのだ。ゾンビに怯えながら暮らした少年の日々。当時,北海道で最もゾンビが怖かった人間だったに違いない。

 あれから約四半世紀。今もたまにゾンビの夢を見るが,その内容は生意気にもエンターテイメント性が出てきた。ゾンビはこちらの裏をかいてくるし,シチュエーションは凝っているし,ストーリー性を帯びていたりもする。
 ここ数年の作品(夢)では,いつものようにゾンビどもに追われていた私が,とある家に逃げ込むと,そこには一人の女性と,拘束された一体のゾンビがいるではないか。「なんでゾンビが家の中にいるのか」と尋ねると,彼女は「こうしておくと,外のゾンビが入ってこない」とおっしゃるではないか。なるほど,よく分からないけど感心した。まあ結局,最後は私のせいで外のゾンビがその家になだれ込み,私は一人で脱出したので彼女の生死は不明だ。……夢の話なんかするなって感じですね。すみません。早い話,私はすっかりゾンビフリークになってしまっていたということを言いたかったのだ。

 そんな私個人の話はキリがないので,もういいや。今や“ゾンビ”といえば,それがどんなものかは誰もが知っている。ゾンビ映画は21世紀になってからも数多く作られており,近年では「ショーン・オブ・ザ・デッド」や「ゾンビーノ」といったコメディまで誕生している。しかしまぁショーン〜はともかく,ゾンビ映画はイマイチなものが多いというのも事実だ。うーん,前半は妙に面白かった「28日後」の続編「28週間後」が楽しみだなあ(あの映画はゾンビだとは言ってなかったかもしれないけど)。

 映画の話もキリがないので,もういいや。1996年にカプコンから「バイオハザード」が発売されたとき,直感した。ああ,このゲームの制作者は自分と同じアレだ,20年以上もゾンビの夢を見続けている人間だ,と(私の勝手な憶測である)。本当はこのゲームで,じわじわ迫り来る大量のゾンビを描きたかったに違いない,と(私の勝手な憶測である)。しかしプレイステーションの性能の限界から“大量のゾンビ”か“写実的なグラフィックス”のどちらかを迫られ,当時は泣く泣く後者を選んだに違いない,と(私の勝手な憶測である)。
 それから10年,Xbox 360というスペシャルなゲーム機の登場により,ついに“写実的なグラフィックス”と“大量のゾンビ”の両立を実現する日が来たのだ(私の勝手な憶測である)。

画像集#004のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」 画像集#005のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」

ゾンビいっぱいのショッピングモール


画像集#006のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」
 「デッドライジング」は,2006年9月28日にXbox 360で発売された,ゾンビパラダイスアクションゲームだ。2007年6月14日に3990円(税込)に価格を引き下げたプラチナコレクション版が,11月1日には「ギアーズ オブ ウォー」(参考記事)とセットになったプラチナダブルパックが発売されている。いやはや,このダブルパックは素晴らしい。個人的に“Xbox 360の存在意義そのもの”といっていいほどの名作2本が,セットで5240円(税込)で買えてしまうのだ。

画像集#007のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」
 デッドライジングの目的は,アメリカのコロラド州ウィラメッテという,人口5万人ほどの小さな町のショッピングモールを舞台に,72時間生き残ることである。主人公フランク・ウエストはフリーのジャーナリストで,「今,ウィラメッテが事件らしい」という裏情報をガッチリキャッチし,カメラ一つ持ってこの町に乗り込んできたのだ。
 ヘリで町を訪れてみると,そこはもうゾンビだらけの地獄絵図。ゾンビ達はのろのろと町の中心にあるショッピングモールを目指しているご様子で,フランクはヘリで屋上からモールに潜入する。迎えのヘリは3日後(72時間後)に来てくれるという段取りだ。

 与えられた72時間(実時間で6時間)は,「生き残る」という最低限のルールさえ守れば,基本的にどのように過ごしてもいい。安全な場所でじっとブルブル震えていてもいいのだが,あいにくそれではあまり楽しくない。何よりフランクはフリーのジャーナリストであり,スクープをモノにするためにここに来たはずである。なので,カメラを持ってショッピングモールをうろつくのが本作の賢い楽しみ方だろう。なお,この町のモールには以下のようなセールスポイントがある。

・ゾンビが豊富
・お店や施設がいろいろあって楽しい
・生存者がいる(助けられる)
・ゾンビ事件の秘密があるくさい


 割と何をしても良く,実にいろいろなお遊びの用意されたゲームだが,実際のところ“カメラでスクープ写真を撮る”という表向きの目的よりも,むしろ以下のような目的が,ゲーム進行上の主要なモチベーションとなりやすい。

画像集#008のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」 画像集#010のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」 画像集#009のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」

・生存者を探し出し,無事に連れ帰る

画像集#011のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」
 モール内を無目的にだらだら歩いていても,だいたい見つかるのはゾンビばかりである。ところがたまに,持ち歩いている無線機に「どこそこに人がいる」という通信が入る。その情報を頼りに移動すると,生存者を見つけやすい。
 生存者は50人近くおり,無事に助けられるかどうかはプレイヤーの頑張り次第だ。生存者の多くはなにかしらの問題を抱えており,ただ発見すればいいというものでもない。バリケードを築いて立てこもっていたが,すっかりゾンビに囲まれてしまった人々とか,怪我をした恋人のそばから決して離れようとしない女性とか,錯乱して危険な状態の人に監禁されてしまった人とか,あるところからぶら下がっていて,その下にはゾンビがいっぱいなカップルとか,事情はさまざまだ。

画像集#012のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」 画像集#013のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」

 フランクは,こういった豊富な人間ドラマの数々を,ゾンビだらけの中で解決しなければならない。彼らの問題を解決して説得し,ゾンビどもをかきわけて安全圏まで連れ帰るというのは,骨の折れる救出作業である。か弱い女の子のグループを引き連れて,数百体のゾンビが徘徊するモール内を歩くなどといった過酷なシチュエーションもあり,まぁ最初のプレイでは,彼女らが一人ずつゾンビ達にむしゃむしゃ食べられていくのを見守ることになるだろう。
 どうでもいいが,このへんはスーパーファミコンの隠れた名作「セプテントリオン」を彷彿とさせるものがある。あのゲームは沈没する豪華客船の中で,目を離すとすぐ死ぬ生存者どもをぞろぞろ引きつれ,脱出するというゲームである。私はあのゲームが凄まじく好きであった。

・ゾンビ発生事件の真相を追う

画像集#014のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」
 もう一つの重要な目的がこれ。事件の真相は,「CASE」という章仕立てのイベントで構成されており,これを最後までクリアすれば,真のエンディングにたどり着けることと思われる(真のエンディングにはたどり着けていないので分からないのだが)。
 CASEは1-1から4-2まであり,もし途中でしくじった場合,CASEは先に進められなくなる(ゲーム自体は進むけど)。フランクが本物のスクープを持ち帰ってジャーナリストとしての仕事を成功させるためには,この事件の真相を解き明かさなければならないのだ。
 1回めのプレイで,このCASEをすべてクリアできる人は少ないだろう。本作は繰り返しプレイすることが前提のゲームと言っても過言ではない。

倒しても倒しても増える一方のゾンビを倒す


画像集#015のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」
 ではデッドライジングの一番面白いところは何か。それはもう,数百のゾンビに囲まれた中で,あの武器この武器を手に,大暴れできることである。思えばバイオハザードシリーズの主人公ら最大のミステイクは,銃でゾンビと戦ってしまったことだ。なぜジルやレオンは,ベンチやマネキンやボウリングの球で戦わなかったのか。そのほうが強いし,気分も良かったのに。

 モールの中には,いろいろなお店,物がある。バットが,ナイフが,肉切り包丁が,ソファーが,鉢植えが,郵便ポストが,ガムボール(ガムの自動販売機)が,フライパンが,チェーンソーが,工具箱が,ダンベルが,レジスターが,プラズマテレビが,すべて武器になるのだ。

画像集#016のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」 画像集#017のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」

 それぞれの武器には,やはり武器としての性能がある。例えばバットは武器として優秀だが,ハンドバックは対ゾンビ戦にはちょっと不向きだ。フライパンは一度熱すると強くなる。ベンチは大勢のゾンビを一気になぎ倒せるが,大降りになってしまい隙ができやすい。壷は,ゾンビを一回ごつんとやったら割れてしまう。ぬいぐるみは,もふもふしていてあまり痛くなさそうである。などなど。

 強い武器ばかり使えばよさそうだが,どの武器にも耐久力があり,すべてはいずれ壊れてしまう。また手に入りやすい/レアな武器,持ち運びしやすい/しづらい武器もある。日本刀などは強いが,膨大な数のゾンビに囲まれてしまうと,あっという間に壊れてしまう。分解後のマネキンが,実は入手しやすくて強力な武器であることを,いつもデパートをウロチョロしているご婦人達はご存じなのだろうか。

画像集#018のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」
 また,中庭にはブレインデッドファン大喜びの芝刈り機があり,これでゾンビを大勢グチョグチョにできたりする。同様にショッピングカートの突進で,ゾンビの大群の中を突破するといった荒業も可能で,これまたゾンビ映画ファン大満足。ほかにも駐車場では車でゾンビを轢いて回ったりなどといった,エリア限定のゾンビ虐殺ギミックは見逃せない。

 また,たまに“ボス”と戦うシーンも出てくる。チェーンソーで武装したピエロとか,太った女性警察官とか,狙撃銃で武装した親子とか,カルト教団の教祖とか,戦車とかだ。主に心に問題を抱えており,ゾンビまみれという追い詰められた状況下で,ボスにならざるを得なかった可愛そうな人々である。なんせ舞台がただのショッピングモールなので,タイラントのようなクリーチャーは出てこないが,皆それなりに手ごわい。

画像集#019のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」 画像集#020のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」

何度も何度もクリアしよう


画像集#021のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」
 デッドライジングには,PP(Prestige Point)というポイントがある。デッドライジングというゲーム内において推奨されている行為に対し,加算されていくポイントである。すなわち主に,

・ゾンビを倒す
・生存者を救出する
・スクープ写真を撮る


といった行為だ。PPを溜めると,主人公フランクはレベルが上がり,攻撃力や移動力が上昇したり,スキルを覚えていったりと,要するにどんどん強くなっていく。
 いくら無限にゾンビが湧くとはいえ,72時間の間に溜められるPPには,やはり限度がある。ただし本作は,フランクのレベルを引き継いだまま,ゲームを始めからやり直すことが可能である。つまり何度も何度も遊ぶことで,どんどんフランクは強くなっていくのだ。
 プレイヤー自身の知識や腕前も高まっていくから,繰り返しプレイすることで,より深いプレイが可能になるはずである。事件の真相も,強まったフランクとプレイヤーなら,きっと解き明かせるに違いない。50人近い生存者を全員救出するプレイも面白いことだろう。ほかにも,すんごい遊び方がいろいろできるはずだ。
 またクリア後には,いろいろな隠し要素や隠しモードがアンロックされる。うーん,実に長いこと楽しめるゲームである。

 最後になるが,ゾンビというものは“感染症”と結びつくことにより,オカルト的要素を一切必要としないホラーとして,独自の文化を作り出した。それがどうしたかっていうと,つまりゾンビというのは実に説得力があり,リアリティにあふれているのである。というかたぶん,ゾンビによる崩壊の日はいつか絶対来ると信じている。

画像集#022のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」 画像集#023のサムネイル/極私的コンシューマゲームセレクション:第19回「デッドライジング」


■■Kawamura(4Gamer編集部)■■
PS3とWii以外は,コンシューマゲーム機を一通り持っているというコレクター。ゲームの評価は辛口で,面白くないと思ったらすぐにやめてしまうドライな男でもある。FPS好きの洋ゲー好きで,どんなジャンルも一通りおさえているのだが,「どのジャンルが得意?」と聞くと黙り込んでしまうシャイガイだ。


デッドライジング
対応機種:Xbox 360
メーカー:カプコン
発売日:2006年9月28日(プラチナコレクションは2007年6月14日)
価格:8379円(プラチナコレクションは3990円,ともに税込)
CEROレーティング:Z(18歳以上対象)
公式サイト:http://www.capcom.co.jp/deadrising/
  • 関連タイトル:

    デッドライジング

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