［GC 2008＃24］PC版の独自要素が熱すぎる。サッカーゲームシリーズ最新作「FIFA 09」

　必ずといっていいほど，毎年Games Conventionに発売前の最新作がプレイアブル出展されているFIFAシリーズ。今年も，EAブースに最新作「FIFA 09」が展示され，人気を集めていた。

　長く続いている人気シリーズであるため，ゲームがガラリと変わってしまうほど革新的な変更はないものの，年を重ねるごとに着実に進化し続けており，今回はとくにオンライン関連の機能が強化されている。


　中でも特筆すべきは「ADIDASライブ・シーズン」と呼ばれる機能だ。これは実際に行なわれた試合結果に基づいて，ゲームに登録されている選手データが更新されるというシステムである。
　突然の移籍や，突然ブレイクする若手の存在などはスポーツゲームにとっては鬼門ともいえる出来事で，発売直前までデータを調整していたとしても，発売から数か月も経てば，すぐに古いデータとなってしまうことが多い。だが，そんな心配はもう過去のものとなり，FIFA 09では常に最新データで遊べるのだ。
　とはいえ，さすがにこの機能は完全に無料というわけではない。FIFA 09ではバークレイズ・プレミアリーグ，ブンデスリーガ，セリエA，プリメーラ・ディビジョン，リーガ・エスパニョーラ，リーグ・アンの6リーグのデータが収録されているのだが，データ更新を無料で行なえるのは1リーグ分のみだ。残りのリーグのデータを更新する場合は，別料金を払う必要がある（価格は未定）。
　

　オンライン対戦モードでは，最大10人対10人のプレイヤーが試合に参加できるようになった（つまりゴールキーパー以外のフィールド上の全選手）。1チーム10人分のプレイヤーが揃わない場合は，コンピュータが代役を務めてくれるので，2対2，1対10など，さまざまな人数で戦える。メンバー集めに苦労するといった心配は無用だ。


　FIFA 08で人気を博した，一人の選手だけを操作して試合を行なう「Be A Pro」モードも強化される。FIFA 08では単に一人の選手として試合を行なうのみといった感じだったが，FIFA 09では，一人の選手として複数年のプレイが可能だ。
　またゲームに登録されている既存の選手だけでなく，オリジナルのキャラクターを作成して遊べるという。まだ詳細は明かされなかったが，イメージとしては，「Jリーグ ウイニングイレブン2007 クラブチャンピオンシップ」に搭載されている「ファンタジスタ」モードに近いものだろうか。
　FIFA 09のBe A Proモードではナショナルチームもフィーチャーされるので，プレイヤーが操作している選手が代表選手の場合は，インターナショナルマッチデイには代表戦に召集される可能性がある。代表と自クラブの掛け持ちに苦労する選手の気持ちが味わえるかもしれない。


　戦術設定もパワーアップし，プレイヤーが好むサッカーをピッチに描けるようになった。全部で11項目のタクティクスバーが用意されており，それらを調節することで，プレイヤーのサッカースタイルにCPUが合わせてくれる。例えば，ショートパスを多めに出すように設定しておけば，プレイヤーが動かしているキャラクターの周りにCPUが操作している味方が集まる。逆に，ロングボールを多く出すように設定しておけば，ディフェンスラインでボールを奪ったときなどに，素早くフォワードの選手がラインの裏に飛び出すことが増えるのだ。サッカーではボールを持っていない選手の動きが重要なだけに，嬉しいパワーアップだろう。


　さて，ここからはPC版についての話だ。今回，PC版は単なる移植ではなく，まったく異なるチームが専門に開発している。もちろん基本的な内容は同じで，新機能なども上で紹介したとおりなのだが，PC版ならではといえるフィーチャーがある。それは，マウスとキーボード専用の操作方法が用意されていることだ。
　これまでのPC版FIFAシリーズは，ゲームパッドで遊ぶことを前提に作られており，キーボードでもなんとか動かせるけどオススメはしないといった感じだった。だが，FIFA 09ではマウスとキーボードをセットで使えるようになり，むしろゲームパッド以上に優れた操作が可能になるのだ。

説明を行ってくれたElectronic ArtsのDaivd Rutter氏

　具体的には，キーボードでボールを持っている選手を操作しつつ，マウスを使ってボールを持っていない選手を動かせるのである。
　この操作方法ができるようになったことで，スペースに選手を走りこませたり，スペースを作るための動きをさせたりできる。選手の進む方向や場所もクリックで指定できるので，グラウンドを斜めに走らせることも可能。ツートップのうち一人をサイドに流れさせ，もう一人にクサビのパスを入れて空いたスペースに，2列目からMFを飛び出させるなんてことができてしまうのだ。
　各選手に一斉に指示を出すさまは，RTSに近いだろう。コントローラーでは難しかったことが，マウス＋キーボードで実現可能になったのだ。

　これまでFIFAシリーズのPC版はコンシューマ版のベタ移植だったので，コンシューマ機を持っている人は，PC版以外を購入していた人が多いだろう。だがFIFA 09では，PC版の購入も大いに検討してもらいたい。なお，PC版はエレクトロニック・アーツから2008年10月に発売される予定だ（英語版）。