［gamescom］Wargaming.netのCEO，Victor Kislyi氏に「World of Tanks」の今後の動きや，「World of Warships」などの新規プロジェクトについて聞いた

　現在サービス中の「World of Tanks」で知られるベラルーシのゲームメーカー，Wargaming.netは，gamescom 2014でも大きなプレゼンスを発揮しており，とりわけ一般向けには初公開となる「World of Warships」の試遊エリアには，大きなブースを一周するほどの長い列ができていた。

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　ゲームメディアとしては，どうしても新作である「World of Warships」に注目しがちだが，2010年8月の正式サービス開始から4年を経た「World of Tanks」は登録アカウント数が9000万に達するなど，勢いを持続している。日本時間の2014年8月12日には，同社が開発/運営するすべてのオンラインゲームを合わせた登録アカウント数が1億を突破したことが公表されており，既存タイトルもなかなか堅調のようだ（関連記事）。

　そんなWargamingのCEOを務めるVictor Kislyi氏は，これまで4Gamerのインタビューに何度も登場しているので，同社の顔としてすっかりおなじみだと思うが，今回のgamescom 2014においても，日本のメディアが話を聞く機会が得られた。その模様を簡単にお伝えしたい。

Victor Kislyi氏

　Kislyi氏はまず，Wargamingの現状を紹介した。前述したように，4年めに突入した「World of Tanks」は現在もプレイヤー数が増え続けており，人気タイトルの地位を維持している。また，ロシアやヨーロッパなどの地域に限られているものの「World of Warplanes」のサービスも2013年11月にいよいよ始まり，さらに2014年2月には「World of Tanks: Xbox 360 Edition」，同年6月にはiOS向けの「World of Tanks Blitz」をリリースするなど，新しいタイトルを次々に投入してきた。なかでも「World of Tanks Blitz」は配信開始から1か月で世界累計ダウンロード数が500万を記録し，現在はAndroid版の制作が進行中である。

　またKislyi氏は，gamescom 2014に出展された「World of Warships」について，サービス開始時点で選べる勢力が日本とアメリカであることなどを挙げ，とりわけ日本のプレイヤーに楽しんでもらえるのではないかとコメント。8月15日に掲載した記事でもお伝えしたように，同作は現在αテストが進行中だが，早く楽しんでもらえるように，さまざまな調整が行われているので期待してほしいと述べていた。ええ，もちろん期待していますとも。
　さらに，ほかにもさまざまなプロジェクトが動いているそうだが，まだ見せられる段階ではないとのことで，具体的な名前は明かされなかった。6月に開催されたE3 2014では，Gas Powered Gamesの新作タイトルの話が出ていたわけだが，こちらの追加情報はとくにないようだった。惜しい。

「World of Warplanes」

　というわけで，続いてメディアとの質疑応答に入った。まず，登録アカウント数が1億を突破したことについてどう思うかという質問に対しては，数字自体はとても大きなもので誇りに感じるが，同時にこのすべてがアクティブではないということは十分に承知しているという。一つの通過点であり，まだまだこれからだと思っているとのことだった。


　「World of Tanks」については，今後もアップデートが予定されており，現在はいわゆる“HD戦車”などのグラフィックスや，物理エンジンの向上を進めているという。
　また，9.0アップデートで実装された新機能「ヒストリカルバトル」は一度取り下げているため，失敗だったと思われているかもしれないが，現在見直しが行われており，後日，さらに良くなった状態で再実装の予定があるとのこと。Kislyi氏は，「World of Tanks」が広く受け入れられたのは，ゲーマーにアピールしたことに加えて，ミリタリー好きの人にも楽しまれているからだと認識しており，こうした層に向けたサービスとしてヒストリカルバトルを重要視しているようだ。

「World of Tanks」

　「World of Tanks」はe-Sports向けタイトルとしても注力しており，試合の様子を容易にストリーミングできる仕組みを用意していくという。gamescom 2014では「League of Legends」の大会が行われ，会場を埋め尽くした大観衆がゲームの勝敗に一喜一憂していたのだが，あれが目指すべき姿だとKislyi氏は述べている。

　プレイヤーにとっては，アップデート9.2で導入されたクラン向けの「拠点モード」（Strongholds）のトピックも気になるところだろう。これは，ランダムな通常戦をプレイしている層と，クランを組んで突き詰めた戦いに挑んでいる層との中間に位置するプレイヤーに向けて実装されたモードで，一定数以上のメンバーが所属しているクランは拠点を建造できるというもの。ほかのクランと戦って資材を集め，施設を建てることで拠点を強化していくことが可能で，戦闘時にボーナスももらえる。いずれは拠点を活用して地雷原の敷設や砲撃支援，空爆支援などをできるようにするとのことで，その場合，ゲームバランスに大きな影響を与えるだろう。拠点モードの詳細については公式サイトを参照してほしいところだが，確かに大会を目指すほどではないものの，クランメンバーと一緒に何かを楽しみたいと思っているプレイヤーには嬉しい仕様かもしれない。

　今年9月でウォーゲーミングジャパンの設立から1年が経過することになる。その感想をKislyi氏に聞いたところ，これまではできなかった東京ゲームショウでプレゼンスを発揮できたことが大成功だったと述べた。また，バンダイビジュアルのアニメ「ガールズ＆パンツァー」とのコラボレーションも素晴らしかったと考えており，これでアニメ，戦車，そして女の子という最も重要な3つの要素を押さえることができたという。なるほどー。

　また，それまで仕事の出張に両親を連れてくることはなかったそうだが，東京ゲームショウでは初めて両親と日本の旅を楽しんだとのこと。とくに神戸牛のおいしいステーキが思い出深いという。
　やや答えをはぐらかされたような気もするが，日本には好印象を持っている様子で，今年の東京ゲームショウにもできれば足を運びたいとのことだった。

「World of Warships」

　世界規模のゲームメーカーでCEOを務める身でありながら，会社全体の戦略だけでなく，個々のゲームのアップデートにまで詳しいKislyi氏。今後も，主力タイトルである「World of Tanks」のアップデートを継続しつつ，「World of Warships」をはじめとする新規プロジェクトを立ち上げ，プレイヤーと共に成長を目指していくとのことだった。我々も注目していかざるを得ないだろう。

「World of Tanks」公式サイト

「World of Warships」公式サイト

「World of Warplanes」公式サイト

「World of Tanks: Xbox 360 Edition」公式サイト

「World of Tanks Blitz」公式サイト

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