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[gamescom]マウス級の巨大戦車が日本の技術ツリーに登場。「World of Tanks」のプロダクトマネージャーが語る,今後の展望とモバイル展開
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印刷2015/08/06 21:38

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[gamescom]マウス級の巨大戦車が日本の技術ツリーに登場。「World of Tanks」のプロダクトマネージャーが語る,今後の展望とモバイル展開

Maxim Chuvalov氏
画像集 No.030のサムネイル画像 / [gamescom]マウス級の巨大戦車が日本の技術ツリーに登場。「World of Tanks」のプロダクトマネージャーが語る,今後の展望とモバイル展開
 最近は「World of Warships」(以下,WoWS)に話題が集まりがちなWargaming.netだが,間もなくローンチから5周年が経過しようとしている「World of Tanks」PC / Xbox One / Xbox 360)(以下,WoT)も,着実にアップデートが進んでいるタイトルだ。
 今や1億1000万アカウントを有する超巨大オンラインゲームとなったWoTについて,同作のProduct ManagerであるMaxim Chuvalov氏にgamescom 2015会場で話を聞くことができたので,その内容を紹介しよう。
 新パッチやXbox Oneでの展開のほか,会場で試遊できたターンベースのカードゲーム「World of Tanks Generals」の情報も合わせて掲載する。


「World of Tanks」公式サイト



マウス並の超重戦車が日本の技術ツリーに登場する9.10パッチ


 WoTの次のパッチとして予告されている9.10パッチでは,車両やマップの追加だけでなく,ゲームの根源的なメカニズムにも手が加えられることになっている。だが,まずは新車両から見ていくことにしよう。

 最初に目を引くのは日本の重戦車のラインナップだ。
 9.10パッチで,新たに9つの戦車が投入される日本の重戦車だが,実際に試作が1両以上製造された車両こそあれ,そのほとんどはペーパープランに終わったものとなっている。さすがはペーパープランと言うべきか,中にはドイツの超重戦車であるMaus(マウス)と大きさでタメを張る車両も登場する。

重戦車ラインが入った日本の新技術ツリー
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「大きいですね」という感想しか抱けない巨大さ
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 続いて興味深いのは,チェコスロバキアの技術ツリーだ。
 史実においてもチェコスロバキアは戦車の開発と生産で知られた国で,さまざまな車両を生み出してきた。9.10パッチでは,ついにそれらが1つの技術ツリーとしてまとまるというわけだ。
 またこの技術ツリーは,チェコスロバキアの戦車だけでなく,ヨーロッパ各国の戦車を含んだものになるらしく,チェコスロバキアだけでなく,イタリアとスウェーデンの戦車についても,現在調査が行われているとのこと。この2国も,なかなか個性的な戦車を開発してきた国だけに,期待が高まるというものだろう。

現状ではまだ寂しい技術ツリー
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これはかわいい
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 一方,ゲームメカニズムでは,物理演算に手が加えられる。
 これまでのWoTでは,戦車の挙動に物理演算が用いられてきたが,パッチ9.10では,その挙動がさらに進んだものとなるという。急激なターンによるドリフトの発生はもちろん,行動の過程で発生した衝撃などによる挙動の変化も起きるようになる。

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ジャンプ一番,敵戦車の上空を通過
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急激なドリフト

 これに加えて,エンジン出力や車体の重量などの関係に基づき,場合によっては接触した敵戦車の移動を封じてしまうような機動も可能となる。サンプル動画では,速度と(ある程度の)重量のある戦車が,より軽い戦車の横腹を体当たりで捉えると,重量の軽い戦車をそのまま押し込み続ける(軽い戦車は前後移動を試みているようだが,どちらにも動けなくなっている)といったシーンが収録されていた。
 こういった変化が戦術にどれくらい影響を与えるか,確かなところは断言できないが,以前よりも驚きに富んだ展開が期待できそうだ。

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側面を取られた戦車がそのまま押し込まれていき,行動を著しく阻害されるところ
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ぶつかってひっくり返った戦車の図。いや,さすがに本番ではこうはならないと思うけど……

 また9.10パッチで実装されるわけではないが,新しいゲームモードの実験も続いている。現在のWoTは,いわゆるチームデスマッチを基本としているため,どのゲームモードであっても「敵の全車両破壊」を達成すれば即勝利となるのが普通だ。リスポーンはないので,撃破されてしまったら,あとは観戦しながらチームの勝利を祈るしかない。

 一方で,リスポーンが可能なルールや,ほかの参加者がすべて敵になる「フリー・トゥ・オール」などのゲームモードの実験も,しばしばプレイ可能になることがある。これらはまだ実験段階のモードというが,よりアグレッシブでスピーディーなプレイが可能ということもあって,とくに若いプレイヤーに人気があるそうだ。こういった新ゲームモードのテストには,アクティブプレイヤーの85%が参加するなど,注目度が高いとのこと。
 ……個人的には,テストが行われるときのインタフェース的に,皆そうとは知らずに参加しているだけなんじゃ,と思わなくもないが,事実テスターからのフィードバックは多いそうで,期待しているプレイヤーが多いのは間違いなさそう。
 Chuvalov氏によれば,「WoTはプレイヤーによって作られ,支えられている」とのことで,こうした一般のプレイヤーからの意見に加え,e-Sportsのプロプレイヤーからの意見を反映したうえで,新モードのブラッシュアップを図っていくとのことだった。

 ちなみにWoWSのようなCo-opモードが,WoTにも搭載される可能性について聞いてみたところ,その回答はイエスとのこと。開発チームの優先順位としては,現状は「グラフィックスの改良と,新しい物理演算」を一番と考えているそうだが,二番目には「PvEモード」の実装を考えているとのこと。実装は2015年の秋頃を考えているそうで,また最初はチュートリアルの一環として実装されるだろう,とのことだった。

3つのマップが追加となる9.10パッチ。1つ目はポーランドの村を舞台にしたマップ。史実で実際に大きな戦車戦が行われた土地を使ったヒストリカルマップとなっている
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 もう一つは,チェコスロバキアのシュコダ社を舞台としたマップ。マップ内に巨大な戦車工場が配置されているのが特徴で,屋内での激しい戦車戦が期待できそう
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最後は1945年のベルリンが舞台のヒストリカルマップ。好きな人にとってはたまらないシチュエーションだ
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コンシューマゲーム機で拡大を続けるWoT


 続いて,2015年7月28日にサービスが始まった,Xbox One版のWoTについて。ダウンロード数は,現在90万ダウンロードに到達しているそうで,100万の大台まであと少し。プレイにはGoldアカウントが必要な同作だが,現在のGoldアカウントの総数が500万とのことなので,概ね5人に1人がWoTをプレイしている計算になる。
 ゲーム内の賑わいも実際かなりのものだそうで,7月28日からgamescom初日の8月5日までの1週間ほどで,すでに2500万試合が行われていそうだ。Wargaming.netとしても,この数字は予想以上だったようで,Chuvalov氏も「非常に印象深いスタートとなった」と評していた。

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 Xbox One版――というよりコンシューマゲーム機版のサービスについては,もう一つ,面白い話を聞くことができた。
 サービス開始からすでに5年が経過したPC版は,プレイヤーの広がりと共に,プレイ環境にバラツキが生じており,ハイスペックなプレイ環境に合わせたギミック――例えば天候の変化や建物の倒壊,あるいは夜戦といった新要素の実装が難しくなってきているという。 一方でコンシューマゲーム機なら,ゲーマー向けPCほどではないにせよそれなりの性能を持ち,かつ均一なスペックに向けてゲームを作ることができる。このため,PC版にない演出がXbox One版に実装されていることもあるのだという。

 ではPS4版は登場しないのかと意気込んで質問してみたところ,「現状ではいろいろと難しい」という回答だった。同作はXbox 360版の開発段階から,マイクロソフトとの緊密な連携があって実現したプロジェクトというのがまず一つ。そして,ほかのプラットフォームについて考える前に,今はローンチされたばかりのXbox One版について,詳しく観測しなければならならいフェイズであるとのことだ。

 ただChuvalov氏は,「あくまで個人的な夢として」としながら,Xboxプラットフォーム以外でのWoTについて,楽観的な未来を考えているとのことだった。Xbox 360とXbox Oneでクロスプラットフォーム対戦が実現しているのだから,PlayStationプラットフォームとのクロス対戦も不可能ではない。もちろん,そのためにはMicrosoftとSony Computer Entertainmentの協力が必要だが……Chuvalov氏曰く「でも,それはユーザーが求めているわけだから,実現する可能性はあると思います」とのこと。なんとも力強い言葉で,筆者としてもぜひそうあってほしいと願うばかりだ。

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モバイル版「Blitz」の成功と,今後の展望


 さて,「World of Tanks Blitz」iOS / Android)(以下,Blitz)でモバイルにも本格進出したWoTだが,こちらもローンチからほぼ1年が経過し,現状で300万人近いプレイヤーを有する大きなタイトルに成長している。

 この成功について,氏は「正直ほっとしている」部分があるという。PCゲームのなかでも相当コアなゲームであるWoTを,カジュアルゲームが主流のモバイルプラットフォームに移植するのであるから,関係者の胃が痛かったであろうことは想像に難くない。しかし蓋を開けてみれば,開発サイドの予想を上回る速度でプレイヤーの成熟が進んでおり,各種コンテンツの消化速度も非常に早いという結果が出た形だ。
 今後については,技術ツリーを追加するといったPC版に近づける努力だけでなく,日替わりのデイリーミッションのような,モバイルならではの要素を追加していきたいと考えているようだ。Chuvalov氏の言葉を借りれば,「PCともコンソールとも違ったものに発展させていく」とのことである。

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 そのためもあってか,例えばBlitzでWoTのようなプロリーグを設置するといった方向性に関しては,現状は否定的なようだ。e-Sportsは依然としてコア向けのコンテンツであり,モバイルのライトな客層(あるいはコンシューマーゲーム機のですら)とは一致しない。またスポーツとして観戦する層においても,その人口や環境の面でPCに劣る部分があると,Chuvalov氏は考えているようだ。

 そして何より,e-Sportsのルールや組織構造についても,Wargaming.netとしては現状を完成形とは考えていない。そのため,まずはPC版の環境を成熟させることが第一で,周辺タイトルに広げて行くのは,その後になるだろうとのこと。
 とはいえ,この状況は数年内に変化し得るともChuvalov氏は語っており,この分野については,とくにプレイヤーからの意見を求めているとのこと。e-Sportsにおいては,とくにそのコミュニティに参加するプレイヤーの熱意が,現状を大きく変える力となるからだ。

 ちなみに筆者個人としては,モバイル版のe-Sports化について,「困難だろうが,十分にあり得る」と考えている。例えば台湾では,ほかのゲームだがモバイルゲームのプロプレイヤーが誕生しており,こうした流れが日本に波及することは十分考えられる。「数年内に変化し得る」というChuvalov氏の見解は,こうした動きからも確かな話といえるのではないだろうか。

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今後が楽しみなカードゲーム版「World of Tanks Generals」


 最後に「World of Tanks Generals」(以下,Generals)の情報も少し付け加えておこう。
 Generalsは,WoTをモチーフとした,ゲームボードを併用するスタイルのデジタルカードゲームだ。単なるカードプレイだけでなく,ボードを使った陣取り要素が加えられているあたりが,WoTらしさと言えるだろう。

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 同作はWeb版が長らく開発中のままとなっていたが,gamescomではモバイル用のタイトルとして再お披露目が行われていた。Wargaming.netのブースでは試遊も可能になっていて,同社のほかのタイトルとは異なる,あからさまに趣味人と分かる人達(筆者含む)が対戦に興じている様子だった。

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 触ってみた感触から言うと,ゲームとしてのポテンシャルは十分に高いが,インタフェース面の作り込みはこれからといった印象だ。とくに「プレイヤーにとってmustではなくmayとなっているアクションについて,そのアクションを消化せずにターンを終えようとすると,何の警告もなく問答無用でターンが終わってしまう」のは,デジタルゲームなのだから,ポップアップの一つも欲しいところ。カードの各種スペック表示についても,ゲームに慣れれば問題ないのだろうが,初見では「使ってみて初めて『そうである』ことに気づく」といったケースが散見されるのも気になった。

カードはいわゆるガチャ方式ではなく,WoTなどと同様「アンロック」していく方式
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 とはいえ,「これは遊びこめば楽しいだろうな」という感触は強く感じられた。モバイルという環境も,タッチパネルとの相性が良いこともあって,この手のゲームをプレイするには最適なように思える。分かりやすいチュートリアルや,インタフェースが改善されれば,じっくり考えるタイプノゲームが好きな人には,手頃な選択肢となりそうだ。

 なおGeneralsのリリース日は今のところ告知されていないものの,Chuvalov氏によれば来年のそう遠くない時期,とのことだった。こちらも期待しておこう。

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