［E3 2011］巨大な船がゲーム内に実在する？ 「Uncharted 3: Drake's Deception」のシアターセッションで明かされた新情報を紹介

　E3 2011のSony Computer Entertainment Americaブースにて行われた，「Uncharted 3: Drake's Deception」（邦題：アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-）のシアターセッション。開発を手がけるNaughty Dogの代表Evan Wells氏がシングルプレイモード時における2つのロケーションを使ったデモプレイと，3D立体視に対応したトレイラー1本を披露した。そんなシアターセッションの模様をお伝えしよう。

　スクリーン映像などの撮影は，残念ながら禁止となっていたので，本稿の画像は公開済みになっているものを掲載している点を最初にお断りしておきたい。映像はお見せできないものの，どんな内容だったのかを紹介しつつ，Wells氏への質問で明らかになった点をお届けする。

シアターセッションは輸送機を模した部屋で行われた

カーゴをイメージした椅子。ちょっとお尻が痛い

　まず最初に行われたデモプレイは，カンファレンスでも披露されていた客船内での戦いだ。波に揺られる船の様子や雨の表現，そして戦闘によって発生した浸水の影響など，見どころの多い内容になっていた。
　すでにカンファレンスでその様子を見ていたので，だいたいの流れを理解していたものの，とにかく浸水によるダイナミックなステージの変化は大迫力。ムービーなのではと思えるシーンも，実はそのほとんどをコントローラで操作しているというのだから驚きである。

「アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-」公式サイト

　Wells氏によれば，この客船は，それ自体がモデリングされており，物理演算によって描かれている海の上で揺れているとのこと。揺れに応じて船内のオブジェクトも動いており，海水が流入した客船がひっくり返るときなどのアニメーションにも，物理演算が使われているのだとか。
　前作「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」では，動いている列車上でドンパチするシーンにおいて，列車全体を物理演算によって描画しているとのことだったが，今回は客船をまるごと物理計算で動かしているというのだから，技術もそうだがスケールの大きさにも驚かされる。


　さて，2つめのデモプレイは，とある飛行場での冒険を描いたものだ。ちなみにこのシーンは，先日マルチプレイのインプレッション記事で紹介したものと同じである。
　このロケーションでは，ネイト（ネイサン・ドレイク）とエレナ（エレナ・フィッシャー）が登場。敵の輸送機に乗り移るため，ネイトが飛行場に侵入するのだが，ここでの戦闘シーンは，高いところから飛び降りてそのまま敵を攻撃する――ダイブアタックと言えばいいだろうか――そんな新しいモーションも披露された。
　そんなわけでようやく滑走路に辿りついたネイトだが，時すでに遅し。敵の輸送機は，離陸体勢になっていて，走っても到底乗り移れないスピードに加速していた。ここでやってくるのが，まさに女神というべきか，車に乗ったエレナ。ネイトを拾い上げて飛行機を追いかけるのだ。

「アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-」公式サイト

　なんとか飛行機に乗り移るネイトだったが，巨漢の敵に見つかってしまい戦うことになる。武器を落としてしまったネイトは，素手で戦いを挑むものの，まったく歯が立たない。さらにカーゴのハッチを開けられてしまい，下手したら突き落とされてしまいそうな状況だ。

　格闘シーンについてWells氏は，「前作のように単純なパターンだけではなく，周りのオブジェクトや状況によって敵も味方も異なるアクションを行う」と言う。なるほど，先ほどのダイブアタックもその一つなのだろう。
　また，自分より大きい敵に対しては，より複雑なアクションを行うように進化しているとのこと。そのうえ，アニメーション自体もスムーズになっているそうだ。

　さて話を戻そう。絶体絶命な状況のネイトは，とっさに積荷のパラシュートを開く。それによって，敵を巻き込みながら積荷が輸送機の外に飛ばされていくのだが，ネイトも同じように巻き込まれて飛ばされて……というところでデモプレイが終了。早く続きを知りたい！　と思わずにはいられない展開の連続だった。


　今回披露されたのはシングルプレイだが，Wells氏はマルチプレイについても語ってくれた。

Naughty DogのEvan Wells氏

　氏によれば，マルチプレイは，この滑走路のようなステージのほかに，燃え上がり崩れていくシャトーのなかで戦うものや，水位の変化によって泳いで逃げられるようなルートができる豪華客船など，変化に富んだ戦場を用意しているとのこと。
　マルチプレイの面白いシステムとして，バディシステムというものを採用したという。これは，ゲーム内で友達になると同じ場所からスタートできたり，稼いだお金を友達と分け合あったりできるというもの。
　ほかにも対戦時のルールに，自分達の経験値を賭け，勝った人が総取りという「ハイリスク」設定を設けたとか。負けば経験値を失ってしまうわけで，緊張感が高まりそうだ。

　このように今作では，シングルプレイはもちろん，マルチプレイにも力を入れているのが分かる。本気を出した（？）Naughty Dogのマルチプレイがどのようになるのかは気になるところである。
　なおWells氏は，6日のカンファレンスで発表した北米で発売前にマルチプレイが遊べるという企画を日本や欧州でも行いたいと述べていた。どのような形になるかは分からないが，今後の情報に注目したいところである。


　シアターセッションの最後には，3D立体視版のトレイラーが披露された。個人的な印象ではあるが，引いた視点の映像がミニチュアっぽく感じられたこと以外は，なかなか迫力のある映像に仕上がっていた。
　実際のゲームも最初から最後まで3D立体視に対応しているということで迫力あるプレイが楽しめそうだ。

　Wells氏は，「今作のテーマは，ネイトとサリーの絆に焦点を当てたものだ」と話す。2人のあいだに何があったのか？　どちらも魅力あるキャラクターだけに，その過去も気になってしまう。本作では，そもそもなぜネイトがトレジャーハンターになったのかといった背景なども語られるそうだ。ゲームとしてだけでなく，一つのエンターテインメント作品としても，今からその発売が待ち遠しい作品だ。


　と，ここまででシアターセッションは終了したわけだが，せっかくの機会なのでPlayStation Vitaの「Uncharted Golden Abyss」についてWells氏に聞いてみた。

　Uncharted Golden Abyssで気になる点といえば，制作しているのがNaughty Dogではないため，ファンはUnchartedシリーズとして楽しめるのかということだろう。
　これに対しWells氏は，「Naughty Dogの持っているすべての開発リソースを，Uncharted Golden Abyssを開発するBend Studioに渡している」と述べ，「Unchartedシリーズの物語を書くスクリプターも，同作に深く関わっている」と明らかにした。

　つまり制作会社が異なっても，Uncharted Golden Abyssは単なる外伝シリーズのような作品ではなく，しっかりとUnchartedシリーズとして楽しめる作品になっているというわけだ。
　言い換えれば，監督が違うシリーズ映画みたいなものなのかもしれない。

　なお，Wells氏によれば，Uncharted 3: Drake's DeceptionとUncharted Golden Abyssとの間で，何か連動するような仕掛けを考えているとのこと。それが何かはまだ言えないそうだが，新情報に期待したい。

「アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-」公式サイト

E3 2011関連記事はこちら