プレイレポート
[E3 2011]「PlayStation Vita」をさっそく触ってみた! 触り心地や操作感,有機ELパネルの見やすさはいかに? 「Uncharted」など計5タイトルのインプレッションと共にがっつりレポート
今回のカンファレンスにおける試遊台は,さすがに新ハードのお披露目といったところで,会場の試遊台ブースにはすぐさま長蛇の列ができており,カンファレンス終了後から遊べるまで,実に2時間近くも待つほどの盛況ぶり。
しかも,ようやく順番が回ってくると,5人1組で全5タイトルをそれぞれ4分程度プレイしていくという,慌ただしい試遊スタイル。そのため,「ちゃんと紹介できるほど遊べたのか?」といわれると,ちょっぴり自信がなかったりもするのだが,短い時間なりにプレイできたファーストインプレッションを,まずは急ぎお届けしたいと思う。
ちなみに今回実際に遊べたタイトルは,「Little Big Planet」「Little DEVIANTS」「SOUND SHAPES」「Virtua Tennis 4」「Uncharted Golden Abyss」の5つなのだが,それら個々のプレビューについてもまとめてみたので,Vitaに興味がある人は,ぜひ参考にしていただければ幸いだ。
なお,試遊台のVita実機は,残念ながら写真/動画を含めて,すべての撮影がNGとなっていた。そのため,画像は公式のスクリーンショットやカンファレンス中に公開されたものを掲載している。その点についてはご了承いただきたい。
[E3 2011]SCE,NGPを「PlayStation Vita」として正式発表
Wi-Fiモデルで2万4980円から!
「PlayStation Vita」を触ってみた!
まずVitaを最初に手に持ったときに気になったのは,やはりPSP(以下,すべてPSP-3000)とのサイズの違いだ。手にするとはっきり分かるくらい,PSPよりも縦/横幅が大きくなっている。そうなると,携帯ゲーム機として心配になるのが本体の重さだが,想像より軽い。リリース情報ではまだ未公開となっている部分なのだが,実際に持ってみた感触では,もしかしたらPSPよりも軽量なのではと感じてしまうほどだ。
そして,有機ELパネルの画面は評判どおりの美しさで,液晶ディスプレイで起こりやすい視野角の狭さの問題も,Vitaの有機ELではまったく感じなかった。
「Little DEVIANTS」というタイトルでは,6軸センサーを使って本体を動かすシューティングゲームなどが遊べるのだが,激しく本体を移動させても,画面の見やすさは変わらない。こういう,画面を傾けるという入力を持つ携帯ゲーム機にとって,有機ELは相性が抜群に良いディスプレイといえるかもしれない。
また表面のタッチパッドは反応がよく,タップはもちろん,スライドなどもスムースに入力され,ゲーム中に引っかかりなどを感じたりすることはほとんどなかった。背面のタッチパネルについても,感度がとても良いという印象だ。
しかし,両手で本体をホールドしているときは,背面全体に指が回らない。つまり背面のタッチパネル全体を使うには,片手で本体を固定し,指で背面をなぞることになるわけだが,実際のところ本体がかなり軽量なので,腕が疲れて操作がしづらい……ということも,あまりなさそうな気がする。
ちなみにVitaには,方向キーや各種ボタン,両面のタッチパネルに加えて,さらに6軸センサーなど多数の入力方式があるのだが,PSPに慣れ親しんでいる人ほど,最初はその操作感に戸惑うかもしれない。実際に,右アナログスティックを×ボタンと間違えて押すこともあったのだが,これは慣れの問題だろう。
個人的な意見を言えば,直前に発表された2万4980円(Wi-Fi版)という価格で,「どうやってこのVitaの性能,そして質感/感触を実現できたのか?」と,大きなお世話というか,変な心配をしてしまうのだが,値段以上の性能や可能性を感じさせるハードであることは間違いない。筆者としても今回の試遊台ではまだまだ触り足りず,E3期間中に機会があれば,もっとVitaを体験したいと思っているほど。機会があれば,追ってより詳細なレポートもお送りしたいところだ。
さて。以上が筆者がVitaに感じた簡単なインプレッションだったのだが,同じく今回の試遊台で体験したほかの4Gamerスタッフにも,Vitaの印象を聞いてみたので,併せて紹介しておきたい。また本体のインプレッションのあとには,今回プレイできた各作品の感想もまとめておいたので,そちらも確認しておいてほしい。(Nobu)
4GamerスタッフのVitaインプレッション集
●Noguchi
Vitaを手に持って最初に感じたのは,思っていた以上に軽いということだ。さすがに胸ポケットに入れたら肩が凝りそうな気はするが,ゲームを始めるとほとんど重さを感じなかった。5インチの液晶を積んでいることもあり,見かけが重そうだっただけにちょっと驚いた。
実際に遊んでみて印象に残ったのは,ゲームによって本体の持ち方を変える必要があるということ。ボタン操作だけで事足りるゲームは,PSPとほぼ同じような持ち方でも問題ないが,フロント/背面のタッチや傾けなどを頻繁に利用するものは,そのときどきによって本体の持ち方を変えないと,いろいろと不都合が生じる。無意識のうちに背面を触ってしまい,キャラクターが予期せぬ動きをしてしまうこともあった。
またVitaは,“手の大きさ”がゲームの遊びやすさに影響する度合い大きいだろう。手があまり大きいほうではない筆者は,左スティックでキャラクターを動かしながら,とっさに右手で画面中央付近を背面からタッチするといったアクションが難しく,中央をタッチしたつもりが,思っていた場所とはかけ離れていることも少なくなかった。
とはいえ,こういったことのほとんどは,慣れが解決してくれる問題だ。また,いままでの携帯ゲーム機では実現されていなかったデュアルアナログの存在は,上に挙げた点を吹き飛ばすほどの便利さで,使い心地はかなりいい。「Uncharted Golden Abyss」を遊んでいるときなど,PS3で遊んでいるのかと錯覚したほどである。
正直,PSPのゲームのなかには,「アナログスティックがもう1個あればよかったのに」と思うことが少なくなかったので,個人的には2本のアナログスティックをグリグリと駆使するVitaタイトルの登場に期待したい。
●Ky
Vitaは相当に面白そうな新世代のゲーム機だ。はじめはジャイロセンサーや前後2面あるタッチパネルといった,新たな機能を使うのに四苦八苦したが,少し慣れてくれば,むしろこれまでにない体験をしているという感覚がどんどん強くなってくる。
しかし,この感覚を知るには実際にVitaに触れてもらうことが最良であるし,きっとゲームが好きな人ならば,魅力的なゲームは人に聞くよりも自分で試したいという人が多いはずなので,ここではもっと的を絞って,VitaとPSPの感触の違いをお伝えしよう。
VitaはPSPよりも縦に長い本体を持つ。握った感触では厚さもややPSPよりありそうに感じられるが(スペック上は同じ),UMDを読み込むための機構を廃したことなどもあってか,重さはそこまで感じない。想像していたよりもずっと軽く,扱いやすい印象だ。
機能的にも外見的にも大きな特徴となっている2本のアナログスティックは,どちらもそれなりに使いやすい。DUAL SHOCK 3のスティックほどの柔らかさはないものの,PSPのものとは比べものにならない快適さだ。また,アナログスティックでの操作を想定してか,十字キーはPSPよりも小さくなっている。
前後にあるタッチパネルの反応も良好に思えるが,左手の親指をアナログスティックに,右手を親指を○×△□ボタンに置く一般的な握り方だと,前後共に画面中央に近づくにつれてタッチしづらくなってくる。背面パネルはそのままの手のポジションでなんとかなるが,手が小さい女性などは苦労しそうだ。そして前面パネルに至っては,男性でも手を離して人差し指などでタッチやスライドする必要がありそうだ。
ちなみに,背面タッチパネルの模様が○×△□の羅列になっているところが個人的に好み。なんだかちょっと可愛らしい。
●小倉正也
Vitaを触る際に,筆者が最も注目していた部分は「左右のアナログスティックの操作性」だ。従来のPSPのアナログパッドはお世辞にも使いやすいとは言いがたいもので,十字キーとアナログパッドを同時に操作する“モンハン持ち”も個人的に苦手だったため,据え置き機のコントローラーとほぼ同型のアナログスティックが左右に搭載されたのは非常に嬉しかった。
その一方で「スティック型といえど,小型化したことで操作しにくくなるのでは?」という危惧もあった。だが,今回の試遊で実際にアナログスティックを触ってみたところ,操作感は非常に良好で,「Uncharted Golden Abyss」をプレイした際にも,銃のエイミングのように緻密な操作が難なくこなせた。
また,前面・背面のタッチパネルの手触りはスムーズで,指をスライドする操作が主体の「Virtua Tennis 4」なども快適にプレイできる。さらに,このほかの方向キーや各ボタンについても,全体的な操作感がPSPから改良されているように感じられた。
筆者はこれまで,ボタンやアナログパッドの操作感こそが,従来のPSPにおける最大の弱点だと感じていた。しかし,Vitaではその弱点を完全に解消し,むしろ操作感が魅力の1つとなっている。今回はきわめて限られた時間のプレイしかできなかったため,今後ふたたびVitaをプレイできる機会が楽しみだ。
「Little Big Planet」インプレッション
左スティックで移動,×ボタンでジャンプ,Rボタンでつかみといった,リビッツの基本操作は従来のシリーズと同様だが,特定のオブジェクトはタッチパネルや本体を傾けることで動かす,というギミックが登場している。
今回プレイしたデモ用のステージでは,リビッツの乗った足場を左右に傾けることで目的地へと動かしたり,前面タッチで箱を動かして階段代わりにしたり,画面奥に引っ込んだ足場を背面タッチで手前に押し出したりと,ひらめきの必要な仕掛けが多彩に用意されていた。
なお,今回は実際にプレイできなかった部分だが,カメラで撮影したものをマップエディットのパーツに使えるほか,PS3版とのコスチュームの共有や,「LBP2」からさらに増えたエディットパーツなどの新要素も用意されているらしい。LBPシリーズならではの,自由度の高いエディット機能にも充分期待できるだろう。(小倉正也)
「Little DEVIANTS」インプレッション
この戸惑いは,Vitaの前身にあたるPSPで普段からゲームしている人にとっては,さらに顕著だ。というのも,Vitaは形がPSPに非常によく似ているため,身体が自然にPSPと同じ操作感覚でVitaのゲームをプレイしようとするからである。
例えば,キャラクターを動かすためにはVitaを傾けなければいけないのに,左スティックをガチャガチャしてしまったり,ジャンプするためには画面をタッチする必要があるのに,×ボタンを押してしまったり,といった具合だ。
Little DEVIANTSは,こういった普段の操作から,新しいVita特有の操作を身体に覚えさせながら遊べる,Vita入門用タイトルと位置づけていいだろう。ソフトには,Vitaの新機能を活かしたゲーム性を持つ,30種類(現時点)のミニゲームが収録されている。
今回のカンファレンスでは,30種類の中から4種類が試遊可能となっていたので,4分という限られた時間ではあったが,このうちの3種類を遊んでみた。ちなみに,現地のスタッフがテンポよくゲームを次へ次へと進めてしまったため,各ミニゲームの名称を把握しきれなかったことを,先にお詫びしておきたい。決してメモをとるのも忘れて遊び惚けていたわけではない。
ともあれ,最初に遊んだのは,いわゆる「顔シューティング」のようなゲーム。Vitaの背面カメラで現実の風景を映して,そこに現れる謎の浮遊物体を弾丸で撃墜していくという内容で,画面外の浮遊物体を追いかけるためにジャイロセンサー(本体を傾ける操作)を用いることになる。浮遊物体はところかまわず現れるため,カメラに友人の顔を映せば,その上を飛び回ることもある。さらに,その浮遊物体を友人の眼前で爆破させると,なかなか滑稽な図が出来上がるというわけだ。
2つめは,丸い物体を操作して途中に落ちているアイテムを拾いながら,洞窟らしき場所の最深部に目指すという単純なゲーム。iPhoneやAndroidアプリでも似たようなものを見かけるもので,ジャイロセンサーをいかにうまく使えるかが攻略の鍵になる。プレイヤーが操作する丸い物体には加速度があり,Vitaを大きく傾けると落下速度が上昇,逆に傾きを小さくすれば落下速度も減少していく。
ゆったりと操作すれば途中のアイテムを取りのがさずに進めるが,その分ゴールするまでの時間は長くなってしまう。そのあたりの折り合いをいかにつけるかは常に考えどころであり,単純なこのゲームにのめり込んでしまう一つの要因でもあるのだろう。
最後は前面/背面のタッチパネルを使ったモグラ叩き風のゲーム。画面には3×3マスの扉が表示されており,その中のどれかがランダムで開くと中からキャラクターが出てくる。これをタッチして扉から落とす(押し出す)というゲームなのだが,現れたキャラクターが顔をプレイヤー側に向けている場合は前面タッチ,逆に背中を見せている場合は背面タッチをしなければならない。
一定時間が経つと扉は閉まってしまうので,プレイヤー限られた時間の中で,タッチする場所,タッチする側を瞬時に判断する必要があるのだ。これが意外と難しいうえに,ときどきフェイクをしかけてくるキャラまで出てくるとあって,初見ではかなり苦労した。
以上3つが今回プレイできたゲームだ。前述のとおり本作には30ものミニゲームが収録されており,そのどれもがVitaの操作を覚えるのに最適なもの(と思われる)。Vitaの入門用として非常によい作りになっているので,何かの折にプレイしてみてほしい。(Ky)
「SOUND SHAPES」インプレッション
SOUND SHAPESでは,歯車のような物体を操作して2Dのステージを横へと進んでいく。ステージにはアイテムがあったり,落ちるとゲームオーバーになる箇所があったりと,ここだけみれば「昔ながら」と言って差し支えない作りの作品だが,一方でステージ上のオブジェクトを拾っていくと徐々に音楽が出来上がっていくという,非常にユニークなゲーム性を持つ。
例えば1つめのマップに○のオブジェクトが4つあったとする。これを取ると,ドラムの音が4つ鳴る。2つめのマップには□のオブジェクトが3個ある。これを取ると,3音のベースラインが出来上がる。各マップで鳴らした音楽はステージ中鳴り続けるため,マップを先に進めていけばいくほど,音が折り重なっていく。これを繰り返していくと,ステージが架橋にさしかかったころには,音楽が出来上がっているというわけなのだ。
さらに自分の好きなようにマップを作り,音を配置していくエディットモードも用意されていた。ピアノやギター,ベース,ドラムといった用意された音源のなかから好きなものを選択し,さらに好きな数だけマップ内に配置していける。マップ内の障害物なども設置可能で,音楽だけでなくステージそのものを構築していけるのが特徴だ。
今回は短い時間しか触れられなかったため簡単なインプレッションになるが,次の機会があればより詳細にレポートしたいと思っているので,お楽しみに。(Ky)
「Virtua Tennis 4」インプレッション
サーブは画面を一度タッチするとモーションに入ってパワーゲージが表示され,二度目のタッチでパワーゲージを確定させると打ち出す。レシーブは,飛んで来たボールにタイミングを合わせてパネルを前方にこすることによってできる。このときに飛ばしたい方向に向けて指を動かせば,そちらの方向にボールが飛んでいく。
ただし,選手自体は左アナログスティックで動かすので,画面をタッチしてプレイする場合は,左手だけでVitaを持つことになる。ある程度長い時間遊ぶのであれば,通常の操作方法がいいかもしれない。
すでに発売されているPS3,Xbox 360,Wii版と同様に, ナダル選手や,フェデラー選手などが実名で登場する。加えて,自分の顔をVitaのカメラで取り込んで,選手として遊ぶといったこともできるそうだ。(小倉正也)
「Uncharted Golden Abyss」インプレッション
今回の試遊では,主人公であるネイサン・ドレイクがひたすら崖にある出っ張りを伝って進むというシーンをプレイできた。各種ボタンでPS3版のように遊ぶこともできるが,進みたい方向にある出っ張りをタッチするだけで,その方向へネイサンが動くというVitaらしい操作方法もあった。
このほか,バーのようなものに捕まっているときは,本体を傾けることでネイサンが反動をつけてより遠くへジャンプでき,崖のそばにいる敵に近づいたときには画面にアイコンが現れ,それをタップするとネイサンが敵を崖に突き落とすなど,タッチでの操作を駆使するとかなり快適だ。……あくまでもざっと触った印象に過ぎないのだが。
また,銃撃戦のときは左スティックで移動しつつ,右スティックで狙いを定めるなど,PS3版そのまんまの操作ができるのも,PSPとは異なる点だ。やはりアナログスティックは2つあるべきだと,あらためて感じさせられた。
キャラクターの動きという意味では,PS3版とくらべても差を感じることはなかった。まだ開発中のバージョンを少し遊んだだけとはいえ,発売を楽しみに待ちたくなる一本といえるだろう。(Noguchi)
- 関連タイトル:
PS Vita本体
- 関連タイトル:
アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-
- 関連タイトル:
パワースマッシュ4
- 関連タイトル:
Little DEVIANTS
- 関連タイトル:
サウンドシェイプ
- この記事のURL:
キーワード
(C)Sony Computer Entertainment America LLC.
(C)SEGA. All trademarks used herein are under license from their respective owners.
(C)Sony Computer Entertainment America LLC