［TGS 2012］ 2012年のiPhone市場とアプリの今を，現場のクリエイターが最新のアプリと共に語った「iLove iPhone in TOKYO GAME SHOW」をレポート

　各社のクリエイター陣が登壇し，iPhoneアプリの現在の市場や傾向などを軸にしたトークや自社アプリ最新作のプレゼンを行う「iLove iPhone in TOKYO GAME SHOW」が，9月21日の東京ゲームショウ2012のメインステージにて行われた。
　開催4回目となる今年は，奇しくも同日に最新型のiPhone 5も発売となり，そんなiPhoneムーブメントを後押し。国民的なスマートフォンとなったiPhoneのアプリ市場を振り返りながら，最新のアプリやテクノロジーが各社より発表となった。その模様をフォトレポートでお届けしよう。

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スマートフォンコーディネーター大野泰敬氏

　今年はまず司会として登場したスマートフォンコーディネーターの大野泰敬氏が，iPhone 3Gの発売と共にApp Storeが生まれた2008年から，iPhone 5が発売される今年2012年までのiPhoneアプリ市場の傾向の変貌を，アプリの売り上げランキングの表をもとに振り返った。

App Storeが誕生した2008年の有料アプリランキング。ほとんどが海外アプリか，または個人開発のアプリが上位を占めている。右には，そのアプリの最低価格と最高価格を表示

iPhone 3GSが発売された2009年は，KONAMIやタイトー，カプコンなどの大手メーカー参入により，個人開発のアプリがランキングに入ることが少なくなっている

iPhone 4が発売された2010年のランキングは，大手ゲームメーカーのクオリティの高いアプリが上位を独占しているが，この頃から，無料配信後にアプリ内課金をする仕組みのアプリが登場してきたという

iPhone 4Sが発売された昨年2011年は，大手メーカーの移植作品が増え，さらに配信後の値下げによるランクインが目立っている。表の右にある，最高値と最安値の差がそれを物語る

2011年のもう一つの傾向として，前述の無料アプリ内課金モデルが，セールスのランキングの上位を独占するという自体が起こっている

2012年のランキングを見る前に，発売されたばかりのiPhone 5（画面上）と先代iPhone 4Sの性能の差を，実機でデモンストレーション。同じアプリでも，iPhone 5のほうがサクサク画面が進み，さらに大画面やバッテリーの持ちなどで，ゲームを遊ぶのにも向いていることを証明した

そして今年2012年の9月までのランキングでは海外製品が増え，また有料アプリにおいては，最安値である85円まで値下げされたことがあるアプリが90％以上を占めている

一方のセールスランキングは，右の価格表を見ると分かるとおり，無料のアプリ内課金モデルが市場を占める。一般ユーザーもそういったアプリを認識するようになった証明だ

　そしてここからは，iPhoneが発売されてから現在までの激しい市場の中で，今年後半から来年を占う意味で，iPhoneアプリを配信する大手4社によるプレゼンテーションが行われた。

まず最初に登壇したのは，カプコンの手塚 武氏。“プレミアム”から“フリーミアム”，そして次の世代へというテーマで，「ストリートファイター X 鉄拳 MOBILE」をプレゼンした

手塚氏は，両アプリのいいとこどりをした“ペイミアム”のアプリを提案。リッチなコンテンツを安価で提供し，配信後の運営による追加料金を得るというビジネスモデルだ

iPhoneの発展途上期に人気のあった，高価格で完成度の高いゲームを“プレミアム”，近年の市場で人気の無料アプリ内課金のゲームを“フリーミアム”とし，その傾向を表や売り上げグラフにて比較。現在は，プレミアム扱いのアプリをリリースすることが厳しいことをアピールした

フリーミアムのアプリも，本格的なゲームが作れないことで，似たような内容のものが乱発されて食い合いが発生し，配信後に課金者が増えないと運営費がかさむというリスクも指摘した

「ストリートファイター X 鉄拳 MOBILE」は，そんなペイミアム構想のアプリの第1弾として現在配信中だ。250円と安価ながら，プレミアムレベルの完成度でDL欲を煽り，さらに，配信後のサービスによる追加課金も実現する

同じペイミアムのアプリとして，今年シリーズ25周年を迎え，歴代のロックマン達が登場する「ロックマン Xover」もプレゼン。「カイブツクロニクル」を手掛けるアドウェイズとの共同開発でリリース予定だ

続いては，近年市場の中心となっている海外のゲームメーカーの1社であるゲームロフトの稲葉芳恵氏が，同社の人気FPS「モダンコンバット」の最新作を紹介した

シリーズの発売から3年が経過し，シリーズ累計630万DLを記録。現行の「モダンコンバット3」だけで150万ユニークユーザー数が存在しているという

シリーズ3作目では，Xbox 360クラスの表現が可能となったというモダンコンバットシリーズ。「4」はさらにクオリティアップを目指し，この秋にリリース予定だ

次に登壇したのは，iPhoneアプリのレビューサイトとして知られるAppbankの村井智建氏。2012年2月に，同社がゲームを作るためのAppbank GAMESを設立し，iPhoneアプリ参入第1弾となる「ダンジョン＆ゴルフ」を発表した。「ダンジョン＆ゴルフ」は，世界の果てでゴルフを遊ぶという変わった世界観設定ながら，指一本の簡単操作でプレイできるゴルフゲームだ

檀上に開発スタッフを呼んで通信機能を試したり，当日発売されたiPhone 5に対応するなど，現在の完成度をアピール。できれば1か月以内にリリースしたいとコメントした

最後に登場したのは，昨年脳波と連動して動くネコミミ「necomimi」を発表して話題となったneurowearの加賀谷友典氏。今年はnecomimiに続く新たなアイテムを発表した

昨年発表され，TIME誌にも掲載されたnecomimi。今年2月に商品化されている

necomimiの発表当初からの要望に応える形で，脳波で動くシッポ「shippo」を開発。これはTGSの同社のブースにも展示されている。さらにnecomimiの開発当初の構想にあった，iPhoneとの連動も実現

「neuro tagging map」（ニューロ タギング マップ）と名付けられたこのアプリは，shippoが動く脳波による感情の動きがあった場所を地図に記録するアプリで，新しいコミュニケーションの機会を作っていくという。2013年のリリースが決定している

同社のコンセプトモデルとして発表されたのが「Neuro Turntable」。特定の脳波を感知すると音楽が流れるという，レコード用のターンテーブルとiPhoneの音楽アプリだ

4社のプレゼン終了後に登壇した大野氏は，「これまでのようにアプリケーションをただ出すだけではなく，その後のサービスやデバイスなどがセットになったものが増え，iPhoneの端末の進化とともにこれからのビジネスも進化していくと思います。今後のiPhoneの市場にもご期待ください」とコメントし，ステージは終了となった

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