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[E3 2018]ついにベールを脱いだCD Projekt REDの最新作「サイバーパンク2077」は,まさにサイバーパンクな未来を描いた壮大なプロジェクトだ
「サイバーパンク2077」公式サイト
本作は,1980年代に「ブレードランナー」などの成功で巻き起こったサイバーパンクブームに乗り,ボードゲームデザイナーのマイク・ポンスミス(Mike Pondsmith)氏が1988年に基本ルールブックをリリースしたテーブルトークRPG「サイバーパンク2.0.2.0.」を正式ライセンスしたものだ。
今となっては,さすがに2020年という“近未来”は現代から近すぎるためか,ポンスミス氏がCD Projekt REDに参加する形で,「サイバーパンク2077」としてコンピュータゲーム化の発表が行われたのが2012年のこと。その後,今回改めてアナウンスされるまで6年の歳月が流れたことになるが,同社は以前から「ウィッチャー3 ワイルドハント」の制作規模を凌駕するプロジェクトであると説明を続けてきた。
本作の舞台となるのは,現在のロサンゼルスとサンフランシスコの中ほどに位置する場所に築かれた巨大都市「ナイトシティ」だ。アメリカ政府の国家権力が経済破綻によって失墜し,代わって多国籍企業によって牛耳られている北カリフォルニア自由州(Free State of North California)で,500万人ほどの人口を抱えるという主要都市となっている。
もともとビジネスマンによって設計された街であり,現在も企業が行政や司法を掌握している強権的な状態に置かれているものの,それでも経済難にあえぐ人々は,この都市で生活することを選んでいる。この世界では,誰もがインプラントなどの恩恵にあずかっているという設定だ。
主人公となるのは,金のためならどんな仕事でも請け負う,ならず者の傭兵「サイバーパンク」の駆け出しである“V(ヴィー)”だ。「ウィッチャー」シリーズとは異なり,本作ではプレイヤーがキャラクターを設定できるようになっており,ライブデモの冒頭でキャラクター作成画面が紹介された。キャラクター作成では男女どちらかの性別を選べるほか,容姿やクラスなどを設定できる。
すでに公開されている最新トレイラーの主人公は男性だが,ライブデモでは女性キャラクターが選ばれており,どちらの場合も名前はVになるようだ。また,クラスはコンバットセンスの技能を持つ「ソロ」,ハッキング能力に長けた「ネットランナー」,エンジニア能力を開花させる「テッキ―」の3つが紹介された。
続いて紹介されたのは,Vらに仕事を回してくれる女性キャラクター“Tバグ”からの通信で受けた,サンドラ・ドーセットという若い女性を救出するミッションだ。相棒として,かなり厳ついルックスながら気さくな雰囲気もある男,ジャッキーと行動を共にする。サンドラは「スカベンジャー」というギャングの一味に捕らわれているようだ。
Vは高層ビルの一室で「DNAハーヴェスティング」と呼ばれる人身売買が行われていることを突き止め,激しい銃撃戦の末に,氷の入った浴槽に裸で投げ込まれて死にかけているサンドラを発見した。
どうやら,このミッションは“表の仕事”らしく,VはTバグを通じて企業政府に救援を要請。裸のサンドラを抱きかかえて高層ビルの中を移動し,飛行型救急車が着陸できるバルコニーまでやって来たところで,ミッションは終了した。
さて,シーンが変わり,少ない収入で男を買い,自分のアパートのベッドの上で目を覚ましたばかりのVだったが,ここで新しいミッションが追加される。まずは相棒のジャッキーと会うのが目的となるが,画面右上に表示されるミッション項目は「ジャケットを着る」といったように,やたらと細かい。まあ確かに,パンクなジャケットを着込まなければ,サイバーパンクらしく見えないのだろう。
アパートから地上に降りていくと,地上世界の精密な描写に驚かされる。街には,日本語の看板を含むネオンサインがあちこちに存在している。サイバーパンクというと夜の街や暗い場所をイメージするが,空も明るく,一見すると平和な都市に見える。しかし,通りを埋める何十,何百人というキャラクター達は,モヒカン頭だったり,目の部分にゴーグルをインプラントしていたりと,やはりどこか怪しい雰囲気だ。
アンドロイドとスパーリングして日銭を得ているのであろう巨漢の男や,ホログラムのサインで事件現場を封鎖している警官隊もいる。今回のデモでは自動販売機で何かを買う様子も紹介されるなど,とにかく都市風景の描写が細かい。
駅ビル前の広場のような場所でジャッキーと落ち合い,さらに彼の勧めるままに,今度は裏社会のフィクサーだという,ドレッドヘアで右手が金の義手になっている男,デクスター・デショーンの車に乗り込んだ。始終,葉巻を吸っているデクスターは,裏の仕事をクライアントから引き受け,それをサイバーパンク達に振り分ける役目を担っているという。サイバーパンクとして大成するためには,こうした仕事をこなして裏社会での知名度を上げ,「エディ」と呼ばれる金銭を得ていかなければならないのである。
Vがデクスターから得た仕事は,まずはV自身が信頼に足るサイバーパンクであるかどうかをテストするためのもの。しかも,「メールストローム」というギャング団に盗まれた,巨大企業ミリテックの戦闘ボットを取り戻すという,なかなか厄介そうな仕事である。依頼を達成するためには,自分のインプラントをアップグレードする必要があり,この世界では“リッパードクター”と呼ばれる闇医者のヴィクターのもとを訪ねて,キロシ社製のオプティカルスキャナーを眼球にセットするなどした。
そんなこんなで準備を整えたVは,ジャッキー自慢のスポーツカーに乗り込んで,ミリテックの要人との待ち合わせ場所に移動する。車で街中や高速道路を移動していく様は「グランド・セフト・オートV」を彷彿させるが,本作の建物は圧倒的に高層だ。
その途中,走行中のV達に先ほどのスカベンジャーが襲い掛かってくるというランダムイベントが発生し,カーチェイスと銃撃戦を繰り返す。運転していたのはVだったが,運転しながら銃撃することもできるようだった。
スカベンジャーを追い払い,ようやく人気のない高架下でミリテックの女性エージェントが待機しているのを見つけた。彼女は見るからにデキる幹部女性といった面持ちで,屈強なボディガードを2人も引き連れており,戦闘ボットをギャングに売り渡したと思われる社員を今にも処刑しようとしている。不審に思ったVは,ジャッキーに離れた場所で見張りをさせ,一人でエージェントに会うことにした。
エージェントのもとにやって来たVは,すぐさまボディガードに取り押さえられ,ウソ発見器の役割をするというニューロセンサーを強制的にはめられて,一人で来たのかを尋ねられる。会話の選択肢が表示され,「一人で来た」とウソをつくという危険な選択をしたが,この場は丸く収まり,エージェントに「メールストロームと戦わずにすむように十分な資金をくれれば,戦闘ボットを買い戻してくる」ことを了承させる。こうして釈放されたVは,エージェントからクレジットチップを受け取り,メールストロームがアジトにしている食品加工工場に向かうのだった。
メールストロームは,ほぼすべてのメンバーがゴーグルバイザーを装着しているなど,体のほとんどをサイボーグ化している。そのリーダーであるロイスに至っては,もはや目から鼻にかけてが欠け落ちて,横から見ると顔がへこんでいる状態だ。メールストロームの手下はジャッキーとそりが合わないのか好戦的な態度を取るが,Vは何とかロイスを説き伏せ,クレジットチップとクモのような戦闘ボットの取引きに成功した。
ところが,クレジットチップに資金が入っているかをチェックしてみると,チップにはバグが仕組まれており,そのせいでVとジャッキー,そしてメールストロームによる激しい戦闘が開始される。おそらく,先ほどの尋問の際にウソをついたため,エージェントは信用したフリをしながらバグを仕込んだチップを渡し,メールストロームとの戦闘でVが生き残れるかを試したのだろう。
体の大部分をコンピュータと連動させているメールストロームとの戦いは,スカベンジャーとの戦いとはまったく異なる。メールストローム達はネットワークでリンクしており,一人がVの位置を確認すると,ただちに全員が場所を把握してしまうのである。
壁で反射する銃弾を利用したり,床をスライディングしながら銃撃したり,相手のライフルを奪って戦ったりと多彩なアクションが紹介されたが,圧巻だったのは「マンティス・ブレイド」という,カマキリの鎌のような双剣だ。これは,2012年に本作が初めて発表された際,白い服の女性の腕から伸びていた武器と同じものだが,高所から相手に飛びかかって一撃で仕留めることができるようだった。
もちろん,ハッキングやエンジニアの技能を持っていれば,正面突破をする必要はない。取り押さえたメールストロームのメンバーの脳をハッキングし,ネットワークを遮断することで自分の位置を不鮮明にするといった,より複雑なアプローチも紹介された。
こうして戦いながら,出口近くまでやって来たところで,強化外骨格を装着したロイスと出会い,ここでまた激しい戦闘が繰り広げられた。どうにかロイスを倒して外に出ると,ミリテックの女性エージェントがニタリといった笑顔で迎えに来た。ウソをついてしまったものの,どうやらロイスを粉砕したことで一目置かれたようだ。もし,エージェントと最初に出会ったときに,離れた場所にジャッキーを待機させていることを正直に話していたら,どんな展開になっていたのか気になるところだ。
今回のデモはここで終了したが,思わず息をのむような未来都市の風景はもちろん,複雑な会話システムによるプレイヤーの選択とその結果など,50分ほどのセッションで垣間見られた世界観とゲームシステムの奥の深さは,期待を膨らませるには十分な内容だった。発売時期などはまだ明確にされていないものの,その続報が楽しみで仕方ない。
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Cyberpunk 2077 is a trademark of CD Projekt RED S. A. Cyberpunk 2077 CD Projekt RED S. A. All rights reserved. Cyberpunk 2077 is based on a Pen & Paper Cyberpunk system created by Mike Pondsmith. All other copyrights and trademarks are the property of their respective owners.
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