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[E3 2016]Oculus VRのキーパーソン,アナ・スウィート氏にミニインタビュー。「次々と新しい世代のゲーム開発者達が参入している」
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印刷2016/06/21 14:34

インタビュー

[E3 2016]Oculus VRのキーパーソン,アナ・スウィート氏にミニインタビュー。「次々と新しい世代のゲーム開発者達が参入している」

 E3 2016のショーフロアで長い列ができたブースの1つ,Oculus VRのプライベートセクションに参加し,同社のHead of Developer Strategy,アナ・スウィート(Anna Sweet)氏にインタビューを行った。さらに今回アナウンスされた新作ソフトから,Sanzaru Gamesのオンライン対戦型スポーツゲーム「Ripcoil」と,Insomniac Gamesの格闘ゲーム風アドベンチャー「Feral Rites」をプレイしたので,合わせて紹介したい。

ゲーム開発者との協力関係を築く,Head of Developer Strategyという役職にあるOculus VRのアナ・スウィート(Anna Sweet)氏。実は,同社に参加する前は,Valveで同様の仕事を受け持っていたという
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「Rift」公式サイト


 2016年3月28日に正式発売されたOculus VRのVR(仮想現実:Virtual Reality)対応ヘッドマウントディスプレイ「Rift」は,北米で599ドル(税・送料別)という,デバイスとしては高めの価格帯や,生産力の不足などから,当初予想されていたほど,市場浸透のスピードは速くない。しかし,対応するコンテンツは確実に増えており,映画などを含めてライブラリは拡充しつつあるようだ。
 当初はデモ程度しかなったゲームタイトルも,「Edge to Nowhere」「The Climb」など,本格的なものが登場しており,デベロッパがVR開発の経験を深めるにつれ,今後はさらに良い作品が出てくるだろう。そうした現状を踏まえたうえで,スウィート氏の話を聞いてみよう。


アナ・スウィート氏ミニインタビュー


4Gamer
 スウィートさんは,イベントで壇上に立つ姿をよく見ますが,どういう仕事をしておられるのでしょうか。

アナ・スウィート(以下,スウィート氏)
 はい。私は現在,Oculus VRのHead of Developer Strategyを担当しており,私達のチームの仕事は,VR対応のゲームを制作したいというデベロッパとコンタクトを取ったり,密にやり取りして,Rift向けのコンテンツを拡充していくことです。開発資金の援助などを含め,彼らのアイデアを実際のプロダクトとして販売できるまでサポートしたりしています。

4Gamer
 2016年内にリリースされる予定のソフトウェアを,今回のE3 2016に合わせて新たに30作ほど発表されましたね。

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スウィート氏
 ええ。ほとんどがこれまでに未発表のタイトルで,今回のE3 2016のブースでは,そのうちのOculus Touchをサポートしている11作を紹介しています。Touch向けコンテンツの開発も進んでおり,現時点では約100のメーカーに開発キットを配達済みなんです。

4Gamer
 ちなみに,スウィートさんのお気に入りゲームはなんですか。

スウィート氏
 多くの開発者達と良い関係を築いていくのが私の仕事ですので,どれか1つを選ぶというのは難しいんですけど,コロプラの「VR Tennis Online」は対戦ゲームとして非常に楽しく,長く遊べるゲームだと思います。オフィスの人達と一緒に遊んだりしているんですが,オンラインでもまるで相手がすぐ向こうにいるかのような気持ちになれて,VRの特性が良く生かされていると感じます。

4Gamer
 デベロッパにとって,VR向けコンテンツを開発する魅力とは何なのでしょう。

スウィート氏
Oculus VRブースでは,足元をトラックボールのようにして移動操作する大型筐体「Omni」を使ったゲームデモも行われていた
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 新しい表現方法である,ということですね。VRはこれまでとまったく異なるメディアであり,ゲームデザイナーにとって,新しいストーリーの語り方が可能になります。消費者に対する新しいアプローチができ,ゲーマーに,これまでにない形でゲーム世界に没入してもらえるのです。
 どうやってゲーマーを自分の思う場所に誘導していくのか,どうすればプレイヤーがずっとプレイしたいと思うのか……。何か新しいものを発明したいなら,少しでも早くVRゲーム開発に挑戦してほしいですね。それはプログラマーでも同じことで,VR開発で皆さんのプログラミングスキルを生かし,この新しいプラットフォームに大きな影響を与えられることはまだたくさんあるはずです。

4Gamer
 とはいえ,大手パブリッシャはなかなかVRゲームに参入してきませんね。

スウィート氏
 Ubisoft Entertainmentの「Eagle Flight」のような,VRの特性を非常に良く考えたゲームもあるので,その意見には必ずしも賛同できませんが,やはり新しい市場であることから,投資や収益という面で大手パブリッシャは動きにくい状況にあるのでしょう。ですが,それだけ独立系の開発者にチャンスがあるということですし,実際に,新しい世代のゲーム開発者達が次々に参入しているのです。

4Gamer
 Riftは生産面の問題が指摘されており,VRに興味を持っている人々の手元に届きにくいようですが,状況は改善されているのでしょうか。

スウィート氏
 今のところ,配送予定は2か月後まで短縮しており,かなり改善されてきています。年末までにはしっかりと台数を揃えたいですし,Touchの生産も滞りのないよう努力していくつもりです。

4Gamer
 日本のゲーム市場はどう見てますか。

スウィート氏
 非常に期待しています。日本のゲーム開発者の皆さんで何か良いアイデアをお持ちでしたら,我々でも,ほかのプラットフォームホルダーでも,ぜひ連絡して,新しいメディアで新しいことを実現してほしいですね。

 アナ・スウィート氏とのインタビューのあと,Oculus VRブースで,E3 2016に合わせて発表された11作のうちの2タイトルをプレイする機会が得られた。


Ripcoil


 カリフォルニア州のベイエリアで10年ほど活動してきたデベロッパ,Sanzaru Gamesは,Oculus VR向けの「VR Sports Challenge」でも知られる。そんな彼らがアナウンスした新作「Ripcoil」は,2人のプレイヤーが背後にあるゴールを守りつつ,フリスビーを投げ合うというTouch専用のオンライン対戦アクションだ。

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 ゲームは一人称視点で進められ,プレイ開始前に両手を広げ,お互いのコントローラのキャリブレーションを行う。これにより,プレイヤーは両足を地に付けて固定させた状態で,上半身を動かすだけで左右への線移動ができるようになる。上半身をどれだけ傾けたかで移動スピードが変化するので,その動きに慣れるまではVR酔いになる可能性もありそう。屈伸による上下運動はないので,プレイ方法は簡単に飲み込めそうだ。

 先に10点を獲得したほうが勝利するという対戦ルールで,直接相手の的を狙うか,横の壁を使っての跳ね返りをうまく利用するかはプレイヤー次第となる。左右には小さな半透明の青い壁もあり,これを使ってゴールを決めると2点入るようだ。
 「Unreal Engine 4」を採用した深みのある色合いのグラフィックスが印象的だが,「VR Tennis Online」同様,サクサクっとオンライン対戦が楽しめそうだ。この手のゲームはプレイしていると汗をかくが,クリエイティブディレクターのマット・クレーマー(Mat Kraemer)氏は,「楽しく汗をかいてもらえるなら最高だね」と述べていた。

Sanzaru Gamesのクリエイティブディレクターのマット・クレーマー氏(左)と,シニアデベロップメントディレクターのジェニー・フアン(Jenny Huang)氏(右)
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Feral Rites


 「Edge to Nowhere」をリリースしたInsomniac Gamesの新作は,格闘ゲーム風のアクションアドベンチャー,「Feral Rites」だ。族長の暗殺によって暴力と混乱で満ち溢れることになった島に,これまで追放されていた族長の子供が大人になって帰還する。彼は,それまで知らなかった島の魔力により強力なトラとなり,父親を殺した敵を追い詰めていく。

 視点は三人称だが,「Edge to Nowhere」に比べて,キャラクターから離れた場所にカメラがセットされているため,視線の移動は少ない。ゲームの内容は,セクションごとに細かく分かれたマップを背景に,飛び出してくる敵と戦うものになっている。
 右トリガーで主人公を前転させつつ,青い線で描かれた境界線を越えることで次のマップに移動できるが,これは,格闘中の誤操作で次のマップに進んだりすることがないように配慮されているのだろう。
 次のマップの様子は目で確認でき,例えば右のルートには敵がいっぱいいるので回避して左に行ってみる,といった選択が行える。ただし,行ってみたら左のほうが敵が多かったといったことも起こる。

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 本作は“格闘ゲーム”と謳われており,ボタン操作でパンチやキックを使い,コンボ技も使える。敵となるのは野蛮そうなキャラクターだけでなく,狼男のようなモンスターも多く,プレイヤーは強力なパンチやひっかき攻撃を繰り出せる2足歩行状態と,高速で移動して敵の攻撃を回避していく4足歩行状態に瞬間的に変更できる。相手の攻撃を見きわめつつ,スタイルを切り替えたり,ときには人間のままでプレイしたりしながらゲームを進めていくことができるようだった。

 マップは広く,ある程度自由にルートを選択できるような準オープンワールド型になっているとのこと。今回は,Touchではなくゲームパッドを使ってのコントロールだったが,割と短くまとめられたゲームが多い中,なるべくプレイヤーが長く楽しめるようなコンセプトでデザインされているそうだ。

Insomniac Gamesのマーケティングディレクター,ライアン・シュナイダー氏(Ryan Schneider)氏
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「Feral Rites」公式サイト

  • 関連タイトル:

    Rift

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