インタビュー
[gamescom]「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」のエンドロールは必見。正式サービス直前,gamescomで吉田直樹氏にインタビュー
──β4テスト期間中はサーバーの増設が相次ぎました。これは想定を上回る数の人達が参加した,という認識でよいでしょうか。
吉田直樹氏(以下,吉田氏):
あれだけの速度でワールドを足していたということは,当然事前に準備はできていたわけですが,正直な話,想像していたよりも多くの人たちが集まりました。
ログインやキャラクター作成の制限は実施したものの,ワールド追加時のトラブルはほぼなく,結果的にワールドにスムーズに入り,プレイしていただけたのではないかと思います。
──gamescomに出展したバージョンを遊んだ人達の反応はいかがでしたか。
吉田氏:
会場で「遊んでみたけど凄いゲームになっているから楽しみです」などと言ってもらえたので,反応は良いと思います。ドイツはPCゲームがさかんな国で,MMOに慣れた人たちが多いですが,新生エオルゼアのインパクトは大きかったようですね。「あんな巨大なボスとバンバン戦うMMOなんて見たことがない,エキサイティングだ」といった内容の感想はいただいています。
──β4テストでは,レガシーサーバー以外はレベルキャップが20でしたが,どれくらいの人がキャップに到達したのでしょうか。
吉田氏:
正確な数字は確認していませんが,感覚的に3分の1くらいの人はレベル20になっていたのではないかと思います。ただ,いろいろと風景を見て回ったりして,長く遊んでいた割にはレベルが上がっていない人がいたり,8クラスでレベル20なんて人もいます。みなさんそれぞれのペースで楽しんでいただけているようで,MMORPGらしいスタートが切れたのかなと思います。
──β4テストでの,レガシープレイヤーと新規プレイヤーの割合を教えてください。
吉田氏:
それはレガシーの定義で変わってしまいますが,現状は新規の人が圧倒的に多いという言い方をさせてもらっています。レガシーの権利がなくても,レガシーサーバーでプレイする人などもいるので,それは旧FF14を最後までプレイした人が,友達を誘ってくれた結果でしょう。
──β4テストでMMORPGデビューした人も多いかと思います。そういったプレイヤーからは,どのような反応があったのでしょうか。
MMORPGはもっと難しいと思っていたという声が多いですね。そう言ってもらえるのはありがたいです。昨日,イギリスのメディアにインタビューされたんですが,新生エオルゼアほど,MMORPG自体の説明をしてくれるゲームは初めてだ,こんなにMMORPGを広めようとしているゲームはほかにないと言ってくれたのが,とても印象的でしたね。
──新しいダンジョンのムービーが公開されましたが,その中には以前あったダンジョンも含まれていました。それらは見た目が以前と変わっているだけでなく,攻略人数なども変更されているのでしょうか。
吉田氏:
今回紹介したダンジョンのほとんどは4人向けで,1つだけ8人向けになっています。ちなみに「邪教排撃 古城アムダプール」は,レベル50を超えたキャラクター向けのダンジョンで,一応のシナリオエンドをむかえ,スタッフロールを見た後で挑戦してもらうものです。
旧FF14で使っていたダンジョンは,新生エオルゼア向けに,長さ,ギミックの数,難度などを調整しています。ですので,旧FF14のときにレベル50向けダンジョンだったものが,もっと低レベル向けになっているものもあります。とはいっても,新生エオルゼアのバトルシステムに合わせているので,やり応えはあるでしょう。
──レガシーのプレイヤーが遊んでも,しっかりと違いを感じられそうですね。
吉田氏:
そうですね。「監獄廃墟トトラクの千獄」はそこまで変わった印象がないと思いますが,それ以外は上にいけばいくほど,ほぼ初見状態だと思います。旧FF14の知識があると,「こんなはずじゃない」と戸惑うかもしれません。
──β4テストの期間中に,「タンクが少ない」と呼びかけていましたが,タンク,アタッカー,ヒーラーの比率はどの程度だったのでしょうか。
吉田氏:
実はタンクが少なかったわけではないんです。レガシーのみなさんの多くはバトルクラスが50で,ほぼ全員が巴術士だったんです。コンテンツファインダーはレガシーワールドも含めてマッチングするので,巴術士が多くなってしまい,結果的にアタッカーが多すぎることになっていました。
とはいえ,正式サービスが始まって,シナリオを本気で攻略しだすと,レガシーの人たちも巴術士をいったんやめると思うので,適切なバランスになるでしょう。
──呼びかけた後,効果はありましたか。
吉田氏:
あったような気はします。「コンテンツファインダーのマッチングが速くなった」というのは聞きましたから。
──ハイレベルなダンジョンになると,作戦を話し合ったり,終わった後に少し話したりといった時間がないように感じました。
吉田氏:
新生エオルゼアのコンテンツでは,プレイヤーから手を出さなければ敵は襲ってきませんので,その習性を利用して作戦会議をしてもらえるでしょう。ボス戦の前は必ずそれが分かるようにしていますので,作戦を練ることはできます。また,そのダンジョンのボスを倒したあとは,ゲートから外に出なければいいので,ちゃんと会話はできると思いますよ。
──“未知の採集”を導入した経緯を教えてください。
吉田氏:
適切な場所で採集していれば,欲しいものがちゃんと採れるように作ってはいますが,ずっとそれだけだと,波がなくて飽きてしまいます。それと,例えばバトルコンテンツを何度もやらないと獲得できないようなリワードに匹敵するクラフトを,すぐに採れるもので作れてしまうと,ゲーム内の経済が破綻してしまいます。未知の採集は,そういった状態を回避する目的で用意しました。
──β4テストで対人戦のテストをやっていましたが,吉田さんが想定していたPvPに近いものでしたか。
吉田氏:
今回は,絵とサーバー上のズレがどれくらいなのかを確認する意味でテストしました。今回は,私たちが想定しているものより,0.5秒くらいズレていたので,そこを次のパッチまでに修正して調整しようと思っています。
対人戦について「寝かされたら何もできない」と言っている人もいましたが,それはMMORPGの対人戦では当たり前の話です。そこで眠りの耐性を上げるアイテムを使ったり,効果時間を半減するアイテムを装備したりと考えることが楽しさの1つだと思うので,そこまでどうやってプレイヤーをリードするかが課題だと思いました。
──Full Active Time Event(F.A.T.E.)はどれくらいの規模のものを導入する予定ですか。
吉田氏:
実は,今回公開したムービーに登場するベヒーモスとオーディンはF.A.T.E.です。ベヒーモスは受注型のF.A.T.E.で,相当な人数で開始しないと大変なことになってしまいます(笑)。そしてオーディンは,いつ発生するか分からない突発型のF.A.T.E.になります。この2つが,F.A.T.E.でやろうと思っていることの頂点ですね。バリエーションは今後も増やすと思いますが,さらに複雑なものを用意するつもりはありません。
──ベヒーモスとオーディンの難度はどれくらいになっているのでしょうか。
吉田氏:
本気のパーティが4つ,残りはワーワーしている人達という構成を想定したバランスにしているので,かなり難しいと思います。ちなみに,さらに複雑なことをやる場合はアライアンスコンテンツにしようと思っていますので,クリスタルタワーに期待してください。みんなで楽しめるコンテンツとして調整しています。
──欧州には,どのくらいのレガシープレイヤーがいるのでしょうか。
吉田氏:
どの時点でのデータで言うかがちょっと難しいので,日本とほぼ同等のレガシープレイヤーがいるとお答えしておきます。一番多いのは北米で,日本の2倍くらいになります。
──そんなにいるんですね。
吉田氏:
北米の人達はストレートなんですよね。やってみて面白かったら遊ぶし,つまらなければやらないというのがはっきりしています。β4テスト終了直後から,Amazonでの購入数の伸びが尋常ではありませんでした。
日本はまだ様子見している人がいらっしゃるとは思いますが,β4テストを終了した後で,PS3のダウンロード版の予約数が過去最大になったとSCEJAさんから聞いています。ですので,日本でも実際に試して購入を決断した人がかなりいらっしゃるのでしょう。
──国によってキャラクターの好みに差はありますか。
吉田氏:
ララフェルはすごいですね。ミコッテは国によってバラつきがあるのですが,ララフェルはどの国の人に聞いてもかわいいと言われます。
ちなみに,自分はタンクをやるからルガディンだと決めている人は欧米が多いです。
──マーケットを実装してみて,手応えはいかがでしたか。
吉田氏:
レベル20ではマーケットを使わないので,そういった意味では想定どおり,あまり利用がありませんでした。2クラス目,3クラス目をやる場合は,わざわざダンジョンに行くより買った方が早いので,利用されるようになるでしょう。
吉田氏:
僕は,それを見ないと旧FF14のストーリーが分からないというのはナシだと思っています。新生FF14は,FF14-2ではないので。今回,新生エオルゼアのストーリーをちゃんとエンドロールが流れるまでプレイしてもらえれば,過去の出来事は分かるようには作ったつもりです。
ちなみに,強調しておきたいのは,エンドロールは最後の最後までしっかりと見ておいてほしいということですね。単なるロールでは終わっておらず,今後のパッチのストーリーにも大きく関わってきますので。
──エンドロールはどういう状況になると見られるのでしょうか。
吉田氏:
FFの最新作として,ちゃんと自分は冒険の大きな目的を達成したというタイミングで流れます。あまり言うとネタバレになってしまいますが,「FFを1本クリアした」という感じはもってもらえると思います。クリアしたその先は,エンドロールに秘密がありますので,ぜひ見てください。
──さらに広がっていくわけですね。
吉田氏:
打ち切りの漫画のように聞こえてしまうかもしれませんが,「俺たちの戦いはこれからだ」的な山場をその先に作っているので,ずっとFFの新しいストーリーを味わっていけるんだと思ってもらえるといいかなと。
決して,何か月も遊ばないと区切りがつかない作りにはしていません。FFの最新作としてストーリーを楽しんでください。
──FF13のライトニングが新生エオルゼアに出てきます。ほかの作品の世界観を取り込むときに気を付けたことはありますか。
吉田氏:
ライトニングが彼女の人生のどのタイミングでエオルゼアに来て,それにどんな意味があったのかということはきちんと決めましたね。
例えば,FF7のエアリスは,あのシーンがあってのエアリスです。彼女の人生はあそこで止まっているわけで,それがエオルゼアに来るのはおかしな話ですよね。FFの世界がちゃんと意味を持つようにと考えているので,人気があるからといってなんでもかんでも出るということはないです。
──昨今のMMOでは移動方法に凝ったものが多いです。新生エオルゼアにはどのようなものを用意する予定でしょうか。
吉田氏:
「フライングはやらないとダメだよね」とは言っています。「今回はどんな演出で飛空艇が飛ぶのか」というのは,FFシリーズの楽しみの一つでもあると思うので,驚いてもらえるだけのマウントにしたいですね。
──イベントバトルでFF2の曲が使われていましたが,ほかにもそういった要素はあるのでしょうか。
吉田氏:
過去のシリーズ作のフレーズだけを使った曲などはありますが,実際に元の作品を遊んだことがあっても,分からない人もいると思います。また,曲だけでなくテキストにもオールドファンがニヤリとできるネタは仕込んであるので,ぜひ探してください。
──PS4版を待っているという人もかなりいると思います。PS4版の開発状況を教えてください。
吉田氏:
みなさんが思っているよりも早いと思いますよ(笑)。また,前にも言いましたが,PS3版をやっていてよかったと思ってもらえるような移行サービスのようなものも調整しています。そう遠くないうちに発表させてもらいますが,まずは新生エオルゼアと「LIGHTNING RETURNS: FINAL FANTASY XIII」(PS3/Xbox 360),2本のFFで現世代機を締めていただければと(笑)。
──PS4本体とのコラボレーションの可能性はありますか。
吉田氏:
ローンチのタイミングが合っていればよかったのですが,すでにプレイヤーがいてコミュニティがある中でそういったものを出すと,申し訳ない気もします。もちろん,新生エオルゼアが人気になればそういった可能性も出てくるとは思いますが,そこは慎重に考えます。
──まだ“様子見”をしている人もいると思いますが,そういった人達も含めて,ファンへのメッセージをお願いします。
吉田氏:
欧米のメディアはストレートなので,「旧FF14に失望して二度とFFは買わない」と決めた人に吉田さんはなんて声をかけますかといったことを聞かれます。結果として信頼を失ってしまったわけですから,嫌われてしまった私たちはそう簡単には受け入れてもらえないと思っています。
僕達には,実際に遊んでいる人に面白いといってもらえるものを作ることしかできません。ですから,大いに様子見をしていただいて構わないと思っています。新生エオルゼアは,スタートダッシュをしなくても楽しんでいただけるように作っています。実際の評判を聞いたり,友達に誘われたタイミングで始めていただければ大丈夫です。それで面白いと言っていただければ,私たちも幸せですから。
──ありがとうございました。
「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」公式サイト
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