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4年ぶりの「THE PRIMALS」生ライブに“レジェンド”も登場!「THE PRIMALS Live in Japan - Beyond the Shadow」レポートを掲載
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印刷2022/06/07 15:00

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4年ぶりの「THE PRIMALS」生ライブに“レジェンド”も登場!「THE PRIMALS Live in Japan - Beyond the Shadow」レポートを掲載

 スクウェア・エニックスは2022年6月4日と5日に,「ファイナルファンタジーXIV」PC / PS5 / PS4 / Mac。以下,FFXIV)のサウンドディレクター 祖堅正慶氏が率いるオフィシャルバンド「THE PRIMALS」による生ライブ「THE PRIMALS Live in Japan - Beyond the Shadow」を,千葉・幕張メッセイベントホールで開催した。

Photo:西槇太一,MASANORI FUJIKAWA
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 2020年に「THE PRIMALS Live in Tokyo - Bringers of Shadow」が行われる予定だったが,新型コロナウイルス感染症の影響を受けて中止となっており,今回のライブは2018年の「THE PRIMALS Zepp Tour 2018 - Trial By Shadow -」から実に4年ぶりとなる。本稿では2日間を通して行われた公演のうち,2日めの公演の模様をお届けしよう。

会場ロビーには,「暁月のフィナーレ」の主題歌が収録されたLPレコード「ENDWALKER 7-inch Vinyl Single」のジャケットイラストが展示されていた。会場を訪れたヒカセン(光の戦士)たちが記念写真を撮る姿も
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物販エリアは開場時間前から長蛇の列で,ライブTシャツやサイリウムなどの人気グッズが早々に売り切れていた
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 今回のライブでは,拡張パッケージ「暁月のフィナーレ」(パッチ6.0)を終えたプレイヤーであれば分かる“とある場所”から,エメトセルクが開演前のアナウンスやMCを行うという演出が取り入れられた。ゲーム体験を第一に考えるFFXIVらしい演出だ。

 開幕で演奏されたのは暁月のフィナーレから「ENDWALKER」。スクリーンを超えて,ステージ全体に映像が広がる演出は,今回のライブの大きさを予感させ,その勢いのまま「輝ける蒼 〜希望の園エデン:覚醒編〜」「究極幻想」へと続いた。

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 3曲を終え,「今日は放送が入らないから,何を言っても大丈夫だ!」と破天荒ぶりをみせる祖堅氏。メンバー紹介を行いつつ,来場していたFFXIVプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏に話を振る。台本もないのに……とぼやきつつ吉田氏は「本日のライブにお越しの皆様,最後までお楽しみくださーい!」と大声で挨拶し,会場からは大きな拍手が降り注いだ。

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 吉田氏の挨拶のあとは「蒼天のイシュガルド」から「メタル 〜機工城アレキサンダー:起動編〜」。そして疾走感にあふれつつも青いライトの演出やヒカセンのサイリウムが涼しげな「忘却の彼方 〜蛮神シヴァ討滅戦〜」の2曲を披露。MCを挟んで,PRIMALS用にアレンジしても「男性が歌えるキーじゃない」ことに,作り終わったあとで気づいたという「目覚めの御使い 〜ティターニア討滅戦〜」,そして「女神 〜女神ソフィア討滅戦〜」を熱唱。「目覚めの御使い」では祖堅氏が曲の入りを間違えやり直すという,生ライブならではのトラブルが会場の笑いを誘っていた。

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 その後,再びエメトセルクが登場。FFで受け継がれてきたメロディーについて「その始まりを知っているか? プレリュードを創造した人物を」という謎めいたMCを挟み,会場にテクノサウンドが流れ始める。最初は何の曲か分からなかったが,次第に「FF3」のフィールド曲「悠久の風」であることが分かる。ステージに登場した演奏者はフードを被った古代人の姿で,その中身が誰だかは分からない。
 先ほどのエメトセルクのセリフからもしや? と思っていたが,演奏後にフードを外した人物は,「ファイナルファンタジー」シリーズなど多数の名曲を手がけた植松伸夫氏だったのだ。
 続けて「メイン・テーマ〜マトーヤの洞窟メドレー」「ビッグブリッヂの死闘」を演奏。ファミコン・スーファミ時代の曲を体験している筆者としては,懐かしさに胸が溢れる思いだった。

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 演奏後の植松氏は,ステージで祖堅氏とトークを展開。植松氏は「照れくさいし,不具合や不十分のある曲だと誰よりも分かっていて恥ずかしいから」と,自分が昔に作った作品を聞き返すことはなかったという。しかし,最近は恥ずかしい曲も自分の子供のように思えて,この曲を今ならどうやって面白く紹介できるかと「悠久の風」を切り貼りしてみたら意外と楽しかったそうだ。
 そこで,「今度ソロライブをやるから(FFの曲を)やっていいかな」とスクウェア・エニックスに相談したところOKは出たが,アナログレコードのアルバムを作りましょうという話にもなったのだという。


 なお,演奏時のスクリーン映像はアルバムのジャケットイラストで,メキシコのパレンケ遺跡から発掘された,パレンケの石棺に掘られた絵をモチーフに「植松氏がアナログシンセサイザーをいじっている絵にしてくれ」と注文したもの。ジャケットイラストにはモーグリやトンベリなど,FFに登場するモンスターも描かれている。

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 また,植松氏が着ていた古代人の衣装は今回のために制作されたもので,祖堅氏によると「ウン十万円の真ん中ぐらい」とのこと。元を取るために,もう数回ぐらいTHE PRIMALSのライブに来てほしいと伝えると,「自分で良かったらいつでも呼んでください」と答え,会場に大きな拍手が鳴り響いた。

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 後半戦は「貪欲」からスタート。続けて「To the Edge」となるのだが,この2曲の演奏時,スクリーンにはプレイヤーから募集したプレイ動画の編集映像が映し出された。それをバックにTHE PRIMALSが演奏するという,いわばプレイヤーとTHE PRIMALSの競演とも言えるナンバーになったのではないだろうか。続いて「漆黒のヴィランズ」のPVにも使用された「Shadowbringers」が演奏され,漆黒のヴィランズを代表する楽曲を締めくくった。

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 14曲めは最新アルバム「THE PRIMALS - Beyond the Shadow」に収録されている「知恵の巻貝 〜オールド・シャーレアン:夜〜 (Acoustic Version)」。またも入りを間違えるというトラブルのあと,アコースティックギターやパーカッションによる情感豊かな演奏が,会場内を癒すかのように包み込んだ。次の「Close in the Distance」は,スクリーンの映像が「新生エオルゼア」から「暁月のフィナーレ」に至るまでの歩みをふり返るダイジェストで,「真剣に遊んでいた」ヒカセンほど胸に来る一曲だ。
 それに続くエンディングテーマ「Flow Together」の映像は,「暁月のフィナーレ」のエンディングシーンを含めたストーリーダイジェストとなっており,この2曲が続けて演奏されることで,より心に響くものとなっただろう。

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 続いて演奏されたのは「此処に獅子あり 〜万魔殿パンデモニウム:辺獄編〜」。そして「ロングフォール 〜異界遺構シルクス・ツイニング〜」へと続く。「ロングフォール」では,「FFXIV デジタルファンフェスティバル 2021」でのライブで披露されたダンスを,アシエンのローブを纏ったプロのダンサーがステージ上で再現。キレのある曲とダンスによる見事なステージだったが,あのダンスを見るとついニヤけてしまうのは筆者だけだろうか。

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[2021/05/18 17:28]

画像集#024のサムネイル/4年ぶりの「THE PRIMALS」生ライブに“レジェンド”も登場!「THE PRIMALS Live in Japan - Beyond the Shadow」レポートを掲載
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 MCを挟んで「コージの好きな曲!」(祖堅氏)という「魔神 〜魔神セフィロト討滅戦〜」を皮切りに,「過重圧殺! 〜蛮神タイタン討滅戦〜」「エスケープ 〜次元の狭間オメガ:アルファ編〜」を続けて演奏。THE PRIMALSのライブで定番の「過重圧殺! 〜蛮神タイタン討滅戦〜」ではステージ前面に炎が吹き出す演出で,会場を大いに盛り上げた。
 そしてラストとなる「エスケープ 〜次元の狭間オメガ:アルファ編〜」には,ロングフォールに出演したダンサーも再登場し,ダンスに映像,そして演奏が融合した最後の一曲に相応しいステージで締めくくった。

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 アンコールでは,祖堅氏のトランペットが光る「メタル:ブルートジャスティスモード 〜機工城アレキサンダー:律動編〜」,時間停止ギミックでヒカセンがビタッっと止まる様が見ていて気持ちいい「ライズ 〜機工城アレキサンダー:天道編〜」,そして「ローカス 〜機工城アレキサンダー:起動編〜」とTHE PRIMALSのなかでも激しい3曲を立て続けに熱演。演奏を終えた祖堅氏は「今日のライブが楽しかった人は,きっとFFXIVのゲームを真剣にやってた人だ! じゃあね!!」と粋な言葉を残し,ライブは幕を閉じた。

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 ライブ終了後,THE PRIMALSメンバー,さらに祖堅氏と植松氏とのメディア合同インタビューが行われた。2本分の大ボリュームとなるが,続けて紹介しよう。

(左から)マイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏,イワイエイキチ氏,祖堅正慶氏,たちばなテツヤ氏,GUNN氏
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――今回の公演を終えた感想をお願いします。

祖堅正慶氏(以下,祖堅氏):
 ゲームは休むことなく,ずっとアップデートを続けていましたが,パンデミックや自分の病気もあって,ライブの最前線から離れていました。
 やっとパンデミックが明けて,自分の体調も大丈夫だろうと(ライブを)やったところ,こんな大きな会場にたくさんのプレイヤーが集まって,本当に感無量というか。みんなそれぞれゲームを楽しんでいて,ゲームというエンターテイメントのパワーは改めて強いなと。そして,そのサウンドを手がけていることは,本当に光栄だなとこのライブを通じて改めて思いました。

マイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏(以下,マイケル氏):
 今回のライブについて,SNSでのファンの声はどうなのかなと思っていたら,「ライブに行ってTHE PRIMALSからすごいパワーをもらった。力をもらえた」とあったんですが,逆に私も同じことを言いたいぐらいです。私たちも長い間,自宅作業をしたりしていて,人から,ファンから離れるのが辛かったんです。

イワイエイキチ氏(以下,イワイ氏):
 数年ぶりの有観客ということで最初は緊張しましたが,ステージに出れば昔の感覚を思い出せるだろうと。実際に今日で2回めなんですが,何かいろんなことを思い出して,良い感じになったと思ったら,終わりかって。

たちばなテツヤ氏(以下,たちばな氏):
 スタッフ含めて,いろいろな人に支えていただいて,ライブが無事2日間終わったなというのが感想であり,ありがたいと思ってます。あとは何よりお客さんが,光の戦士が変わらず元気そうだったので,そこが一番よかった。ここ最近いろいろあるところで,THE PRIMALSのライブで少しでも解消できたならば,本当に良かったです。

GUNN氏:
 無事に終われたことをすごく嬉しく思っていますし,来てくれるみんな(プレイヤー)のことを考えながら,メニューだったり演出だったりをみんなで揉んで考えたのもあって,それが良い風に伝わっているといいなと思います。
 昨日(6月4日)のツイートもちょこっと見させてもらったんですけど,喜んでもらえていたようなので,今日も無事にいけたらいいなと思いながら,やらせてもらいました。僕個人としても楽しく,みんなの顔を見れて,ライブができてすごく良かったです。

――今回のライブは「暁月のフィナーレ」はリリースされてから初めてのライブでしたが,メンバーの皆さんが「暁月のフィナーレ」で初めて登場した曲でこれがお気に入りというのがあれば教えてください。

祖堅氏:
 となると,ミニアルバムからってことになりますかね。思い入れがあるのは,アコースティックのオールドシャーレアンかな。

マイケル氏:
 ENDWALKERですね,やっぱり。私は歌っていないんですけど,一応歌詞を手がけて,本当に「えっ,この人が歌うんですか!?」ってすごいビックリしつつも光栄でした。

祖堅氏:
 パンデモニウムじゃないんだ?

マイケル氏:
 いや,パンデモニウムは好きなんですけど……。

祖堅氏:
 ああ,まあいいや,わかった(笑)。

画像集#037のサムネイル/4年ぶりの「THE PRIMALS」生ライブに“レジェンド”も登場!「THE PRIMALS Live in Japan - Beyond the Shadow」レポートを掲載

イワイ氏:
 パンデモニウム。

一同:(笑)。

たちばな氏:
 Flow Togetherですかね。THE PRIMALSとしては新しい感じがね。

GUNN氏:
 難しいね,この感じでくると。全部そうなんだよなぁと思いながらも,オールドシャーレアンかな。

祖堅氏:
 Close in the Distanceが残ってる!

GUNN氏:
 知ってたんだけど(笑)。みんなそうだと思うんだけど,全部いろいろいじるところから一緒にやったんで,思い入れと言えば全部あるけど……答えになっているか分からないけど,Close in the Distanceとオールドシャーレアン。

祖堅氏:
 増えた。1つって言ったのに(笑)。

――今回のセットリストを見ると,「新生エオルゼア」から「暁月のフィナーレ」まですべての曲が全部入っています。ゲームの「暁月のフィナーレ」でひとまずの締め括りみたいな感じだと思うのですが,今回のライブもそういうところを狙ってセットリストを作成されたんですか。

祖堅氏:
 そうとも言えるし,そうでないとも言えます。音楽とストーリーの流れは,ゲームをプレイしていればその場面が思い浮かびます。それがゲームサウンドなんです。
 例えば一番最後に泣かせる曲を持ってきてもいいんですけど,ライブでそれをするとしゅーんとして終わったりするじゃないですか。そういうことじゃなくて,最後はみんなで盛り上がろうぜ! という組み方をします。ですから,決してゲームの流れをそのままライブでということではなく,ライブというコンテンツの1つとして考えて,どの曲をどこに配置したらいいかということで,今回こういうセットリストになっています。

 なので,「暁月のフィナーレ」までを締めくくったというよりも,THE PRIMALSとして今までどうやってきたのかという集大成を作ったという感じが強いと思います。

――アンコールの3曲は,これでテンションを上げさせたまま帰ろう! っていう感じがすごくしました。

祖堅氏:
 そうです! お祭で帰るというのは,一番ライブとしては良い。今まで何度もライブしてきて,いろんなパターンで終わってみたんだけど,やっぱこれが一番良いという結果を得ているので,こんな形になりました。

――今回,「貪欲」を演奏されるバックに光の戦士達から動画を募集するという試みが行われましたが,実際やってみていかがでしたか?

祖堅氏:
 いや,めちゃくちゃ格好いいプレイ動画を送ってきてくださった方がたくさんいらっしゃって,逆にどれを使ったらいいんだろうっていうぐらいクオリティが高かったです。
 僕らもリハからあの絵を見るとすごくテンションが上がるので,すごいやりやすかったというか,プレイヤーの皆さんと一緒に2曲をやったみたいな感じですごく楽しかったです。

 パンデミックならではというか,どうしても限られた地区,限られた時間だけでしかやれないんですが,そうは言ってもFFXIVのプレイヤーは全世界にたくさん居る。そういう人たちも参加できるようにと策を練ったつもりなんですが,思いのほかクオリティが高くてビックリしたのが正直なところです。

――またライブがあるとすれば,こういった企画をやってみたいというのはありますか。

祖堅氏:
 やりたいですね。次の企画も思いついているので,次のライブがあればお披露目したいと思います。

――THE PRIMALSはこれまで,1時間半ぐらいのライブが多かったと思いますが,今回は一気に尺が長くなっています。そこまで一気に詰め込もうと思った理由を教えてください。

祖堅氏:
 これはもうはっきりとした理由があって,1時間半尺でやっていたのは“ファンフェステバルのTHE PRIMALS”なんです。あれはファンフェスティバルの演目の1つで,僕らがメインじゃないのでコンパクトにやっているんです。
 今回のライブは僕らが主導で動かしているので,「僕らがやりたいTHE PRIMALSのライブとは」みたいな,ファンフェスティバルとは考え方も違うんです。ただ,テツさんからは「こんなに詰め込んだら,疲れちゃうだろ!」って。

たちばな氏:
 疲れちゃうというか,演奏者がヘタっちゃって,その様子がお客さんに伝わるのも良くないというのがあるから。一応ミュージシャンの端くれとしてはそこを心配したんですよ。でもまぁ,結果的には良かったと思います。

――会場もZeppから一気に大きくなりましたけど,それでなにか変わったこと,やりたかった演出ができたとかありますか。

マイケル氏:
 ボーッ,ボーッ……。

祖堅氏:
 じゃあそれ(笑)。

一同:(笑)。

――ステージの炎?

マイケル氏:
 ファイヤーッ!

祖堅氏:
 今回のライブは光と絵にかなり力を入れた感じですね。そこに特殊効果が入ればいいなって言ったら,やってやるよと言われて。やってみたら,思いのほか,マジで熱いんですよね。
 いろんなアーティストさんに聞いたんですけど,サビ中で火を出すくらいならやるけど,1曲全部,最初から最後まで火を焚くなんて聞いたことがないって言われて。すごいライブだったんじゃないですかね。僕らもビックリしました。

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マイケル氏:
 燃料費,高いんです?

祖堅氏:
 いいから!(笑)。

――ライブの「Beyond the Shadow」というサブタイトルにはどういった意味があるのでしょうか。

マイケル氏:
 私が付けたんですが,これまでの単独ライブのタイトルには必ず「Shadow」が入っています。これは「Shadowbringers」から取ってきています。あと,ゲームの中ではTHE PRIMALSは悪役じゃないですか。なので「闇」な感じのタイトルがいいなと思って付けていたんです。
 けれど,今回は「Shadowbringers」が終わって「ENDWALKER」に行くということで,「Beyond the Shadow」は闇を超える,Shadowを超えて次のステップに行くという意味があります。

 それと英語の熟語で「beyond a shadow of a doubt」っていうのがあるんですけど,「絶対に」という意味があるので,THE PRIMALSは絶対的だ! という二重の意味を持ってます。

イワイ氏:
 へぇ。

GUNN氏:
 初めて聞いた。

たちばな氏:
 そこは初めて聞いた。

祖堅氏:
 中二?

マイケル氏:
 中二感あふれるタイトルになってます。

――CDにも収録されているオールドシャーレアンですけれど,ライブでアコースティックをやりたいみたいな話があって選ばれたのでしょうか。それとも,オールドシャーレアンのアレンジを模索している話の中でアコースティックが選ばれたのでしょうか。

GUNN氏:
 「これをやりたいんだよな,どうしようか分からないけど」というのを祖堅君が話していて,じゃあやるだけやってみようぜって始めたんです。

たちばな氏:
 (ライブは)デモとは変わってるよね。

GUNN氏:
 そうですね。元の実装曲もあり,その世界観も大事にしたかったので。とにかく(デモは)レコーディングで一発撮りをやるというのに,すごくこだわりました。僕の記憶では24回ぐらいしてたかな。

たちばな氏:
 だって1日半ぐらいやってたもん。

GUNN氏:
 そんな風に録れた曲です。

――幕張メッセのイベントホールでのライブは大成功といってもいいと思うんですけど,次にこういう箱でやりたい,こういうフェスに出たい,日本海外問わずこういうところでやりたいというのはありますか。

祖堅氏:
 僕は野外フェスに早く出たいですね。

マイケル氏:
 同じく外でやりたいです。涼しいだろうなぁって(笑)。

イワイ氏:
 もっとデカイ,アリーナクラスでやってみたいな!

たちばな氏:
 そうですね,いろんなところでやってみたいけど,ゲームとまた違う音楽フェスに出られたら面白そうだなと思いますけどね。

GUNN氏:
 僕もそう思っていて。海外のフェスとかにも出てみたいですよね。

祖堅氏:
 海外はなんだかんだで,ロンドン,パリ,ドイツ,韓国,中国,ラスベガス,日本。日本も4,5か所ぐらいやっているけど,意外と日本よりも海外のほうがやってるかもって感じなので,海外のフェスでもやってみたいとみんなで話しています。誰かお話があればぜひ! 喜んで行きます!




(左から)植松伸夫氏,祖堅正慶氏
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――本日のライブの感想をお願いします。

祖堅氏:
 今回スペシャルゲストとして植松さんにご協力いただいたんですが,最初は「俺,前座がいい」とか日和られてですね。そんなこと毛頭も考えてなくて「何を言ってるんですか」と。何回かお伝えしたんですけど「いやいや,前座がいい」とおっしゃるから,こりゃアカンと思って説得しに植松さんのところに何回か足を運びました。いや,(ライブの)中でやったほうが絶対お客さんは喜ぶから,中でやってくれと言って,「じゃあそういうことならやるわ」と。

植松伸夫氏(以下,植松氏):
 でも正解だったよね,そっちが。

祖堅氏:
 演目の1つとして,FFXIVの世界観にいる古代人というか,レジェンドというキャラクターに植松さんを投影させて演出できました。今回,それを見てくれたお客さんに,ゲーム体験と植松さんがオーバーラップして「ゲームってすげぇな!」と思ってもらえたら,すごく嬉しいですし,たぶんできたんじゃないかと思います。

植松氏:
 前座で出してくれと言ってたのは本気で,THE PRIMALSさんのライブだし,そこにノコノコ先輩面して出て行くっていうのは恥ずかしい。これまであまり1人でシンセサイザーをいじるような音楽ってやっていなかったので,一からやり直させてほしいなって。
 だから,前座的にサッと1曲2曲やって退場させてもらおうと思っていたんですけど,昨日今日やってみて「なるほどな,祖堅,こういうことを考えていたんだ」とよく分かりました。

 驚いたのは最初から最後まで遊園地にいるような,微に入り細に入った考えのライブで,ライブで,正直,こういうことできるんだ,と。ゲーム音楽だからできるのか。

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祖堅氏:
 そうです。

植松氏:
 ただロックバンドじゃなくて,ゲーム音楽をやっているロックバンドだからこういうことができるんだなあ。ゲーム音楽の歴史も今となっては何十年となるわけで,始めの頃は細々とやっていたのも,THE PRIMALSの今日のライブを見てみると花咲いちゃってるなって思いました。ここまで来たというのを僕は端で見ながらも,ちょっと嬉しかったし,このエンターテイメントは素晴らしいと思いましたね。

 全体の印象はそんな感じなんですけど,僕は本当に気持ち良くやらせてもらいました。まず,お客さんが僕のことを覚えていてくれたのが嬉しかったですし,なんとなくステージの上から自分がやっているシンセサイザーの音楽を面白そうに聞いてくれている,興味を持ってくれているみたいだという印象があったので,昨日今日,2日間やらせてもらって嬉しかったし,手応えもありました。

――今回のライブはかなり演出にこだわられたとのことですが,祖堅さんと植松さんの間でどんなご相談があったのか教えてください。

祖堅氏:
 まず,服を着てくれって言いましたよね。

植松氏:
 そうだよね。でもそういうの俺イヤだったのね。

祖堅氏:
 そうそう。絶対嫌がると思った。

植松氏:
 いつもの恰好でやったほうが気楽だし。客席から見ててどうだったのか分からないんですけど,すげぇ動きづらいんですよ。
 ローブが長いんで歩いていて引っかかるし,階段を登っていかなきゃなんないんで,裾をまくらないといけない。それで俺さぁ,何かやるときっていつも腕まくりするのよ。だから,手首まで丈があるのってすごく弾き難いというのもあって。なおかつ,1曲めはフードを被ってくださいって言われてたんです。譜面よく見えないし(笑)

祖堅氏:
 そうなんですよね,いろいろ注文しました(笑)。

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植松氏:
 でも,ツイッターとかを見ていて「植松が古代人の恰好でどうのこうの」とみんな喜んでくれたんで,やっぱり祖堅がちゃんと分かってたんだよな。祖堅の思い通りのことに協力できたんだろうな,と。僕がいつものようにジーパンで出てたら違うもんね,やっぱり。

祖堅氏:
 そこはFFXIVのプレイヤーであることが大きいと思います。ゲームを遊んだ体験があるからこそ,植松さんがローブを着ることに意味があるし,そこに「悠久の風」が流れてくるというゲーム体験に密接にリンクしているところが,ゲーム音楽ならではだと思っていて。
 植松さん達が築いてきた今までのゲームサウンドというジャンルは,僕が生まれたときには存在していた。それがすごいという体験が心にあったんです。
 だから,今のゲームプレイヤーに「ゲームサウンドってすごいんだよ」というのをゲーム体験とともに伝えることが僕の使命だと思っていて。それに植松さんがしっかり応えてくださって,一緒にできたのは感無量です。

――植松さんが弾いた3曲について,アルバム「Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album」を鋭意製作中とのことですが,このアルバムについて植松さんからコンセプトや,どういうものになるのか教えていただければと思います。

植松氏:
 10曲ぐらい収録しようと思っているんですけれど,基本的に全部ゲーム中に流れている曲を土台にしています。例えば,ファミコンの頃のPSG音源を鳴らしつつ,フレーズを今のシンセサイザーでなぞったり,切り張りしたり,逆回転して編集したりしています。
 ステージでも言ったんですが,僕は昔に自分が使ったものを二度と,と言っていいほど聞かないタイプなんです。恥ずかしい曲を作っちゃったって思いがずっとあったのですけれど,歳とともに,二十何歳であの曲を作った,三十何歳であの曲を作ったっていうのも自分の歴史の事実なわけで。それをずっと見ないようにしていく人生も嘘っぽいと思って。

 じゃあ実際に聞いてみると,やっぱり恥ずかしいわけですよ。だったらこれをどうやったら面白おかしく発表できるかと考えた。例えば,若い頃に撮られた写真で,何でこんな恥ずかしい顔しちゃったんだろうとか皆さんもあるでしょ? 二度と見たくないでしょ? でも,フォトショップを使えば,面白い写真にできるんですよ。
 意外とそんな感覚で,昔作った恥ずかしい曲を,フォトショップ(のようなもの)を使って,自分なりに,こんな風にいじったら面白いんじゃないかなと,変調(モジュレーション)している感覚なんです。FFの1作めを作って35年経って,やっといま面白がれるようになったという感じですね。

画像集#042のサムネイル/4年ぶりの「THE PRIMALS」生ライブに“レジェンド”も登場!「THE PRIMALS Live in Japan - Beyond the Shadow」レポートを掲載

――では最後になりますが,一言ずつメッセージをいただければと思います。

祖堅氏:
 とりあえず無事に終わったのがすごく良かったのと,若い時にまぁそれはそれは(植松さんに)多大な迷惑をかけまくっているので,今回のライブでちょっとでも楽しい気持ちになっていただけたなら,ちょっとした恩返しができたかなと。
 でも全然足りてねぇなってことで,これからもそんなことを考えつつ,またたかりに行きますのでよろしくお願いします。今日は本当にありがとうございました,植松さん。

植松氏:
 こんな素敵なコンサートのなかで,15分間という短い時間でしたけど,いや,曲がないから15分しかできないんだけど参加させていただけたことは,すごく嬉しかったです。あまりこういう言い方はしたくないんだけど,祖堅も偉くなったなぁというか,大きくなったなという感じはしますね。

祖堅氏:
 (笑)。でも,そう思います。植松さんと飲み行っているとき,マジ,クソガキでしたもん。

植松氏:
 ホント,クソガキだったよな。でも,こんな場を仕切っている祖堅というのが,嬉しくもあり羨ましくもあった。それで,羨ましいって思ったときに「俺まだイケるなぁ」と思ったの。

一同:(笑)。

植松氏:
 祖堅になんかまだライバル心を持っているかもとか思ったときに,モジュレーションをもっと頑張ろうと思いました!

祖堅氏:
 植松さんの元気な姿を見せられて僕はもう,それだけで満足です。みんなもたぶん満足だと思うので,プレイヤーの皆さんと同じ気持ちです(笑)。

植松氏:
 こんなにたくさんの人間を見たのは久々でした(笑)。また人間を見に行けたらと思います。


 THE PRIMALSの公式サイトでは,2022年6月12日の23:59までライブストリーム放送のチケットの購入が可能だ。視聴期間は6月13日の23:59までなので,現地やリアルタイムで視聴できなかった人,今回のライブを知らなかったけど視聴してみたいという人は確認してみよう。

「THE PRIMALS Live in Japan - Beyond the Shadow」公式ページ


「THE PRIMALS Live in Japan - Beyond the Shadow」セットリスト

1.ENDWALKER
2.輝ける蒼 〜希望の園エデン:覚醒編〜
3.究極幻想
4.メタル 〜機工城アレキサンダー:起動編〜
5.忘却の彼方 〜蛮神シヴァ討滅戦〜
6.目覚めの御使い 〜ティターニア討滅戦〜
7.女神 〜女神ソフィア討滅戦〜
8.悠久の風
9.メイン・テーマ〜マトーヤの洞窟メドレー
10.ビッグブリッヂの死闘
11.貪欲
12.To the Edge
13.Shadowbringers
14.知恵の巻き貝 〜オールド・シャーレアン:夜(Acoustic Version)
15.Close in the Distance
16.Flow Together
17.此処に獅子あり 〜万魔殿パンデモニウム:辺獄編〜
18.ロングフォール 〜異界遺構シルクス・ツイニング〜
19.魔神 〜魔神セフィロト討滅戦〜
20.過重圧殺! 〜蛮神タイタン討滅戦〜
21.エスケープ 〜次元の狭間オメガ:アルファ編〜

<アンコール>
22.メタル:ブルートジャスティスモード 〜機工城アレキサンダー:律動編〜
23.ライズ 〜機工城アレキサンダー:天道編〜
24.ローカス 〜機工城アレキサンダー:起動編〜

●出演者(敬称略)
祖堅正慶(ギター&ヴォーカル)
GUNN(ギター)
イワイエイキチ(ベース)
たちばなテツヤ(ドラム)
マイケル・クリストファー・コージ・フォックス(ヴォーカル)

●ゲスト
植松伸夫

※セットリストは6月4日・5日ともに共通
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