［gamescom］「The Witcher 3: Wild Hunt」で描かれる，アイロニーに満ちた結末とは。ベールに包まれたその物語について，脚本チームに話を聞いた

　現在，2014年中の発売を目指して開発が進められている「The Witcher 3: Wild Hunt」（PC / PS4 / Xbox One）は，開発元であるCD Projekt REDが，自社開発のゲームエンジン「REDEngine 3」によって描き出す，オープンワールドタイプの壮大なダークファンタジーRPGだ。
　今回のgamescom 2013の展示では，残念ながら新たな情報の発表などはなく，会場で見ることができたライブデモも，E3 2013と同じものだったのだが，本作の脚本チームのメンバーであるJakub Szamalek（ヤクブ・シャマレック）氏に話を聞く機会を得たので，その模様をインタビューとしてお届けしよう。

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三部作最終章となる「The Witcher 3: Wild Hunt」
Jakub Szamalek氏ミニインタビュー

4Gamer：
　まず「The Witcher 3: Wild Hunt」のストーリーの概要から聞かせてください。

Jakub Szamalek氏（以下，Szmalek氏）：
　前作のエンディングで示唆されているとおり，本作の物語は，大陸南部のNilfgaard帝国が北方の小国に攻め入ることから始まります。不安定な情勢の中で，ようやく自由の身となったゲラルドは，異次元の世界から現れたエルフの騎馬戦士集団ワイルド・ハントとの過去の因縁に決着をつけるため，最後の戦いに挑むことになります。

4Gamer：
　E3 2013のとき，本作のマップは前作より35倍も大きいと発表されましたが，総プレイ時間はどれくらいになるのでしょうか。

Szamalek氏：
　想定しているのは100時間前後で，そのうち50時間がメインストーリーです。もちろん，残り50時間分のサブクエストをどのように進めるかはプレイヤー次第ですから，人によっては多少増えたり減ったりするはずですが。大陸の端から端まで馬で移動するだけで，30分以上はかかりますからね。

4Gamer：
　そこまで広大な世界でのオープンワールドRPGとなると，どうしてもストーリーが散漫になってしまうのではないかと思うのですが。

Szamalek氏：
　そうですね。我々もメインストーリーとサブクエストのバランスや配置には，かなり注意して制作しています。ただ本作の世界は広大ではありますが，モンスターが徘徊するだけの何もない場所といったものはなく，見るべき景観や探ってみたくなる場所も多いのです。行く先々でNPC達が日常生活を送っていて，その一人一人がストーリーを持っています。またモンスター1つにしても，いわゆる“雑魚キャラ”は極力なくして，登場する80体すべてが無駄にならないよう気を使ってます。


4Gamer：
　直線的なストーリーを意識させず，それでいて目的を見失わないような，そんな世界が堪能できると？

Szamalek氏：
　ええ。例えばメインストーリーの1つのクエストを遂行するのに，その地域に点在する複数のポイントを回らなくてはならない場合，極力プレイヤーがその順序を自由に選べるようになっています。それによってストーリーにランダム性を持たせ，「誰かの筋書きをなぞらされている」とは意識させないようになっているんです。サブクエストもすべてがハンドメイドで，自動的に生成されるような平凡なものはありません。

4Gamer：
　プレイヤーの選択が，ゲーム世界に大きく影響するようですが。

Szamalek氏：
　The Witcherシリーズはダークファンタジーですから，人生のアイロニーとか，悲惨な結末が発生することもあります。しかしそれはすべてプレイヤーの取った行動や，会話の内容から引き起こされることです。
　今回のデモで紹介したサブクエストのエピソードで言えば，「Fayrlundの村で“神”と恐れられているモンスターを倒す」という目的に対し，「そのまま神として信奉し続けることを望む長老派」に加担するか，それとも「仲間の死と引き替えにしても，モンスターを排除して平和を望むSvenら若者達」に加担するかは，プレイヤー次第です。


4Gamer：
　今回のデモでは後者を選んだことで，「Svenが自分の恋人を失うという犠牲を払って村に平和がもたらされたものの，その3か月後に盗賊に村を焼かれ，村人が離散してしまう」という顛末が紹介されました。本当に無常で，悲しいアイロニーですが，その下りを説明するときに用いられていた，紙芝居風の2Dアートは一体何なのでしょうか。

Szamalek氏：
　現状のデモだと，あのカットはサブクエストが終わった後に無理やり挿入されているので，ちょっと分かりづらいかもしれませんね。サブクエストの顛末が語られるあのようなカットシーンは，実際のゲームだと，3か月以上経過後に，プレイヤーが村に立ち寄ったときに見ることができます。
　多くのサブクエストに，このようなカットシーンが用意されているのですが，3か月後なのか，あるいは数時間後なのかは，クエストによってまちまちです。プレイヤーに「そう言えば，あのクエストで助けた人達はどうなったんだろう？」なんて，想いを馳せてもらえたらと思います。

4Gamer：
　ゲラルドが主人公となって進行する物語は，本作が最後なのですか？

Szamalek氏：
　最後です。The Witcherの世界は，これからも続いていくことになると思いますが，ゲラルドを主人公とした物語は，今回で決着となります。これまで不可解なままにされていたイベントなども，すべてプレイヤーの皆さんが理解できるようになるはずです。

4Gamer：
　かなり奥深いストーリーを堪能できそうですね。本日はありがとうございました。

「The Witcher 3: Wild Hunt」公式サイト