インタビュー
「ファークライ4」のプレゼンテーションディレクターにインタビュー。舞台となるヒマラヤ山岳地帯や野生動物の挙動など,本作の新要素について聞いた
ユービーアイソフトから2015年1月22日に発売される予定の人気FPSシリーズ最新作,「ファークライ4」(PC/PS4/PS3/Xbox One/Xbox 360)。2014年11月4日に掲載した記事でもお伝えしたように,秋葉原で開催されたイベント「UBIDAY2014」でデモプレイが公開されるなど,発売までにはやや時間があるものの,期待のタイトルの1つだ。
前作「ファークライ3」では,南の島が舞台となったが,今回はヒマラヤの山岳地帯にある架空の小国「キラット」が新たな冒険の背景となる。豊かな自然に彩られた高低差の大きなマップや,象をはじめとするさまざまな野生動物達の存在が,大きくフィーチャーされている。
4Gamerは今回,「ファークライ4」のプレゼンテーションディレクターを務めるリアム・ウォン氏に話を聞く機会を得た。いまだ情報の少ない本作だけに,ぜひチェックしてほしい。
「ファークライ4」公式サイト
企画の発端となったのは
「象に乗って戦いたい」というアイデア
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは,「ファークライ4」におけるウォンさんの役割を教えてもらえますか。
リアム・ウォン氏(以下,ウォン氏):
私は本作のプレゼンテーションディレクターで,ユーザーインタフェースやロゴなどのデザインを統括しています。
4Gamer:
今回は,象に乗って移動できるなど,前作以上に野生動物が大きくフィーチャーされていますが,その理由を教えてください。
ウォン氏:
そもそも「ファークライ4」の企画の発端というのが,ゲームデザインディレクターの「象に乗って敵の拠点を攻撃したい」というアイデアだったんです。象を戦車のように扱えたら楽しいんじゃないかと。そこから,象を出すにはどこを舞台にすればいいだろうかという話になり,中国,インド,アフリカ……といろいろ検討した中で,今までシリーズに登場していないヒマラヤが候補に挙がりました。ヒマラヤなら象以外の動物もたくさんいますし,高低差のあるマップも作れます。
4Gamer:
最初に象ありきで,ヒマラヤが後づけだったというのは,ちょっと意外です。
ウォン氏:
象以外のメジャーな動物としては,トラやワニ,ユキヒョウ,サイなどが登場します。またワシは空中から襲ってきます。加えて,マイナーですがラーテル(ミツアナグマ)や,デーモンフィッシュといった獰猛な動物や魚もいます。もちろん,そのほか各種の草食動物もいますよ。
4Gamer:
マップ上では,そういった動物達がそれぞれ自律的に行動しているわけですか。
ウォン氏:
もちろんです。とくに今回は,“生きた世界を作る”というコンセプトのもと,動物のAIとアニメーションに力を入れました。例えば湖の近くにいる象をずっと見ていると水浴びをしたり,泳ぎ出したりします。さらに本作の動物達は,ほかの動物と関わることがあります。つまり,水浴びをしている象の鼻にワニがかみついたり,2頭のトラがじゃれ合っていたりといった表現をしています。
4Gamer:
なるほど。眺めていると,癒やされそうですね。
ウォン氏:
そうはいっても,こうした動物達はトラップ的な存在ともいえます。プレイヤーが知らずに動物を踏んでしまうと,ひどい目に遭うかもしれません。
例えば,私が見た開発バージョンのプレイ動画の中には,6種類くらいの動物が次々にプレイヤーに襲いかかってくるというものがありました。まず毒蛇が襲いかかってきたので撃退したら,急にワシが現れ,それを銃で退けたら,今度は近くをうろついていた猪が銃声を聞いて怒ったのか,襲いかかってきて……といったようなハプニングも起こります。
4Gamer:
それは,気をつけないと。ちなみに今回は,プレイヤーが肉を投げて,肉食動物を呼び寄せることもできるんですよね。
ウォン氏:
ええ。呼び寄せた肉食動物は野生ですから,敵味方の区別はありません。プレイヤーを含め,適当に気が向いた相手を標的にします。もちろんプレイヤーがそいつを銃で撃てば,積極的に反撃してきます。
また,どんな動物を呼び寄せられるかも状況によって変わるので,かなりのギャンブルです。たまに「ゲーム内で一番危険な動物は?」と尋ねられるのですが,私に言わせると危なくない動物はいません。キラットの動物は,すべてプレイヤーを殺そうとしています。
4Gamer:
象も同じなんでしょうか。背中に乗れますが。
ウォン氏:
ええ,象は当初のアイデアどおり,騎乗して移動したり敵を攻撃したりできます。しかし乗っている間は大丈夫ですが,降りてしまったら,何が引き金になって襲ってくるか分かりません。
唯一の例外は,ゲームを進めて非現実世界の「シャングリラ」に入ったとき,プレイヤーの味方となるトラですね。トラと協力して戦うことができます。
敵AIが強化されて難度が上がった反面
プレイヤーのできることも増えた
4Gamer:
それでは,動物以外の新要素について教えてください。
ウォン氏:
まず今回は,敵のAIをかなり強化しています。物陰に潜んでいるプレイヤーの背後に回り込んできたり,梯子を登って高いところから攻撃してきたりと,前作以上に手厳しい攻撃を繰り出してきます。
これは単にゲームの難度を上げたということではなく,難しくしたぶん,プレイヤーが取れる行動やツールを増やしました。例えば,今回は倒した敵の死体を動かせるようになりましたので,死体を隠して敵に見つかるリスクを減らすことができます。隠れるにしても,前作では建物の陰でなければなりませんでしたが,今回は植物などの背後でも敵の弾が当たりにくくなります。
4Gamer:
難度を上げただけでなく,それに対応する手段を用意したわけですね。死体を動かす以外,そうした新しいアクションにはどんなものがあるのでしょう。
ウォン氏:
乗り物に乗ったまま,銃を撃てるようになりました。またC-4や粘着タイプの手榴弾といった,何かにくっつけて爆発させるタイプの武器も登場します。そして高いところに登るためのクライミングツール「グラップル」もあります。
4Gamer:
UBIDAY2014の会場では,グラップルには武器としての用途もあるということでしたが。
ウォン氏:
実は,グラップルは武器としては使えないんです。UBIDAY2014の説明では誤解を与えてしまったかもしれません。
武器として使えるのは,グラップルによく似た「ハープーンガン」です。これはワイヤーの付いた銛を射出する武器で,日本では初回限定特典として入手できます。ちなみにハープーンガンにはクライミングツールとしての機能はありません。
4Gamer:
そうだったんですね。そのほかの新武器についても,何かあれば教えてください。
ウォン氏:
まず,静かで殺傷力の高い「オートボウガン」がありますし,投げナイフもあります。固定武器としては「ファークライ2」に登場した「Type 63 Mortar」が復活しました。またロックオン可能なRPGもあります。もちろん,マシンガンやサブウェポンにも新しいタイプが登場します。
4Gamer:
ウォンさんのオススメ武器はなんでしょう。
ウォン氏:
私はステルスが好きですから,基本的にはククリ(短刀)1本でプレイしています。ククリで敵をテイクダウンし,死体を隠しながらゲームを進めていますね。それ以外だと,投げナイフを使ったり,肉で動物を呼び寄せて襲わせたりしています。
銃器ではAK-47でしょうか。とくにAKのゴールデンスキンバージョンが好きです。なんか偉そうでしょ(笑)。
4Gamer:
ゴールデンスキン……ステルス中に目立ってしまいそうですね。
ウォン氏:
ステルス中は隠しているんで大丈夫です。何かの拍子に見つかってしまったときに使うんですよ。
どのプラットフォームでも同じゲームプレイを
体験できる
4Gamer:
ゲームの舞台となるキラットについて,見どころなどを教えてください。
ウォン氏:
山頂付近は,ゲームプレイ的にもオススメです。デバッグプレイをしているとき,山頂からウイングスーツで降下中に「貨物トラックを襲撃せよ」というミッションが発生したことがありました。そのときは,ずっと空中降下を続けて目標を追跡し,最後に手榴弾を投げてミッションをクリアしたんです。こんな感じで,本作では高低差をうまく使った面白いプレイができますので,ぜひ試してください。
4Gamer:
ヒマラヤをゲームとして再現するにあたり,注力したところや苦労したところなどはありますか。
ウォン氏:
そうですね。バリエーションが豊富であるぶん,再利用が利かず,新たに作らなければならないところがたくさんありましたね。その代わり,すごく面白いマップに仕上がったと思っています。
技術的には,高い場所から遠くまで見渡せてしまうため,遠景もきちんと描写しなければならないという課題がありました。
4Gamer:
そうなると,PC版をプレイする場合には,高スペックのほうがいいですね。
ウォン氏:
もちろん,そういった点は否定しません。動物や植物などが一番美しく表現されるのは,ハイパフォーマンスなPCにおいてです。
しかし開発では,どのプラットフォームでプレイしても楽しく,かつ美しい体験ができることにこだわりました。PS3版で前作をプレイした人が,同じくPS3版の「ファークライ4」をプレイしたら,どこが進歩したかはっきり分かるでしょう。そのように本作では,どのプラットフォームであっても,限界まで突き詰めた開発を行いました。
4Gamer:
分かりました。では,ストーリーについて教えてください。今回,プレイヤーが敵対する「パガン・ミン」は,これまでシリーズに登場した悪役とはまた違ったタイプですね。
ウォン氏:
そうですね。「プレイヤーを殺そうという意志」がパガン・ミンからあまり伝わってこないという点において,これまでの悪役とは異なる印象を受けると思います。英語版の彼の役には,声優のトロイ・ベイカーさんを起用しているのですが,そのパフォーマンスで彼のエキセントリックな雰囲気が強調された部分もあります。日本語版では藤原啓治さんが,いい感じで頭のおかしい人物を演じてくれました。
4Gamer:
パガン・ミンとはどんな人物なのでしょう。
ウォン氏:
彼は香港生まれのイギリス人と中国人のハーフで,父親がチャイニーズマフィアということもあって,少年時代から裏社会に通じていた人物です。過酷な少年時代を過ごしたために,彼は非常に権力欲が強く,自分とは縁の薄いキラットで王の座を狙っています。かなり奥深い人物として描いていますので,ぜひゲームをプレイして確認してください。またパガン・ミンは,主人公のエイジェイとも関わりがあります。
4Gamer:
トレイラーからは,一見フレンドリーな人物だけれど,裏では何を考えているのか分からないという感じが伝わってきます。
ウォン氏:
フレンドリーに見える反面,暴力的で残忍というパガン・ミンの両極端な面をトレイラーで描きましたが,そのギャップに興味を持っていただけたのであれば狙いどおりです。ゲームにおいて,プレイヤーはエイジェイとなってキラットを探っていくことになります。
4Gamer:
それでは最後に,日本で「ファークライ4」に期待を募らせているファンに向けて,メッセージをお願いします。
ウォン氏:
「ファークライ4」は,自由度の高いオープンワールドゲームを目指して開発しました。とくに今回は,動物をはじめすべての要素をプレイヤーが好きなように楽しめるよう注力しました。ゲームプレイでは,何が起こるか分からない,皆さん一人一人のストーリーを楽しんでください。そして願わくば,プレイ動画をシェアしてください。皆さんが,予想もつかないようなプレイを見せてくださるのが,私達にとって一番うれしいことなんです。
4Gamer:
本日は,どうもありがとうございました。
「ファークライ4」公式サイト
キーワード
(C)2014 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Ubi.com, Uplay, the Uplay logo, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Based on Crytek’s original Far Cry directed by Cevat Yerli. Powered by Crytek’s technology “CryEngine.”
(C)2014 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Ubi.com, Uplay, the Uplay logo, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Based on Crytek’s original Far Cry directed by Cevat Yerli. Powered by Crytek’s technology “CryEngine.”
(C)2014 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Ubi.com, Uplay, the Uplay logo, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Based on Crytek’s original Far Cry directed by Cevat Yerli. Powered by Crytek’s technology “CryEngine.”
(C)2014 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Ubi.com, Uplay, the Uplay logo, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Based on Crytek’s original Far Cry directed by Cevat Yerli. Powered by Crytek’s technology “CryEngine.”
(C)2014 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Ubi.com, Uplay, the Uplay logo, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Based on Crytek’s original Far Cry directed by Cevat Yerli. Powered by Crytek’s technology “CryEngine.”