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ハロー!Steam広場 第352回:狂気をまといながら敵を蹴散らしていくラン&ガンスタイルのFPS「Forgive Me Father」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,常に人差し指を動かしていないと落ち着かない上級クリッカーにジョブチェンジできるかも。
※来週のハロー!Steam広場は,筆者取材のため休載となります。次回の更新は11月26日です。
狂気をまといながら敵を蹴散らしていくラン&ガンスタイルのFPS「Forgive Me Father」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回はポーランドのインディーズ系デベロッパ,Byte Barrelが手掛けるホラーFPS「Forgive Me Father」を紹介しよう。
本作はH.P.ラヴクラフトによる「クトゥルフ神話」の世界観にインスパイアされたというホラーFPSだ。ゲームの舞台となるのは,マサチューセッツ州にある架空の街で,そこにある怪しげな医療施設を調査するため,聖職者と記者が潜入するというストーリーになっている。ちなみに現在のバージョンでは聖職者のみがプレイ可能で,記者はアップデートで追加されるとのことだ。
このゲームの大きな特徴は,3DCGを手描きイラストのように見せる“セルシェーディング”の技術を用いたグラフィックス表現にある。本作の場合は,手に持つ武器や,プレイヤーの行く手に現れるさまざまな敵が,コミックからそのまま飛び出してきたような雰囲気で描写されているのだ。また不思議なことに,どの角度からでも1枚の絵に見えるという面白い工夫も凝らされており,状況によっては,錯視にも似た体験が味わえる。
シューターの部分は,「DOOM」のように動き回って撃ちまくる“ラン&ガン”スタイルがベースになっている。登場する敵は,老若男女さまざまな容姿のゾンビから,タコの頭を持つ魔術師といった,いかにもクトゥルフ神話に出てきそうなモンスターまでさまざまだ。こうした敵を,ショットガンやトンプソン・サブマシンガンで蹴散らして進んでいくのである。
システム的な部分で変わっているのが“狂気”だ。クトゥルフ神話系のゲームで狂気に陥ることは最悪の状況を意味するが,本作ではその逆で,狂気に陥ると攻撃力と耐久力が高まって,状況が好転する。いわばトリガーハッピーみたいなもので,短いスパンで敵を倒していくと狂気ゲージと呼ばれるものが溜まっていき,この溜まり具合によって主人公が強化されるという仕組みになっているのだ。
このおかげで,狭い空間で複数を相手にするようなシーンでもあまり苦ではなく,HPやアーマーを回復するアイテムもけっこうな頻度で落ちてくれるので,ゲームの難度はそこまで高くない印象だ。
本作には,敵を倒してレベルを上げ,スキルを習得していくという成長要素もある。スキルは武器を強化するものが多く,ピストルを二丁持ちしたり,サブマシンガンの弾をグレネードに変えたりと,ポイント1つで武器の性能が劇的に変化するので,いろいろと試してみてほしい。ゲーム性にクトゥルフっぽさはないが,インスパイアされていると明言するだけはあって,強化した武器が触手に侵食されたような見た目になると,これは意外と違う次元でのクトゥルフなのかな?と思えてくる。このあたりは刺さるとたまらない要素と言えるだろう。
本作らしいホラーな世界観はセルシェーディングと良くマッチしており,太い線で描かれる個性豊かなモンスター達のビジュアルや,コミック調ならではの誇張気味なゴア表現も見ていて楽しいので,興味のある人はぜひ遊んでみてほしい。
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