プレイレポート
夏のホラー特集:マジで怖すぎるので心臓が弱い人は要注意! 容赦ないホラーゲーム「Outlast 2」のプレイレポートをお届け
PlayStation 4版とXbox One版は海外のみの発売だが,PC版はSteamなどから購入が可能になっており,テキストが日本語化されている(音声は英語)。したがって,英語が苦手という筆者のような人でもノープロブレムだ。
「Outlast 2」公式サイト(要年齢認証)
“2”というからには前作もあったのだろうとニラんだ鋭い人に説明すると,前作「Outlast」のPC版は2013年にリリースされて高い人気を獲得し,2014年にはPlayStation 4版やXbox One版がリリースされている。本作は,その待望の続編というわけだ。世界観は前作といくらか共通しているが,舞台や登場人物を一新した作品となっている。
まずは,導入部分のストーリーから。発端は,アリゾナ州の田舎で発生した妊婦の殺害事件で,不可解な点が多かったため,フリージャーナリストであるリン・ランガーマンが,この事件を追いかけている。
プレイヤーはリンの夫で,助手兼カメラマンでもあるブレイク・ランガーマンとなり,リンの取材に同行する。だが,ヘリコプターで取材地へ向かっている途中,原因不明の事故でヘリコプターは墜落。からくも生き延びた2人だったが,リンは怪しげな村の住人に拉致されてしまった。
彼女を救い,事件の謎を解き明かすべく,ブレイクは謎めいた村を探索することになる。
「撮影」と「逃走」に特化したシンプルな
ゲームシステム
視点は一人称で,前後左右への移動に加えてダッシュ,しゃがみ,這いつくばり,といったアクションが可能。ゲームシステムは,こんな感じとなっている。ジャンプもできて,小さな段差や崖なら,飛び乗ったり飛び越えたりできる。ただ,後述するように戦闘に関するアクションは用意されていない。
本作の大きな特徴となるのが,ビデオカメラだ。ブレイクが所持しているハンディカムは,録画機能に加えて,暗視装置やマイクなどを搭載しており,暗い場所では暗視モードを利用して地形や状況を確認できたりする。また事件と関係がありそうな場面を見つけた場合,一定時間その方向にカメラを向けることで録画が可能になり,あとでその場面を見返すことができる。
探索中,何度となく村の住民に襲われるが,上記のようにブレイクは,イベントシーンを除いて戦闘手段を持っていない。では,どうするのか? 基本的には敵から逃げるしかないのだ。即死させられてしまう攻撃も割と多いが,ダメージを受けながらも運よく生き延びた場合は,包帯を使ってダメージを回復できる。包帯もバッテリーと同様,村のさまざまな場所で入手可能だ。
全編を通じて怖がらせる仕掛け満載
ゴア表現もかなりキツめ
プレイの感想を簡潔に書くと「全編とにかく怖すぎ!」となる。暗い,しかも見知らぬ場所は基本的におっかないものだが,本作では行く場所行く場所,ほぼすべてが暗闇で,明るいのは焚火の周りとか電灯が点いた小屋とか,ごく一部だけ。
そのため,カメラの暗視モードを頼りに探索を進めていくことになるのだが,バッテリーがとにかく保たない。2分も使えば電池切れという,数年前のスマホも真っ青の保ちの悪さだ。交換用のバッテリーがバカスカ使えるほど手に入るわけではないので,どうしても気が急いてしまう。怪しい村人達だけでなく,「もしバッテリーが底をついたら……」という緊張感と常に戦わなくてはならないというゲームデザインになっているのだ。うまい! そして,怖い!
舞台となる村はグロテクスで,かなりイヤな雰囲気だ。ホラーでよく見かける,「虫が湧いた謎の食事」はもちろん,「牛の腐乱死体」「はりつけにされた死体」「謎の祭壇」など,よくあるといえばよくあるアイテムなのだが,恐怖感が盛り上がってくるのは止められない。ちなみに本作の場合,恐怖だけでなくゴア表現もかなり過激で,そのへんのZ指定は軽く振りきっているというレベルだ。そういうのが苦手な人は遠慮しておいたほうがいいかもしれない。いや,マジで。
舞台となる村には木造の建物が建ち並び,いかにも古い。そんな建物の屋根から落ちたり,崖を滑り落ちたときなど,白昼夢でも見ているかのごとく,学校のシーンに唐突に移り変わる演出が入るときがある。どうやらそれは主人公が昔,通っていた小学校らしいのだが,薄汚れた村とは正反対で,清掃が行き届き,汚らしさはまったく感じられない場所だ。
しかし,その清潔感がまた深夜の病院のような恐怖感を醸し出しており,背筋がぞくりとしてくる。
そんな状況の中,狂気のムードをさらに引き立てるのが敵である村人達だ。彼らの99%はなぜか主人公を敵と見なしており,発見するやいなや,手に持った武器で襲いかかってくる。
真っ暗な村で頭のイカれた住民達から逃げ惑うという,定番だが効果バツグンの恐怖シーンをたっぷり体験できるわけだ。もうね,あいつらが持っている懐中電灯の光が怖いのなんの。てか,その懐中電灯もらえませんかね?
見つからなければ「あーよかった」で済むのだが,見つかった場合の敵はしつこい。空き家に逃げ込んで,やれやれと思っていたらドアを蹴破って入ってきた,なんてことは当たり前で,そんなときはドラム缶の中やベッドの下に隠れて,敵をやり過ごすわけだ。この隠れている状態の緊張感もハンパなく,すぐ目の前をギシギシ足音を立てながら村人どもが歩いて行くわけで,もし発見されたら……という恐怖感でいっぱいになる。いやあもう,うまいことできてるゲームですわ。
怖さに拍車をかけるのが,ボスクラスの敵であるマルタだ。ツルハシを持った巨大なおばさんという感じで,こちらを発見するやいなや,殺意満々でツルハシを振り回す。即死攻撃がほとんどで,逃げても執拗に追いかけてくるし,ドラム缶に隠れても発見されてつかみ出され,殺されてしまう。
そんな強力なおばさんが,行きたい場所への道に立ちふさがっているのだから,あるのは絶望だけ。なんとかして彼女をおびき寄せ,一瞬のスキを突いて逃げるのが,突破する唯一の手段となる。ちなみに,彼女のフィニッシュムーブのバリエーションはかなり多く,まるで「Dead Space」のように,いろいろな殺され方をする主人公の姿をたっぷり堪能できる。ツルハシで股間を引きちぎられるのは,どう考えても痛すぎるので必見だ。ホントはあんまり見たくないけど。
主人公が出くわす絶望的な状況も,特筆すべきだろう。あるときは村人に捕まって十字架にはりつけにされ,あるときは棺桶に入れられ,生きたまま埋められる。こんなひどすぎる状況を体験できるゲームはたぶん本作だけなので,大きな魅力であろう。いや,強がりじゃなくて。
何か宗教的なことが理由になっているのは,彼らの言葉の端々から感じられるのだが,一転して主人公を救世主と呼んだり,救世主なのに生き埋めにしたりと,どうにもいろいろ腑に落ちない。ただし,「よく分からない理由で殺される」というのはきわめて現代的な恐怖でもあり,物語が見えにくいことは必ずしも欠点ではない。
以上,こんな感じでプレイしてみたのだが,恐怖の演出については間違いなく一級品だ。追われる恐怖,バッテリー残量との戦いなど,常に緊張感が維持する作りになっている。恐怖体験をしてみたい人ならば,必ず満足できる完成度だ。
謎解きについては,たまにパズルが登場するぐらいで,そこまで難しくはないが,上記のマルタとの戦いは即死攻撃が多いため,けっこう難しい。そのためリトライ回数が増え,脱出経路を探したり,おびき寄せてからどうやって出し抜くかを試行錯誤したりすることになる,それはそれで面白いのだが,どうしても恐怖感が薄まるポイントになってしまうあたりは,少々残念だ。
基本的に逃げるだけのゲームのため,例えば武器を拾って強化するとか,主人公のレベルアップとかいった要素はない。個人的には,恐怖を味わえるだけでも問題ないが,ゲームらしいシステムを期待していた人だと,肩すかしを食らってしまうかもしれない。
ともあれ,怖いゲームを求めている人にはぜひとも遊んでほしい一本だ。続編ではあるが,前作とのつながりはほぼないので,本作からプレイしても問題なく楽しめる。やはり夏はホラー。盛夏を迎える前に本作であらかじめ納涼しておくのが,できるゲーマーだろう。
「Outlast 2」公式サイト(要年齢認証)
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(C)2017 RED BARRELS INC. ALL RIGHTS RESERVED.
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