連載
結のほえほえゲーム演説:第138回「殺し合わない少年少女達のジュブナイルアドベンチャー『ワールズエンドクラブ』」
今回は2021年5月27日発売されたNintendo Switch用ソフト「ワールズエンドクラブ」について語ります。12人の少年少女達が,日本縦断の冒険をするアクションアドベンチャーゲームです。
私はアドベンチャーゲームだけは,ゲームの事前情報を全力回避しています。理由は簡単。いつどこでネタバレを食らうか分からないからです。スクリーンショット一枚で「あっ,こいつ死ぬんだろうな……」って察しちゃったりしませんか? 逆にゲーム中盤っぽい画像に映りこんでいるキャラクターを見て,「こいつは死なないんだな」とか思っちゃったり。そんなメタ推理を入れたくないんです。クリアしてから開発者インタビューなどを一気に読みあさるのも大好きです。ゲームメディアでのコラムでこの発言はどうなんだろうと自分でも思いますが,きっと同じような方もいらっしゃいますよね?
しかし,今回のワールズエンドクラブについては,「もしこれからプレイする人がいるなら,この情報は逆に知っておいたほうがいいかも……?」と思うポイントがあったため,それをお伝えすることにしました。あらすじ程度のネタバレではありますが,どんなネタバレも避けたい! という方は,クリア後に読んでいただけると嬉しいです。
デスゲーム中止って「フリ」ですよね!?
本作のクリエイティブディレクターは「ダンガンロンパ」シリーズの小高和剛氏。シナリオ・ディレクションは「Ever17 -the out of infinity-」や「極限脱出」シリーズの打越鋼太郎氏。アドベンチャーゲーマーにとって神のような存在の,言わずと知れたお二人ですね。そんなお二人の作品と聞けば,そりゃあ期待しますよね。
誰が死ぬんだろうなぁ!?!?(ワクワク)
はい。本作の登場人物一覧を初めて見たとき,真っ先に思ったことはこれです。しかし本作はね,殺したり殺されたりの物騒な血みどろ事件は起きないんですよ。
正直ですね,これ「フリ」だと思っていました。
「デスゲーム起きそう」→「デスゲーム中止」→「やっぱり気付けばデスゲーム状態」になるんですね分かります,だまされませんよと。「デスゲーム中止」については,本作のキャッチコピーのようなものだったので,さすがに目にすることがありまして。まさか本当のことだとは……。だってトゥーキョーゲームスの作品ですよ!? 打越さんと小高さんですよ!? フリだと思うじゃないですかぁぁぁぁ。公式発表されていた情報がすべてフリに見えてしまった私なので,これはプレイヤーとして「本当に本当でした!」と発信することが大事なんじゃないかと。
というのもですね,本作は「子供が遊んでも楽しめる正統派ジュブナイルアドベンチャー」だったのです。デスゲームを期待していると肩透かしを食らうことでしょう。しかし本作には別の魅力があり,もっともっと幅広い層に届いてほしいなぁと……。
1995年7月,少年少女11名は,東京から鎌倉へと向かう修学旅行の途中,謎の隕石が落ちる瞬間を目撃し,爆発に巻き込まれてしまいます。彼らが再び目を覚ますと,そこは廃墟となった海底遊園地でした。そこでデスゲームが始まる……と見せかけて,物語は「本当の始まり」へ。
海底遊園地から脱出して地上に戻ってみると,空には見慣れない謎の物体が浮いています。それだけではありません。街から人間が消え去り,電気は止まっていて,さらに異形の動物や植物まではびこっているという異常事態。少年少女達は,歩いて東京を目指すことになります。そう,映画「グーニーズ」のような,冒険活劇なのです。
これこそが打越節
打越さんのシナリオの魅力の一つとして,私は情報開示のスピードが挙げられると思っています。
映画でもアニメでも漫画でも,情報開示が遅くてストレスに感じてしまうことってありませんか? 「いやもう分かってるって! そいつが犯人って分かってるって!」と思いながら主人公達に付き合わされる感覚というか。
でも打越さんのシナリオは,プレイ中に「おや? これってもしかして……?」と思った瞬間,いくつかの可能性が頭をかけめぐるんです。あれかな? これかな? と。そうやって予想していると,次の瞬間には「そっちかーい!」と裏切られるような展開。これがたまらないんですよ。
分かりやすく落ちている謎と,まさかあれが伏線だったなんて! という謎が,絶妙に絡み合うのが魅力です。
そして打越さんのシナリオには,腹に一物抱えた登場人物達が出てくるイメージが強かったのですが,本作は少年少女達の物語ということで,素直で感情表現豊かなキャラが多いんです。旅の道中,たき火を囲みながら,それぞれのキャラと会話していくシーンが多々ありまして。それぞれが悩みながらも,仲間を思い合う気持ちを打ち明けてくれるのが嬉しかったです。
ガンバレ組は一緒だよ
プレイ序盤で「あっ! 本当にデスゲーム系じゃないんですね!?」と気付くわけですが,彼らがグチャグチャのドロドロに殺し合う姿を期待していなかったかといえば嘘になります。ガンバレ組の少年少女達,こんなことを考えてるプレイヤーでごめんよ。クリアしたらすっかり全員好きになってしまったので許しておくれ。
ちなみに本作,昨年9月に「World's End Club -ワールズエンドクラブ-」としてiPhone向けにリリース済みだったんですが,スマホでのアクション操作が苦手な私にはNintendo Switch版が向いていました。皆様もぜひぜひ,夏の大冒険を味わってみてください。
最近プレイしているゲーム(2021/6/12)
Steam:「Among Us」
Nintendo Switch:「ワールズエンドクラブ」
PC:「インペリアル サガ エクリプス」
iOS:「ロマンシング サガ リ・ユニバース」
iOS:「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」
■■結(女優・タレント)■■
女優・タレントとして活動中。国内映画祭にて主演女優賞を多数受賞。幼少期からのゲーム好きが高じ,数多くのゲーム番組でMCを務め,イトキチ(糸吉)の愛称で親しまれている。
公式サイト:http://yui-monogatari.com/
公式Twitter:https://twitter.com/xxxjyururixxx
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YouTubeチャンネル「結ちゅーぶ!」:https://www.youtube.com/channel/UCNwmczTygyPzEnouz9tR_Fg/
- 関連タイトル:
ワールズエンドクラブ
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World's End Club -ワールズエンドクラブ-
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