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[E3 2016]id Softwareの重鎮にインタビュー。e-Sports界での復活を狙う「Quake Champions」と,原点回帰を果たした「DOOM」のこれからとは
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印刷2016/06/20 17:03

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[E3 2016]id Softwareの重鎮にインタビュー。e-Sports界での復活を狙う「Quake Champions」と,原点回帰を果たした「DOOM」のこれからとは

 E3 2016のBethesda Softworksビジネスブースにおいて,id SoftwareのTim Willits(ティム・ウィリッツ)氏Marty Stratton(マーティ・ストラットン)氏にインタビューする機会を得た。前者はプレスカンファレンスで発表されたばかりの「Quake Champions」のスタジオディレクター,後者は先月リリースされた「DOOM」PC / PlayStation 4 / XboxOne)のゲームディレクターを務める人物だ。

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 id Softwareと言えば,ちょうど四半世紀(25年)前の1991年にテキサス州ダラス近郊に設立された老舗スタジオ。「Wolfenstein」(1992年),初代「DOOM」(1993年),そして「Quake」(1996年)を世に送り出し,FPSというジャンルの台頭に大きく貢献したことで知られている。
 創設メンバーはスタジオに残っていないものの,「DOOM」に感動してレベルデザイナーになり,1995年にid Softwareに入社したウィリッツ氏や,1997年にビジネス担当として入社以来,プロデュースやマネジメントで頭角を現したストラットン氏らに支えられ,2009年にBethesda Softworksの傘下スタジオとなった以降もブランドを守り続けている。

 そんなid Softwareの現在進行形となる「Quake Champions」と「DOOM」について,それぞれの担当者に話を聞いてきたので紹介しよう。

関連記事:[E3 2016]Bethesda Softworksのプレスカンファレンス総まとめ。「Fallout 4」の新DLCから,仕切り直しのFPS「Prey」まで,注目作が目白押し



「Quake Champions」

PCにフォーカスしてe-Sports進出を狙う


4Gamer:
 よろしくお願いします。プレスカンファレンスのオープニングで,いきなり「Quake Champions」がアナウンスされたのには驚きました。

id Softwareのスタジオディレクターで,同社の最古参メンバーでもあるティム・ウィリッツ氏
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ティム・ウィリッツ(以下,ウィリッツ)氏:
 Quakeシリーズに関してはこれまでもさまざな噂が流れていましたが,良いサプライズとなり,プレスカンファレンスのオープニングを飾れたことは非常に光栄でした。
 私がid Softwareのポートフォリオを任されたとき,最初に考えたのが「Quakeのフランチャイズをどう展開させていくか」です。当時「Quake Live」というサブスクリプションベースのサービスを運営していましたが,どうすればファンが納得する形で発展させられるのかは大きな議題になりました。

4Gamer:
 そこで導き出された答えとは?

ウィリッツ氏:
 我々は「Quakeの中核となるゲームプレイにフォーカスしたい」と考えました。ファンの皆さんに理解してほしいのは,ゲームプレイ自体はシリーズを踏襲しているということです。ロードアウトはありませんし,ダブルジャンプ,ストレートジャンプ,エアーコントロールなど,トレードマークと言える操作はしっかりと受け継がれており,より良いゲーム体験を得られるようにさまざまな改良を施しています。
 もちろん,新しい要素も提供しますし,チームプレイにもフォーカスしていくつもりです。

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4Gamer:
 当然,デスマッチなども用意されますね。

ウィリッツ氏:
 ええ,Quakeですからね。1対1のデスマッチから,フリーフォーオール,チームデスマッチなどもあります。スピード感があり,残虐で直感的,大人向けの対戦型ゲームとして楽しんでもらいたいです。
 もう1つの大きなポイントとしては,e-Sportsにフォーカスしたいとも考えています。

4Gamer:
 具体的には?

ウィリッツ氏:
 プロのプレイヤーが経験を積めるような,ラーニングカーブのあるゲームというのが前提です。もちろん,「Quake Live」でフィーチャーしたスペクテイター(観衆)モードや専用サーバーは用意します。
 ほかのジャンルのe-Sportsタイトルでも言えることですが,5人対5人というのはマジックナンバーになっています。その数字(1チーム5人)を減らしたり増やしたりするのは現実的ではありません。実際,「Quake Live」の経験上,5人からプレイヤーが1人増えるにつれて,ゲームバランスの調整が2倍ずつ難しくなっていくような感覚なのです。

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4Gamer:
 近年,「DOOM」シリーズはコンシューマ向けにもリリースされていますが,「Quake Champions」ではいかがでしょうか。

ウィリッツ氏:
 考慮していないわけではありませんが,今のところ,コンシューマ向けに開発しようという意図はありません。「Quake Live」から発展したゲームであり,「DOOM」とはまったく異なるエコシステムにあると考えていただけると幸いです。フレームレートの120fps対応はは,プロゲーマーにとって重要だと思いますから,コアなPCゲーマー達にアピールするのが狙いです。

4Gamer:
 タイトルの詳細は,「QuakeCon」(今年は8月4日から7日まで開催)で明らかになるそうですが,思えば初代「Quake」のリリースとQuakeConの初開催が同じ1996年でした。つまり,どちらも今年で20周年になります。

ウィリッツ氏:
 多くの人が忘れていることですが,そもそも我々はQuakeConの主催者ではありません。ファンが開催したイベントに,ゲストとして呼ばれて今日に至ります。それだけにQuakeのコミュニティにとって,非常に重要なイベントであり,とくに今年は彼らに敬意を払いたいと思っています。ぜひ楽しみにしていてください。

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「DOOM」

FPSの原点に回帰したアプローチが成功の理由


4Gamer:
 よろしくお願いします。まずは,北米で5月13日(日本国内は5月19日)にリリースした「DOOM」について振り返っていただけますか。

id Softwareのゲームディレクター,マーティ・ストラットン氏
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マーティ・ストラットン(以下,ストラットン)氏:
 セールス(販売本数)はもちろん,メディアやファンからの評価が高かったことで非常に満足しています。ライブストリーミングでゲームを紹介してもらったり,ゲームの感想を伝えてくれたりしたゲーマー達に感謝です。これほどのフィードバックをいただけるとは思っていませんでした。

4Gamer:
 これまでDOOMのフランチャイズは,方向性を探しあぐねていたように思います。実際,「DOOM IV」は「DOOMらしくない」という理由でキャンセルされました。

ストラットン氏:
 そうですね。「DOOM III」は非常に良い作品だと思いますが,さらにダークでホラーに近い雰囲気へと方向性を変えたものでした。その意味では,企画の目的を達成したと言えるものではあったのでしょう。
 しかし,新生「DOOM」の開発を始めたとき,よりルーツに近い第1作,第2作のフィーリングに近いものにしようと考えました。現在のFPSタイトルの動向を見渡しても「DOOM」のオリジナル版とはゲーム体験が異なるものばかりで,そこに「DOOM」らしさのあるゲームを持ち込めば,ゲーマー達に新鮮な驚きを提供できると思ったのです。

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4Gamer:
 これまで「DOOM」とは疎遠だった新しいゲーマーにもアピールできるということですね。

ストラットン氏:
 ええ。スピーディなゲームプレイと移動,ド派手な武器やキルアニメーション,多くの敵が出現するなど,現在のFPSにあまり見られない要素が「DOOM」にはあります。「DOOM」をプレイしたことがない人に,「ほかのシューターと違う」という刺激を与えられたのではないでしょうか。
 とくにマルチプレイでは,これまで慣れ親しんできたであろうゲームとは異なるので,繰り返しプレイして習得していく必要があったと思いますが,その学びの楽しさも評価につながったのでしょう。

4Gamer:
 「Glory Kill」はこれまでの「DOOM」にはない要素でしたが,「DOOMらしさ」が表現されていました。

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ストラットン氏:
 id Software内では「ポップコーン・ホラー」「オーバー・ザ・トップ」などと呼んでいるのですが,「グロい」というより「コミカル」に感じられるような過剰表現のあるハリウッド映画のノリを目指しました。本来,バイオレンス表現に対する抵抗感は人それぞれ異なりますが,映画館でアクション映画のキルシーンを見ていて,「ドッ」と沸くような感覚をGlory Killで表現したかったのです。
 もちろん,ゲームプレイをスローダウンさせたくはなかったので,アニメーターは「DOOM」の遺伝子を受け継ぎながら,ギリギリの部分で描き上げてくれました。結果として,昔からのファンと新しいゲーマーに満足してもらえたでしょう。

4Gamer:
 デーモンに変身できるという新要素も「DOOM」らしさを感じました。

ストラットン氏:
 自分が特別な存在になったと感じられる要素ですね。デーモンになるだけでなく,デーモンをどう攻略するかという面白さも,ゲーマーの皆さんに理解していただけたと思います。

4Gamer:
 今回のイベントでは,第1弾DLC「UNTO THE EVIL」がアナウンスされましたね(関連記事)。

ストラットン氏:
 キャプチャー・ザ・フラッグ風の「Exodus」,キャプチャー&ホールド風の「Sector」という2つの新ゲームモードを用意します。さらに3つの新しいゲームマップ,プレイアブルなデーモン「Harvester」も含まれています。
 また,イベントではお話する機会がなかったのですが,今月中にも大きなアップデートがあり,すべてのゲームモードで細かい調整を施します。武器のバランス調整をはじめ,スクリーンショット撮影用モードの導入,次のマッチングまでの待機時間を60秒にまで短縮する予定です。

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4Gamer:
 レベルエディタの「SnapMap」についてはいかがでしょう。

ストラットン氏:
 「SnapMap」のアップデートにより,地獄をモチーフにしたアートワークやパレットを増やし,チェーンソーを含むすべての武器をゲームに持ち込めるようになります。ウェポンホイールも利用可能です。複数のマップを連続してプレイできるようになるので,プレイヤー好みのマルチプレイやシングルキャンペーンを作成してもらえると思います。

4Gamer:
 「UNTO THE EVIL」は7月配信予定とのことですが,年内には第2弾以降のリリースがあると考えてもいいでしょうか。

ストラットン氏:
 もちろん。QuakeConで発表できるかは未定ですが,ファンコミュニティとはオープンにディスカッションを重ねて,今後のアップデート情報も逐次報告していく予定です。皆さんとともに,「DOOM」をさらに良いものにしていきたいので,これからもフィードバックをいただきたいと願っています。

「DOOM」公式サイト

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