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[闘会議2018]日本と英国のe-Sportsは似た状況にある――英国のe-Sports団体,eGAMESに聞く,ゲーム競技シーンの現在
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印刷2018/02/14 16:35

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[闘会議2018]日本と英国のe-Sportsは似た状況にある――英国のe-Sports団体,eGAMESに聞く,ゲーム競技シーンの現在

 2018年2月12日に掲載したIeFSへのインタビューに引き続き,英国のeSports団体,eGAMESのキーマンに話を聞いた合同インタビューをお届けする。
 eGAMESとは,2016年に発足した英国のe-Sports団体で,リオデジャネイロオリンピックと同時期に行われた「Riode Janeiro eGames Showcase 2016」など,さまざまなe-Sportsイベントを主導している。先に掲載したIeSF同様,今回の「闘会議2018」にゲストとして招待され,そのインタビューには多くのメディアが駆けつけた。

 答えてくれたのは,eGAMESのChief Executive OfficerであるChester King(チェスター・キング)氏と,Senior Vice PresidentのJames Sherston-baker(ジェームズ・シャーストンベイカー)氏だ。英国と日本,同じ島国である両国のe-Sports事情にはどんな相違点,あるいは共通点があるのだろうか。

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eGAMESのChester King氏(左)と,James Sherston-baker氏(右)
画像集 No.001のサムネイル画像 / [闘会議2018]日本と英国のe-Sportsは似た状況にある――英国のe-Sports団体,eGAMESに聞く,ゲーム競技シーンの現在

eGAMES 公式サイト(英語)


――まず,自己紹介と合わせて,これまでのご経歴をお聞かせください。

Chester King氏(以下,King氏):
 eGAMESでChief Executive OfficerをしているChester Kingと申します。また同時にBritish eSports AssociationのCEOでもあります。e-Sportsに関わるまでは従来のスポーツの世界で仕事をしていまして,著名なサッカースタジアムであるWembley Stadiumの運営に10年ほど携わっていました。そのほかゴルフやテニスの分野にも関わっていたこともあります。

James Sherston-baker氏(以下,Sherston-baker氏):
 eGAMESのSenior Vice President,James Sherston-bakerです。私もe-Sportsの前は,従来のスポーツジャンルで15年ほどマーケティングを担当していました。

――英国,またヨーロッパ圏でのe-Sportsの現状について教えてください。

King氏:
 英国において,ビデオゲームはスポーツではなく,ただゲームだと捉えられています。チェスやブリッジの競技と同じゲームであると。一方ポーランドでは,チェスやブリッジはスポーツだと考えられていて,ビデオゲームもそれにならってスポーツだと捉えられています。同じEU圏であっても,こうした違いがあります。
 ただ,英国においてゲームは精神に良い影響を与えるものという認識があるので,その点は我々にとって追い風だと感じています。

――スポーツとして考えられていないのは,オリンピック競技を目指すにあたっては逆風なのでは?

Sherston-baker氏:
 そういう面は確かにあります。ただゲームとして捉えるにせよ,スポーツとして捉えるにせよ,e-Sportsには商業性がついて回るという大きな課題があります。まずはそこを解決するのが先決だと考えます。

King氏:
 そもそもe-Sportsとはなんなのか,そしてどのゲームを選べばいいのかというのが直近の課題だと思います。例えば「League of Legends」(以下,LoL)であれば,ある程度どこの国でも人気があるかもしれませんが,それ以外は国によって,てんでバラバラなのですから。

――e-Sportがサッカーのプレミアリーグや,バスケットボールのNBAといたメジャースポーツに並ぶには,どうするべきだとお考えですか。

Sherston-baker氏:
 一番大きいのは,メインストリーム――つまり「実際にそのゲームをプレイしている人」以外に訴求できるコンテンツたり得ているか,ではないでしょうか。現在のe-Sportsの視聴者は,そのゲームのプレイヤーを中心とした垂直分布になっていて,メインストリームを掴んでいるとは言い難い部分があります。そういうサブカルチャー的な盛り上がりがないと,規模を大きくしていくのは難しいでしょう。

King氏:
 私としてはe-Sportsには教育的な側面があると考えていて,政府にもそうした面をアピールしています。例えば,チェスを遊んでいて怒る母親はあまりいませんよね。それと同じでe-Sportsもチェスの立ち位置に近づけていけば,そこに突破口が開けるのではないかと。ただ,これは国によって事情が異なるので,あくまで英国に限った話ではあります。
 また一方で,e-Sports業界にはある種のスターが必要です。英国では,街をあるけば皆振り返るようなe-Sportsのスターが存在していません。

――サッカーにおけるクリスティアーノ・ロナウド選手のような?

King氏:
  そのとおり。あるいはFaker選手のようなヒーローがもっと必要だと感じます。個人の選手のみならず,英国内には著名なチームも少ないので,もっと増やしていく必要があります。

――e-Sportsには教育的な側面があるとのお話ですが,Call of Dutyシリーズなどの銃撃戦がメインのゲームであっても,教育的と言えるでしょうか。

King氏:
 そのためにレーティング制度があるわけです。子供にわざわざホラームービーを見せる親がいないように,我々もレーティングに沿った正しいゲームを遊ばせる活動を手がけています。

――オリンピック種目に選ばれることを目指すなら,そうした題材のゲームは難しいのでは?

画像集 No.003のサムネイル画像 / [闘会議2018]日本と英国のe-Sportsは似た状況にある――英国のe-Sports団体,eGAMESに聞く,ゲーム競技シーンの現在
King氏:
 IOCのThomas Bach(トーマス・バッハ)氏が,メディアの取材に対し「銃撃戦をするようなタイトルを選ぶことはない」と回答しているので,現時点ではこの見解が主流と言っていいでしょう。
 私自身,現時点でe-Sportsと目されるタイトルを35タイトル確認してみましたが,その中にオリンピック競技としての要件を満たしていると断言できるものは,一つとしてありませんでした。可能性があるとすれば,「STEEP」PC / PS4 / Xbox One)のようなオリンピック用として振り切ったタイトルかもしれません。それがいいとか悪いとかではなく,単に方向性が異なるものだからです。

※正確には,「我々は非差別的で非暴力であり,人々の間に平和をもたらしたいという理念を持っています。この理念は,暴力や爆発,そして殺害であふれるゲームにはそぐわないため,明確な線引きが必要です」(関連記事)。

――オリンピックに関連して,ドーピング問題についてはどうお考えですか。平昌オリンピックでは,このドーピング問題でロシア選手団が参加できないといったことが話題になりました。

Sherston-baker氏:
 英国ではESIC(Esports Integrity Coalition)という団体が,2年前からこうした検査を行っています。またドーピングだけでなく,八百長の監視なども行っているんです。とくにアンダーグラウンドで行われる賭博絡みの八百長が問題視されています。

――国際的なe-Sports組織について,現在はIeSFをはじめ,いくつかの団体が乱立している状況ですが,将来的には一つになるべきだとお考えですか。

King氏:
 IeFSは,ヨーロッパでは認知度が低いですね。ただ,オリンピックなどに絡んでIOCに働きかけるような場合には,代表して現状を伝える団体が必要になると思います。しかし,今現在それに適した団体は存在しないと思います。

――eGAMESがその役割を担うことはありえませんか?

Sherston-baker氏:
 ありえません。我々のミッションは,エンターテイメントとしてのe-Sportsを広め,より良い国際ゲームイベントを開くことにあります。なので,そういった業界団体を取りまとめるようなことは考えていません。そもそもコミュニティがゲームタイトルごとにばらばらですので,それを全部まとめるというのは相当困難な仕事だと思います。

King氏:
 例えば2022年のアジア競技大会で,どのタイトルにどういった選手を送り出すかといったことは,各国のe-Sports団体――日本ならJeSU,シンガポールならSCOGA(Singapore's Cybersports & Online Gaming Association)――が決めることです。我々eGamersはただ大会を運営する団体ですので,そうした団体とはまったく別のものです。

――英国やヨーロッパ圏では,どんなe-Sportsタイトルの人気があるのでしょうか。また,e-Sportsはどんな人達に親しまれているのでしょうか。

King氏:
 e-Sportsのファン層ということであれば,99%が男性です(笑)。British eSports Associationとしてもこれは問題だと考えていて,協会が手がけるスクールリーグでは,男女共同でチームを組むなど,できるだけ女性に遊んでもらえるように務めています。
 英国で人気のタイトルであれば,LoLや「Counter-Strike: Global Offensive」(以下,CS:GO),EUまで広げると格闘ゲームも人気があります。最近は「Overwatch」PC / PS4 / Xbox One)もプレイ人口を増やしていますし,若い層の間では「ロケットリーグ」PC / PS4 / Xbox One / Switch)がはやっているようです。CoDシリーズも遊ばれていますが,英国ではコンソール版をプレイする人が多くて,私はちょっと問題だと感じています。

――それはなぜ問題なのでしょうか。

King氏:
 国際的な大会で用いられるのはPC版であるため,競争力が落ちてしまうからです。もちろん強制するようなことでもありませんが,できれば皆PC版を遊んでほしいな……と(笑)。

Sherston-baker氏:
 先ほどの話にもつながりますが,国によって人気が異なるのはゲームタイトルだけでなく,プラットフォームも分断化しているのが難しいですね。それらを統一して世界大会を行うのは,かなり厄介です。

――コミュニティが現状に満足して楽しんでいるのであれば,それで問題ないのでは?

Sherston-baker氏:
 それは誰に問いかけるのかによって,答えが異なります。もちろんプレイヤー達は楽しくゲームできればそれでいいのだから,分断化で困ることはあまりないでしょう。ですがe-Sportsの認知を広げたい,メインストリームを取り込みたいと考える人にとっては困ったことと言えます。あるいは若年層を取り込みたいスポーツ関係者にとっても。

King氏:
 一方で,国民的なヒーローの誕生を願う人もいるでしょう。ですが,究極的には「文化が違うからそれでいいじゃないか」というところに落ち着かざるを得ないでしょう。例えばOverwatchをPC版を6vs.6で遊ぶことと,コンソール版を3vs.3で遊ぶことは,もはや同じ競技とは言えないですし,分断化は避けられないことなのですから。

――今回の闘会議では,日本のe-Sports組織であるJeSUが本格始動するということで話題を呼んでいます。印象はいかがでしょうか。

King氏:
 我々英国と比べた場合,JeSUにはパブリッシャ側の人員が参加しているのが面白いと思います。我々はプレイヤーの側を重視していることもあって,そういう形にはなっていないので。パブリッシャとプレイヤーの双方に向き合いながら,プロライセンスといった取り組みもしている。これは他国に先駆けた取り組みになるのではと期待しています。ある種のベンチマークになってくれるのではないかと。

――日本では法的な制限が大きく,高額賞金の大会を開催しにくい現状にあります。日本にプロプレイヤーが少ないのは,このためだとも考えられていますが,英国ではいかがでしょうか。

King氏:
 英国はプロプレイヤーの数で見ると,EU圏で最も少ないといっていい状況です。プレイヤー人口なら300万人ほどいるのですが,プロとなると50人以下でしょう。賞金額も,これまでで最大のもので,CS:GOの大会における賞金65万ポンド(約9700万円)をチームで山分けというものでした。ただ,英国はプロプレイヤーの人数ではあまり多くありませんが,実況(Shoutcaster)などの人材は豊富で,e-Sports番組の制作力は非常に高いと思います。

――その状況を変えるためには,どのような取り組みが必要だとお考えですか。

King氏:
 例えば,今後フォードやHSBCといったナショナルクライアントがスポンサードしてくれるようになれば状況は変わると思いますが,そのためにはe-Sportsがもっと露出効果を獲得する必要があります。いわば“卵が先か鶏が先か”といったジレンマです。そういった面では,日本と英国は似た状況と言えるかもしれません。
 ただ英国の場合は,幸いなことに政府が手厚くサポートしてくれるので,そこは恵まれていると思います。

――e-Sports番組の制作力というお話がありましたが,eGAMESではどのような点に力を入れて番組,あるいはイベントを制作しているのでしょうか。

Sherston-baker氏:
 eGAMESでは,設立当初からテレビの制作会社と共同で,メインストリーム層に届くプログラム作りを目指しています。例えばアメフトのスーパーボウルでは,ハーフタイムショウがヘタすると試合そのものよりも盛り上がりますよね。そうした試みは,一般のスポーツと同じで訴求力があると思います。もちろん必須の要素とは言えませんが,ある種の必然なのかなと。
 またゲームタイトルについても,メインストリーム層に訴求しやすいものと,そうでないものがあります。CoDは暴力性の問題でゴールデンタイムに流すことは難しいですし,LoLもプレイしていない人には伝わりづらいタイトルだと思います。

――では,メインストリーム層向けにはどんなタイトルが向いているのでしょう。

Sherston-baker氏:
 我々の考えでは,サッカーゲームやレースゲームといった,誰もがルールを知っているスポーツゲームが適していると考えています。かつ,それを実際のプロスポーツの試合中継と合わせて流すんです。そうすれば,あまりコアではない層にも届けられます。

――英国には現在,どんなe-Sportの番組があるでしょうか。

Sherston-baker氏:
 今現在,定期的に放映されている番組はありません。2018年末には立ち上げたいと思っています。

King氏:
 地上波ではありませんが,ケーブルテレビではe-Sportsの専門チャンネルがあります。LoLをずっと流しているような。

――ハーフタイムのコンテンツとして,パフォーマンスや音楽などとコラボする場合,どんなジャンルと相性が良いのでしょうか。

King氏:
 それはゲームによると思いますよ(笑)。英国にはInsomniaという,7万人程度を動員するイベントがありますが,それは昼はe-Sports,夜はライブというような形式をとっています。それを見る限りは……ポップスが多かったですね。

Sherston-baker氏:
 僕はヒップポップがいいと思うね(笑)。仕事でアメリカによく行きますが,そこではゲームとヒップホップの文化的な混交がものすごく進んでいると感じたので。

――本日はありがとうございました。

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