ニュース
[GDC 2023]「Sky 星を紡ぐ子どもたち」セッション。ゲーム内イベントが“プレイヤーにとってエモーショナルなもの”であることの意味
ゲーム開発者カンファレンス「Game Developers Conference 2023」(GDC 2023)が,サンフランシスコで北米時間の2023年3月20日から開催されている。
初日には,「Sky 星を紡ぐ子どもたち」(iOS / Android / PS5 / Switch / PS4。以下,Sky)のライブサービスをテーマにした,「Free-to-Play Summit: Creating Memorable Events with Emotion」というセッションが行われたので,その様子をお届けする。
氏によると「Sky」は,ゲーム世界への没入感や思い出深い体験,ポジティブな気持ちといった感情(Emotion)を重視して,恒久的かつインタラクティブなエンターテイメントを創造し,世界中のプレイヤーをつなぐ。そして,何十時間も没頭することなく,少しのプレイ時間でも美しい会話や一人での遊びが楽しめて,特別な時間を過ごせることをテーマとして開発が進められたそうだ。
そしてこれらの実現を目指すため,基本設計や考えの大元は,アクションアドベンチャー「風ノ旅ビト」(PC / PS4 / PS3 / iOS。原題:Journey)を参考にしたという。
thatgamecompanyの代表作のひとつである「風ノ旅ビト」は,メインストーリーの体験時間こそ2時間程度だが,そこから想像力がかきたてられ,さまざまな思いがわいてくる世界で魔法の旅を楽しめることが特徴となっている。
そのため,「Sky」もコアとなる部分の物語は3時間程度にとどめ,あとは“プレイヤーの時間を尊重する”というデザイン哲学のもと,プレイヤーがそれぞれに楽しめる世界とゲーム性を意識して作られた。
しかし両作品には,ひとつ大きな違いがある。それは「Sky」がライブサービスであることだ。
「Sky」のプレイヤーには,15歳から25歳までの女性が多い。そして80%のプレイヤーが1日平均1時間半,新シーズン開催時には2時間以上ゲームをプレイしているとのこと。
またプレイ中の半数は,ほかプレイヤーとの交流やゲーム内でぶらぶらしていることがメインだそうだ。一人当たりのメッセージのやり取りは,1日平均で45通となっており,これは多くのメッセージング・プラットフォームやソーシャル・ネットワークよりもずっと高い数字だ。つまり「Sky」は,ゲームとしての体験だけではなく,活発なソーシャルネットワークも作り上げていることになる。
なお“ゲームの体験”としてはなにをしているかというと,「集めている」のだという。
本作では,ゲーム内の各地にある赤い蝋燭に火を灯したり,蝕む闇を燃やしたりすることで,「キャンドルのかけら」を入手できる。
このかけらを一定数集めることで,キャンドルの精錬が可能になる。キャンドルは,精霊に捧げてアイテムを受け取ったり,ほかのプレイヤーとフレンドになる際に必要になるので,普段から「キャンドルのかけら」を集めておくことは重要になる。
続けて氏は,ゲーム内のイベントは,ゲームにお金を使うかどうか,ゲームで何百時間も遊べるかではなく,誰もが楽しめて気持ちが高まるものがなければならないと話す。アクティビティは何度も楽しめるものであり,課金アイテムを商品として出す際にはそれが,プレイヤーがゲームの世界で過ごした特別な体験の記念品となるべきとした。
始めからあったものではなく,多くの失敗から学んだことで辿り着いたそうだ。
サービス開始から1年半ほどは,“物質的”に考えすぎていた結果,プレイヤーの中に“持つ者”と“持たざる者”が生まれ,それがチーム内部からの反発を呼んだこともあったと話す。
そして,子どものころのような驚きや,小さな人間でありながら巨大な世界を生きる一人であるというエモーショナルな,thatgamecompanyのコアバリューを表現するものを模索していくことになる。
また日本の花見をイメージした美しいシーズンイベントを開催できた一方で,繰り返し遊んでもらえる最高傑作だと思って送り出したハロウィンのアクティビティが,ほんの数日で飽きられるという挫折も味わったとのこと。
いくつかの失敗から意気消沈していた彼とスタッフだが,モチベーションを取り戻すきっかけになったのが,チームの仲間たちと行ったディズニーランドだったという。
その場にいるだけで楽しいと思わせてくれる雰囲気や,現実世界と作品世界の明確な境界線がなく,特定のグッズを買ったかどうかに関係なく没入できる世界観。キャラクターたちの行動や各エリアで起きている出来事の一貫性と,それらを包括するパーク全体から感じる柔軟性に影響を受け,開発や運営の方向性を転換する。
そして,「Sky」を必ずしもゲームではなく,テーマパークとして考えることで新たな道がひらけた。
その考えがひとつの形となったものが,2022年に実施されたシーズンイベント「AURORAの季節」のクライマックスだ。歌手のAURORA(オーロラ)さんとのコラボで実現したバーチャルコンサートで,実際の音楽イベントのように,プレイヤー各々が自分のスタイルでその場を楽しみ,グッズ売り場ではマーチャンダイズとして記念となるアイテムが販売された。
初期は“物質的”になったことが反省点であったアイテム販売も,シンプルで本当に強い感情に響く体験を作れば,商品化としてその要素を入れることはとても簡単だとあらためて気付かされたとのこと。
Tim Nixon氏は,この経験で学んだこと,そしてこれからも取り組んでいくことは,“全員が参加するイベントでプレイヤーが何か特別なことを感じられる方法を見つけること”と話す。
そして,プレイヤーに特別な思い出や体験を提供することは,今後も変わらない目標であるとし,セッションを締めくくった。
「Sky 星を紡ぐ子どもたち」公式サイト
「Sky 星を紡ぐ子どもたち」ダウンロードページ
「Sky 星を紡ぐ子どもたち」ダウンロードページ
4Gamerの「GDC 2023」記事一覧
- 関連タイトル:
Sky 星を紡ぐ子どもたち
- 関連タイトル:
Sky 星を紡ぐ子どもたち
- 関連タイトル:
Sky 星を紡ぐ子どもたち
- 関連タイトル:
Sky 星を紡ぐ子どもたち
- 関連タイトル:
Sky 星を紡ぐ子どもたち
- この記事のURL:
キーワード
2017 (C) thatgamecompany all rights reserved
2017 (C) thatgamecompany all rights reserved
(C)2022 thatgamecompany, Inc. All Rights Reserved.
(C)2017-2021 thatgamecompany, Inc. All Rights Reserved.
(C)2022 thatgamecompany, Inc. All Rights Reserved.