インタビュー
ゲーム「ラピスリライツ 〜この世界のアイドルは魔法が使える〜」ディレクターインタビュー。「魔法×アイドル」をコンセプトに10年続くIPを目指す
このプロジェクトでは2017年の発表以来,音楽ライブやテレビアニメ,コミックなどさまざまなコンテンツが展開されてきたが,2021年9月5日にゲームの事前登録受付がスタートした。シングルCD制作や外部コラボでプロジェクト全体が盛り上がりを見せる中で,ゲームへの期待も高まっている。
今回はそんな本作のディレクターを務める遠藤峻亮氏にインタビューを実施し,ビッグプロジェクトの中核を担う本作の魅力やゲーム内容の詳細,そしてリリースを前にした現在の心境を伺った。
「ラピスリライツ 〜この世界のアイドルは魔法が使える〜」公式サイト
「ラピスリライツ 〜この世界のアイドルは魔法が使える〜」ダウンロードページ
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コンテンツ全体のコンセプトとして「魔法感」がある
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。まずは自己紹介を兼ねて,本タイトルにおける立場と役割をお聞かせください。
遠藤峻亮氏(以下,遠藤氏):
遠藤峻亮です。本作では,ディレクター兼マーケティングリーダーを務めています。
4Gamer:
「Project PARALLEL」として最初に情報が公開された2017年から4年半ほど経過していますが,まずはその要因についてお聞かせください。
遠藤氏:
私自身は2019年入社なので詳しく分からない部分もあるのですが,実は私が入社する前に大きい事業判断が一度行われていて,ゲームの根幹部分の開発体制を作り直すことが決まりました。そこが時間を費やした原因の一端になっているかと思います。
これによって,アドベンチャーパートの形式変更と,クオリティを一段階引き上げるために,カードイラストの一部や3Dデータの作り直しを行っています。
現状のチーム構成と開発速度を見ていると,このタイミングで作り直す決断をしたのは正しかったと思います。
4Gamer:
全体的なブラッシュアップのために体制を作り直されたわけですね。
遠藤氏:
そうですね。ただ過去にRカードとして使われていたものも,現在はマーケティングの展開でキャラクターの立ち絵として使っていたりします。
4Gamer:
この制作体制の変更に伴い,キャラクターの変更などはありましたか。
遠藤氏:
ゲームの作りや開発体制に関する変更ですので,キャラクターについてはIPが立ち上がった当初から,現在の20キャラクターで変更ありません。
4Gamer:
こうしてインタビューの機会をいただいたのはアプリの配信もいよいよ……という側面もあるかと思いますが,現在の心境を教えてください。
※インタビュー時,配信日は未発表の段階。
遠藤氏:
「ラピスリライツ」はメディアミックスコンテンツとして展開していますが,ゲームはその中でもユーザーが集まる基盤であり,メディアミックス全体の土台となる立ち位置だと考えています。
そういう意味では,ゲームの成功の可否が,今後のIPのほかのコンテンツの展開や,ひいてはゲームやIPの寿命にも直結すると言えるので,かなりのプレッシャーを感じていますね(笑)。
ゲームは,会社からもコンテンツの売上の母体として期待されているので,プレッシャーを感じながらも,リリースに向けて最終調整中といった段階です。
4Gamer:
リリース後の運営に向けた展望などがあればお願いします。
遠藤氏:
これは全体の世界観を作っているIPプロデューサー横山(憲二郎)ともよく話しているのですが,まずは10年続くIPを目指そう,という目標があります。
ただゲーム以外を含めたIPとしてはすでに5年目を迎えているので,ゲームとしてはまずは5年を目指すというところですね。これを第一段階として考えています。
4Gamer:
アニメを通じてすでにご存じという人も多いでしょうが,「魔法×アイドル」という本作の世界観について,もう少し具体的に知りたいです。
遠藤氏:
本作品の売りとしては,他作品におけるアイドルの立ち位置にいるのが,異世界の「魔女」だという点ですね。
ゲームでは,主人公が異世界で出会った「魔女」が,私たちの世界で言う「アイドル」のような存在だった。そういう設定がメインシナリオの冒頭から提示されます。
その「魔女」たちを一人前にしていくのがIPを通した共通のコンセプトなので,そこをうまくゲームで表現できればいいかな,と思っています。
4Gamer:
「魔女」といえば魔法ですが,魔法要素はどのような形で取り入れられているのでしょうか。
遠藤氏:
コンテンツ全体のコンセプトとして「魔法感」というものがありまして,例えば先日実施したキャストによるライブでは,AR技術を使って魔法のようなエフェクトをステージに映し出す演出を行っています。
ゲームでも,ライブのステージ演出として魔法のエフェクトが飛んでいるなど,そういった部分で魔法感を表現しています。
4Gamer:
ちなみに,アニメとゲームで物語の展開に違いはありますか。
遠藤氏:
ゲームの主人公である「先生」はアニメには出てきません。これによる視点の違いが大きな違いですね。
アニメは「魔女」たちが互いに切磋琢磨しながら,一人前になっていく成長ストーリーです。
一方でゲームは,世界に迷い込んだ主人公が「魔女」たちの先生となり,一人前に育てていくストーリーになっています。
そのほかにも学校の校章や,伝説の魔女フローラの像のデザインなど,細かい部分にも違いがあるので,見比べて楽しんでいただけるかと思います。
4Gamer:
アニメ版とシナリオが共通する部分もあるのでしょうか。
遠藤氏:
シナリオはまったく別物だと思っていいですね。アニメだとティアラがフローラ女学院に入学するところから始まりますが,ゲームの開始時点ではすでに入学済みで,LiGHTsというユニットを組んでいる状態です。
アニメを観た人も,アニメとは異なる新たな物語として楽しめます。
4Gamer:
ゲーム自体のコンセプトも教えてください。
遠藤氏:
ゲーム独自のコンセプトとなるのは,「先生と生徒のつながり」ですね。各種メディアの中で,先生と生徒のつながりが一番感じられるものであるべきという考えのもと,ゲームを作っています。
4Gamer:
そのコンセプトが大きく反映されているのはどのような部分でしょうか。
遠藤氏:
育成パートやキャラコミュニケーション部分で強く押し出されています。アイテムを与えたり,撫でたりすると,先生と生徒の親密度が上がっていき,そこでしか見られないストーリーや各種特典が入手できます。
ここで読めるストーリーでは,先生と生徒の1対1の物語が描かれていて,生徒のキャラクター性をより深く知れる作りになっています。先生と生徒のつながりをより強く感じられるポイントですね。
4Gamer:
ありがとうございます。親密度を上げると獲得できる特典についても教えてください。
遠藤氏:
こちらは攻略要素というよりも,キャラクターとのコミュニケーションに関したものが多くなっています。
本作にはAR機能が付いているんですが,親密度が上がっていくとそこで使えるポーズの種類が増えていきます。また親密度に応じて,ボイスもだんだんと仲の良さを反映したものに変化していきます。
たまにアイテムをくれることもあるので,1日1回は会いに行ったほうがいいですね。
4Gamer:
ゲーム進行の流れはどのようになりますか。
遠藤氏:
メインストーリーとキャラコミュニケーションという2つの軸で遊んでもらうゲームとなっています。
まずはメインストーリーを進めていくと,機能が徐々に開放されていってチュートリアルが入るので,ゲームシステムを自然と覚えられる作りになっています。
キャラコミュニケーションは,先ほど挙げたようなキャラとの親密度を上げて,個別のストーリーを進めていく部分ですね。そのキャラクターをより好きになれる要素です。
4Gamer:
キャラコミュニケーションについて,親密度を上げる部分でのスタミナ消費などはあるのでしょうか。
遠藤氏:
親密度は,基本的にゲーム内で獲得したプレゼント用のアイテムを与えることで上がっていきます。
またキャラクターをタップして撫でてやることでも上げられます。こちらは日に何度か利用できるので,自分の好きなキャラに使っていけばそのぶん親密度が上がりやすくなりますね。
このほかメインストーリーの進行に応じて,特定のキャラの親密度が上がる場面もあります。(スタミナを消費して)メインストーリーを進めていけば,ある程度いろいろなキャラクターの親密度が上がっていく仕組みになっています。
4Gamer:
メインストーリーは最初からすべて公開されているのでしょうか。それとも今後アップデートを経て順次公開されていく形でしょうか。
遠藤氏:
まずシナリオの大きな区切りとなる第1部のうち,リリース時点では途中までのストーリーが開放されています。残りはアップデートで順次配信していく予定です。
4Gamer:
メインストーリーとキャラクター個別のストーリー以外にも読める物語はありますか。
遠藤氏:
シナリオは基本的にメインストーリー,キャラクターシナリオ,ユニットシナリオ,カードシナリオの4種類があります。カードシナリオも含めると,100万字は超えていると思いますよ。
4Gamer:
イベントでのシナリオ追加もあるのでしょうか。
遠藤氏:
月に1本,シナリオ付きのイベントを実施していく想定です。この際にイベントシナリオだけでなく,新規カード3枚分のカードシナリオも追加されます。これらも含めて,読みもの部分はすべてフルボイスになっています。
4Gamer:
ゲーム内ではボス戦時にライブが行われる演出などもありますが,こうしたライブや楽曲を単独で楽しめる機能はあるのでしょうか。
遠藤氏:
両方とも用意しています。まず図鑑の中に“思い出”という機能があって,その中で一度聴いた楽曲が楽しめます。ちなみに楽曲の演奏時間はゲーム用に調整されたものとなっています。
ライブを見たい場合には,“魔女の舞台”というボスライブバトルのみをプレイできるクエストが利用できます。ボスライブバトルでは“ライブを見る”というボタンを押すと,UIがすべて消えてキャラクターのライブだけを楽しむことができます。
4Gamer:
ライブシーンに関しては,プロモーションムービーでも高品質なキャラクターモデルの見た目と動きを確認できましたが,ぜひこだわりのポイントを教えてください。
遠藤氏:
キャラクターのセリフに合わせた表情やモーションのかわいらしさに関しては,とくに気合を入れて作りました。表情は本当に豊かなので,アドベンチャーパートをじっくり見て楽しんでほしいですね。
あとは衣装の着せ替えが多いゲームなので,モデルの貫通を極力減らす努力をしています。ゼロにするのは難しいのですが,ある程度は達成できたのではないでしょうか。
4Gamer:
公式サイトを拝見するだけでも数多くのキャラクターの姿を確認できますが,キャラクターは全部で何名ほどいるのでしょうか。また,新ユニットや新キャラクターの構想はありますか。
遠藤氏:
公開されている生徒20人がプレイアブルキャラクターとして,リリース時点からすべて実装されています。
アップデートを通じたキャラクター追加に関してはまだ計画として上がっておらず,新ユニットも現段階では予定していません。とはいえ,シナリオを作っていく中で新キャラが出てくる可能性もあると思います。
ただすでに20人いるので,まずはこのキャラクターたちをかわいがってもらいたいですね。
4Gamer:
キャラクターはそれぞれユニットに所属していますが,今後シャッフルユニットなどが登場する可能性はあるのでしょうか。
遠藤氏:
シャッフルユニットに関しては,ほかの事業の部分で企画として上がることはあります。ただゲームとしては,まだその予定はありません。ゲームから入ってくる方も多いと思うので,まずは既存の6ユニットの魅力をしっかりと伝えていきたいですね。
4Gamer:
リリース後は楽曲や衣装,カードの追加などもアップデートを通じて行われると思いますが,現状はどのくらいのペースを予定されていますか。
遠藤氏:
楽曲はストーリーのボスライブと連動させる方針ですので,ストーリー更新時に楽曲も追加できるよう準備をしています。
カードは月に3枚程度,追加予定です。また衣装はカードイラストの衣装とアクセサリが追加されますので,6つ程度追加されます。カードに紐付かない,衣装のみの追加も定期的に行っていく予定です。
衣装はカードに紐付くものがあるので,月に3つは追加されます。汎用衣装と呼ばれるものも用意されているのですが,こちらは季節や記念日などのタイミングで,不定期に実装予定として検討中です。
4Gamer:
シナリオイベント以外のイベントも用意されているのでしょうか。
遠藤氏:
シナリオイベントとは異なるタイプのイベントも用意しています。詳細は今後の公式番組などで詳しくお話ししていく予定です。
4Gamer:
リリース前後の展開について,現在お話しできることがあればお聞かせください。
遠藤氏:
ゲーム外の話になりますが,他社コラボや,ユニット楽曲のシングルCD化プロジェクトが進行中です。
現在はゲームのリリース後の結果を出すことに注力しているのですが,リリースを記念した特別番組の配信を企画しています。
キャストに出演してもらって一緒にゲームプレイができたらいいな,と思っています。
4Gamer:
ありがとうございます。リリース後の展開で注目してほしいポイントはありますか。
遠藤氏:
ゲーム外で先生と生徒の関係性を感じられる場所として,毎月1回の定期生放送を行っています。これをリリース後も展開していく予定ですね。
ゲーム内でも,リリースされた月のうちには大きいニュースを1つ用意する予定です。
4Gamer:
衣装にも注力されているとのことですが,現実のアパレルブランドとのタイアップなど,ファッション関連のコラボ予定はありますか。
遠藤氏:
できたらやりたいですね。ライブでキャストが着ているTシャツをゲーム内で着せられたら面白いかな,と個人的には思っているので,そういったコラボも可能かと思います。
4Gamer:
キャラクターIPとのコラボや,カバー曲の構想についてはいかがでしょうか。
遠藤氏:
まだ構想段階ですが,キャラクターとのコラボは意見が割れている部分でもあります。
カバー曲についてはIPのプロデューサーである横山の分野なのですが,基本的にはないと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。最後になりますが,遠藤さんから4Gamer読者に向けたメッセージをお願いいたします。
遠藤氏:
「ラピスリライツ」はライトな見た目ですが,実はシステムや育成要素が深く作られたRPGです。かなりのやりこみ要素があるので,コアゲーマーの方にも楽しめる作りになっています。
一方でメインシナリオは,ライトユーザーでも育成さえしていれば進行可能ですし,オートやスキップ,3倍速などの時短機能も備えています。
ゲームに詳しい読者の皆さまでも満足のいくゲームが作れているかと思いますので,ぜひ手にとって遊んでいただけますと幸いです。
──2021年11月10日収録。
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