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「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 ブシロードとDeNAの共同企画によるスマホ向けリズム&アドベンチャーゲームアプリ「アルゴナビス from BanG Dream! AAside」iOS / Android。以下,「ダブエス」)のストーリーを紹介する連載の第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド,Argonavisを取り上げる。

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 本稿ではバンドストーリーを中心に,メインストーリーでの活躍やイベントストーリー,各メンバーについても詳しく紹介していこう。なお,記事にはストーリーや設定のネタバレが含まれる場合があるので,気になる人は注意してほしい。

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[2021/03/08 12:00]
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[2021/04/24 12:00]


Argonavisの結成〜現在までの歩み


運命の追い風を受け旅立つ星の船
Argonavis(アルゴナビス)


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 今回もアプリ内のヒストリーなどをもとに,バンドの結成から現在までの歩みを簡単におさらいしていこう。参考となるストーリーも併せて紹介するので,全体の流れの参考にしてほしい。

※執筆時点での公開範囲
メインストーリー:第3章まで+Extra第5章第5話まで
バンドストーリー:第4章まで
楽曲ストーリー:蓮,結人,航海,凛生
各キャラクターストーリー:第3話まで
イベントストーリー:2021年7月中旬分まで


<上京前>

Argonavis結成
 バンドを組むためにメンバーを探していた結人と航海が,カラオケボックスで蓮に出会う。続いて凛生,万浬が加わり,Argonavisが結成される(命名は航海)。函館時代は,カフェ「サブマリーナ」に集うことが多く,元ドラマーのマスターによくお世話になっていた。
→参考:TVアニメ第1話〜

GYROAXIAとの出会い〜万浬の事故
 Argonavisのファーストライブを観たGYROAXIAのマネージャー・摩周慎太郎から,GYROAXIAのライブの前座に招かれる。その後に決まった対バンライブの目前,万浬が交通事故に遭う。
→参考:TVアニメ第4話〜

DRF出演
 LRフェスの前哨戦とも言われる,北海道で行われる大型ロックフェス「ディスティニー・ロック・フェスティバル(通称DRF/ディスフェス)」の出場権を得たArgonavis。運営側の都合によって一度はその権利を取り消されてしまうものの,GYROAXIAの演奏のあと,ステージに立つことになる。ライブではたしかな手応えを感じた5人だったが,終演後,万浬が事故の後遺症で意識を失い入院してしまう。
→参考:TVアニメ第9話〜13話

<上京後>※一部順不同

下北沢のシェアハウスで共同生活開始
 LRフェスへの出場が決まり,下北沢のシェアハウスで共同生活が始まる。上京にあたり,5人は鴨川大学に編入する(蓮:法学部,結人・航海:文学部,凛生:政治経済学部,万浬:商学部)。
→参考:バンドストーリー第1章〜(※作中の回想)

キックオフミーティング参加〜スターティングライブ出場
キックオフミーティングには蓮と結人が参加。LRフェスの出場順を決めるスターティングライブでは,トリとしてステージに立つ。
→参考:メインストーリー第1章〜第2章

蓮に歌の禁止令が出る〜航海がスランプに陥る
 蓮が練習のしすぎを心配され,メンバーから歌の禁止令を出される。さらに航海がプレッシャーから作詞に行き詰まってしまうが,メンバー同士の気持ちを伝えあい,これらを乗り越える。
→参考:バンドストーリー第2章〜第3章

曲作りを行う
 メンバー一人一人をフィーチャーした楽曲が作られる。
→参考:楽曲ストーリー「Stand by me!!」「QUIET DANCE」「As is あるがままで」

スターティングライブ結果発表〜嫌がらせが始まる
 スターティングライブの結果は3位となり,あらためて気合いを入れ直すメンバー。そんなある日,航海のノートが燃やされたり,シェアハウスの扉に落書きをされたりといった嫌がらせが始まる。さらに他バンドの炎上騒ぎもArgonavisによるものだと噂が立つ。
→参考:メインストーリー第3章

Fantôme Irisと対バン
 Fantôme Irisとの対バンが行われる。憧れのベースを想う航海が,新曲でソロを披露する。
→参考:楽曲ストーリー「Root of Love」

シークレットライブを行う
 嫌がらせの犯人を捕まえるため,凛生と万浬がシークレットライブを計画する。
→参考:バンドストーリー第4章

凛生がスランプに陥る
 自分の作った曲に納得がいかず,メンバーに比べて成長ができていないとスランプに陥る凛生。メンバーとともにお互いの想いを吐露し,モチベーションを取り戻す。
→参考:メインストーリーExtra第1章

蓮が足をくじく〜那由多と涼とヒーローライブショーに行く
 ぽんちゃんの散歩中に足をくじいた蓮が病院へ行き,那由多や賢汰と会う。賢汰の依頼で,喘息が再発した那由多を休ませるために涼も誘ってスターファイブのヒーローライブショーへ行く。会場では遥とも遭遇した。
→参考:メインストーリーExtra第2章

結人が礼音と一緒に大学の課題を片付ける
 課題に苦労していた礼音を,同じ講義を取っていた結人が手伝うことに。礼音は結人がGYROAXIAを辞めたときのことを思い出し,お互いに今の気持ちを伝え合う。
→参考:メインストーリーExtra第5章

 次の項からは,バンドストーリーと楽曲ストーリーの内容を紹介していく。


Argonavisのバンドストーリーを語る



――バンドストーリー
あらすじ(第1章〜第4章)――

 スターティングライブを終えたArgonavisは,これまで以上の手応えと高揚感を感じていた。フェスで勝敗を決めることに抵抗感があった蓮も,歌いたいという気持ちをあらためて確信する。そんな蓮を見て,バンドを組もうと話した日を思い出す結人と航海。

画像集#007のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 やる気にあふれる5人のなかで,蓮は自分の歌に満足できず練習を重ねる。無理をしすぎる蓮を心配したメンバーたちは,歌の練習の禁止令を出すことに。歌えないジレンマに悩む蓮だったが,仲間たちの想いを受け取り,なぜ自分が歌いたいのかを理解する。

画像集#008のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 バイトの連勤で寝坊するなど,疲れをにじませるようになる航海。どうにか仕上げた新曲の歌詞は,凛生からリテイクを言い渡されてしまう。蓮にも苦しみながら書かれた歌詞であることを指摘され,航海は兄への対抗心があったと吐露する。そしてメンバーに,みんなで一緒に曲作りをしてもらえないかと助けを求める。

 そのころ,何者かによって航海のノートが燃やされ,シェアハウスに落書きされるなどの嫌がらせが続く。結人は落ち込む航海と蓮を外に連れ出し,残った凛生と万浬は犯人探しを始める。凛生が思いついたシークレットライブで無事実行犯は捕まるものの,主犯については口を割らせることはできなかった。だが,ひとまずメンバーは元気を取り戻し,万浬は凛生の意外な一面を発見するのだった。



◆注目したいポイント

 Argonavisのバンドストーリー第1章〜第3章は,基本的な時系列がメインストーリーでスターティングライブが終了したあととなっている。しかし,回想でバンド結成当時や,シェアハウスの共同生活を始めたばかりのころの話も途中に挟まれている。以下では,バンドストーリーに登場する注目ポイントや,気になるセリフなどをピックアップしていこう。

メンバーの好き/嫌いな食べ物
バンドストーリー第1章第1話より
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 食事作りの場で,嫌いな食べ物の話題になったメンバーたち。蓮は寿司(函館出身だが本人曰く「育ちは関係ないと思う」),結人は鍋物(家族団らんのイメージがあるから?),航海は辛いもの(本人曰く「舌を痛めつけて何が楽しいか分からない」),凛生は甘い物(実家は老舗の和菓子屋),万浬は牛肉(実家は酪農場)とのこと。ちなみに好きなものは,蓮がラッキーピエロ(通称「ラッピ」)のハンバーガー,結人がリボンナポリン,航海がスイーツ全般,凛生がカレーライス,万浬が牛乳らしい。蓮の好きな「ラッピ」についてはこのあとに補足する。

「君と僕は似てる」
バンドストーリー第1章第5話より
画像集#010のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 第1章では,Argonavisの始まりである結人と航海がバンドを組む場面の回想が見られる。画像のセリフは,彼らに「兄とあまりうまくいっていないこと」と,「本気で音楽をやろうとしていること」の二つの共通点を指していると思われる。航海はこのときから結人を「ユウ」と呼ぶようになるのだが,航海が他人を愛称で呼ぶのは現在のところ結人だけだ。

叶えられなかった「もしも」
バンドストーリー第2章第5話より
画像集#011のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 無理な練習を重ねて歌の禁止令を出されてしまった蓮は,凛生から「(蓮には)まだ次がある」と言葉をかけられる。それは,凛生にとっての“叶えられなかった『もしも』”――かつての彼が,ケガで諦めざるを得なかった野球を思わせる。Argonavisのメンバーは全員同い年なこともあり仲が良いが,悩みや苦しみをいったん自分のなかにしまいこみ,一人で解決しようとする傾向があった。それは大切な仲間だからこそ,心配をさせたくないから……という思いやりなのかもしれない。

東京にはラッピがない……
バンドストーリー第3章第1話より
画像集#012のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 蓮が愛してやまないハンバーガーショップ「ラッピ」こと「ラッキーピエロ」は,函館にしかない。このような「えっ,全国区じゃないの!?」というフードチェーンは意外とあるもので,現在のところ「ラッピ」に関しては,食べるには現地に行くしかないようだ。ちなみに「ラッピ」のマスコットキャラクターはなかなかパンチの効いたデザインのピエロ「ラッキーくん」で,オリジナルグッズも充実している。あいさつは「はろらっぴ!」らしい。

今ここにいられる奇跡
バンドストーリー第3章第2話より
画像集#013のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 航海を励ますため,家計からやりくりしてパンケーキ作りの材料を買いに行った万浬がふと漏らすセリフ。TVアニメを見ていた人ならピンとくるはずだが,これは万浬が過去に交通事故に遭い,その後に後遺症で倒れてしまったことからくる言葉だろう。平和な日常とは,実はいろいろな要素が組み合わさって成り立っているものだ。それがふと崩れたときに,はじめてありがたさが身にしみて理解できることもある。個人的に万浬はすごく大人な一面を持っていると感じているのだが,この言葉はそうした経験によるものなのかもしれない。

航海のノート
バンドストーリー第4章第5話より
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 バンドストーリーで描かれる一連の嫌がらせのなかでも,かなりキツイなと感じさせられたのが,航海の歌詞ノートを燃やされた件だった。知っている人も多いと思うが,このノートは凛生がArgonavisに加入する決意を固めたきっかけになったものだ(詳しくはTVアニメの第2話にて。未見の人はぜひ)。Argonavisの物語を語る上で,歌詞ノートの存在は決して欠かすことはできない。それはメインストーリーExtra第1章の「あのノートに書かれたお前の歌詞を読んだから,俺は今ここにいる」という凛生のセリフにも表れている。

嫌がらせに対する他バンドの対応について
 メインストーリーや各バンドストーリーで描かれた,LRF出場バンドに対する嫌がらせと対応をおさらいしておく。GYROAXIAとFantôme Irisは不仲説を流されたが,フェリクスが賢汰の元へ赴き,話し合いの上でお互いにコメントを発表した。また,Fantôme Irisは襲撃予告を受けて単独ライブ2日目を中止に追い込まれるものの,フェリクスがファンの前に現れて騒動を収めた。風神RIZING!は長崎時代のいざこざに尾ひれをつけたウワサを流されていたが,とくに公式コメントなどは出していない(気分転換に六本木観光に出かけている)。なおεpsilonΦは,嫌がらせを受けていないらしいことが分かっている。


Argonavisの楽曲ストーリーを語る


「Can you stand by me?」/七星 蓮
楽曲:Stand by me!!


―あらすじ―
 公園で,子どもたちの輪から離れ一人ぼっちでいた少年と出会った蓮。特撮の話で少年と盛り上がった蓮は,彼を元気づけるため,次の野外ライブで歌を届けたいと考える。


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  蓮はもともと引っ込み思案な性格で,あまり自己主張するほうではない。ましてこのストーリーのように,きっぱり「歌を作りたい」と気持ちを明かすのはわりと珍しいのではないだろうか。歌詞や曲作りはメンバーに頼らざるを得ないため,普段の蓮なら「仲間の手をわずらわせたくない」と考えそうなのもある。

 また,再び引っ越すことが決まった少年が蓮に「まだそんなに仲良くなったわけじゃない」と強がった言葉に,「そんなこと言うな!」と強い口調で返したことに驚いた人も多いかもしれない。それだけ蓮は,彼との関係を大切に思っていたのだろう。
 この歌は蓮の小さな友達を元気づけ,同時に“過去の幼い蓮”も救えたように感じられた。目には見えないけれど,蓮の歌にはたしかにそういう力があるのだと信じさせてくれる。

「ふたりのRoot of Love」/的場航海
楽曲:Root of Love


―あらすじ―
 ここのところ,練習の合間によく姿を消すようになった航海。様子が気になったメンバーは,航海に時間を惜しんでも会いたい相手がいるのではと考える。そんなある日,蓮はカフェの前にいる航海を発見する。


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 本ストーリーは,慎重でしっかり者な航海が普段見せない“何かに心を奪われてしまった表情”が見どころではないだろうか。筆者がとくに印象的だと感じたのは,どうしても欲しくなったベースを「今は買えないけど,買えるようになるまで売らないでほしい」と,売り手である大門(と虎春)に頭を下げるところだ。いつもの航海からは考えられない,なりふり構わぬ姿である。けれどそういうところを見ると,やっぱり航海も“熱い人”なのだなと,何だかうれしくなってしまう。

 また,居残って練習することをメンバーに心配されつつも「ひとりでやりたいし、ひとりでやらないとダメだと思う」と返した言葉も心に残った。Argonavisはみんなで一緒に旅をするバンドだけれど,彼らは決して一人では何も出来ないから力を合わせているわけではない。こうやって一人一人が成長していくことが,より遠くまで船を漕ぐ力になっていくのだと思う。

「welcome myself」/五稜結人
楽曲:As is あるがままで


―あらすじ―
 新曲の練習中,航海からギターソロに違和感があると指摘された結人。その日,結人は恒例の反省会をパスし,とある待ち合わせの場所に向かう。すると運転手付きの外車に乗った結人の兄が現れて――。


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 プロフィールなどにもあるとおり,結人の実家は函館の歴史ある名家だ。彼は華々しい経歴を持つ親族に反対されながらも,音楽の道を選んでいる。また,GYROAXIAを脱退した過去(TVアニメ第5話や,小説「ARGONAVIS from BanG Dream! 目醒めの王者」,舞台「ARGONAVIS the Live Stage」などでも描写されている)を考えると,彼はこれまでに少なくとも2回は大きな喪失感を経験していると言える。

 それを踏まえると,本ストーリーで凛生が言った「俺は五稜が出すギターの音が聴こえてここに来たんだ」の言葉は,どれだけ結人の心に響いたのだろうと思わされる。ほかの誰でもなく,結人の音や存在がバンドに必要だという気持ち――それは凛生だけでなくメンバーみんなが同じ気持ちのはず――は,これからの結人をもっと強くしてくれるはずだ。どの楽曲ストーリーもそうだが,曲の背景を知ってから曲を聴くと,より深く心が動かされる。

「QUIET GENIUS」/桔梗凛生
楽曲:QUIET DANCE


―あらすじ―
 何事にも“天才”ぶりを発揮する凛生は,メンバーから歌詞を書いてみるよう提案され,糸口として自分が不得意なものを探すことになる。そして一同は,凛生の歌を聴くためカラオケに向かう。


画像集#018のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 天才は孤独,とはよく言われることだ。それは何でもこなせる凛生がそうであるように,“熱くなれるものが見つけられない”からかもしれないし,同じ目線で話せる存在がいない(あるいは少ない)ために,他人と気持ちを共有しにくいからかもしれない。本作で凛生は航海の才能を再認識し,素直に「お前,すごいんだな」と声をかける。彼は夜通し歌詞作りに苦戦しながらも,きっとうれしかったのではないだろうか。心を砕き,苦労して手に入れたものの価値はほかには代えがたいものだから。

 ちなみに本ストーリーで,凛生の多才ぶりに結人が「ヴァン・ヘイレンかよ?」と言うが,これはロックバンド「ヴァン・ヘイレン」のアレックス・ヴァン・ヘイレンさん(ドラム)とエディ・ヴァン・ヘイレンさん(ギター)の兄弟を指すと思われる。2人は昔ピアノを習っていたり,最初はドラムとギターが逆だったりと,幼少期から音楽の才能を発揮していたのだ。また,筆者の記憶では,エディさんは共感覚の持ち主でもあったと思う。


―他バンドのキャラストに登場する
Argonavisメンバーについて―

 補足として,Argonavisのメンバーが登場する他バンドのキャラクターストーリーを挙げておく。意外なつながりや活躍(?)が見られて楽しいので,こちらもぜひチェックしてほしい。

<GYROAXIA>
旭 那由多(登場メンバー:結人)
里塚賢汰(登場メンバー:凛生)
美園礼音(登場メンバー:万浬)
曙 涼(登場メンバー:蓮)
界川深幸(登場メンバー:航海)

キャラストーリー「賢汰と凛生」より
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キャラストーリー「礼音と万浬」より
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<Fantôme Iris>
フェリクス・ルイ=クロード・モンドール(登場メンバー:蓮)
御剣虎春(登場メンバー:蓮)

キャラストーリー「虎春と蓮」より
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<風神RIZING!>
神ノ島風太(登場メンバー:蓮)
若草あおい(登場メンバー:凛生)
椿 大和(登場メンバー:結人)

キャラストーリー「大和と結人」より
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<εpsilonΦ>
宇治川紫夕(登場メンバー:蓮)
二条 奏(登場メンバー:航海)
鞍馬唯臣(登場メンバー:万浬)

キャラストーリー「奏と航海」より
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Argonavis 各メンバーを語る


 ここでは,すでに紹介したストーリーに加え,それぞれのキャラストーリーやイベントストーリーなどを交えながら,各メンバーについて語っていこう。合わせて,筆者の好きなセリフ(場面)もピックアップしていきたい。

七星 蓮
イベントストーリー「JUNCTION 衝突-交差」より
画像集#024のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 筆者が個人的に好きな七星 蓮のポイントは,引っ込み思案に見えて,いざというときに意外な行動力を発揮するところだ。先述したとおり凛生のバンド加入のきっかけを与えたのは蓮だが,そのころの蓮は自分もまだ正式メンバーではなかったにも関わらず,何かに突き動かされるように飛び出していった。また,ほかのさまざまな話を読んでいても,誰かが傷ついているようなときに「そっとしておこう」と言うのではなく,「ひとりにしちゃ駄目だ」と,蓮はその人の元に真っ先に駆けつけている。彼のこういうところ,何というかすごくいいなと胸が熱くなる。

 彼の物語のテーマには,「なぜ歌うのか」,そして「なぜLRフェスに出場するのか(戦うのか)」に対する答えを見つけることもあるだろう。歌は一人でも歌えるものだけれど,蓮の場合はおそらくバンドだからこそ,その力を発揮できている気がする。彼はか弱そうに見えて,その歌声と同じようにとても強い底力を持った人だ。
 ……など真面目な話もいいが,蓮は好きなものの話になると急に早口になる(?)オタクぶりを発揮するところもほほ笑ましい。関連シナリオもたくさんあるのでぜひチェックを。

五稜結人
メインストーリーExtra第1章より
画像集#025のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 先ほどの楽曲ストーリーでも語ったが,結人の生まれ育った背景や過去を知る前と知ったあとでは,印象が大きく変わる人の一人ではないだろうか。個人的に気に入っているシーンはたくさんあるが,今回取り上げたのはメインストーリーExtra第1章,スランプに陥って航海を心配させたと反省する凛生を励ます場面だ。上の画像の結人の言葉はあまりに温かくて,涙が出そうになってしまった。

 この人はメンバーのなかで一番と言っていいほど数多く「Argonavisは5人がそろってこそのバンドだ」と主張しているが,それは「決して誰かを取り残さないように,置いていくことのないように」という強い想いから来ているように感じる。それは無論,彼が自分と同じ想いをみんなにさせたくないから……にほかならないだろう。
 「俺ひとりだと弱気になっちまうけど……Argonavisで向かっていくなら、前を向ける」(イベントストーリー「JUNCTION 衝突-交差」より)のセリフを見ても思うが,彼は弱さや未熟なところも含めて魅力的だし,だからこそリーダーとして,バンドの一員として応援したくなってしまうのだ。

的場航海
バンドストーリー第3章5話より
画像集#026のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 この項では,画像を各メンバーのどのセリフにするかで結構迷ったのだが,航海に関してはやはりこれしかない,とこちらを選んでみた。航海はわりといつも細かいというか,もうちょっと気楽に構えてもいいのでは? と思うことも多い。けれどこれまでの話を読んでいくと,そうならざるを得ない理由があるのかもしれないと気づく。個人的な解釈としては,彼自身が「何かに失望したときの痛みをよく知っている」からこそ,他人のそれに敏感なのではないだろうか。
 はっきりした物言いが多いので厳しく見えることもあるが,それは自分のように傷つく人が生まれないように,という気持ちからくる深い優しさのような気がするのだ。そういう意味で言えばやはり,結人と航海はよく似ていると思う。だからこそ彼には“航海(こうかい)を楽しむ”ことが必要だし,それを気づかせてくれる仲間の存在が必要不可欠なのかもしれない。

桔梗凛生
イベントストーリー「灼熱リミット -漢たちの海辺バトル-」より
画像集#034のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 突然だが,筆者は桔梗凛生(なぜか彼はフルネームで呼びたくなる)の天才語録が大好きである。読むと結人ばりに「カーッ!(格好良すぎでは?)」と言いたくなるのだ。この画像のセリフに続く言葉は「天才だって熱くなる時はある」だ。いや本当に「カーッ!」である。ちなみに「俺が不器用? 初めて言われたな」や「そうか、こういう状態をスランプと言うんだな」のセリフも同様にお気に入りだ。
 彼の魅力は天才であることも一つであるのは間違いないが,それを鼻にかけるどころか“何でもできてしまう自分”を過大も過小もせず,ありのまま丸ごと受け入れているところではないだろうか。たとえ目の前にどんな運命や障害が待ち受けていたとしても,どっしりと構えてやるべきことをやれる。そういうところが頼もしすぎるというか,「カーッ! 桔梗凛生格好良すぎ」問題なのだ。万浬ではないが,そんな完璧人間が仲間のためにめちゃくちゃ怒る(しかも表面上には出さず)ところも,実にずるいですね……。

白石万浬
イベントストーリー「漢気Carnival」より
画像集#027のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 ちょっとメタな話になるが,Argonavisは「ARGONAVISプロジェクト」の中心となるバンドのため,「ダブエス」以前からボイスドラマやTVアニメなど,多くの関連ストーリーが公開されてきた。したがって筆者も,Argonavisの各メンバー像が「ダブエス」以前からある程度固まっていたのだが,アプリの各ストーリーを経て,一番いい意味で印象が変わったのが万浬だった。この5人のなかである意味もっとも達観したところがあり,頼れる存在というのがより強く伝わってきたからだ。すてきなセリフや場面も山ほどあるのだが,ここではイベストからチョイスしてみた。学祭で共演することになったフウライが出演停止されるかもしれないとなったときに見せた気概は,まさに万浬の“漢気”だったように思う。
 ところでそんなしっかり者の万浬だが,面白いのは彼が長男ではない(上に兄が1人おり,下は弟2人と妹1人)ことだ。こんなにも長男ムーブを見せているというのに……!


Argonavisまとめ


 「ダブエス」に登場する5バンドは皆等しく“物語の主人公”であるけれど,ストーリーのメインポジションという意味では,Argonavisがそれであると言っていいだろう。彼らを描いたストーリーはほかより多いぶん,感じることもたくさんあった。だから限られた文字数ではとうてい語りきれないし,読者それぞれにも想いがあるはずだ。

 けれど今回の記事を書くにあたってストーリーを読み返して思ったのは,Argonavisはバンドそのものや各個人の物語だけでなく,1対1の関係性もまた大いに語りがいがあるな……ということだった。蓮と結人,結人と航海,航海と凛生,凛生と万浬,万浬と蓮,それ以外のどの組み合わせにおいても,胸熱なエピソードに事欠かないのだ(みなさんにもぜひ思い出を振り返ってみてほしい)。

バンドストーリー第1章第4話より
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バンドストーリー第3章第4話より
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バンドストーリー第4章第5話より
画像集#030のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。第4回は,函館の大学生5人で結成されたバンド“Argonavis”を語る

 Argonavisは5バンド中唯一,全員同じ出身地で同い年の共通点を持つ。家族や兄弟のような近い絆という意味では,風神RIZING!が近いかもしれない。だが(全員ではないが)幼いころから一緒にいる彼らにも,年上と年下の関係性がある。Argonavisにも当然リーダーのポジションは存在するけれど,このバンドはあくまでも全員が横並び,五人六脚で進んでいくようなイメージがある。誰が上で誰が下ではなく,あるときは誰かが励ます側に,あるときは励まされた側が逆に相手を助ける役目を担う。お互いがお互いの背中を押してやれるフラットな関係が,Argonavisの魅力の一つではないかと思うのだ。

 Argonavisには「運命」という言葉がよく似合う。物語だからと言ってしまえばそれまでだけれど,結成して間もないバンドがここまで大きなチャンスを掴めるのはすごいことだ。それは彼らの努力の賜物であるのも間違いないが,ひょっとしたら「この道を進むのが運命だったから」かもしれない。

 先ほど紹介が漏れてしまったのだが,イベントストーリー「約束Diamond」のなかで,結人と凛生が過去の出来事を話す場面がある。今まであまり明らかにしていなかったことを打ち明け,2人は自分が相手の「話せる場所」になれたこと,相手は自分の「話せる場所」であることを認識し合う。こういう話を読むたび,「きっとほかのメンバーも同じように感じているんだろうな」と思う。きっとみんなも同じ気持ちだと思うのは,結人のこの言葉にしてもそうだ。

メインストーリーExtra第5章より
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 Argonavisの5人はどことなく波長というか,纏う空気が似ているように感じる。それは同い年だからだけでなく,もしかしたら彼らが「1人では埋められない,悲しみや孤独などを抱えている」共通点があるからかもしれない。一人ぼっちだった過去や,叶えられなかった夢のこと……理由はさまざまだが,そういう部分も丸ごと受け止めて,一緒に旅をしようと誓いあった仲間。そんな5人が出会ったことを「運命」と言わずして何と言うのだろう。

 彼らの物語はまだ始まったばかりだ。「運命」は5人を出会わせて同じ船に乗せたけれど,どこまで行けるのか,どこにたどり着けるかは,この先の彼ら次第なのだと思う。彼らがどこまで遠くへ行けるのか,どんな輝きを掴めるかを,心から楽しみにしている。

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 第5回記事もお楽しみに!

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