インタビュー
[E3 2018]「デビル メイ クライ 5」は「平成最後にして最高峰のアクションになる」。プロデューサーに期待の最新作について聞いた
そんな気になる本作について,プロデューサーの岡部眞輝氏とマシュー・ウォーカー氏に話を聞く機会を得た。その内容をお伝えしよう。
「デビル メイ クライ 5」公式サイト
――Xbox E3 2018 Briefingで発表されたトレイラーはインパクトがありました。会場や配信を見ていた人たちの反応はいかがでしたか?
岡部眞輝氏(以下,岡部氏):
ご覧いただいた方はご存知だと思いますが,最初は何のゲームか分からない始まり方をして,次にカプコンのロゴが出て,バンのネオンサインで“Devil May Cry”の文字が出て,そこで初めて「DMCだったのか」というのが分かる構成になっています。
それで最後に,ダンテがバイクで「ヒャッハー」と言いながら走ってきて「ネロとダンテが帰ってきたんだ」と。そう思ってもらえるようにPVを制作しました。会場でその反応を見ていましたが,カプコンのロゴが出てお客さんたちが「ざわっ」となって,Devil May Cryのネオンサインで一気に爆発するという,狙ったとおりに楽しんでいただけて最高でしたね。
マシュー・ウォーカー氏(以下,ウォーカー氏):
僕は一緒にステージに立つ伊津野さん(DMCシリーズのディレクターを務める伊津野英昭氏)と,バックステージで待っていたんですよ。そこでお客さんの大歓声を聴いて,2人でグッ!(力強く拳を握りしめる)って。
岡部氏:
マット(ウォーカー氏のこと)と伊津野は,3日ほど通し稽古をして,言い回しはこうじゃないなとかって,話し合っていたんですよ。「English is hard. Matt, you do it.」 って言ったところがウケていて良かったです(笑)。
ウォーカー氏:
普通はあんな大きなステージで発表するのは緊張すると思うんですけど,リハーサルもしっかりやったし,もともと私が“恥知らず”だから(笑)全然緊張しなかったんです。やっと発表できることが凄く嬉しかったし,ワクワクしていましたよ。
岡部氏:
伊津野もやはりシリーズに対する思いが凄くあるんで,感動していましたね。
ウォーカー氏:
ホテルにみんなで集合したとき,伊津野さんが感極まっていたんですよ。どうしたんですか? って聞いたら,動画に寄せられたファンのコメントを読んで感動していたって。
岡部氏:
いま開発チームは,本当にピークの状態がずっと続いているみたいな状態なんですよ。それでも,チームのほかのメンバーが日本で朝5時にもかかわらず20人くらい集まってストリーミングで観ていたらしいんです。オリンピックで地元の選手を応援している人たちみたいに(笑)。
やはり,発表できたことは嬉しいですよ。僕はリハーサルで発表するときの演出を見た時点で涙腺が緩みました。
――ゲームの制作はいつごろ始まったのですか。
岡部氏:
制作チームができて3年くらいですが,5の構想自体は4の発売後すぐにありました。
ウォーカー氏:
ちょうど3年くらい前,「DEVIL MAY CRY 4 Special Edition」(PC / PS4 / Xbox One)の開発中に,伊津野さんが企画を考えていたんです。
――過去にNinja Theoryが制作した「DmC Devil May Cry」(PS3 / Xbox 360)がありましたが,今回はカプコンの制作チームが中心となるのでしょうか。
岡部氏:
大阪のメンバーが主体となった,まさにオリジナルメンバーが作る続編です。メンバーを集めるのは大変な面もありましたが,アニメーション担当やモデラー,企画など,すべて含めて,歴代作品に関わってくれているようなメンバーがそろっています。
――本作で目標としているものはありますか。
岡部氏:
RE ENGINEを使って最高峰のアクションを目指すというプロジェクトですから,技術的なところだと,4K60fpsという目標を立て,「どれだけいまのハードの特性を生かしたものを作れるのか」というのがミッションとしてあります。
また,フォトリアルを目指していたので,それを実現するテクノロジーを探して,外部技術者とも協力して,フェイシャルのスキャンや衣装のスキャンを行いました。そこにも「かっこいいキャラクターにしたい」というこだわりがあって,雑誌のモデルなどに協力してもらいました。
――アクションはいかがでしょうか。
岡部氏:
アクションをタイトなものにしなければならないという考えはありました。あと,“アクションの不気味の谷”に陥らないよう,DMCらしい表現や操作を目指しています。それらを達成するためメンバーは日々努力していて,どんどん良くなってきています。
――“アクションの不気味の谷”についてもう少し教えてください。
岡部氏:
銃を取り出すとかしまうといった仕草は,見た目がリアルなのにアニメ的な動きだと違和感が出るんです。
(リアルを目指すと)すべて言い訳が効かなくなる。アニメーションを入れると予備動作が増えてしまうんですが,そうするとアクションとしてのレスポンスが悪くなってしまいます。それらを吸収した上でさらに気持ちいいアクションが楽しめる作品を作る。カプコンならではと自負しています。
ウォーカー氏:
僕が言うことが残っていません。バッチリな説明です(笑)。
――あのトレイラーのようなクオリティの映像で,ゲームを楽しめるということですか?
岡部氏:
はい,そうですね。トレイラーにプリレンダムービーは含まれていません。あのクオリティがそのままゲームとして楽しめるので,そこも感動してもらえるのではないかなと。Xbox One XやPS4 Proの力を十分に発揮させられるようなクオリティを目標に制作しています。
あと“平成最後にして最高峰のアクション”になるということは言っておきたいですね。
ウォーカー氏:
おおっ,言い切るんですね!
――あのトレイラーを観て,期待が高まっているファンがたくさんいると思います。プレッシャーはありませんか。
岡部氏:
それはありません。まず完全に「このチームならできるだろう」というメンバーがそろっていますし,そのための人選であったり技術サポートだったりですから。それが達成できていなかったらDMCにならないので。
ウォーカー氏:
伊津野さんは,ファンの皆さんが何を期待しているか分かっていますし,ファンの気持ちを凄く気にしながら考えています。だからそれを疑ったことはまったくありません。
――あらためて,なぜE3 2018会期中のXbox E3 2018 Briefingで発表したのか教えてください。
岡部氏:
正直,去年くらいから発表しようかというアイデアはあったんですけど,発売日や開発状況を考えた上で良いタイミングだったのが今回でした。「バイオハザードRE:2」(PC / PS4 / Xbox One)と一緒に発表するのが,作品としてもカプコンとしてもインパクトが出て良いだろうという判断もありました。
「バイオハザード2」とDMCって,察する人も多いかもしれませんが,兄弟のようなタイトルでもあるんですよ。兄と弟が大きくなって戻ってきたという感じですね。
――トレイラーでもネロが悪魔の右手「デビルブリンガー」を失うエピソードのような映像がありました。ストーリーや世界観はどうなるのでしょう。
岡部氏:
前作から数年後の世界で,ここに至るまでに色々な出来事があります。それについて多くは語りませんが,なぜネロはこうなったのかということや,パートナーとして登場するニコという女性については,ゲームを進めていくと分かっていきます。
――無くした右手の代わりにつけた義手はなんですか。
岡部氏:
対悪魔用義手型兵装です。なんて名前だっけ,マシュー。
ウォーカー氏:
デビルブレイカー! イエー!
岡部氏:
(笑)。これで悪魔と戦うわけですが,それを作っているのがニコなんです。
ウォーカー氏:
デビルブレイカーは,ガンスミスであるニコが造ったものです。それで移動式便利屋「デビル メイ クライ」で共にいろんなところを回り,悪魔を排除するんです。
――トレイラーでは話し方やタバコを吸う雰囲気が印象的でした。
ウォーカー氏:
バックグラウンドはまだ公開できない部分ですが,なぜこんな性格なのかも伊津野さんがしっかり設定を考えています。
――ニコは特別な力を持つものではなく,普通の人間なのでしょうか。
岡部氏:
人間です。僕の知る限りは(笑)。シリーズに関係している人物とのつながりもありますが……銃工(ガンスミス)の家系の女の子みたいなところでしょうか。
――その義手をつけたネロですが,だいぶ雰囲気が変わりましたね。
ウォーカー氏:
ネットでは「彼の“父親”に似てきた」という声も上がっていますね(笑)。これは伊津野さんが海外でのイベントで話していたんですが,ダンテと比べて若いということが分かるようにしているんです。
岡部氏:
あと,フォトリアルという目標があって,実在のモデルさんを起用したことも影響してますね。彼はイギリス・ロンドンの人で,ヨーロッパのキャプチャスタジオでフェイスと身体,そして衣装を全部作って,それをゲームに取り込みました。
そういえば,少し話が逸れますが,ニコのモデルになってくれた女性が,E3 2018会場前で流れている大手スポーツメーカーの広告に出ていましたね(笑)。
――デビルブレイカーによって,アクションはどう変わりますか。
岡部氏:
トレイラーには,悪魔に「ゴンッ」てやって吹っ飛ばすシーンがありますが,このようにデビルブレイカーはパワフルです。しかし,壊れやすいから大事に使わなければならないというところが重要ですね。
腰にあるカートリッジにストックを装着できるんですが,プレイヤーが好きな順番でセットできます。デビルブレイカーのストックはステージ上にあったり,ニコが届けにきたり,ショップで買ったり,といったように遊びの要素としても面白いと思いますよ。
アクションとしては,4の操作性を引き継いだうえで新たなギミックが加わったという感触です。トレイラーには3つくらいその要素が入っているよね。
ウォーカー氏:
はい。けっこう見せちゃってますね。
岡部氏:
あと,イメージビジュアルにある3人がプレイアブルキャラクターなんですが,「ネロとダンテは分かるが,あと一人は誰なんだ」となりますよね。
実はネロのイメージソングとして公開した「Devil Trigger」のミュージックビデオをじっくり見ると,ちょっとしたヒントが隠されています。見つけたところで何か分からないかも,というものなんですが(笑)。
今後も隠し要素を込めたプロモーションを展開し,それらをつなげることで謎が解けるということをやっていこうと思います。継続的にお付き合いしていただけると嬉しいですね。
――日本のファンにひとことメッセージをお願いします。
岡部氏:
本当にお待たせしました。10年ぶりの最新作として,伊津野とチームのみんなが心を込めて作っている作品なのでご期待ください。
ウォーカー氏:
僕が日本語を勉強しようと思ったのは,もともと日本のゲームが好きで,子供のころからカプコンみたいな会社に入りたいなと思っていたからなんです。DMCはもちろん「CAPCOM VS. SNK」「ストリートファイターZERO」あと「私立ジャスティス学園」が大好きで,それを制作してきた伊津野さんとこうやって共にゲームを作っているって考えると,涙が出るほど感動なんですよ。
岡部氏:
ひとことになってないよ(笑)。
ウォーカー氏:
(笑)。発表のときにファンの皆さんのリアクションを見て,みんなが期待していた作品を出せたのが本当に嬉しくて,ファンの皆さんにもカプコンにも感謝しています。楽しみにしていてください。
「デビル メイ クライ 5」公式サイト
4Gamerの「E3 2018」記事一覧
- 関連タイトル:
デビル メイ クライ 5
- 関連タイトル:
デビル メイ クライ 5
- 関連タイトル:
デビル メイ クライ 5
- この記事のURL:
キーワード
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.