俺のコラボカフェ：Menu 029 「Summer Pockets」の鳥白島風パエリアで青春気分

　4Gamerをご覧のみなさんこんにちは。クッキングエンターテイナーの大西哲也です。さまざまなゲームをテーマにした料理をプロ料理人が本気で作って勝手に発表する「俺のコラボカフェ」。今月もよろしくお願いいたします。

　さあ，今年も夏がやってきました。2021年は猛暑になるかもしれないという予報ですがどうでしょう。私は夏の備えは早めにすべしと，夏をテーマにした恋愛アドベンチャー「Summer Pockets」をプレイしている真っ最中です。何を隠そう，私は「Kanon」時代からプレイしている生粋の鍵っ子（Key作品の熱心なファン）です。Summer Pocketsは，2018年の発売当時からずっと気になっていたんですが，ようやくプレイできて感動しています。


　本作のキャッチコピーは「眩しさだけは、忘れなかった」。

　夏休みの間だけ訳あって離島で暮らし，そこで出会った仲間たちと過ごすなんて，一生忘れない思い出ですね。ノスタルジックにぶっ刺さる，素晴らしいテーマです。まだクリアしていませんが，魅力的なキャラクターたち，Keyならではのギャグを交えたエキサイティングな展開，重厚なストーリーで必ず満足させてくれるでしょう。これから進めていくのが非常に楽しみです。

　好きなシーンは数多くありますが，中でも印象的なのは「鳴瀬しろは」のルートで，彼女が作った「鳥白島風パエリア」を仲間たちと一緒に出店で売るイベントです。アイデアを出し合い，材料を調達し，島の人の協力も受けながら仲間のために一生懸命力を合わせる。何と素晴らしい最高の青春イベントでしょうか。作品に敬意を表して，今回はこの「鳥白島風パエリア」を考察し，現界させたいと思います。

　この料理を作るのに必要な材料は「変な匂いのする魚」「実家から届いたお米」「謎のスパイス」の3つです。

　鳥白島は瀬戸内にある小さな島です。モデルとなった島々を調べてみると，実に種類豊富な海の幸が穫れるようです。その中でも夏が旬の「スズキ」は白身魚ながらもしっかりとうま味があり，パエリアに向いています。そして，独特な匂いがある個体にも時々出会います。魚はこいつに決めた！　しろははかなり料理上手なようなので，きっとスズキのアラを捨てずにスープにしていると予想します。アラには一度塩を振り，茹でこぼして臭みを取った後に30分ほど煮込んでスープをとって使います。

　主人公の実家はおそらく岡山県の本土。実は岡山県は日照時間がとても長く良い米が育つ土地でもあり，「あけぼの」という品種のお米は食感が良く，パエリアにぴったりです。同じく居候しているうみちゃんが作るチャーハンにもベストマッチなお米でもあります。

　そして収集家の祖母の蔵から出てきた「謎のスパイス」は，パエリアにはサフラン，クローブ，パプリカが使われることがあるので，この3種類でいきます。ただ，これだけでは少しさみしいので瀬戸内海名産のアサリと鏡子さんが絞めたニワトリも入れて作っていきましょう。

■材料
米　200g（岡山県産あけぼのを使用しました）
鶏もも肉　100g
アサリ　10個
ニンニク　10g
スズキ　100g
インゲン　4本
オリーブオイル　30ml
スズキのアラのスープ　100cc
白ワイン　100cc
カットトマト　50g
塩　3g
サフラン　3本
クローブ　少々
パプリカ　小さじ半

スープにサフランを入れて漬けておく

フライパンにオリーブオイルを入れて中火にかけ，鶏肉，スズキに焼き色をつけるように炒める

ニンニク，アサリ，インゲンを入れてニンニクの香りが立つまで炒める

白ワインを入れて煮立て，アルコールを飛ばす

カットトマト，スープ，クローブ，パプリカを入れて，煮立たせる

塩で味を整えたら米をそのまま入れる。フライパンをゆすり，具材を米の上に出す

蓋をして弱火にし，15分炊く

蓋を開け，水分を飛ばしながら5分ほど加熱し，周囲に軽く焦げ目がついたら完成

実食

　素晴らしいパエリアが出来上がりました。パエリアは「おいしいスープを吸った米が主役」の料理なので，スズキのアラでスープを取ったのが大正解でした。“滅茶苦茶レベルの高い鍋の締め雑炊”のようでもあります。岡山県産「あけぼの」の硬めの食感も最高で，これから私のお店で普通に使うことにしました。

　正直，小さな島の出店にしておくには惜しい。コンクールに出品できるレベルだと思います。見た目，色，味，米の硬さ，おこげ全て完璧でした（自画自賛）。

　ぜひ巣ごもりのアクセントとして，ソーシャルディスタンスなキャンプのメニューなどとしても作っていただきたいです。


　今回のメニューはいかがでしたでしょうか？　実際に作った人は「#俺のコラボカフェ」「#COCOCORO」といったハッシュタグをつけてSNSに投稿してくれると嬉しいです。あわせて，感想や作ってほしいメニューなどの意見もどうぞ。今回のレシピは「COCOCOROチャンネル」の動画はありませんが，ぜひゲームをプレイしながら作ってみてください。それでは，またお会いしましょう！

■■大西哲也（クッキングエンターテイナー）■■
　あるときは，東京都，西調布にある「料理うまいBAR COCOCORO」のシェフ，またあるときは，「COCOCOROチャンネル」のYouTuber，しかしてその実体は……，料理を通じて多くの人を喜ばせたいと日々奮闘する，クッキングエンターテイナーだ！　久々にKeyのゲームをプレイして感動しているシェフだが，「Harmonia」も「Angel Beats! 1st beat」もまだプレイしていないそうで，しばらくは楽しみが続くと喜んでいる。

※次回の掲載は2021年7月24日を予定しています