「龍が如く5」で語られた「ホルモンは焼かれてこそ価値がある」を試してみた。俺のコラボカフェ：Menu 046

　4Gamerをご覧の皆様こんにちは。クッキングエンターテイナーの大西哲也です。様々なゲームをテーマにした料理をプロ料理人が本気で作って勝手に発表する「俺のコラボカフェ」。今日もよろしくお願いします。

　本連載ではゲームに登場する料理のレシピを紹介することが多かったですが，今回は少し趣向を変えて，ゲームで語られている料理を検証してみようと思います。記念すべき第1回は，「龍が如く5　夢，叶えし者」で登場人物の真島吾郎と冴島大河が焼肉屋で語り合うホルモンについてです。ゲームをプレイしていなくても，このシーンは知っているという人も多いのではないでしょうか？

冴島：肉は焼き過ぎたら硬なってもて食えたもんやない せやけどホルモンはちゃう 焼かれてこそ価値があるんや

真島：あぁん？

冴島：焼かれて焼かれて､真っ黒なるまで焦げて､脂落として味磨くんや

真島：おぉ､旨い

〜中略〜

冴島：そや。せやから俺らはもっと焼かれなアカンねん。焼かれてへんホルモンは，ただのゴミやからな。ゴミは焼かれて焦げて真っ黒なって，そんで初めて意味がある。極道はそんな当たり前のことも忘れてしもた。

　そのシーンをざっくりと抜き出すと，こんな会話が二人の間で交わされています。ここで登場する「黒焦げのホルモン」が本当においしそうで，見ると焼肉屋に行きたくなること請け合いです。

　私もプロ料理人のプライドがありますので，焼肉屋だろうが，プライベートのバーベキューだろうが，お肉を焼くときは常に本気の全力投球です。そして私は，肉もホルモンも「表面に適度な焼き色をつけ，中心温度は65℃くらい」を目指して焼くので，冴島の理論とはかなり異なります。そんなわけで，冴島の理論にはとても興味がわきます。これはぜひとも実践して，プロの目線で徹底検証しなければということで，早速このモデルになったといわれる東京都内のとある焼肉屋さんへ行ってみました。


　注文して出てきたのは，大変おいしそうなホルモンです。ホルモンの部位も色々ありますが，これはおそらくシマチョウでしょう。牛の大腸の中でも脂がとくに多く，柔らかい部位です。
　まずは，いつも通りに焼いてみます。皮面にしっかり焼き色をつけ，脂はほどほどでいってみましょう。


　「うまい」。最初に脂の濃厚なうま味が口に広がり，その後は噛みしめるほどに皮面からもうまみが感じられます。ビールが進みますね。

　続いて，冴島流を試してみます。「焼かれて焼かれて，真っ黒なるまで焦がし，脂落として味を磨きます」。


　こんな感じでしょうか。それでは食べてみましょう。これは……なかなかいけます！

　脂が落ちている分，しつこさが減り，うまみが凝縮されています。さらに焦げが生み出す苦味が濃厚な脂とマッチして最高です。たとえるなら，皮をバリッと焼いた関西風の鰻のようなうまさです。これは知らなかった。タレをつけてもうまいですね。みなさんも焼肉屋さんやBBQで，ぜひとも試していただきたいです。
　ただ，冴島も「早よ食べんと，燃えカスになってまうやろが。いくらゴミいうてもカスになってもうたら意味ないねんで」と注意喚起をしているので，焼き過ぎには気をつけましょう。

実際のところ，私にとってはこれくらいが良いあんばいでした

　「おい姉ちゃん！　特上ホルモン追加3人前……あっいやいや，10人前や！　早よ持ってきぃ！」と気合を入れる真島たちのように，ホルモンをガッツリ焼いて明日からのお勤め（？）をがんばりましょう。


　今回のテーマはいかがでしたでしょうか？　面白いと思ってくれたり，実際に試してくれた人は，「#俺のコラボカフェ」「#COCOCORO」といったハッシュタグをつけてSNSに投稿してくれると嬉しいです。

　それでは，またお会いしましょう！　したっけ！

■■大西哲也（クッキングエンターテイナー）■■　
　あるときは，東京都，西調布にある「料理うまいBAR COCOCORO」のシェフ，またあるときは，「COCOCOROチャンネル」のYouTuber，しかしてその実体は……，料理を通じて多くの人を喜ばせたいと日々奮闘する，クッキングエンターテイナーだ！　極道の料理といえば，「すき焼きの割り下にブランデーなど」といったレシピもあるそうです。とても興味深いので，これからも危険がない程度に調査を進めていきたいと思います。

※次回の掲載は2022年12月24日を予定しています