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KONAMIが開校する「esports 銀座 school」オープンキャンパスレポート。凝縮したカリキュラムでeスポーツの人材育成を目指す
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印刷2020/01/14 20:32

イベント

KONAMIが開校する「esports 銀座 school」オープンキャンパスレポート。凝縮したカリキュラムでeスポーツの人材育成を目指す

 2019年1月11日と12日の2日間,東京・銀座の「コナミクリエイティブセンター銀座」にて,まもなく開校予定の「esports 銀座 school」のオープンキャンパスが開催された。本稿では,その2日目に行われた模擬授業の模様をお伝えする。「ウイニングイレブン」シリーズのプロプレイヤーで,スクールの講師も務めるchip選手ちょぶり選手,MCの森 一丁さんが登壇し,トークイベントを繰り広げた。

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「esports 銀座 school」公式サイト



充実した設備と講師陣がウリの「esports 銀座 school」


 新たにオープンした「コナミクリエイティブセンター銀座」。その中に設けられたスクールの入口では,映像によるバーチャルアイドルの出迎えが。スクール関係者の話では,これは生徒とのコミュニケション活性化施策の1つとのこと。スクールのカリキュラムには,動画の作成や編集といったものも含まれているそうで,卒業生のキャリアの一つとして,VTuberやストリーマーといった方面での活躍も期待しているという。

 オープンキャンパス前の待機場所になっていたのは,座学などを行うために作られた「講義ルーム」だ。机がなく,椅子も自由に移動できる方式で,壁から突き出した円形の大きなスペースには,複数人が座れるよう座布団も用意されていた。これは“生徒の創造力を刺激する”ことを目的に,楽しく講義が受けられる内装づくりを目指したものだとか。

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 一方,「実技ルーム」には,ゲーム用のPCやゲーミングチェアがずらりと並べられ,さらには前方の壁一面に大型ディスプレイが設置された,いかにもな空間となっている。ここは実機を使ったカリキュラムで使用される部屋とのことで,チーム戦における複数のプレイ画面を同時に収録/再生できる設備や,アイトラッキングを使った分析なども行えるとのことだった。

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 今回のお披露目イベントのオープニングには,まず「ウイニングイレブン」シリーズで活躍する,eスポーツチーム「野良連合」のchip選手とちょぶり選手が登壇。森 一丁氏の進行のもと,トークセッションが行われた。

 両選手の「ウイニングイレブン」との出会いや,プロになろうと思ったきっかけ,アマチュアとプロの差についてなどをテーマに,それぞれがeスポーツ対する思いが語られた。またスクールのカリキュラムへの所感や,プロになるための道筋,さらにはプロになったことで生活環境がどう変わったか,国内外のeスポーツシーンについてなど,話題はさらに広範に及んでいく。
 中でも筆者が印象的に感じたのは,両者が「野良連合」への所属を決めたきっかけが,このスクールの講師募集だったというエピソードだ。トーク終了後,詳しく話を聞いてみた。

4Gamer:
 「野良連合」が講師を募集していることで所属を決めたとのことですが,経緯を詳しく聞かせてください。

chip選手
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chip選手:
 ほかのプロチームからも声を掛けられましたが,そちらはチームに入るメリットが,あまり明確ではありませんでした。「野良連合」からのオファーにはスクールの講師が含まれていて,そこに興味を持って詳細をうかがうことにしたんです。元々誰かに教えたり,コーチングしたりするのが好きだったというのもあります。

ちょぶり選手:
 chip選手と同じく,メリットの部分ですね。僕は元々少年団でサッカーをずっとやっていて子供達に教えていたことがありました。「ウイニングイレブン」でも自分のスキルを誰かに教えらることに魅力を感じたんです。

chip選手:
 もちろん「野良連合」に所属できるだけでも大きなメリットですが,自分が好きだったことと合致したのは大きいですね。

4Gamer:
 実際に講師になるにあたり,自信のほどはいかがですか。

chip選手:
 講師としての活動は初めてですが,仲間内でコーチングをすることはこれまでにもありました。人に教えること自体は得意なので,あまり心配はしていません。

ちょぶり選手
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ちょぶり選手:
 先ほどお話ししたように,サッカーのコーチをしていた経験があるので,活かせるかなと思っています。

chip選手:
 ただ,今回は個々人に教えるのでなく,1クラスを見なければなりません。受講生一人一人のスキルや,やりたいことにも違いもあるはずなので,そこをどう合わせていくかは考えるところですね。

4Gamer:
 受講を検討している人へのメッセージ,あるいは受講にあたっての心構えなどがあればお願いします。

chip選手:
 将来的に世界で活躍するレベルにいきたいのであれば,生半可な気持ちではなく,覚悟を持って来てほしいですね。

ちょぶり選手:
 「ウイニングイレブン」に限らず,eスポーツに本気で関わりたいという人が来てくれると思うので,僕らもそれに全力で応えられるように頑張りたいと思います。


1年間に凝縮されたカリキュラム


 トークセッションに続いては,同校にて主幹を務める根岸 豊氏から,具体的なカリキュラムの説明が行われた。

根岸 豊氏
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 カリキュラムは“セルフプロデュース”“コミュニケーションスキル”“eスポーツビジネス”の3つの柱を軸に構成され,実践的な模擬大会といったプレイスキルのみならず,自己管理やマナー,英会話といったさまざまな能力を養うものになるという。
 また大会の企画運営や動画の編集・配信といった裏方の分野までカバーし,プレイヤーやストリーマーのみならず,大会企画・運営を行うプランナーや実況・解説者,チームマネジメントに関わるトレーナーやコーチ,さらにはゲーム制作などのeスポーツに携わる人材を幅広く育てていくのが狙いだという。

 コースとしても,月〜金の4時間を費やし,専門学校のように1年を通してじっくり学ぶ「MAX WORK」と,ダブルスクールや社会人向けに,短期集中で夜間と土曜日に受講できる「SELECT WORK」が用意されている。
 講師陣にはeスポーツ選手を始め,社会人向けにマナーなど教えている講師や,映像ディレクター,イベントプロデューサー,バイリンガルの英語講師など,各分野のプロフェッショナルが担当する予定とのこと。

 今回のイベントでは,“セルフプロデュース”を担当する講師として,トークセッションで司会を担当した森さんが,実際の講義の一部を披露した。プロフェッショナルの在り方や,タレントとしてのスキル,パフォーマンス能力やプロデュース能力など,森さんが提唱する独自の法則を使った説明が行われ,わずか15分ほどだったが,グイグイ引き込まれる内容となっていた。

森 一丁さん
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 根岸氏にほかのeスポーツ専門学校との違いや本校のウリについて聞いてみると,ほかのスクールにはない設備や,eスポーツに力を入れている「KONAMI」が運営であるためノウハウの蓄積があるという点,さらに講師陣が各分野で活躍している一流のプロであること,また最大でも1年間という凝縮したプログラムがメリットと語っていた。
 カリキュラム説明の終了後,校長を務める大田良彦氏への質疑応答が行われたので,以下にその模様を掲載する。

――eスポーツの専門学校はほかにもありますが,参考にした部分はありますか。

大田良彦氏(以下,大田氏):
 開校するにあたり色々と調べましたが,「ゲームがうまくなればいい」という教え方をしているところが多いと感じました。でも,それって結局本人の努力次第なので,教えることはできないんですよ。

――ゲームの上達を目指すだけでは意味がない?

 ええ。例えば残念な話ながら,プロゲーマーはマナーの悪さが取り沙汰されることが多いと感じます。そこはちゃんと教育しなければならないので,本校では座学を取り入れました。
 また上達という部分についても,環境を整え,時間を与えて自習を頑張らせるだけではダメだと思います。本校では設備としてアイトラッキングを導入していて,上級者と自分で何が違うのかを,しっかりと考えさせるようにしています。

――カリキュラムの説明では,講師陣の充実が語られていました。

大田氏:
 退屈な授業にはしたくないと思っているので,先ほどの森さんのように,受講者を惹きつける講師陣を集めています。カリキュラムにはかなり自信を持っていますし,とにかく,しっかり教えていきたいと思っています。

――卒業後のサポートはどうなっていますか。

大田良彦氏
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大田氏:
 正直に言って,「就職までサポートします」といったことはお約束しません。なぜなら,本校のカリキュラムは最大で1年だからです。4月に入学した人が就職しようと思うなら,すぐにでも就職活動を始めなくてはならないですし,反対に個人のスキルや将来設計が定まる頃では,もう遅いわけです。ですから就職先を紹介するようなことはできません。
 ただ講師の皆さんは,各分野の最前線にいる人達ですので,本人の頑張り次第では,相談に乗れることもあるかと思います。そこは親身に耳を傾けたいですね。

――将来的な展望として,地方での分校開設や,ネットを使った授業配信などは考えていますか。

大田氏:
 eラーニングも検討はしましたが,現時点では考えていません。我々は“セルフプロデュース”を始めとした座学を重要視しているので,eラーニングはちょっと違うのではないかと。分校などはニーズ次第ですが,このスクールが成功するようなら,そういった方向への発展もありえると思っています。

――まずはビジネスとして成り立つかどうかを見極める,ということでしょうか。

大田氏:
 教育ビジネスでお金を儲けよう,とは思っていません。メーカーの立場でいうなら,ここからeスポーツを盛り上げる人材が育っていくことがゲーム業界全体の底上げにつながり,それが結果的に我々の利益になるという考えです。

――スクールそのものは赤字でも構わない?

大田氏:
 ほとんど赤字に近いと思います。正直,教育ビジネスはそんなに儲かるものではないですから。ウチは本業が別にありますし,学校法人でもないので,生徒を必死で集めたり,去って行く生徒を引き留める努力は必要ないわけです。
 むしろ一番重視しているのは,いかに参加者を満足させられるサービスを提供できるか,という部分ですね。せっかく受講してくれたのだから,エンターテイメント企業として,面白いと喜んでもらえる授業を提供したいと考えています。

――「MAX WORK」にあって「SELECT WORK」にないカリキュラム,またその逆もあるようですが,今後変わっていくことはありますか。

大田氏:
 まだ開校前なので分かりませんが,「MAX WORK」は1年間なので,すぐに変えるのは難しいかもしれません。一方,「SELECT WORK」はサイクルが短いので,ニーズのある/なしに応じて短期間で変えていけるかなと思っています。

――こういった学校は家族の理解が得られるかも重要だと思いますが,その点はどうお考えですか。

大田氏:
 今回のオープンキャンパスにも,お子さんのために見学に来たという親御さんもいらっしゃいました。茨城国体でeスポーツが導入されたりで,そうした場で子供の活躍を応援する家族も少なくありません。我々の世代では,安定した人生が送れる公務員のような選択肢がもてはやされましたが,今は子供が好きなことに挑戦するのを応援する風潮になってきていると感じます。

――家族の反対は,あまり心配していないということしょうか。

大田氏:
 そうですね。それに最長で1年という凝縮したカリキュラムも,周囲の理解を得やすい要素だと思っています。これが3〜4年となると,「ダメだったらどうしよう」という不安もあるでしょうが,1年なら向いてないと分かった時点で道を変えられます。そこでもっと勉強したいとなるなら,我々も全力でサポートしますので。

――最後にこのスクールの受講を検討している人に向けて,メッセージをお願いします。

大田氏:
 とにかく楽しい授業が受けられる学校です。もし高校,大学の授業が楽しくなかったとしても,ここに来てもらえたら楽しく勉強できると思います。また一般向けの特別授業も企画中でして,こちらは同じビル内にある「esports 銀座 studio」という施設を使い,何か面白いことができればと考えています。ぜひ楽しみにしていてください。

――ありがとうございました。

トークセッション後は,会場に訪れていた一般参加者も交えてプロゲーマーのお二人が「ウイニングイレブン2020」のデモプレイを披露。来場者との対決はハンデを加えての試合だったが,両者とも見事な勝利を収めていた
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 eスポーツを推進するメーカーが運営するスクールということで,採算度外視な側面があることは,ある種納得のいくところだろう。個人的には「SELECT WORK」に含まれる“セルフプロデュース”や“コミュニケーション”,“ビジネスマナー”など他にも活かせるカリキュラムにも魅力を感じた。
 まずは1年目のスタートとなるわけだが,どれだけの受講生が集まるのか,そしてどのように評価されていくのか今後に注目していきたい。

「esports 銀座 school」公式サイト

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    eFootball ウイニングイレブン 2020

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