インタビュー
ソル=バッドガイの物語がついに完結――。「GUILTY GEAR -STRIVE-」の開発を務める石渡太輔氏&片野アキラ氏インタビュー
今回4Gamerは,ゼネラルディレクターの石渡太輔氏と,開発ディレクターの片野アキラ氏に話を伺う機会を得た。発売を間近に控えた今の心境や対戦バランスへの言及,演出や音楽,ストーリー展開など気になる質問をぶつけてきたので,ぜひ読み進めてほしい。
「GUILTY GEAR -STRIVE-」公式サイト
過去シリーズを踏襲せずに「GUILTY GEARらしさ」を提供したい
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。6月11日の発売まで1か月を切りました※。現在の心境を聞かせてください。
※インタビューの実施は5月18日
石渡太輔氏(以下,石渡氏):
ふつうであれば開発も終わって,「どうぞみなさん遊んでください」といった心境になると思うんですが,我々にとって発売日は終わりでなく,始まりのタイミングになるのかなと思います。まだまだこれからといった心境ですね。
片野アキラ氏(以下,片野氏):
第2回オープンβテストを実施した時期(5月14日〜16日)から察していただけると思いますが,現在も開発,検証を進めています。もちろん,発売したあとも運営は続けていきますが,ひとまずはフルパッケージのゲームとして発売日にユーザーの皆さんに納得していただけるものを提供できるようがんばっています。
4Gamer:
本作は4月9日に発売予定でしたが,6月11日に発売日が延長されました。延期の理由について詳しく聞かせていただけますか。
石渡氏:
一番大きかったのは,ネットワーク周りの処理や仕様部分について,多数のご意見をいただいたからです。それらの要望に応えるためにはある程度の時間が必要でした。
4Gamer:
対戦バランスへの意見を受けてということはなかったのでしょうか。
片野氏:
もちろん,そういった側面もあります。オープンβテストは我々も配信などでさまざまなプレイヤーの動きを見させていただいていますし,たくさんのご意見もいただきました。より理想とするものを目指すためにも必要な措置だったと思います。
4Gamer:
5月14日には第2回オープンβテストが実施されました。こちらはプレイヤーからの反響はいかがでしたか。
石渡氏:
一言で言ってしまうと賛否両論。それが第1回よりも顕著でした。
4Gamer:
開発者視点ではいかがでしょうか。
片野氏:
発売前にあらためてオープンβテストを実施した意味はあったなと感じています。オンライン周りですと,第2回でもサーバーエラーが起こってしまい,プレイヤーのみなさんには迷惑をかけてしまったのですが,発売前に原因が確認できて,それを修正対応できたのは大きかったと思います。
また,対戦周りでは,第1回から第2回にかけて根本的な部分から変更した要素がいくつかありました。それらについて,プレイヤーからプラス,マイナスの意見どちらもありまして,発売日にどういった調整で提供するか。あらためて検討する機会を得られたのはよかったと感じています。
4Gamer:
自分も第2回のオープンβテストで遊ばせてもらいましたが,バトルバランスの面で第1回からかなり極端な調整を施してきたように感じました。あれは意図的に極端にしたものなのでしょうか。
片野氏:
意図的と言ってしまうと,少し語弊があるかもしれません。ただ,製品版だとここまで極端にしないだろうというところまで調整した部分は,正直ありました。
4Gamer:
そうなってくると,製品版では第2回オープンβテストから結構な調整が加えられる可能性もあると。
片野氏:
そのままの状態で発売するわけにはいかないというのが現時点の認識です。第1回,第2回それぞれの内容とフィードバックをすべて分析したうえで,最終的な製品版を目指して,ぎりぎりまで調整を続けていきます。
4Gamer:
ちなみに第1回終了の時点でもっとも多かったプレイヤーからの要望はなんでしたか。
石渡氏:
もっとも多かったのはロビー周りですね。
片野氏:
ロビーが使いづらい,対戦しづらいという意見がほとんどでした。開発チームも改めてユーザー目線に立ってβテストに参加し,皆さんと同意見でしたので,発売までに根本からの修正見直しが必要だと感じました。
4Gamer:
バトルバランスの面では,第1回のテストで空中アクションが強すぎるという意見が多くありました。第2回のテストではそれを受けてか,ジャンプの飛距離を短くしたり,空中アクション後に着地硬直を付けたり,対空攻撃を強くしたりと,かなり極端に調整を入れていたような気がします。
片野氏:
先ほども伝えましたが,かなり極端に調整を入れたのは確かです。
4Gamer:
実際にプレイしたところ,前回と比べると空中アクション周りの自由度が下がってしまったようには感じました。
片野氏:
はっきり言って窮屈でしたよね。我々もそこは同じように認識しています。ユーザーからのフィードバックを分析したうえで,どこを着地点にするかを現在,見定めています。
石渡氏:
アクション面の不満については,我々もこういった声は出るだろうというのは想定していました。ただ,気付かない何かが見えてくる可能性もあったため,今回は大きく舵を取ることにしたわけです。
4Gamer:
文字通りテストだったわけですね。ちなみに過去の「GUILTY GEAR」シリーズは空中戦が主体のゲームであったように思います。その部分をあえて下げてきたということは,地上戦も重視したいという考えがあるのでしょうか。
石渡氏:
遊び方は自由ですので断定はしませんが,そう考えてもらっていいと思います。これまでの「GUILTY GEAR」は自由な空中戦が魅力であるとともに,そこでの難度が高すぎたのが問題のひとつでもありました。新規のプレイヤーが入ってくるには難しすぎるという認識です。
空中戦を含む操作の難しさ,コンボの長さなど,新規プレイヤーに向けてある程度作り変えて緩和する必要がありました。それらを総合的に見直した結果が,今の形というわけです。ただ,勘違いしてほしくないのは,難しい部分をシンプルにしたからといって,格闘ゲームとして簡単になったわけではありません。行動に対するリスクが上がっているので,駆け引きの部分ではよりシビアなゲームになったと思いますよ。
片野氏:
階段の1歩目,触り心地は手に取りやすく,遊びやすくしたいとはずっと考えていますが,ゲームデザインとして簡単にするという考えはあまりありません。これまでのシリーズとは違った難しさやシビアさ,それらを総合した「GUILTY GEARらしさ」を提供できればと思い,デザインしています。
空中戦の話もそうでして,別にジャンプをさせたくないわけではないんです。「GUILTY GEAR」ならではの空中行動を生かした自由な駆け引き,テクニカルさは提供したいと考えています。ただ,過去作がこうだったから今回もそうあるべきといった考えではないというわけです。
バランスは「ワイルド調整」。強弱でなく面白さを重視
4Gamer:
キャラクターの調整についても聞かせてください。全体的な調整の方向性や指針はあるのでしょうか。第1回から第2回のテストですと,わかりやすく調整されたのはポチョムキンで,結構な要素が弱体化したように感じました。
片野氏:
調整についてですが,まずそのキャラの強み,魅力,フィーバーポイントを大事にしています。例えば本作のポチョムキンはコマンド投げのポチョムキンバスターが過去に類を見ないほど大ダメージを与えられるようになっています。この部分は前回のテストからも変更はしていません。
石渡氏:
過去作のポチョムキンもそうでしたが,投げキャラでありながら,投げなくても強いというのがありました。ですので,その部分を再構築して投げキャラとしての魅力を押し出していくようにしています。
4Gamer:
投げキャラに魅力を感じる人であれば,投げ技に魅力が詰まっているのはうれしいポイントでしょうね。ちなみに調整をするうえで,その使い手が求めているであろう要素を意図的に加えていくといった考えはあるのでしょうか。
片野氏:
いえ,本作では新しいスタートラインを提供するというところもあるので,できるだけ意識しないようにはしています。正直に言ってしまうと,まったくないとは言い切れないんですけど。ただ,使い手という言葉が指すのは結局,過去作を遊んできたプレイヤーになりますので,そこに意図的に寄せるのではなく,新しいコンセプトを用意して,武器や弱点を設計することに重きを置いて作っています。
石渡氏:
過去の作品では,遠距離キャラなのに実は接近戦が強い,投げキャラなのに打撃が強いといった,矛盾が生じるようなこともありました。本作から始める人が混乱してしまわないように,我々とプレイヤーが考えるキャラクターコンセプトを合致させられるように開発を進めています。
また,以前から「ワイルド調整」という言葉を使っていますが,調整するにあたっては,強い弱いという部分よりも「面白いか面白くないか」といった部分に重きを置いています。尖っている部分はとにかく尖らせて,そのぶん落とすところは落とすと。対価を得るような形です。
片野氏:
石渡が言うように最終的にはバランスよりも面白さを第一に考えています。ですので,キャラクターの魅力や武器を削るようなことはあまりしたくない。また,全体を強化するアッパー調整が望まれることも多いですが,強くした結果,なんでもできてしまうキャラクターがたくさん生まれるのは正しいとは思っていません。
しかし,過去作ではシリーズが進むにつれて,結構なキャラが万能になってしまうということがありました。歴史の長いゲームなので,弱点を補う要素が追加されることも多かったためです。
石渡氏:
なんでもできることが,プレイヤーの個性につながるという側面もあったわけですが。
片野氏:
良し悪しは置いておいても,そうであったという歴史的事実を受け止めて本作ではどうするか,というのが調整のスタートラインでした。
4Gamer:
ネットコードの話も聞かせてください。本作では,アーク独自のロールバックネットコードが採用されています。第2回オープンβテストでの開発側の手ごたえはいかがでしたか。
片野氏:
まったく問題がなかったわけではありませんが,大枠としては非常にいい結果が得られたのかなと思っています。とくに海外のプレイヤーからは非常にポジティブな意見をいただけています。これまでディレイ方式に不満があったプレイヤーが多かったのかもしれません。
石渡氏:
アメリカには国土内で時差が4つもありますからね。
片野氏:
日本とブラジルで快適に,とまではいきませんが,例えば日本と韓国や,アメリカの国土内であれば快適な対戦が楽しめるくらいまでにはなりました。開発として大きな手ごたえを感じています。
4Gamer:
ロールバックネットコードであれば遠隔地でのオンライン対戦イベントも実現できそうです。例えば,アーケード全盛期に実施されていた地域対抗戦など実施しても面白いかもしれません。
石渡氏:
今の若いプレイヤーは地域対抗戦があったということも知らないと思うんですよ。自分たちはアーケード畑出身なので,アーケードの文化をもっと知ってほしいという気持ちはあります。
片野氏:
昔,我々がゲームセンターで実施していたイベントの良さ,熱量,楽しさは新しい世代にも必ず伝わるし,伝えていかなければならないと考えています。これはもう格闘ゲーム全般のイベントに言えることです。昔から格闘ゲームをやりこんでいた人しか知らないコミュニティの文化や良さはたくさんあると思っていて,それらをまだ新しい世代に伝えきれていません。格闘ゲームが持っている魅力を新しい形で届けていきたいですね。
シーズンパスでは完全新規のキャラクターを含む5人が追加に
4Gamer:
続いて,キャラクターについて聞かせてください。第2回オープンβテストでは15キャラクターが使用できましたが,これがローンチ時の全キャラクターになりますか。
石渡氏:
その通りです。
4Gamer:
闇慈は「GUILTY GEAR XX」シリーズ以来の参戦となりました。開発当初から闇慈は登場する予定だったのでしょうか。
石渡氏:
いえ,あくまでも候補の中のひとりでした。どの作品でもそうなんですが,最後の1枠あたりになると,キャラクターは悩み続けて決まりますね。
片野氏:
闇慈については,「GUILTY GEAR Xrd」シリーズで登場しなかったキャラクターから出すべきだろうという話がありまして,そこで決まったことを覚えています。
石渡氏:
本当はもっとたくさんのキャラクターを出したいんですよ。格闘ゲームってキャラクターが多ければ多いほど楽しいじゃないですか。そういう意味では早く新しいキャラをみなさんに提供したいですね。
片野氏:
シリーズに登場したキャラクターはすべてそろえたいという気持ちはあります。毎回のことなのですが,お待たせしているキャラクターのファンの方には申し訳ないと思っております。
4Gamer:
15キャラクターの中でもっとも選出に悩んだキャラはだれになりますか。
石渡氏:
はじめに初代「GUILTY GEAR」の初期キャラはまず出したいという話がありまして,9キャラ埋まりました。以降の6キャラはどのキャラもかなり悩んだので,だれが1番とかはなかったと思います。
4Gamer:
レオやラムレザルは「GUILTY GEAR Xrd」シリーズからのキャラクターということもあり,参戦に驚いているファンもいました。
片野氏:
「GUILTY GEAR Xrd」から遊んでくれている人のためにも,代表するキャラクターであるラムレザルかエルフェルトのどちらかを初期から出そうと思っていました。今回はラムレザルが選ばれた形ですね。
石渡氏:
「GUILTY GEAR Xrd」ファンのためにも,まったく別物にするのでなく,認知されているキャラクターをしっかり出してあげたいという気持ちがありました。ただ,実はレオはそんなに悩みませんでした。なぜなら自分が出したかったから。
片野氏:
ストーリーモードを実装することが決まっていたので,ストーリーに登場するキャラか否かというのは,キャラクター選考にある程度影響しましたね。対戦とストーリーでコストは違いますが,同じキャラクターモデルをベースにしますので,ストーリーに出るキャラクターを何人かプレイアブルにしたいという話は出ていました。
石渡氏:
そもそもストーリーで活躍するキャラクターが使えないことに少し違和感もありますしね。
片野氏:
そういう意味ではレオはストーリーにかなり絡んでくるキャラクターではあります。
4Gamer:
石渡さんと片野さんのお気に入りのキャラクターはだれになりますか。
片野氏:
名残雪です。ビジュアルも性能も気に入っていて,自分がプレイヤーなら間違いなく使っていますね。
石渡氏:
自分は今回はソルになります。わがままを通せる仕上がりになっていて,キャラクターの設定と性能がマッチしている手ごたえを感じています。
片野氏:
全キャラクターがそうなんですが,これまでのバトルイメージを一度捨てて,あらためてソルらしい戦い方は何かと考えた結果,今の仕上がりになりました。本作のキャラクターはそれぞれ得意とする状況があって,その状況に持ち込んだら,多少理不尽とも言える強さを発揮できるようにしています。
4Gamer:
先ほど片野さんは名残雪が好きとおっしゃっていましたが,名残雪はラッシュ性能が高く,そのイメージがぴったり合っているような気がします。
片野氏:
強烈なラッシュを仕掛けられるタイミングと,それ以外の弱点というのがわかりやすいキャラではあるかもしれません。ただこれは名残雪だけでなく,全キャラクターで意識していることではあります。得意な状況をキャラクターごとに個性として用意できれば,いろいろなタイプのキャラが戦う格闘ゲームとして成立しますよね。もちろんキャラ相性が出ることもありますが,そこは無理やり平たくする必要はないと考えています。
4Gamer:
先日実施された人気投票では国内外すべての地域でラムレザルが一番人気でした。
石渡氏:
あれは正直すごく意外でした。
片野氏:
ラムレザルが1位を独占していましたが,ジオヴァーナと名残雪も上位でした。「GUILTY GEAR」シリーズの人気投票はいつもソルやカイといった主要キャラが上位にきているので,「GUILTY GEAR Xrd」以降に参戦したキャラが上位に選ばれるようになったのはとても興味深いことです。
4Gamer:
新キャラクターのデザインについて聞かせてください。名残雪やジオヴァーナはどのようなコンセプトから生まれたキャラなのでしょうか。
石渡氏:
名残雪はストーリーからビジュアルが先行して浮かんできました。頭の中に浮かんだものをそのまま描いたと言いますか,勝手に筆が走りましたね。
逆にジオヴァーナはとても苦労しました。大統領特別警護官という職業のため,奇抜すぎるデザインにはできず,ある意味で「GUILTY GEAR」らしくないキャラクターに落ち着きました。人気投票で上位に食い込んできたのはうれしい誤算でしたね。
4Gamer:
デザインについて,キャラクターの設定からビジュアルが生まれるのでしょうか。それともその逆のパターンもあるのでしょうか。
石渡氏:
それはもうケースバイケースです。設定ありきで生まれることもありますし,こんな見た目のキャラクターが欲しいから設定を練ろうという場合もあります。例えば,ジオヴァーナに関しては,ワイドパンツを履いた独特のシルエットが特徴的ですが,これはジオヴァーナのイメージが出来上がる前から浮かんでいました。
片野氏:
特定のシルエットやアクションをかっこよく見せるにはどうするか,というのは我々のチームが常に考えていることかもしれません。名残雪で言えば,達人としての刀の所作をかっこよく表現したいというのは強くありました。
石渡氏:
刀についた血を飛ばす動き――血振りと呼ばれる所作があるんですが,我々であればこの動きをかっこよく再現できるだろうと。
片野氏:
今のチームは独特で,そういった話が最初にくるんですよ。血振りをかっこよく見せたいからこういうモーションを実装しようといった流れです。ほかのチームではこういうのはあまり見られませんね。
4Gamer:
旧キャラクターではファウストのイメージが大きく変わりました。
石渡氏:
そもそもの考えとして,すべてのキャラクターをイメージが損なわれない程度に刷新しようというのが根っこにありました。ファウストはコミカルなアクションが特徴のキャラクターですが,そのネタ元は日本人にしか通じないものも多い。グローバルで展開していくのに,まだドリフでいいのかみたいな部分はありました(笑)。彼のイメージとバックボーンが面白く生きる形にした結果,今のビジュアルになったわけです。
4Gamer:
キャラクターに関しては,最初のシーズンパスで5人追加されるとの発表がありました。こちらはどの程度のスパンで追加されていくのでしょうか。また,追加されるキャラクターは完全新規,旧作からの参戦どちらを予定していますか。
片野氏:
発売までに具体的なキャラクター名は出せませんが,追加時期は発表する予定です。すでに5人も決まっていて,なるべく早い時期に出したいと思っています。
石渡氏:
5人の中にかならず完全新規のキャラクターを1人以上追加するようにはしています。
初代「GUILTY GEAR」から始まったソルの物語が完結
4Gamer:
「GUILTY GEAR」シリーズといえば,楽曲やBGMも高く評価されています。本作でもそれらは石渡さんが担当しているのでしょうか。
石渡氏:
ストーリーモードのBGM制作はほかの方に任せていますが,格闘ゲームパートのボーカル曲はすべて自分が作曲しました。
4Gamer:
作曲するうえで意識している部分はありますか。
石渡氏:
本作では前まで意識していたことを捨てています。昔はこの曲が戦闘中に流れると,エモーショナルなシーンになるだろうとか考えていたんですが,そこをあえて意識していないんです。重視したのはキャラクターのバックボーンで,彼らのドラマを従来よりも色濃く投影しています。
片野氏:
今回は歌詞も含めて,キャラクターのテーマが強くフィーチャーされています。現時点では一部分しかみなさんに公開できていないので,ぜひ楽しみにしていてください。
4Gamer:
お気に入りの楽曲はだれのものになりますか。
石渡氏:
ラムレザルの楽曲がかなり好きで,この曲をアルバムのタイトルにすると決めています。彼女は“必要な無駄”を認識しているキャラクターで,それこそがある意味で「GUILTY GEAR」のテーマに近いものなんです。そんな彼女のテーマこそがアルバムのタイトルにふさわしいだろうということで決定しました。
片野氏:
自分はレオの楽曲がとくに好きですが,すべての楽曲に違った魅力が詰まっています。発売後はじっくり聞いてほしいですね。
4Gamer:
ストーリーの話も聞かせてください。本作ではあの男「飛鳥=R=クロイツ」とソルの因縁の決着が付くとのことですが,ストーリーとしてはいったん,ここで幕ということになるのでしょうか。
石渡氏:
話せる範囲で言いますと,ソルという男の物語が結末まで描かれます。「GUILTY GEAR Xrd」シリーズからストーリーモードを用意して,ソルが主人公の物語を展開してきました。彼自身が過去作から始まった事件をきっかけに,世界に対してどういった答えを出すのか,本作ではそれをシンプルな言葉で語らせてもらっています。みなさんがどう感じたかもすごく気になるので,ぜひ聞かせていただきたいですね。
また,本作のストーリーモードは表現方法を変化させています。「GUILTY GEAR Xrd」のときはアドベンチャーゲームのフォーマットで,「REVELATOR」のときはアニメーション,そして今回は映画的に見せるようにしました。
片野氏:
先日,ストーリーモードの一部を公開しましたが,狙い通り,映画っぽいという意見が寄せられています。
石渡氏:
もともとは3Dをアニメ風に見せてどれだけ違和感がないかという部分にこだわってきましたが,今回は3Dを生かして,映画的な手法,カメラアングルなどを取り入れているんです。
片野氏:
「GUILTY GEAR Xrd」のときは,バトルにしろストーリーにしろ3Dを2Dアニメっぽく見せようという流れでした。それを本作では3Dを生かした迫力のある表現に進化させています。
4Gamer:
バトル中のカメラワークも過去のゲームにないアングルに切り替わることがあって,新鮮だったように思います。
片野氏:
かっこよさとゲームとしての面白さが両立できるかという部分で検証を繰り返しています。
石渡氏:
これはずっと模索を続けている部分でもあるんですよ。
片野氏:
ただ,悩んだら新しくてかっこいいアングルを採用しようというのは決めていました。以前までは迷ったら2Dの手法に戻していたんですが。
本作では場面の転換も機械的にパッと切り替わるのでなく,キャラクターの動きに合わせてカメラが追従していくようにしています。コア層の格闘ゲームファンから批判が出ることも承知の上で,冒険するならこのタイミングしかないだろう,という考えが根っこにありました。
石渡氏:
もちろん,βテストを経て,やりすぎた部分は修正するようにはしています。
4Gamer:
ソルの物語が完結するとのことですが,「GUILTY GEAR」の物語が終わるわけではないんでしょうか。
石渡氏:
具体的な話は出せませんが,今後の展開は頭の中には用意できています。ソルの物語が終わったあと,あるいは以前の話になるかもしれませんが,「GUILTY GEAR」の物語がどう展開していくかは考えています。これはゲームを作るとか作らないの話ではなく,頭の中のメモ程度のお話ですが。
4Gamer:
ということはまだまだ続いていくと。
片野氏:
これはいつも石渡が言ってることですが,表現が難しいんですよ(笑)。
石渡氏:
つまらない話になりますが,「GUILTY GEAR」は我々にとってとても大切なIPなので,それを潔く切り捨てるなんてことはできません。ただし,本作でひとまずの区切りがつくというのは確かです。
片野氏:
今回のストーリーで語られていなかった部分はほかの形で補完するとは思います。
石渡氏:
以前,アメリカのイベントでご一緒させていただいた「トライガン」の作者である内藤泰弘さんが「物事は作ることよりも終わらせることのほうがえらい」とおっしゃっていて,それを聞いて,きちんと完結させないといけないなという思いがずっとあったんです。
片野氏:
ファンの方からは本作でもどうせ終わらないでしょって言われていますからね。
石渡氏:
ちゃんと終わりますよ(笑)。物語のテーマは初めから考えていて,今でも変わっていません。ファンのみなさんは楽しみにしていてください。
4Gamer:
発売前や発売後のイベントやeスポーツ展開で予定していることがあれば聞かせてください。
片野氏:
発売までに新情報は出していきますし,発売後もプレイヤーのみなさんが楽しめる大会イベントや,幅広いプレイヤーが楽しめるイベントの実施を予定しています。
石渡氏:
今の状況に則した新しい形のイベントを実施していきたいですね。オフラインイベントはゲーセン出身の我々からすると集まりやすく,楽しめるイベントですが,そうじゃない人にとっては参加しにくい部分もあったと思いますし。
片野氏:
ここ3年くらいはゲームを作ることだけに必死だったので,しっかりそのあたりもやっていきたいですね。プレイヤーのみなさんと一緒に楽しめることを展開していきたいです。
4Gamer:
最後に本作の発売を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします。
片野氏:
本作は初めて触る人にとっての遊びやすさ,入りやすさを重視して作りました。ただ,格闘ゲームとして浅く作ったということはまったくありません。やりこむべき要素,やりこんだ先に見えてくる世界はしっかりと用意しています。長く運営していきますので,プレイヤーの皆さんはぜひやりこんでください。
石渡氏:
「GUILTY GEAR」シリーズの続き物というよりは,完全に新しい格闘ゲームを目指して作りました。新規プレイヤーでも楽しめると思いますので,興味を持っていただいて,触っていただけたら幸いです。
そして本作では,長かった「GUILTY GEAR」シリーズのひとつのエピソードが完結を迎えます。ずっとストーリーを追いかけてくれた人にはキチンとしたものをお届けできていると思いますので,結末をぜひ楽しみにしていてください。
また,本作から「GUILTY GEAR」の世界に触れる人のために,公式サイトやYouTube上に過去シリーズのムービーや漫画を用意しています。こちらもあわせてチェックいただいて,ぜひ楽しんでもらえればと思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「GUILTY GEAR -STRIVE-」公式サイト
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