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机置きにちょうどいい38型4K液晶や,32型8KMini LED液晶,32型量子ドット有機ELなど,これから来る注目のディスプレイを総ざらえ
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印刷2024/06/13 08:00

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机置きにちょうどいい38型4K液晶や,32型8KMini LED液晶,32型量子ドット有機ELなど,これから来る注目のディスプレイを総ざらえ

COMPUTEX 2024のBenQブース
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 数回にわたって,COMPUTEX 2024のディスプレイ関連製品のレポートを続けてきてたが,最後にいくつか注目の製品をまとめて紹介しよう。
 まずは,日本でも,ゲーマー向けディスプレイブランドとして人気のBenQから。

 販売中の製品がほとんどだったCOMPUTEX 2024のBenQブースだが,唯一,発売日も価格未定の新製品として展示されていたのが,「EX381U」だ。

EX381U
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 EX381Uという製品から想像できるとおり,画面サイズは38インチだ。2000年代初頭,液晶テレビの人気サイズに37インチがあった。しかし,その後は大画面化が進み,30インチ後半モデルは,ほぼ消滅してしまっていた。最近では,有名メーカー製品で「40インチジャスト,解像度は4K以上」という条件に当てはまる製品は,Dell Technologiesの「U4025QW」くらいしか見当たらない。「40インチ以上で解像度4K以上」という条件だと,すべて42インチ以上になってしまう。
 Windows環境におけるドットバイドット表示にこだわると,視距離が50〜70cm程度となる短い視距離のデスクトップ環境では,42インチ以上は大きすぎるし,32インチはやや小さすぎるのだ。

 そこで,BenQが投入してきたのが,38インチというちょうどいいサイズ感の4Kゲーマー向けディスプレイEX381Uなのである。eスポーツ系ゲームをプレイするには大きいが,没入感重視のゲームをプレイするには十分に大きい。なにより,普段使いの4Kディスプレイとして使い勝手がよさそうだ。

 EX381Uの液晶パネルは,IPS液晶パネルだ。HDR映像表示にも対応しており,VESAのHDR関連規格「DisplayHDR 600」の認証を取得している。垂直最大リフレッシュレートは144Hzで,HDMIのディスプレイ同期技術「VRR」(Variable Refresh Rate)と,AMDやNVIDIAのディスプレイ同期技術にも全対応するという。

接続端子は右側面にある。ディスプレイでeARC対応HDMI端子装備は珍しい
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 入力端子はHDMI 2.1端子を3系統も装備しており,うち1系統は「eARC」に対応というから面白い。eARC対応HDMI端子に,eARC対応オーディオ機器を接続すると,表示しているHDMI機器からの音声をオーディオ機器側にパススルー出力できる。しかも,旧世代の「ARC」ではなく,世代の新しいeARCを採用しているので,「Dolby Atmos」のようなオブジェクトベースオーディオ信号や,任天堂のゲーム機で採用されることの多い高ビットレートなリニアPCMのサラウンド音声にも対応するので,将来性も良好だ。
 なお,HDMIだけでなく,DisplayPort入力や,DisplayPort Alternate Mode(以下,DP Alt Mode)対応のUSB Type-C端子も備えている。

 USBハブ機能もあり,映像入力系統ごとに連動して,ホストPC機器を自動的に切り換えられるPC切換器(KVM)機能にも対応する。KVM機能はPCだけでなく,ゲーム機でも利用できるそうだ。

 BenQの担当者によると,「Mini LEDや量子ドットには非対応。バックライトはエッジ型である。ただ,広色域LEDバックライトを採用しており,『DCI-P3』の色空間カバー率99%を実現している」とのこと。「その代わり,価格対スペック比は良い」とのことで,北米市場での想定価格は1000ドル前後だとか。

 BenQからは,Mini LED×量子ドットに対応した32インチのハイエンドディスプレイ「EX321UX」が5月に発売されており,米国では約2000ドルだった(国内での税込直販価格は26万5000円)。EX381Uは,EX321UXほどのハイエンド指向ではないため,半分程度の価格設定というわけである。10万円台前半で38インチ4Kモデルとなれば,日本でも人気が出そうだ。

Google TV対応の台湾国内専売チューナーレステレビとして,2024年5月に発売となったばかりの75インチ4Kのゲーマー向けテレビも展示されていた。144Hz表示対応で現地価格は26万円程度とのこと
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世界初の32インチ,Mini LEDバックライト8Kディスプレイが登場


ASUSブースのProArtシリーズコーナー
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 ASUSTeK Computer(以下,ASUS)が,画質重視のクリエイター向け製品ブランドとして力を入れている「ProArt」シリーズからは,2024年も,ユニークな製品が登場した。

 まずは,ASUSが世界初を謳う8K(7680×4320ピクセル)解像度の液晶ディスプレイ「PA32KCX」から見ていこう。

PA32KCX。表示面はASUS独自のアンチグレア,低反射(AGLR)加工を施しているそうで,周囲の映り込みを最低限に抑えるそうだ
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 バックライトには,Mini LEDを採用しており,エリア駆動(ローカルディミング)の分解数は4032ブロックとのこと。おそらく,分解数はMini LEDの個数と一致するだろう。ただ,量子ドット技術には未対応だ。

 最大の特徴は,最大輝度1200nitという高輝度に加えて,1000nitの持続表示が可能なこと。
 一般的に,ディスプレイにおいて「最大輝度」として謳われる輝度値は,短時間,あるいは画面の一部領域だけ,この輝度で光らせられるというものだ。それがPA32KCXの場合は,ピーク輝度に加えて,「Full Screen Sustained Brightness」(全画面持続最大輝度)という,特別なスペック項目を設けて,ここに1000nitと記している。つまり「長時間,全画面に対して1000nit表示が可能」というわけだ。
 HDR映像表現における高輝度領域の階調を,正確に表現するためにこれだけの性能を持たせた,まさに映像制作現場のプロ用ディスプレイである。

 液晶パネルは,IPS液晶パネルを採用。8bitパネルに対して,時間方向に誤差拡散を行う疑似10bit駆動方式ではなく,パネル自体の色深度がネイティブ10bitに対応すると説明していた。その甲斐あってか,量子ドット非対応にもかかわらず,色域はDCI-P3の色空間カバー率で97%に達している(※量子ドット対応機は,カバー率99%に達するものも多い)。

 プロ仕様ということで,接続性も充実。HDMI 2.1入力端子を4系統,DisplayPort 2.1入力端子も1系統,Thunderbolt 4端子(DP Alt Mode対応)は2系統を装備する。Thunderbolt 4端子は96W出力のUSB Power Deliveryにも対応するので,ホストPCへの給電とホストPCからの映像出力が可能だ。
 また,4K画面を「田の字」形状にフル解像度で表示する「4K4画面表示」という機能もある。そのほかにも,レイアウト自由度の高い2画面表示機能も備えているとのことだ。

インタフェース部。USBハブ機能も備えている。USB Type-C端子のレイアウトを見る感じ,KVM機能に対応していそうだが,確認は取れなかった
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ディスプレイ左下に電動組み込み式の測色計を搭載。色調整を本体単独かつ自動で行える
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 PA32KCXが備えるプロ仕様らしい機能は,もうひとつある。それは,電動の測色計(Colorimeter)を,本体下部に内蔵していることだ。起動すると,画面下部から測色計が電動モーターでせり上がり,時間をかけて色調整を行ってくれるそうだ。

 この機能はPC不要で,ディスプレイ単独で動作するという。そこで,「面白そうだからやってみてくれ」と担当者に頼んだところ,「非常に時間がかかるし,途中でやめられないので,会期中はそのデモはやらない」というつれない返事。この機能は事実上,オーナーしか実行できない楽しみになりそうである

 ちなみに,測色計を組み込んだASUS製ディスプレイは,PA32KCXが初めてではないが,PC不要で単独動作するのは今回が初だ。


 発売時期は未定だが,2024年内を予定。価格は北米市場で8000ドルを予定。担当者は「8Kディスプレイだから8Kドルだ」とジョークを飛ばしていたが,たしかにユニークな機能も多いので,納得の価格ではある。


27インチに5K解像度を押し込んだ超高精細ディスプレイが登場


 アスペクト比16:9の27インチサイズは,紙サイズでいうならA3サイズより大きく,A2サイズより小さい程度だ。この画面サイズで,高解像度なディスプレイを求める声は,デザイン業務のプロから多いらしい。
 ということで,これまでAppleの「Studio Display」シリーズくらいしかラインナップしていなかった「27インチ,5K解像度ディスプレイ」を,ASUSが「PA27JCV」として発表した。

PA27JCV。4Kをドットバイドット表示しても,まだ画面があまる5Kディスプレイ。表示面はASUS独自のアンチグレア・低反射(AGLR)加工を適用している
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 液晶パネルはIPS型液晶パネルを採用しており,解像度は5120×2880ピクセル。バックライトはエッジ型だが,広色域LEDバックライトを採用していることで,色域はDCI-P3色空間カバー率99%,sRGB色空間カバー率100%を達成している。
 また,カラーキャリブレーションの認定基準であるCalman認定を受けており,工場出荷時は「ΔE<2」という高い色精度でキャリブレーションを済ませた状態で出荷するとのこと。色品質には相当な自信があるという。
 発売は2024年内を予定しているが,価格は未定だ。ほぼ同スペックのApple Studio Displayが21万9800円からなので,これよりも低い価格を期待したい。

インタフェース部。HDMI,DisplayPortのほか,USB Type-C(DP ALT/USB PD 96W)を備える。USBハブ機能はKVM機能に対応
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32インチ高画質4K有機ELディスプレイが量子ドット有機EL採用で再登場


 ProArtブランド製品の最後には,「ProArt Display OLED PA32UCDM」(以下,PA32UCDM)を紹介しよう。

PA32UCDM。黒の締まりはさすがで,純色も良好。グレア加工なので周囲の情景は映り込みやすい
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 ASUSは,2022年末に「ProArt Display OLED PA32DC」という有機ELディスプレイを発売しているが,こちらの有機ELパネルには,日本のJOLED製パネル「OLEDIO」を採用していた。
 JOLED製の有機ELパネルは,赤緑青の有機発光材をインクジェットのような印刷方式で塗り分けて作られており,表示品質面で高い評価を得てはいた。しかし,長らく量産性が上がらず,他方式に比べると最大輝度も低いという弱点を改善できなかった。

 行く末が心配されていたJOLEDだったが,2023年春に倒産。事業はJDIが引き取ったが,さすがにASUSも,PA32DCを継続販売することは難しいと判断したのだろうか。わずか1年足らずで事実上のモデルチェンジをしたのは,そういった背景がある。

 そんなPA32UCDMにASUSが採用したのは,量子ドット技術を有機ELパネルに組み合わせたSamsungの量子ドット有機EL(QD OLED)パネルだ。QD OLEDでは,青色有機ELに赤量子ドットと緑量子ドットを組み合わせることで,極めて純度の高い赤色と緑色を出力できることから,発色性能については,JOLED製パネルに肉迫しているとされる。

 画面解像度は3840×2160ピクセルで,コントラスト感とフォーカス感を重視して,表示面はあえてのグレア加工にしたとのこと。パネル画素の駆動分解能は,時間方向の誤差分散なしのリアル10bitを謳っている。
 DCI-P3の色空間カバー率は99%。製造最終段階では「ΔE<1」精度のカラーキャリブレーションを行って出荷するそうだ。なお,CalmanやLight Illusionの「ColourSpace CMS」といった,プロ仕様のカラーキャリブレーションにも対応しているという。

PA32UCDMの下部にある謎の突出部分。何かは説明されなかったが,測色計ではないと断言された。照度センサーか?
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 最大輝度は1000nit。PA32DCは500nitだったので,輝度性能はかなり上がった。HDR表示にも対応しており,DisplayHDR認証取得はまだのようだが,PA32DCは「DisplayHDR 400 True Black」認証を取得していたので,それよりも高いレベルの認証を取得する可能性は高いだろう。

 垂直最大リフレッシュレートは240Hz。ゲーマー向けディスプレイではないが,ゲーム用途にも使えそうだ。
 発売は年内の予定。価格はこちらも未定だが,量産効果の高くなったQD OLEDを採用しているので,約50万円だったPA32DCよりは安価になるのではないだろうか。

映像入力端子はHDMI 2.1とThunderbolt 4
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ASUSが136インチのマイクロLEDディスプレイでホームシアター市場に殴り込む?


 近年,100インチオーバーの大画面市場に新しい波が来ている。それは,ホームシアター向け大画面プロジェクタを直視型ディスプレイで置き換えようという流れだ。
 たとえば2023年に,東芝レグザが100インチサイズでMini LED液晶パネル採用の「100Z970M」を発表した。2024年6月時点の最安値は約100万円という高価な製品だが,関係者によると「予想外に売れている」のだとか。ちなみに,このカテゴリでのプライスリーダーはTCLで,量子ドット技術採用の98インチ液晶テレビ「98C655」が約60万円となっている。
 部屋を暗くする必要があるプロジェクタのような投射型ではなく,蛍光灯などの照明を付けたまま大画面でゲームや映画を楽しめる直視型のホームシアターソリューションが,盛り上がりつつあるのである。

 そんな直視型ホームシアターでのハイエンド製品が,RGBサブピクセルのひとつひとつがマイクロLEDチップで構成される「マイクロLEDディスプレイ」だ。ソニーやSamsung,LGなどが,富裕層をターゲットにした製品をすでに少量販売しているが,ここにASUSが,ProArtブランドで乗り込もうというのである。ASUSブースの担当者によれば,参考出品ではなく,市販に向けた開発を行っているのだそう。「ProArt Cinema PQ07」を与えているのは,その証拠なのだとか。とはいえ,発売時期や価格は未定だ。

ProArt Cinema PQ07
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 マイクロLEDディスプレイは,有機ELと同じ自発光画素パネルなのでコントラスト感は優秀だ。RGBサブピクセルはRGBそれぞれの純色LEDなので色再現性も良好である。
 解像度は3840×2160ピクセルで,ドットピッチは0.78mm。最大輝度は1600nit。DCI-P3色空間カバー率97%。ネイティブコントラストは100万:1を謳う。

 筆者は,つい最近,他社ではあるが,ドットピッチ0.78mmで4K解像度,136インチというまったく同一仕様のマイクロLEDディスプレイの製品発表会に参加した。その製品は,重量125kgで定格消費電力1501W,価格が約16万ドル(約2518万円)だったので,目安はそのあたりだろうか。

現在の大型マイクロLEDディスプレイにおける欠点は,パネルモジュールの継ぎ目があること。1m以上離れればほとんど気にならないが「数千万円の価格でこれはイヤだ」という人はいそうだ
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