［インタビュー］「崩壊：スターレイル」のキャラクターはどんな考えでデザインされているのか。開発チームに体制や注目ポイントを聞く

　「崩壊学園」シリーズに始まり，「原神」（PC/PS5/PS4/iOS/Android）や「崩壊：スターレイル」（PC/PS5/iOS/Android）でヒットを飛ばしているHoYoverse。現在は新作「ゼンレスゾーンゼロ」（PC/iOS/Android）も準備中で，2024年も同社タイトルがまだまだ盛り上がりを見せそうだ。まぁ，ファンにとっては「並行してプレイしたいタイトルが増えすぎてヤバイ」という状態かもしれないが。

東京ゲームショウ2023のHoYoverseブース。会場で最も混雑していたブースの1つであり，同社タイトルの人気の高さを目の当たりにできた

　HoYoverse作品の強みと言えば，やはりアニメ系のグラフィックスと魅力的なキャラクター，そして彼らを描くために次々に投入されるアップデートだろう。アップデートの規模の大きさ，ペースの早さは目を見張るほどで，そこでいろいろなキャラクターが描かれるのだから，石も足りなくなるというものだ。
　そんな強みであるHoYoverseのキャラクターだが，どういった体制や考えでデザインされているのだろうか。今回4Gamerでは，その一端を聞けないかと，インタビューを打診してみた。

発端は中国のゲームショウであるChinaJoy 2023があった8月。本稿の担当編集は，上海にあるmiHoYoに足を運んで今回のインタビューを提案している。写真はmiHoYoの本社

　その結果，デザイン中の資料などを公開するのは難しいものの，現行の最新作である「崩壊：スターレイル」のメールインタビューに応じてもらえることになった。
　今回は開発チームとのメールでのやり取りということで一問一答になるため，広くいろいろな質問をしてみたのだが，こちらが想定していた倍ぐらいのボリュームのある丁寧な回答をいただいた。プレイ中の開拓者の皆さんにとって，興味深い内容になっているのではないかと思うので、年末年始の読み物として楽しんでいただけると幸いだ。

　なお，質問に関しては，本企画が決定したのがVer1.4時点だったので，同バージョンに登場した鏡流やトパーズ，そしてその時点で画像は公開されていたVer1.5やVer1.6のキャラクターからチョイスしている。「アップデートされたばかりのVer1.6が薄くない？」と思われるかもしれないが，質問案作成時は名前と画像しか出ていなかったので，そこはご容赦いただきたい。

Ver1.6は12月27日に実装されたばかり。生足が素敵すぎるお姉さん，ルアン・メェイが登場している

全体的なキャラクターデザインについて

4Gamer：
　「崩壊：スターレイル」においてキャラクターをデザインするのに，どういった流れで決めていくのでしょうか。キャラクターごとに専任がいる，複数人で意見を出し合って決める，それぞれのデザインでコンペを行うなど，いろいろな形が考えられますが，「崩壊：スターレイル」のチームのやり方を教えてください。

HoYoverse：
　ゲーム内の異なるエリアのキャラクターは，異なるスタッフがデザインしています。さらに複数のメンバーがブレインストーミングなどのグループ内でのアイデアのすり合わせを行うことで，新しいキャラクターがゲーム全体の基調とマッチするようにしています。

　トパーズを例にしましょう。デザインチームは，既存のスターピースカンパニーというコンセプトを基礎にして，ストーリー展開，パーティ編成，プレイヤーが興味を持つところなどの点を鑑みてデザインしています。スターピースカンパニーは自由貿易を主張する巨大な企業グループで，ゲームの序盤で頻繁に登場します。そのため，デザインチームはこのような企業の中で，上級幹部である「戦略投資部」のキャラクターがどのような人物かを最初に考えました。まず，聡明で頭の回転が速い，思いきった決断，臨機応変，実行力の強さなど，一連のキーワードをアウトプットしました。そして，これらのキーワードをその後の外見，スキル，性格をデザインする上での下地とし，そこから豊かで立体的なキャラクターイメージを作りあげていきました。

　さらにデザインチームは，このキャラクターにカンパニーの社員の特徴を満たすユニークな要素を数多く織り込みました。たとえば，彼女の星魂の中の「友好的買収」「大を掴み小を放つ」などです。これらのデザイン要素はプレイヤーの共鳴を引き起こし，ゲームの中でこうしたディテールを見た時，思わず笑みをこぼしてくれることでしょう。


4Gamer：
　HoYoverseさんのタイトルでは，ブローニャやゼーレなど，いわゆるスターシステム制で複数タイトルで登場しているキャラクターがいますが，そうした人物の場合，本作ではどのような考えでデザインを落とし込んでいるのでしょうか。

HoYoverse：
　本タイトルは幅広いプレイヤーに楽しんでいただける新しいゲームと位置づけられています。その世界観設定やストーリーは独立しており，「崩壊3rd」の派生タイトルや続編ではなく，すべてのプレイヤーに向けた完全なる新作です。そのため，以前からのプレイヤーが親しみを感じつつも，新しいプレイヤーがキャラクターの魅力を素早く理解できるように，開発チームはキャラクターデザインにおいて，ある種のバランスを取るように努めました。

　たとえば，「崩壊3rd」のストーリーでは，ブローニャはカカリアに育てられ，戦闘に加わる職業軍人となりました。そして，「崩壊：スターレイル」のストーリーでは，その境遇のブローニャを核として彼女のベロブルグでのストーリーを描きました。このストーリーでは，ブローニャは一人前の頼れる少女であり，カカリアに手厚く育てられ，シルバーメインの指揮官へと成長しています。その年齢は「崩壊3rd」の時よりも上で，長年の軍隊での経験によって指導者としての素質が磨かれています。私たちは，この親子の立場と関係を重点に置いてキャラクターを再構築しました。プレイヤーにこうした馴染みある旧友の別の一面を体験していただければと思います。

「崩壊3rd」新生の銀翼（ブローニャ）

「崩壊：スターレイル」ブローニャ

4Gamer：
　「崩壊：スターレイル」では，キャラクターごとにスマートフォンを取り出しますが，それぞれデザインが違っていて，すごく凝っています。これはキャラクターのデザイン担当者が一緒に考えていたりするんですか？

HoYoverse：
　はい。キャラクターの雰囲気に合わせて専用のスマホケースをデザインしています。たとえば，セーバルのロック魂を感じさせるスマホケース，アスターのペットであるペペがデザインされたスマホケース，フックのかわいいイラストが描かれているスマホケースなど，いずれも所有者の属性や趣味を反映させています。また，ヴェルトのスマホケースのロボットの柄，ペラのスマホケースにある某乙女ゲームの男性キャラの柄など，プレイヤーの皆さんにはスマホケースにデザインされた細かな要素も発見してもらいたいと考えています。こうした小さな工夫を凝らすことで，プレイヤーにより多くの楽しさを感じてもらえればと思っています。

列車組について

4Gamer：
　列車組についてうかがいます。彼らは本作において最も目にするキャラクターですが，彼らをどういったグループだと考えてデザインしていますか。

HoYoverse：
　列車組は本タイトルの派閥の1つであり，星穹列車に乗って旅をする人たちでもあります。彼らは開拓の運命を歩んでおり，ナナシビトの一派です。列車組の面々はそれぞれが特徴を持っており，異なる場所から来た人たちがさまざまな縁によって集まっています。
　彼らに共通点があるとすれば，それは星間を開拓する意志でしょう。もちろん，その中には私たちの大切なプレイヤーの皆さんも含まれています。皆さんもこのロマンチックな宇宙の銀河を冒険する列車組の一員なのです！


4Gamer：
　丹恒は仙舟「羅浮」出身ということで，中国をモチーフにしていると思うのですが，主人公や三月なのかにもモチーフにした地域はあるのでしょうか。

HoYoverse：
　はい。丹恒は仙舟「羅浮」出身なのですが，追放された放浪者です。彼の名前は「丹心は恒の如く」の略です。仙舟持明族の末裔である彼は，想像できないほど重い伝承と他人の期待を背負っています。丹恒のデザインには，非常に多くの東の要素を混ぜ合わせました。たとえば，彼の服に仙舟の文字で書かれた詩や，必殺技の効果に含まれる水墨画の要素などがそうです。

　一方，三月なのかは今も自分の出自や故郷を積極的に探しています。他の列車組メンバーの物語も今後のストーリーで公開される予定ですので，楽しみにしていてください。

4Gamer：
　プレイヤーの分身となる主人公は，どういった方針でビジュアルを決めていったのでしょうか。

HoYoverse：
　プレイヤーが常に操作するキャラクターである主人公のイメージは，まず見た目から活力や元気を感じさせる必要があります。プレイヤーの年齢層やロールプレイの意向調査に基づき，主人公のビジュアルをデザインする際，彼らの持つ活力とファッション性を際立たせることに重点を置きました。
　そして，開拓者が踏み出そうとしているのは冒険と予期せぬ出来事に満ちあふれた旅です。そのため，主人公の髪の色や服の仕上がりにおいても，彼らが持つ能力と勇敢さをプレイヤーに感じてもらいたいと考えました。


4Gamer：
　主人公のデザインとして面白い部分といえば，なぜ武器がバットなのでしょう？

HoYoverse：
　バットは崩壊シリーズのタイトルで何度も登場している武器で，「崩壊学園」のキアナや「崩壊3rd」のカスラナなどのキャラクターが使用しているため，「先祖から伝わった武器だ」と多くの昔からのプレイヤーに言われていますね。

　ゲーム世界にあるかっこいい武器の数々と比較すると，バットは非常に生活感のあるアイテムです。私たちは，バットを開拓者の最初の武器にすることで，物語の始まりを象徴させ，プレイヤーにより良い没入感を与えられるのではないかと考えました。開拓者がゲームを進めるにつれて，使用する武器も変化していきます。たとえば，運命が壊滅から存護に変わると，武器はランスに変わりますね。このような変化は，プレイヤーに継続的な成長，強化といった体験を与えられると思っています。今後のストーリーでも，開拓者はたくさんの武器と出会いますので，楽しみにしていてください。


4Gamer：
　三月なのかはおそらく掘り下げが今後のキャラでしょうから，話しづらい部分があるかもしれませんが，どういったコンセプトでデザインされているのか教えてください。

HoYoverse：
　三月なのかについては，主人公一行の重要メンバーとしての独自の個性や感情の深さを描き出すことに重点を置きました。彼女は風変わりな少女で，この年頃の少女が「夢中になる」ことすべて（たとえば，写真撮影や服を買うこと）に熱中していて，あらゆる物事に対してバイタリティと好奇心に溢れています。


HoYoverse：
　楽観的で明るく見えますが，彼女の心の中には多くの心配事が隠されています。姫子は以前，三月なのかはいつも笑っているが，その心の中は非常に不安定だと言いました。恒氷から目覚めて以来，三月なのかは過去の記憶を失っており，新しい人生の試練に立ち向かう時，帰る家のない孤独感が彼女をより強く，より勇敢にしているのです。

　最新のストーリーでは，三月なのかが自分の出自や故郷を積極的に探し続けている様子が見えました。たとえば，窮観の陣を使って過去を計算してもらうため，一緒に太卜司の符玄に会うよう開拓者に頼んだことがありましたね。また，雪が降るヤリーロ-VIを初めて見た時には，その白い雪に覆われた国が自分の過去と関係しているかをすぐに確認しようともしていました。

　三月なのかというキャラクターをデザインするにあたり，彼女の強さ，勇敢さ，楽観的な一面を表現すると同時に，彼女の心の奥に隠された弱さと不安を感じてもらえるように努めました。列車組メンバーを皆さんに気に入っていただくことができて，とても嬉しく思っています。今後もストーリーが進むにつれて，各キャラクターの背景の物語をより詳細に紹介していきますので，楽しみにしていてください。

4Gamer：
　三月なのかが身に着けている，どんぐりの缶バッジはどういう意味があるのでしょうか。ストーリーでも特に触れられていなかったと思うのですが。

HoYoverse：
　三月なのかが恒氷から目覚めた後，姫子は彼女のためにさまざまな服を買ってあげました。また，三月なのか自身も服を買うことが大好きで，今のコーディネーションは，三月なのかが十数セットもの組み合わせを試した後に選んだものです。
　今後，彼女が自分のコーデに関する心得を共有する予定がありましたら，すぐに皆さんにお知らせしますね。


4Gamer：
　三月なのかは開拓クエスト「幕間:フューチャーズマーケット」でドレスを着ていましたね。あのドレスは，クエスト専用にデザインしたのでしょうか。それとも，また見られる機会があるのでしょうか。

HoYoverse：
　三月なのかの新しい衣装に注目していただき，本当にありがとうございます。この衣装に対する皆さんの好評を見て，三月なのかも私たちもとても嬉しく思っています。今回のベロブルグの太陽の日の祭典に参加するため，三月なのかは特別に新しいドレスを選び，ベロブルグの伝統文化に対する敬意を表したのです。

　今後，他の適切なシーンやイベントの可能性をさらに検討し，三月なのかにこの美しい衣装を再び着てもらう機会を作りたいと考えています，引き続きご注目ください。


4Gamer：
　丹恒のデザインは，一見落ち着いたキャラのようでありながら，鍛えられた胸筋や力強い瞳といった，男らしさも兼ね備えているバランスのよさが魅力的です。どういった点にこだわってデザインしたキャラなのでしょうか。

HoYoverse：
　丹恒は長い列車の旅において，護衛と列車のアーカイブの管理者を務めています。彼は冷静かつ寡黙な青年で，自分の過去については常に秘密にしており，あまり多くを明かそうとはしません。


HoYoverse：
　丹恒というキャラクターをデザインするにあたり，落ち着きがあって，頼りになる人物として描くことに注力しました。彼の冷静で落ち着いた性格は思慮深さを際立たせ，信頼感を与えてくれます。また，このような性格は，困難や試練に直面した時やさまざまな状況に対しても冷静に対処できるようにしています。彼を明るく軽薄な性格にするよりも，大人っぽさと落ち着きを表現することを選んだのです。

　もちろん，プレイヤーがストーリーを進め，彼の前世である丹楓が龍尊および雲上の五騎士であった過去を徐々に判明していくにつれ，このキャラクターの波乱に満ちた過去をより深く理解できるようになると思います。そして，そうした過去こそが，力強い瞳を持つ，落ち着いて行動する列車の美青年を形作っているのです。

4Gamer：
　丹恒は下目尻が片側だけ赤いですが，飲月君は両側が赤いですよね。他にも角が生えたり，髪の長さが変わったり，瞳の色が違ったりしますが，これは力の覚醒具合で変化する，みたいな感じなのでしょうか。


HoYoverse：
　持明族の前龍尊であった丹楓が生命の輪廻の中で「丹恒」として生まれ変わった時，丹楓の過去の罪により羅浮から永久追放され，持明の力も剥奪されてしまいました。しかし，未完成の龍化妙法に対する保護のため，当時の持明族の長老が丹恒に脱鱗の法を施す時，いくつかのほころびを作り，彼が再び龍になれる可能性を残しました。それ以来，丹恒は常に星核ハンターの刃に命を狙われています。

　記録によれば，仙舟の持明族はすべて「不朽」の龍祖の恵みを受けているようで，羅浮の持明族も例外ではなく，彼らは「雲吟」という特殊な術を使って水を操り，雨を降らせることができます。丹恒が刃の剣に刺されて持明族の姿に戻った時，彼はある意味その力を覚醒させたと言えます。丹恒にとって，前世はおぼろげな絵巻物のようで，細部を思い出すことはできず，一歩ずつ前に進むしかなかったのです。

4Gamer：
　丹恒の表情差分がリリース初期から少しずつ変わっているようなんですが，なにか理由があるのでしょうか。

HoYoverse：
　私たちは常にゲームのクオリティを向上させることに目指しています。それにはキャラクターのモーションデザインや外見の改善なども含まれています。プレイヤーがゲーム内のキャラクターイメージに注目していることは十分に承知していますので，開発過程で各キャラクターの表情がそれぞれの性格や感情をより正確に表現できるように尽力しています。

　「崩壊：スターレイル」はキャラクターデザインだけでなく，ゲーム体験もさらに優れたものになるように改善し続けています。皆さんのフィードバックやご意見は，私たちが前に進み続ける原動力となっています。応援してくださる開拓者の皆さんにお礼を申し上げます。


4Gamer：
　列車といえばパムです。HoYoverseのどの作品にも可愛いデザインのマスコットや非常食がいますが，パムはどういったことを意識してデザインしているのでしょうか。

HoYoverse：
　パムは最初から星穹列車に乗っています。星穹列車の車掌であるパムは，列車自体の運行状況や乗車中の開拓者に対して責任感ある態度を貫き，列車上のあらゆることに真面目に対処しています。列車内のレイアウトや客室に思うところがある場合，あるいは照明，観葉植物などの細部について質問がある場合でも，開拓者が尋ねれば，パムの口から予期せぬ情報を聞けるでしょう。開拓者が他の星を探索する時も，パムは自分なりのやり方で常に開拓者を気にかけてくれます。

　パムのデザインに関しては，ほかの各キャラクターのデザインと同様，生き生きとさせ，それでいてかわいく，そして生命力に溢れさせて開拓者とたくさん交流してもらえるようにデザインしました。そのため，開拓者が列車にいる時，パムはたまにミニクエストを出すことがあります。開拓者が外で冒険している時も，パムはずっとそばにいて，ゲーム内のスタンプのアイデアと楽しさを貢献しています！

　もちろん，パムには別の顔があるのか，列車組の隠れた実力者なのかといった点についても，今後のアップデートを楽しみにしてください。

各キャラクターについて

4Gamer：
　現在の「崩壊：スターレイル」において，ゲーム開始直後での登場や羅浮での描かれ方，ビジュアルなどで，本作の顔と言ってもいいぐらいに人気のあるキャラクターがカフカだと思います。彼女は制作側としても思い入れの強いキャラではないかと思うのですが，制作秘話などはありますか。


HoYoverse：
　スターピースカンパニーの指名手配ファイルの中には，カフカは名前と「コートを収集するのが趣味」という記録しか残されていません。この星核ハンターについてはほとんど何も知られておらず，彼女が「運命の奴隷」エリオの最も信頼するメンバーの1人であることしか分かっていません。

　カフカをデザインする時，確かに細部まで考慮しました。まず，「極めて重要な女性」として，彼女には魅力的で神秘的な性格を持たせました。彼女は不思議なオーラを放っており，深い霧のような雰囲気によって，周りの目を遮るような神秘のベールを纏っています。星核ハンターであるカフカは強大な力の象徴であり，何も恐れることなく，星核を探し求める過程で驚くべき能力を披露します。

　カフカのキャラクターを制作する時，彼女のイメージをより豊かで立体的なものにするため，制作チームは大量の映像資料を参考にし，さまざまな手法を採用しました。たとえば，キャラクターPVに白黒シーンを挿入したり，映画のポスターをオマージュしたりするなど，カフカのストーリーを映画のような雰囲気の中に落とし込み，キャラクターにドラマチックなグラデーションを持たせました。

　今後，ストーリーが進むにつれ，カフカの背景にある物語をより詳細に紹介していく予定ですので，ご期待ください。

4Gamer：
　Ver1.4以降のキャラについてうかがいます。まず鏡流は，どういったイメージのキャラクターとして描いていったのでしょうか。彼女はやはり，目隠しが特徴的ですよね。


HoYoverse：
　鏡流の話をする前に，まず景元について話しましょう。景元は「崩壊：スターレイル」のリリース後，プレイヤーの皆さんが最も慣れ親しんだ，登場頻度が特に高いキャラクターの1人と言えます。開拓者が仙舟に到着した時，彼が代表して一行をもてなしました。策略を巡らしながらも自ら先頭に立って戦い，幻朧の危機を解決したのも彼です。さらにVer.1.5の綏園の幽霊騒動でも彼の協力が必要不可欠でした。

　景元の恩師である鏡流には，将軍とは異なる女剣聖としてのキャラクターポジションを作り，彼女の非凡な素質を際立たせたいと考えました。氷の剣，月，月下美人などの象徴は，こうした印象を強調するために選んだ要素です。

　具体的には，彼女は非常に強くなければなりません。「天上の星々を斬り落とす」伝説の剣客であり，優れた師からは優れた弟子が生まれるからです。かつては羅浮の剣首であり，景元とともに「雲上の五騎士」に名を連ねていた鏡流の伝説的な物語は，今でも仙舟人によく知られ，講談師が話す物語の中で語り継がれています。ゲーム内での鏡流も非常に強力な攻撃型キャラクターです。彼女を持っているプレイヤーはきっと共感を覚えてくれることでしょう。

　キャラクターの経験に関しては，過去の後悔に囚われ，常に過去の悲劇を挽回しようとする女性英雄として描きたいと思っていました。彼女の物語では，彼女はかつて目隠しをして自分の親友を手にかけてしまったことがあります。そのため，キャラクターデザインでは，常に目隠しを着けるようにしました。これは彼女の「前を向きたくない」という内なる葛藤だけではなく，自分自身が囚われている心境を表現しています。

4Gamer：
　鏡流，刃は，花をモチーフにした攻撃やエフェクトを持っていますよね。それぞれ，モチーフにした花と，その理由を教えてください。

HoYoverse：
　鏡流はデザインに「月下美人」の要素を多く盛り込んでいます。たとえば，彼女の腕の装飾は月下美人ですし，光円錐「この身は剣なり」の立ち絵にも画面いっぱいの月下美人が描かれています。
　さらに，鏡流の「曇華生滅，夢瀉す天河」という必殺技も月下美人に関係しています。中国には「月下美人の命は短い」という意味のことわざがあります。月下美人は美しいですが，咲いてから散るまでは一瞬で，刹那的な美しさを形容しています。まさに鏡流の境遇と同じです。鏡流が月下美人を身につけるのは，自身の波乱に満ちた人生に対して堂々と向き合っているからなのかもしれません。


HoYoverse：
　刃に対応するのは「彼岸花」で，彼の立ち絵，キャラクターPV，必殺技は，いずれもこの「冥界の花」と呼ばれるデザイン要素が含まれています。彼岸花の花言葉は「悲しい思い出」で，これは友人の死，飲月の乱，仲間の対立，死を望んでも得られないといった刃の過去とマッチしています。言い伝えでは，彼岸花も導きの花であり，死者の生前の記憶を呼び起こさせるとされていて，これも刃の境遇にとてもあっています。彼は豊穣の祝福を受けて不死身となったものの，依然として前世の絆と過去に固執しているのです。

4Gamer：
　トパーズは，かわいい次元プーマンのカブを連れて，明るさを感じさせる健康的なビジュアルでありながら，やっていることは借金の取り立て，しかも部下にも厳しいと，けっこうなギャップがあります。このあたりは，キャラクターをデザインする際に狙ってやっているのでしょうか。


HoYoverse：
　トパーズは確かにギャップがあります。まだ若いにもかかわらず，すでにスターピースカンパニー「戦略投資部」の上級幹部になっており，ずば抜けた美貌を持ちながら仕事を素早く効率的にこなしています。彼女のパートナーであるカブはかわいいペットであると同時に，戦闘（および債権回収）に欠かせない仲間でもあります。

　「崩壊：スターレイル」のキャラクターデザインでは，できるだけキャラクターのさまざまな側面を表現しようとしています。プレイヤーがこうしたキャラクターたちにギャップを感じるのは，これが理由かもしれません。たとえば，景元は策略を巡らせる羅浮の将軍であり，幾度となく仙舟を率いてさまざまな危機から仙舟を救ってきた勇者ですが，鳥と戯れたり，主人公にメッセージを送って仕事の忙しさを愚痴ったり（さらには仕事をサボろうとしたり）する要素を，私たちは付け加えました。こうすることで，景元の非常に高い地位や非凡な実力による距離感が生じないようにしています。

　本作のキャラクターデザインを評価していただき，ありがとうございます。今後もさらに魅力的なキャラクターをお届けしますので，ご期待ください。

4Gamer：
　フォフォの第一印象は「かわいそうでかわいい！」でした。彼女のビジュアルで表現するのにこだわったところはありますか。


HoYoverse：
　フォフォは確かにとてもかわいく，開発チームの中にも，この十王司の見習い判官のことが大好きなメンバーがたくさんいます。彼女のかわいさについては，以下の2点から説明したいと思います。

　まず，シッポとのやり取りです。フォフォの尾にはシッポという歳陽が封印されています。シッポ自体が凶悪な存在で，何かあるとすぐに「いつか食べてやる」とフォフォを脅迫します。また，シッポは気性が荒く高慢で，すぐにフォフォをからかおうとします。しかし，それでいてフォフォをとても大切にしています。たとえば，主人公が歳陽に取り憑かれてフォフォを嘲笑した時，シッポはすぐに飛び出てきて否定しました。その後の浮煙の危機では，フォフォの安全を守るために自分を犠牲にしようとしたこともありました。こうしたことによって，「シッポのような気性の荒い存在ですらフォフォのために何かしようとするなら，フォフォは日常生活できっととても可愛がられるだろう」とプレイヤーに感じさせています。

　さらに，フォフォは運命のいたずらを受け入れ，さまざまな試練に直面する特性を持っています。彼女自身はとても臆病で怖がりですが，シッポのせいで彼女は邪悪を召喚する「貞凶の命」となり，さらには十王司の見習い判官となったのです。幽霊を怖がる子どもの狐族でありながら，極めて危険な魔除けの任務を背負わなければならず，困り果てていました。幾度となく諦めようと思いながらも，彼女は努力を続けています。たとえば，ホラーコメディを見て度胸を鍛えたり，霊符を作って雪衣や寒鴉を助けたり，羅浮の商業地区を行き交う星槎を観察して疲れを癒したりなどです。要するに，フォフォの努力と粘り強さは胸が痛くなると同時に，彼女がそれほどまでにかわいそうでかわいい理由の1つでもあるのです。

p.s. 初めて歳陽を見た幼いフォフォは，「寂しそうに見えたから，自分の尻尾に乗せてあげよう」と思ったほど。そんな心優しい本質から，多くのプレイヤーが彼女をかわいそうだと思うのでしょう。

4Gamer：
　アルジェンティは少女漫画的なPVも含め，「美しいキャラ」という印象を受けたのですが，制作の初期からそうしたコンセプトでデザインしていったのでしょうか。


HoYoverse：
　「崩壊：スターレイル」の世界観は非常に壮大です。未知なるものに満ちた宇宙SFでありながら，物語の中に神話や伝説の要素が盛り込まれた世界です。多くの「星神」たちは宇宙の法則の化身であり，「星神」たちと彼らの信徒たちは，それぞれの信念を持って自分たちの道を進み，最終的にはさまざまな派閥になりました。一部の「星神」や彼らの信徒は，すでにメインストーリーに登場しており，プレイヤーも彼らが追求する理念を理解できています。たとえば，「反物質レギオン」と密に関連する壊滅の星神，スターピースカンパニーや建創者が信奉する存護の星神「クリフォト」などです。

　アルジェンティは，古典的な美を最も崇拝する熱狂的な集団「純美の騎士団」に属しています。設定によると，彼らは何も恐れることなく星々を渡り歩き，各世界の生物たちに純美の星神「イドリラ」の美名を伝えています。純美はゲームの序盤ではあまり登場しておらず，限られたシーン（たとえば模擬宇宙のイベントや奇物など）で時々，言及されているだけでした。そのため，アルジェンティは主人公が最初に出会った騎士団のメンバーであり，最初の場面で「古典的な美しさ」というイメージを際立たせなければなりませんでした。最終的には，バラを手に持ち，正直で明るく堂々とした，一部のプレイヤーには少し中二病っぽく感じられるような赤髪の騎士として描かれることになりました。

4Gamer：
　ルアン・メェイは光円錐「天才たちの休息」では大人びた印象でしたが，新たに公開されたイラストではか細い少女という印象を受けました。彼女はどういったイメージでデザインされたのでしょうか。


HoYoverse：
　ルアン・メェイは，ヘルタやスクリューガムと同様に「天才クラブ」の一員で，専門分野は生命科学です（一部のプレイヤーは，彼女の髪飾り，ブレスレット，足のリングにDNAを象徴する螺旋模様があることに気付いているかもしれません）。彼女はゲームの重要コンテンツ「模擬宇宙」およびVer.1.3で公開された「宇宙の蝗害」のアップデートに，設計と制作で関わっています。そのため，多くのプレイヤーは彼女に対して大人っぽく，聡明な天才お姉さんという第一印象を抱くかもしれません。

　もちろん，前に話した景元やトパーズと同じく，ルアン・メェイのキャラクターデザインにも「人間味」のある一面を多く取り入れようとしています。たとえば，彼女がお菓子好きな点（これは質問にあった光円錐「天才たちの休息」の中でもすでに描かれています），伝統演劇や刺繍が好きな点などです。

4Gamer：
　Drレイシオはかなり筋肉質な体をしてますが，学者なんですよね。インテリ×筋肉のような相反する属性を持たせるのは，デザインとして難しくないのでしょうか。

HoYoverse：
　デザインが難しいということはありませんでした。「知識は力なり」という言葉がありますよね！Dr.レイシオはまさにこの言葉の体現者です（笑）。

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