イベント
「舞台『アオペラ』」ゲネプロレポート。青春×アカペラを体現したフレッシュなハーモニーを存分に体感
青春×アカペラをテーマに,声優陣による本格的なアカペラ歌唱を楽しめる音楽原作プロジェクト「アオペラ -aoppella!?-」の舞台化作品が,2024年11月8日に開幕した。それに先駆け,関係者・マスコミ向けのゲネプロ公演が行われた。本稿では,キャスト陣による囲み取材の様子と,「舞台『アオペラ』」ゲネプロ公演のレポートをお届けする。
「舞台『アオペラ』」公式サイト
長期の稽古期間を経て,
ついに迎えた初日の心境は?
――ついに公演開始となる今のお気持ちをお聞かせください。
長江崚行さん(鈴宮 壱 役):
今年の初めから稽古を始めて,これだけ長い稽古期間を設けることはあまりないこともあって,「ついに!」とワクワクしています。アカペラなのでお話をいただいた当初は難しいんじゃないかと思っていたのですが,実力のあるスタッフさんたちに指導いただけたので,あとは舞台上で楽しむだけだという気持ちです。
手島章斗さん(丹波 燐 役):
僕は以前にアカペラ歌唱の経験があって,今回,こういった作品に携われることをうれしく思います。人間の体ひとつで楽器のように音楽を奏でるアカペラを楽しんでいただけたらなと。本作のキャラクターたちと同年代の方々には共感して楽しんでいただきたいですし,また,そうでない方もこの舞台を見ることで何か新しいものを始めるきっかけになればいいなと思います。
宮島優心(ORβIT)さん(雁屋園道貴 役):
やっとみなさまの前でお披露目できることをうれしく思っています。本日のゲネプロと,明日から始まる15公演をみなさんと一緒に楽しみながら走り抜けて,アカペラの楽しさを伝えられたらなと思います。
畠山理温さん(四方ルカ 役):
僕自身,高校生活はコロナ禍だったこともあり,みんなが思い描くような“青春”を,この作品をとおして味あわせてもらえたなという感覚です。リルハピのみんなやFYA'M'(フェイム)のみんなが感じている不安や焦り,そしてアカペラの楽しさを生で体験させてもらったので,その気持ちをみなさまに届けられたらいいなと思います。
磯野 亨さん(宗円寺雨夜 役):
僕自身の役者人生もそれほど長くはないですが,そのなかでも1番難しい稽古だったと感じています。悩むこともたくさんありましたが,「やっぱりアカペラって楽しい!」という気持ちが1番大きいので,僕たちが楽しんでいる姿そのままを見せられたらなと思います。
佐奈宏紀さん(是沢舞斗 役):
アカペラという難しい稽古でしたが,演じるキャラクターたちと同じように「歌うのが好きだから」「アカペラが楽しいから」という思いでここまでやってきました。すごく「アオペラ」という作品にリンクした稽古期間だったので,真っ直ぐで等身大の舞台になるんじゃないかなと思っています。
眞嶋秀斗さん(辻堂颯太 役):
みんなでずっとアカペラの稽古を頑張ってきました。僕も高校時代にアカペラをやっていたので,リルハピやFYA'M'のみんなの気持ちが分かります。みなさんに早くアカペラを浴びて楽しんでほしいという気持ちでいっぱいです。
また,リルハピ,FYA'M'それぞれの稽古期間中のエピソードも語られた。
リルハピのメンバーは,演じるキャラクターたちと同じように,オフでも高校生らしい交流をしていたらしい。カラオケに行ったり,ファミレスに行ったり,ときには芝居の話抜きでひたすら人狼ゲームをしているときもあったとか。
FYA'M'の稽古では“楽思考(たのしこう)”というワードが飛び交っていた様子。稽古にストイックになりすぎてしまっているときに「楽思考!」と掛け声をかけて,「歌うこと,アカペラを楽しむ」という初心を忘れないようにしていたようだ。
高校生らしい青春を,
爽やかな美しいハーモニーで描く
舞台は,都立音和高校に通う男子高校生,鈴宮 壱がアカペラに出会うシーンから始まる。
すっかりアカペラに魅せられた壱は,同級生の丹波 燐と宗円寺雨夜を誘って早速“アカペラ部”を作ろうとするが,クラスメイトで生徒会書記を務める辻堂颯太に「部として認められるのは最低部員が5名からだ」と言われてしまう。
すぐさま後輩の雁屋園道貴と四方ルカも勧誘した壱は,晴れてアカペラ部「リルハピ」を発足させた。
そうして,リルハピメンバーの友人や兄弟のいる私立奏ヶ坂中学高等学校のアカペラ部「FYA'M'(フェイム)」と切磋琢磨しながら,アカペラを全力で楽しんでいく。
年に2回ある高校生たちのアカペラコンクール「アオペラ」への挑戦や,己の内面と向き合う苦悩,「ただ楽しいだけじゃダメなのか」という葛藤など,筆者もかつての高校生活を思い出しながら感傷に浸る場面が多かった。
「舞台『アオペラ』」では,リルハピ,FYA'M'のメンバーに加え,舞台オリジナルキャラクターの辻堂颯太が登場している。彼は小説家になりたいという夢を持ちながらも,一歩踏み出せずに葛藤している。語り部のように「アオペラ」のストーリーを俯瞰しつつも,自身の悩みや夢をアカペラ部のみんなに重ね合わせる光景が印象的だった。
囲み取材で全員が「大変だった」「楽しいという気持ちを忘れずに」と語ったアカペラ歌唱は,圧巻の完成度だった。鬼気迫る迫力,高校生らしいフレッシュさ,美しく重ねられたハーモニーをこうして本番で見せられるようになるために,かなりの稽古を積んだことがうかがい知れた。
キャスト全員が,声だけでなく全身で「楽しい!」と思いながら歌っていると,その思いは客席までひしひしと伝わってきた。思わずリズムに乗って体を揺らしたくなるほどに(うしろの席の人の迷惑になるので我慢したが)。
この公演では,「アオペラ -aoppella!?-」公式YouTubeチャンネルにアップされているカバー曲も披露されるなど,原作リスペクトを感じる演出が楽しめた。舞台用に書き下ろされたオリジナル楽曲である「響」といった舞台ならではの演出,そして洗練された熱いハーモニーを堪能したいという人は,ぜひ劇場へ足を運んでみてほしい。
「舞台『アオペラ』」公演概要
■期間
【東京】2024年11月8日(金)〜17日(日)
■劇場
シアターH
■キャスト(敬称略)
鈴宮 壱 役:長江崚行
丹波 燐 役:手島章斗
雁屋園道貴 役:宮島優心(ORβIT)
四方ルカ 役:畠山理温
宗円寺雨夜 役:磯野 亨
是沢舞斗 役:佐奈宏紀
綾瀬光緒 役:星元裕月
紫垣 明 役:桑原 柊
宗円寺朝晴 役:内田将綺
猫屋敷由比 役:坂田隆一郎
深海ふかみ 役:常盤みつる
辻堂颯太 役:眞嶋秀斗
一条俊輝 大平祐輝 木谷圭嗣
成海 亮 溝口悟光
RyoTracks Taisei Toda
■スタッフ(敬称略)
原作:アオペラ -aoppella!?-
脚本・演出・作詞:元吉庸泰
音楽:桑原まこ
アカぺラ監修:とおるす
(C)aoppella project (C)aoppella stage project