［TGS2023］夜は睡眠改善，昼間は歩行。2つのテーマをゲーミフィケーションする「夢冒険」の開発者に話を聞いてみた

　幕張メッセにて開催中の「東京ゲームショウ2023」。さまざまなゲームが展示されているこのイベントだが，中でもユニークだったのが睡眠改善＋位置情報ゲーム「夢冒険」（iOS / Android）だ。プレイヤーの睡眠事情を改善することで物語が進み，さらには運動（歩行）も楽しめる本作について，開発者に話を聞いてみた。

atelierent.jpブース。選ばれたタイトルが出展できる「Selected Indie 80」枠のひとつ

ブースには「夢冒険」に登場する妖精のグッズも展示されていた

夜は睡眠改善，昼間は歩行。2つのテーマをゲーミフィケーションする「夢冒険」

　「夢冒険」は，atelierent.jp（アトリエレント ドット ジャパン）がiOS/Android用に配信するアプリで，基本無料＋アイテム課金でのサービスが行われている。
　「睡眠改善RPG」を謳う本作は，アプリを立ち上げた状態でスマートフォンを枕元に置いておくと，いびきや睡眠時間，睡眠リズムを自動で解析してくれる。いわゆる睡眠アプリとの違いは，本作がゲーム仕立てになっているというところだ。睡眠の質が改善されていくと物語が進行し，レアなアイテムが手に入りやすくなる。アイテムを合成すれば，自分のアバターやパートナーである「妖精」の衣装などを作ることが可能だ。

　また，昼間には歩数を記録することができ，歩いた先でイベントが始まるなど，位置情報ゲーム的な側面もあり，歩くほどにアイテムを手に入れられる。睡眠のゲーミフィケーションというわけで，ユニークな取り組みといえるだろう。

睡眠分析を始めとした様々な機能が実装されている

プレイヤーのアバターと妖精

昼間は万歩計としても使え，歩いた先でイベントが発生したりもする

衣装を集めていくことで，アバターの着替えも楽しめる

　早速テストプレイ……といきたいが，長期的にプレイすることが前提の本作だけに，東京ゲームショウのブースで試してみるというわけにもいかない。
　そこで，アトリエレント ドット ジャパンの代表である渡辺俊雅氏に気になるところを聞いてみた。

写真左から，アトリエレント ドット ジャパンのプログラマーである東岸芳浩氏と，代表の渡辺俊雅氏

4Gamer：
　よろしくお願いします。本作は睡眠をどのようにして分析しているのでしょう？

渡辺俊雅氏（以下，渡辺氏）：
　寝息のボリュームや帯域，画面にタッチしたかどうかなどの要素で判別しています。


4Gamer：
　睡眠の状態とゲームはどのように関連するのでしょう？

渡辺氏：
　睡眠の質が向上するとストーリーが展開し，新たな妖精と旅をできるようになりますね。本作には4つのステージがあり，それぞれ「いびき」「寝る時間帯」「睡眠時間」といったテーマが存在しています。プレイヤーはステージのテーマに沿った睡眠改善アドバイスをもらうことができます。適度な運動は睡眠に良いということで，昼間にアプリを起動すると万歩計とGPSを組み合わせた機能を使うことができ，歩数によってアイテムが手に入ったり，歩いた先でイベントが発生したりもするので，目標を持っての運動が可能です。

　また，ストーリーが終わった後もアプリを使い続けていただくことで，睡眠の状態を継続的にチェックすることが可能ですね。

4Gamer：
　睡眠と運動のゲーミフィケーションが本作1つで可能なわけですね。

渡辺氏：
　また，友達をフレンド登録でき，睡眠に関係した健康レベルをチェックできます。プライバシーもあるので，就寝時間や睡眠時間など具体的な数値は参照できず，あくまで抽象的な表示にはなるんですが，フレンドの健康度が低いなら気遣うきっかけになるわけです。


4Gamer：
　本作のストーリーはどのような形で表現されるのでしょう？

渡辺氏：
　妖精が語るボイスで表現されるので，寝かしつけのような効果があります。妖精は12人いるので，好みのものを選ぶことが可能です。

4Gamer：
　歩いた先ではどんなイベントが起こるのでしょうか。

渡辺氏：
　妖精同士が競い合う大会のようなイベントが起こります。オンライン上のプレイヤーさんたちがマッチングし，健康レベルや妖精の属性などの要素で優勝者が決まるんです。

4Gamer：
　睡眠改善を謳うアプリもありますが，ゲームや歩行と組み合わさっているところがポイントですね。本作のマネタイズをどのように行っているか聞かせてください。

渡辺氏：
　アイテムの合成などに使う「夢の実」をご購入いただけます。夢の実が早く欲しいという人に向けたもので，課金しないとプレイできないといった要素はありません。

4Gamer：
　今後はどのような展開を予定していますか？

渡辺氏：
　睡眠に関する悩みは万国共通なので，英語へのローカライズを進めていきたいです。また，眠る前のBGMも増やしていきたいです。

眠ったり歩いたりして手に入れたアイテムを合成すると，衣装などを作り出せる

4Gamer：
　ご自身が「夢冒険」を使ってみて，睡眠は改善しましたか。

渡辺氏：
　しましたね。ストーリーのボイスを聞いていると，安心して眠りにつけるようになりました。お母さんが子どもを寝かしつけるようなイメージで作っていたものなので，想定した通りの効果が出ましたね。

4Gamer：
　なるほど。開発者自身でも効果が体験できたというわけですね。ありがとうございました。

　夜は睡眠改善，昼間は歩行と2つの用途に使える「夢冒険」。2つのテーマを同時にゲーミフィケーションしたということで，ユニークな取り組みといえるだろう。

「夢冒険」公式サイト

「夢冒険」ダウンロードページ

「夢冒険」ダウンロードページ

東京ゲームショウ2023公式サイト

4Gamer「東京ゲームショウ2023」掲載記事一覧