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印刷2023/12/08 12:53

イベント

建物をぶっ壊し,爆破し,空を舞う,やりたい放題なチームFPS「THE FINALS」。プレビューイベントの先行プレイとQ&Aセッションをレポート

 ネクソンは2023年11月30日,東京・高田馬場「ASH WINDER Esports ARENA」にて,同社傘下のEmbark Studiosが開発するチームFPS「THE FINALS」PC / PS5 / Xbox Series X|S)の,国内メディア向けプレビューイベントを開催した。

NEXON チーフ・マーケティング・オフィサーのヘンリク・ヨハンソン氏
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 本作は,バーチャル世界のアリーナを舞台に,複数のチームが入り乱れて戦うファースト・パーソン・シューターだ。名目上は“シューター”でこそあるものの,登場する武器には,定番の銃,爆発物といったものから,まさかの「レイピア」まである有様。そして,最大の特徴でもある「オブジェクト破壊」によって,戦況は目まぐるしく変わっていく。基本的には“もうなんでもあり”の体験が,プレイヤーを待ち受ける。

 正式サービス開始に先駆けたプレビューイベントでは,編集部S.K.Y氏,筆者(夏上シキ)の2名で,ネクソンの担当者曰く「ほぼ製品ビルド」だというゲームプレイを体験できたほか,Embark StudiosメンバーのオンラインQ&Aセッションが実施された。本稿では,そんな期待あふれる本作について,新たに明かされた情報をお届けしよう。

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 基本プレイ無料のチーム対戦FPS「THE FINALS」のグローバルβテストが,本日20:00にスタートする。これに先駆けて行われた,メディア向けの先行体験会の模様をお伝えしよう。※メーカーよりグローバルβテスト開始時間変更の連絡があったため,記事を修正しました

[2023/03/07 03:00]

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「世界最高の戦闘ゲームショー」に殴りこめ!


 本作「THE FINALS」では,プレイヤーは世界最高の戦闘ゲームショーである「THE FINALS」(ゲーム内の設定が,そのままゲームのタイトルになっている)に参戦し,現実世界をモチーフとしたステージが特徴の仮想空間で,カオスなバトルに身を投じることになる。現時点で,すべてのゲームモードは「3人で1チーム」となっており,参加するチームたちによる,なんでもありの戦いが繰り広げられるわけだ。

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 舞台が仮想空間ということもあり,キルをされるとフィギュアになったり,コインをばら撒いてしまったりする。そこらじゅうを破壊しまくってもOKなので,まぁそれはそれは自由な戦いである。この“コイン”こそ,実は本作にとって非常に重要な存在……なのだが,ここではひとまず置いておこう。

 プレイヤーは,ライトボディ,ミディアムボディ,ヘビーボディの3種類からキャラクターロードアウトを作成し,ショーへと臨む。ボディによって,使用可能な武器,アイテム,アビリティなどが異なるので,自身のプレイスタイルに合うキャラクターを作成しよう。簡潔に表現するなら,

  • HPこそ低いが,高い機動力と攻撃性を持ち味とするライトボディ
  • 戦闘からサポートまで万能にこなせる,バランスの取れたミディアムボディ
  • 爆発物などによるオブジェクト破壊,元々のタフさを活かした防衛を得意とするヘビーボディ

 といったところだろうか。筆者がミディアムボディでちまちま戦っている間,編集部のS.K.Y氏は爆発物満載のヘビーボディで敵チームのプレイヤーを粉砕していたりして,プレイスタイルの差が顕著に出ていた。「自分の得意なことをひたすら押しつける」ゲームプレイは,どこか懐かしい感触を覚えたりもする。

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 そして,本作を本作たらしめている大きな要因として,「オブジェクトの破壊要素」は絶対に欠かすことができない。目に見えるもの……たとえばビルとか,塀とか,床とか,天井とか,とにかく,そこらへんの類いのものは,基本的に爆発物で破壊できる。部屋にこもる敵を壁ごと吹き飛ばしたり,屋上に居座る敵をその下の階から爆破したりできるわけである。銃が主役ではなく,ステージそのものを主役にするわけだ。
 これは余談だが,筆者が懸命に銃撃戦を繰り広げるなか,S.K.Y氏が筆者に放った言葉は,本稿を執筆している今でも忘れることができない。彼はグレネードランチャーを撃ち込み続け,C4で至る場所を爆破し,RPGで敵プレイヤーを壁ごと吹き飛ばしながら,淡々と述べた。

 「撃ち合ったら負けだ。爆破すりゃいい」

最大級の爆発範囲を持つRPG(ロケットランチャー)が壁に命中した瞬間。当たればとりあえず大穴が開く
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 ステージギミックが豊富なのも特徴で,時間帯といった基本的なものから,天候(砂嵐が起きることも)や,マップ構造の変化(アヒルのマスコットがパーティーに乱入し,アリーナの一部を潰す決心をするという意味不明なものもある),ゲーム内イベント(エイリアンのUFOが襲来し,地上へ向かって砲撃を加えてくる)まで,もうやりたい放題。ここで紹介したものはあくまで一例に過ぎず,次々と起こる変化によって,プレイヤーを飽きさせない。

エイリアンの侵略がアクティブになった。地上へ向けてドカドカ砲撃してくるので気が抜けない
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 また,本作の「敵プレイヤーをキルするだけでは,勝利は難しい」という点にも着目したい。今回のイベントで体験できたゲームモードは,大きく分けて2種類。ステージ内に存在する金庫から,キャッシュボックスを入手後,ステーションへと運び,キャッシュアウト(入金)することでキャッシュを得られる「クイックキャッシュ」モード。もう一つが,金庫を開けたり,敵をキルすることで獲得できるコインを,ステーションへ投入することでキャッシュを得られる「コインダッシュ」モードだ。
 これに加え,A・Bそれぞれのグループから4チームが参加し,最後の1チームとなることを目指して勝ち進む「トーナメント」モードも用意されていた。

キャッシュボックスを運んでいる最中。武器が使えないので味方に援護してもらうか,ひとまず放り投げて応戦しよう
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入金はめっちゃ大事。抱え込んだままやられるとイーブンどころか,敵に利することになってしまう
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 双方に共通しているのが,何らかのアクションで,キャッシュやコインを入手しても,それを“入金しなければ意味がない”という点。もちろん敵をキルするのは大事だが,必ずしも勝利へ直結しないのがポイントである。とは言いつつ,敵を見つけるまで走り回りたいイノシシタイプの筆者は,ゲームに「もっと頭を使え」と言われている気分であったが,「まぁ体験会だし……いっか」と走り回ってピョンピョン飛び跳ね,銃やアイテムをぶっ放していた。

ジャンプを決めながらRPGをぶっ放す味方のアライグマ頭。なんともシュールでエクスプロージブ……
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 ゲーム全体的にユーモアあふれる仕上がりで,どこか「おバカ感」も感じる本作だが,勝利を狙うとなると,一気にシビアな連携が求められる点は記しておこう。自身の立ち位置,敵の位置,破壊状況,どの場所を吹き飛ばすか……などなど,ボイスチャットによる連携は,効果が非常に大きなものになる。よほどの上級者であれば,個人技でどうにでもなるかもしれないが,長めのリスポーン時間も合わせ,基本的には“個”よりも,“群”で動いたほうが強いゲーム性だ。

とか言いつつ,ライトボディのアビリティであるグラップリングは爽快感が最高。なんかビュンビュンしたくなるのだ
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 そこらへんを走り回り,飛び跳ね,とりあえずぶっ壊したり,キルしたりしているだけでも楽しいが,それだけだと“勝利”にはつながらない。勝利を目指すには,クリエイティブな戦闘と,マメなコミュニケーションが欠かせない。このあたりは,俗にいうカジュアルマッチ・ランクマッチでの区別化であったり,ゲームモードの追加などで,プレイヤーの目的による棲み分けが行われると良いかな? と思ったりもする。

キルをされるとフィギュア状態になり,味方に蘇生してもらえるようになる。長いリスポーンを待たなくてもいいが,蘇生中は無防備なので駆け引きが迫る
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 とはいえ,ゲーム自体はシンプルで,戦闘スタイルはプレイヤーの数だけある。正式なサービスが開始した後,多くのプレイヤーによってショーがどのような進化を見せるのか,この時点で大きく興味を惹かれるプレイ体験だった。なお,個人的な感想として,ゲーム内のBGMの多くが“ノレる曲”であったのも良かった。配信サービスなどで,本作のサウンドを聞けるタイミングが来ると嬉しいと思っている。

余談だが,ホーム画面でキャラクターをクリックし,マウスを勢いよく振ると,キャラクターがとんでもない速度で回りだす(お使いのデバイスは正常です)。なんか笑えるのでぜひ
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「我々は日本のアーケードゲームに影響を受けている」


 イベント終盤,ゲームプレイを終えた国内のメディア陣を待っていたのは,本作の開発を行うEmbark Studiosとの,オンラインQ&Aセッションだった。インタビューに応じてくれたのは,Embark Studios共同創設者の一人であり,本作の総括も務めるロブ・ルネソン氏と,同社のコミュニティヘッドを務めるスヴェン・グランドバーグ氏の2名だ。

 本作のアイデアや,インスピレーションを受けた存在など,非常に興味深い話を聞くことができたので,その模様をお届けしつつ,本稿の締めくくりとしよう。

──本作のコアとなるコンセプトは,どのように作られたのでしょうか。

ロブ・ルネソン氏:(以下,ルネソン氏)
 Embark Studiosのメンバーは元FPS制作者が多く,自身も過去,数十作品に携わっています。そうしたキャリアの中で,シューター作品の古さを感じるようになりました。楽しさと競争の両立を目指し,「ダイナミックなサンドボックスでありながら,プレイヤーによって結果が作られるゲーム」を目指したんです。

──キャッシュを貯めるというゲームシステムは,どのように生まれましたか。

ルネソン氏:
 挑戦と失敗を繰り返しつつ,プレイヤーの経験を,プレイヤー自らカスタマイズするゲーム作りを目指したのがきっかけです。開発が2年ほど進んだ後,ダイナミックなプレイの要素を取り入れ,動と静が次々と入れ替わるゲームを考えたことが,現在のスタイルに繋がっています。我々が作りたかったのは,プレイヤーの自由度が高くて,プレイは楽しいもの。でも,競争もできる作品なんです。

──開発にあたって,影響を受けた存在はありますか。

ルネソン氏:
 インスピレーションは様々ですが,とくに日本の方に話したいのは,我々は「伝統的なアーケードゲーム」が大好きであるということです。市場の多くのFPS作品ではなく,「鉄拳」や「ストリートファイター」といった,日本の伝統的なアーケードから大きな影響を受けています。開発中,セガサターンで100時間以上遊んで研究をしたりね(笑)。日本のゲーム開発者には本当に感謝しています。

──本作の世界において,“コイン”には深い設定があったりするのでしょうか。

ルネソン氏:
 本作のゲームショーという設定とも繋がっていますが,なにより,我々のコアとなっている存在への純粋なオマージュです。どうしてもアーケードゲームにコインを入れたくて,親の財布から硬貨を拝借するような(笑),少年の心が根底にあります。

画像を拡大してもらうと,ピクセルチックな文章が見えると思う。こうした開発陣の遊び心が,ゲーム内の至る場所に詰め込まれている
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──先日のテストでは多くのフィードバックが寄せられたと思いますが,どのようなものがありましたか。

ルネソン氏:
 多くのフィードバックを寄せていただきました。バグからゲームバランス,時にはゲームサーバーの意見をいただくこともありましたね。それを受け,正式リリースでは,非常に多くの修正を施しています。皆さんにプレイしていただき,本当に感謝しています。

──正式サービス後,1シーズンの期間はどの程度になるのでしょうか。また,どのようなコンテンツを,どの程度の頻度で追加していく予定ですか。

ルネソン氏:
 正確なことはお伝えできませんが,1シーズンが大体3か月で,1年に4シーズン程度を想定しています。バトルの舞台となるステージは,世界各国をモチーフにしています。もちろん,日本も候補に入っていますからね(笑)。各シーズンでは,大小さまざまな規模のゲーム内イベントや,バトルパスを導入する予定です。シーズン2では完全に別物になりますので,ぜひ楽しみにしていてください。

スヴェン・グランドバーグ氏:
 本作のライブサービスを,コミュニティと共に続けていくことを追求していきたいですね。

──ゲームバランスとしては,どのようなものを追い求めていくのでしょうか。

ルネソン氏:
 「Counter-Strike」や「VALORANT」のような,競争性のあるハードコアなゲーム体験と,プレイ時の楽しさを両立し,プレイヤーもコンテンツクリエイターの視聴者も楽しめるゲームを目指します。

──本作のコミュニティへの展望や,どのようにプレイしてほしいかをお聞かせください。

ルネソン氏:
 私たちはいつも笑いながら,大声で叫んだり,時にはキーボードをぶっ壊したりしてプレイしています。なので,武器のチャームに“ぶっ壊れたキーボード”を追加しようと思ってるんです(笑)。ファンにも同じように,純粋な熱量と愛を持って,プレイしてほしいですね。10年くらい,長く楽しんでくれたら嬉しいな。

──初めてFPSを経験するユーザーや,本作をプレイするプレイヤーにメッセージをお願いします。

ルネソン氏:
 ヒーラーのようなプレイをしてもいいですし,建築物を片っ端からぶっ壊しまくってもいいです。「とにかく楽しんで。敵を排除するだけでなく,もっとクリエイティブになってほしい」と伝えたいですね。eスポーツのプロから,初めてFPSをプレイする人々。大人から子供までが本作のプレイヤーですから,どのようなフィードバックも大切にしています。

 ゲーム内に登場し,本作のキーアートにもなっている「パンダのコスチューム」ですが,実は「パンダとしてプレイできないゲームなんて楽しくないから遊ばない!」というフィードバックから実装されたものなんです。このフィードバックの送り主は,私の姉の子供たちの,一番小さな娘なんですけどね(笑)。
 そして姉自身も「THE FINALS」が,初めてプレイする3Dゲームになりました。彼女は銃を撃たないプレイスタイルでしたが,「ゲームがこんなに楽しいとは思わなかった」と言ってくれたんです。そうした楽しいゲーム体験を,より多くの方々にしていただきたいと思っています。
 我々は,「THE FINALS」を世界中で人気があるゲームにしたい。そのために,皆さんにはどんどんプレイしていただき,そして,どんどんフィードバックを送っていただけたら嬉しいです。

ショーの開幕だ! さぁ,あなたもアリーナに飛び込もう!
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