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自然言語で会話ができるゲーム内キャラクターを作る「NVIDIA ACE for Games」が発表に
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印刷2023/05/30 14:56

ニュース

自然言語で会話ができるゲーム内キャラクターを作る「NVIDIA ACE for Games」が発表に

コロナ禍の影響もあって,COMPUTEX基調講演への生出演は4年ぶりというJensen Huang氏(CEO,NVIDIA)。「久々に,たくさんの懐かしい顔に再会できたことが嬉しい」という一言から始まった
画像集 No.002のサムネイル画像 / 自然言語で会話ができるゲーム内キャラクターを作る「NVIDIA ACE for Games」が発表に
 2023年5月29日,NVIDIAは,5月30日から台湾・台北市で開かれるIT関連大規模展示会「COMPUTEX 2023」の開催に先立ち,同社CEOであるJensen Huang(ジェンスン・フアン)氏による基調講演を行った。
 基調講演自体は,NVIDIAが最も注力しているサーバー向けCPU「Grace」やサーバー向けGPU「Hopper」の話題がメインであったが,ゲーマーに関わりのある興味深い話題もあったので,簡単にレポートしたい。

今回の主役「GH200」を披露するHuang氏
画像集 No.003のサムネイル画像 / 自然言語で会話ができるゲーム内キャラクターを作る「NVIDIA ACE for Games」が発表に 画像集 No.004のサムネイル画像 / 自然言語で会話ができるゲーム内キャラクターを作る「NVIDIA ACE for Games」が発表に


GeForce系の話題は4060シリーズの紹介のみ


 基調講演の最初に紹介されたのは,すでに発表済みのデスクトップPC向け「GeForce RTX 4060 Ti」シリーズと,ノートPC向け「GeForce RTX 4060」であった。これらはすでに販売中であり,Huang氏は,「製品が顧客のもとに送り届けられるようになったことを喜ばしく思う」と述べていた。

デスクトップPC向けGeForce RTX 4060 TiとノートPC版GeForce RTX 4060を紹介するHuang氏
画像集 No.005のサムネイル画像 / 自然言語で会話ができるゲーム内キャラクターを作る「NVIDIA ACE for Games」が発表に

 GeForce RTXにまつわる話題は冒頭のこのパートくらいで,このあとは,基本的にエンタープライズ系やGPUサーバーの話題が中心であった。


クラウド上で動かす「ゲーム向けのAIエージェント」ソリューション


 ゲーマーの関心が高そうな話題としては「NVIDIA ACE for Games」(以下,ACE for Games)の発表が挙げられよう。

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 NVIDIA ACEこと「NVIDIA Avatar Cloud Engine」自体は,2022年8月のSIGGRAPH 2022で行われた基調講演で発表となったもので,同社のDGXプラットフォームによるクラウドサービスで提供されるインタラクティブAIエージェントサービスになる。

 普及が進みつつあるAIエージェント技術であるが,家電や自動車などでのユーザーに対する操作サポートや,比較的シンプルな事務処理がメインの行政サービスなどにおいては,生身の人間との対話に近い応対ができるほうが使いやすい。しかし,そうしたAIエージェントの開発や運用システムの構築,実際のサービス提供まで,すべてをユーザーとなる企業が1社で賄うのは難しい。
 そこでNVIDIAが,「表情が豊かで親しみやすく,インタラクティブ性に優れた高品位なAIエージェントの開発とシステム構築,サービス提供までのすべてを面倒みましょう」というソリューションとして発表した「総合的なAIエージェントプラットフォーム」がACEだ。

 ACEは,いくつかの構成モジュールを組み合わせて実現されている。

ACE for Gamesの構造。左側がNVIDIA ACEで,これをゲームエンジンとリンクさせる
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 1つは,生成系AIフレームワーク「NVIDIA NeMo」だ。これは,大規模言語モデルを採用した対話型AIや画像生成系AIをカスタマイズして構築するモジュールになる。
 2つめは,自然言語処理フレームワーク「NVIDIA Riva」。これは,自然言語認識(Automatic Speech Recognition,ASR)エンジンや,テキスト音声変換(Text to Speech,TTS)エンジンから成る。
 3つめは,言語モデルに依存しない自然な表情アニメーション(※口パク含む)を実現させる「NVIDIA Omniverse Audio2Face」エンジンだ。


NVIDIA ACEの発表時,デモで活躍したデフォルメ版Huang氏
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 NVIDIA ACEの分かりやすい応用事例としては,近年のNVIDIAによる基調講演などで登場したデフォルメ版のHuang氏などがある。
 一方で,今回NVIDIAは,ACEのゲーム向け応用可能バージョンとしてACE for Gamesを発表したのだが,そのデモはテイストがまったく異なり,リアルさを重視した内容となっていた。以下の動画を見てほしい。


 今回のデモは,Epic Gamesの「Unreal Engine 5」を活用しており,ラーメン屋の店主の表情を含む3Dモデル自体は,Unreal Engineフレームワークで提供されているバーチャルキャラクター生成システム「MetaHuman」ベースを用いて制作されている。表情アニメーションをNVIDIA ACEで生成したうえで,NVIDIAのOmniverseフレームワークを用いて3Dモデルを動かす仕組みとなっているそうだ。
 また,AIエージェントがプレイヤー役との会話で話す内容は,汎用のAIエージェントとは異なり,ゲームの物語や世界観に沿ったもの作り込めるという。

ACE for GamesによるNPCとの会話の例
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 Huang氏によると,ACE for Gamesが提供するAIエージェントの出力は,ターゲットプラットフォームによって任意に変えることができるそうだ。
 たとえば,GPU性能の高いゲームPCをターゲットとするPCゲームであれば,AI生成による音声データと,表情などのアニメーションデータだけをクラウド側のNVIDIA ACEが生成して,実際の描画はユーザー側PCのGPUで行わせる。逆に,GPU性能が低いスマートフォン用のゲームでは,描画を含めたすべての出力をクラウド側のNVIDIA ACEで生成する(※描画フレームそのものをクラウドから送る)ようなこともできるということだ。

 ゲームにおけるすべてのNPCが,ACE for Gamesベースになることが,ゲーマーにとってどのような価値を生み出すのかは想像のしようがない。しかしACE for Gamesを効果的に活用したAIキャラクターを,プレイヤーのパートナーとして活躍させるようなゲームは面白そうである。今後の展開が楽しみだ。

2021年に発表したArmアーキテクチャのサーバー向けCPU「Grace」と,2022年発表の「Hopper」ベースのGPUを1パッケージにまとめた「Grace Hopper Superchip」が,「NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip」(以下,GH200)として正式発表された
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このGH200を256基(GH200×8基×32接続)搭載したスーパーコンピュータシステム「NVIDIA DGX GH200」も同時に発表となった。理論性能値は1000 PFLOPS(=1 EFLOPS)
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NVIDIAによる当該プレスリリース(英語)

  • 関連タイトル:

    GeForce RTX 40

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