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[プレイレポ]最大33人参加のバトルロイヤル「ASURAJANG」は,テクニックも重要だがアイテム運にも左右されるカジュアルさが魅力だ
日本での運営を担当するG・O・PのCOOを務める麥谷将人氏と,本作のデベロッパであるD-ZARDのCEOであるキム ドンヒョン氏による調印式やプレゼンテーションに加え,メディア合同で行われた試遊会の模様をレポートする。
※ゲーム画面は開発中のものです。正式サービス時の仕様とは異なる場合があります。
「ASURAJANG」公式サイト
調印式に先立ち,キム氏は取材陣に「ASURAJANG」のプレゼンテーションを行った。
韓国のゲーム業界では「日本では対戦ゲームはウケない」と考えられているそうだが,氏はそれに対して常々疑問を感じていたという。なぜなら日本でも「Apex Legends」「フォートナイト」「スプラトゥーン」「大乱闘スマッシュブラザーズ」など,対戦ゲームが幅広い層に受け入れられているからだ。
また,キム氏は自らを「古いタイプの人間」と評し,キャラクターの魅力とゲームの魅力をうまく結びつければ「大きな相乗効果があると信じている」と熱っぽく語った。ちなみに,1990年代の格闘ゲームが大好きで,とくに「ザ・キング・オブ・ファイターズ」シリーズの大ファンとのこと。
世界でもヒットする日本のアニメ風のキャラクターが登場し,ゲームパッドでも気軽に遊べる対戦ゲームを作れば,日本をはじめとする多くの地域で受け入れられるはず──。そうしたビジョンをもとに制作されたのが,本作なのだそうだ。
本作は最大33人のプレイヤーが戦場に集い,生き残りをかけて戦うバトルロイヤルアクションだ。1試合あたりの時間は10分程度を想定してデザインされている。
レアリティの高いアイテムは最初からマップ上に表示されているため,開幕からその周囲では激しいバトルが発生しやすい。一方,最終段階まで多くのプレイヤーが残り,狭い足場での“大乱闘”に発展することもあるようだ。
また,アイテム運次第でキャラクターの戦力がダイナミックに変わるため,勝敗には運の要素がそれなりに絡むと思われる。こうしたゲームデザインには,「できるだけ幅広いプレイヤーに楽しんでもらいたい」という狙いがあるようだ。
クロスプレイは技術的には実現可能な状態にあり,正式リリース後はNinendo Switchの後継機種を含む対応プラットフォームを増やすことも視野に入れているとのことだ。
さて,ここからは試遊の感想をお伝えしよう。
バトルロイヤル形式と聞くと,FPSやTPSを思い浮かべる人が多いと思うが,本作は見下ろし視点のアクションゲームだ。「まずは地形を覚えないと,ほかのプレイヤーと駆け引きすらできない」といった,初心者にとって大きなハードルになる部分が緩和されている。
何度かプレイして操作方法や装備,アイテムの効果などを覚えれば,とりあえず遊べるようにはなるはずだ。
ただ,姿を隠せる「茂み」があちこちにあるので,見下ろし視点といっても奇襲を受けるリスクはゼロではない。慣れたプレイヤーは茂みに弾を撃ちこむなどしてクリアリングしそうだが,隠れている側はそうした攻撃のスキを襲うのもいいだろう。
試合展開は非常にスピーディだ。時間経過に応じてマップの端がどんどん崩れて狭くなるため,相手をマップの外に押し出して,「落として倒す」ことも有効な選択肢の1つとなる。
今回使用できたキャラクターは10人だ。クール系,ロボット系,ロリータ系,ゾンビ風ナースなど,その属性はさまざまだが,全体的にかわいらしいキャラクターが多い。屈強なシルエットの大型メカも,操縦しているのは小さいおサルさんだったりする。
十二支を擬人化したようなキャラクターたちなので,コスチュームやアクセサリ,武器などには東洋風のフレーバーが入っているのも特徴だ。
最初の試合は,3人対3人のチーム戦。筆者はパワフルなメカを操縦するサルの「ハヌマン」を選択した。
ロビーでハヌマンを操作してみると,事前にイメージしていたとおり,移動は遅めだが攻撃のリーチや威力に優れている。総合的には使いやすいキャラクターではないだろうか。
なお,操作はマウス&キーボード,またはゲームパッドのどちらも対応している。
マッチングが完了すると,各々のプレイヤーが戦場へ降下していく。いかにもバトルロイヤルといった導入だ。
とりあえず味方とつかず離れずの位置に降下し,周辺のアイテムを探そうとしたのだが,いきなり3人組のグループと遭遇する。さすがに分が悪そうなので,一定の距離を保って様子を見ることに……。
このグループはBotプレイヤーだったようで,こちらを追いつめることはなく,ほかのBotチームとの戦い,徐々に体力を消耗していった。
そこで,こちらから攻撃を仕掛けることにした。体力ゲージを減らしきったところで強攻撃を当てると,相手は画面外までブッ飛んで行く! ……うん,この感覚は“強打兄弟”を彷彿とさせる爽快感だ。
ただ,本作では攻撃やジャンプ,回避アクションなど,大半の行動はスタミナゲージを引き換えにするため,いくら上手なプレイヤーでもスタミナを回復するインターバルが必要になる。一度に多数の敵を相手にするのは,かなり厳しいことになりそうだ。
装備やアイテムを活用すれば,ある程度まで解決できるのかもしれないが,範囲攻撃に複数の敵を巻きこむ,移動や潜伏で相手をバラバラに引き離してから戦うといった工夫が必要だろう。
なお,ジャンプにスタミナが必要ということは,残りのゲージが乏しいときに場外に出てしまうと,多段ジャンプでステージに復帰できなくなってしまう。慣れないうちは陥りがちな状況なので,ぜひ注意してほしい。
次の試合は,プレイヤー全員が敵同士となる個人戦だ。操作するキャラクターをゾンビっぽいナース「ムイムイ」に変更してみた。
ムイムイは遠距離戦が得意らしく,操作に慣れれば地雷なども活用して「いやらしい」戦い方ができそうだ。しかし,攻撃の当て方にクセがあり,いきなり自由自在に戦うのは難しくもあった。
おそらく見た目が素直なキャラは操作性も素直,クセのあるキャラは玄人向きといったように,キャラクターのデザインで扱いやすさを示しているのかもしれない。
戦場でいろいろ試しているうちに,ムイムイに適した間合いが分かってきた。だが,戦闘ばかりに時間をかけすぎたようで,アイテム争奪戦では完全に出遅れてしまった。
最後の2人になるまで生き残ることはできたが,しっかり強化アイテムを獲得していたトウゴに手も足も出ず,完全に敗北を喫した。
プレゼンテーションでキム氏が語っていたとおり,テクニックも重要だが,運にも適度に左右されるカジュアルなゲームプレイの一端は垣間見えた。熱心なゲーマーだけでなく,「みんなで盛り上がれる対戦ゲーム」として親しまれる作品になる可能性はあるだろう。
なお,6月10日から6月17日午前10時(PT/太平洋時間)まで開催される「Steam Nextフェス」では,本作の最新バージョンがプレイできる。興味を持った人は,ぜひ実際に試してみてほしい。