新作「サガ エメラルド ビヨンド」のオープニング曲も演奏された「ロマンシング サガ オーケストラ祭2023」東京公演の模様をレポート

　BSフジは，2023年10月15日に東京芸術劇場コンサートホールにおいて，「ロマンシング サガ オーケストラ祭2023」を開催した。「四魔貴族バトル」「熱情の律動」などシリーズを代表する名曲に加え，2024年発売予定の新作「サガ エメラルド ビヨンド」（PC / PlayStation 5 / PlayStation 4 / Nintendo Switch / iOS / Android）の新曲など，多彩な曲が披露された。その昼公演の様子をレポートしよう。

この日はあいにくの空模様だったが，開場時間には天気もある程度回復していた

写真：白石達也

オフィシャルグッズの販売も行われ，来場者が行列を作っていた

こちらは会場に展示されていたアパレル「Saga Design Works」。せんせいやジュエルビーストがあしらわれた，ファンにはうれしいデザイン

「ロマンシング サガ オーケストラ祭2023」公式サイト

大きな盛り上がりの中，新作「サガ エメラルド ビヨンド」への期待も高まる

　「ロマンシング サガ オーケストラ祭」はその名のとおり，「ロマンシング サガ」シリーズの楽曲をオーケストラで演奏するというイベントで，今年は東京，福岡，大阪の3会場での開催となる。最初となる東京公演では，和田一樹氏の指揮のもと，パシフィック フィルハーモニア東京がシリーズの定番曲から2024年に発売を控える新作「サガ エメラルド ビヨンド」の新曲までを演奏し，ファンを楽しませた。

●出演者一覧（敬称略）
指揮：和田一樹
演奏：パシフィック フィルハーモニア東京
ゲスト：伊藤賢治，河津秋敏，市川雅統
ゲストアーティスト：岸川恭子，KOCHO
MC：結

●「ロマンシング サガ オーケストラ祭 2023」東京公演 昼公演 セットリスト
1：オーバーチュア 〜 オープニングタイトル from ロマンシング サ・ガ
2：迷いの森〜下水道 メドレー from ロマンシング サ・ガ
3：人魚の伝説〜ダンストラック#3 メドレー from ロマンシング サ・ガ2
4：バトル1〜七英雄バトル メドレー from ロマンシング サ・ガ2
5：怪傑ロビンのテーマ〜この世に悪はさかえない！ from ロマンシング サ・ガ3
6：アビスゲート〜四魔貴族バトル1〜四魔貴族バトル2 メドレー from ロマンシング サ・ガ3
7：最終試練〜死への招待状 メドレー from ロマンシング サガ ミンストレルソング
8：熱情の律動 from ロマンシング サガ ミンストレルソング
9：エメラルド ビヨンド序曲 from サガ エメラルド ビヨンド
10：ポドールイ from ロマンシング サ・ガ3
11：女道化師イゴマール〜オリアクス−世界を穿ち、時を射る者−〜 メドレー from ロマンシング サガ リ・ユニバース
12：再生の絆〜Re;univerSe〜　from ロマンシング サガ リ・ユニバース
13：最終決戦！ ラストバトルメドレー from ロマンシング サ・ガ1〜3

　コンサートの開幕は「オーバーチュア 〜 オープニングタイトル」。文字どおりロマサガシリーズの始まりを告げる曲で，オーケストラで奏でられる壮大な曲が来場者達を作品世界へと誘う。
　続いては神秘的な「迷いの森」，勇ましさから「世界一カッコイイ下水道の曲」として知られる「下水道」，シリーズを代表する「バトル1」「七英雄バトル」と有名曲が続き，とても序盤とは思えない熱量でコンサートが進行していく。
　「ダンストラック#3」は今回初めて披露されたオーケストラアレンジ。伊藤賢治氏は「作曲するときには曲調にこだわり，3拍子で踊る曲ということで『テネシー・ワルツ』を参考にした」と当時の制作秘話を明かした。
　続いては勇壮な「怪傑ロビンのテーマ〜この世に悪はさかえない！」，そして普通のコンサートならクライマックスになりそうな「アビスゲート」「四魔貴族バトル1」「四魔貴族バトル2」メドレーと続く。

写真：白石達也

　コンサートの後半は，岸川恭子さんを迎えてのトークコーナーからスタート。岸川さんは舞台になると一変することで知られているが，この日も「今までにも増して内気な恭子だが，（いざ舞台となると）別人格がやってくる。軽くイタコのよう」と語る。そして「最終試練」「死への招待状」のメドレーで舞台に立った岸川さんは予告どおりに変身，朗々とした歌声を場内に響かせる。
　ロマサガシリーズのコンサートに行く人にとってはおなじみの光景のはずだが，それでも毎回驚かされるのが，岸川さんの真骨頂とも言える「熱情の律動」だ。アップテンポな曲を情熱的な声が彩り，場内の雰囲気もぱっと明るくなるのだから，岸川さんの声の力には圧倒される。この日は手拍子も解禁されており，岸川さんと共に皆で手拍子をすると，舞台と客席が一つになったような心地良さがあった。

写真：白石達也

河津秋敏氏（左）と市川雅統氏（右）
写真：白石達也

　トークコーナーでは，伊藤氏に加えて「サガ」シリーズ総合ディレクターの河津秋敏氏と，「サガ エメラルド ビヨンド」のプロデューサーである市川雅統氏が，エメラルド色のタイとシャツを身に着けて登壇し，「サガ エメラルド ビヨンド」について語った。

　市川氏は「サガシリーズへの応援ありがとうございました。リモート開発などいろいろと大変でしたが，皆の応援があったらからこそ，いいものができたと思っています」，河津氏は「長い間待たせてしまいましたが，もう少しで完成と言っていい状態まできています。あと少し頑張っていいものにしようとしているので，期待して待っていてほしいです」と新作の出来映えに自信満々だ。

　「エメラルド ビヨンド序曲」について河津氏は「ロマサガの序曲（オーバーチュア 〜 オープニングタイトル）を超えるようなものを書いてくれればいいんじゃないか」と依頼したそう。超えるといっても相手はシリーズを代表する名曲で，並大抵のことではないはずだが，そこはさすが伊藤氏。できあがった「エメラルド ビヨンド序曲」の出来映えには，河津氏も賞賛を惜しまなかったという。この流れで演奏された「エメラルド ビヨンド序曲」は，勇壮さとスケール感を併せ持つ，物語の開幕にふさわしい曲で，この曲からどんな物語が展開するのかが楽しみになった。

　そして，もう一人のゲストアーティストであるKOCHOさんが登場し，伊藤氏と共に曲について語る。伊藤氏は「オリアクス−世界を穿ち、時を射る者−」について，ピアノだけのバトル曲というコンセプトのもと，2台のピアノが戦っているかのような曲を構想していたが，開発からは「もっと盛りあげてほしい」というオーダーがあったため，相当に苦労しつつ現在の形になったのだという。
　また，KOCHOさんは昨年のオーケストラ祭で「女道化師イゴマール」を歌ったことについて「好きな曲だったので，特等席で聴きながら歌えたのがうれしかった」と語った。そして そして「女道化師イゴマール 〜 オリアクス−世界を穿ち、時を射る者−」 のメドレーでは，KOCHOさんの声とオーケストラ，そしてパイプオルガンの音色が，妖艶さと緊迫感を併せ持つ楽曲世界を表現する。
　そして，伊藤氏がピアノを演奏する「再生の絆〜Re;univerSe〜」，イトケン節が炸裂する「ラストバトルメドレー」と続き，これ以上ないほどの盛り上がりの中でコンサートは幕を閉じた。

写真：白石達也

　「ロマンシング サガ オーケストラ祭2023」は，この後も10月22日に福岡市民会館 大ホールで福岡公演，11月19日にザ・シンフォニーホールで大阪公演が行われる予定だ。

写真：白石達也

「ロマンシング サガ オーケストラ祭2023」公式サイト