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[インタビュー]仮面ライダーがテーマの新作アプリ「ライドカメンズ」に携わる高橋悠也氏と武部直美氏に,本作ならではの魅力とこだわりを聞いた
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印刷2024/03/15 17:00

インタビュー

[インタビュー]仮面ライダーがテーマの新作アプリ「ライドカメンズ」に携わる高橋悠也氏と武部直美氏に,本作ならではの魅力とこだわりを聞いた

 「仮面ライダー」オリジナル新作アプリプロジェクトとして発表された「ライドカメンズ」iOS / Android)。仮面越しにこちらを見つめるクールな目元が印象的なイケメンのキービジュアルで話題を呼んだ本作には,数々の「仮面ライダー」作品に関わる高橋悠也氏(世界観構築・メインシナリオ)と武部直美氏(世界観監修・プロデュース)が参加しています。

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 本稿では,「仮面ライダーギーツ」でもタッグを組んだお二人に,「仮面ライダー」シリーズ初心者でも分かる「ライドカメンズ」の魅力や制作エピソードについてお聞きしました。公式サイトで続々と発表されていく仮面ライダーたちのビジュアルも要チェックです!

高橋悠也氏(左)と武部直美氏(右)
画像集 No.006のサムネイル画像 / [インタビュー]仮面ライダーがテーマの新作アプリ「ライドカメンズ」に携わる高橋悠也氏と武部直美氏に,本作ならではの魅力とこだわりを聞いた


新たな「仮面ライダー」シリーズへのアプローチとして描く,挑戦であり,原点。
登場する新たな仮面ライダーたちの人間ドラマに注目を


4Gamer:
 「仮面ライダー」をテーマにした新作アプリであり,これまでにないテイストのキービジュアルでも話題になった「ライドカメンズ」ですが,制作に至るまでの経緯を教えてください。

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武部直美氏(以下,武部氏):
 「仮面ライダー」シリーズも長くなりましたので,弊社,東映とバンダイさんのなかで,新しいターゲット層に向けて,何か新しいものを始められないかと考えたのが始まりです。

 ゲームアプリと決まったところで,「ゲームであれば高橋さんが得意そうだな」と思い,以前「仮面ライダーアマゾンズ」でもご一緒させてもらった高橋さんにお電話をしました(笑)。「仮面ライダーギーツ」をやるよりも実はずっと前でした。

高橋悠也氏(以下,高橋氏):
 ですね。だいたい「仮面ライダーゼロワン」が終わったくらいだったと思います。時期的に1つのライダーが終わって時間を置くと次の「仮面ライダー」か,スピンオフなどの話をいただくことがあるんですが,このとき武部さんから電話がきた段階で「あ,ライダーかな」って直感しました。

武部氏:
 (笑)。

高橋氏:
 僕自身もゲームが好きですし,「仮面ライダーエグゼイド」というゲームがモチーフの作品に参加していたので,そのときのノウハウを期待していただいているのかなと思い,がんばろうとお引き受けしました。

4Gamer:
 電話1本から始まったのですね。「ライドカメンズ」というタイトル名にした理由は何でしょうか。

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高橋氏:
 仮タイトルで企画を進めつつ,紆余曲折を経てこのタイトルに決まりました。本来であったら「仮面ライダー〇〇」と名付けてもおかしくないのですが,この作品はプレイヤーが没入するキャラクターである主人公は“エージェント”であり,仮面ライダーに変身するキャラクターではありません。16人いる仮面ライダーをサポートする立ち位置になるんです。

 加えて,本来「仮面ライダー〇〇」ときたら,〇〇が主人公になるので,「16人全員を表すような〇〇って何だろう」と考えると意外と難しくて……。まったく違うタイトル候補もあったのですが,あまりにも「仮面ライダー」からかけ離れていると,公式作品ではないものだと思われてしまうなと。ある程度「仮面ライダー」というワードを使い,アナグラムっぽくしたうえで,テーマである仮面と,メンズがいっぱい出るということで「ライドカメンズ」になりました。

武部氏:
 意外とこれで「仮面ライダー」だっていう感じがして,面白いですよね。

高橋氏:
 意味合い的には「仮面」がポイントですね。仮面とイケメン。

武部氏:
 単にヒーローものということであればほかにもたくさんあります。ほかのヒーローものではない,「仮面ライダー」であるというところを大切にしたいので,どうあれば「仮面ライダー」になるんだろうという話し合いは多かったです。

 そのなかで,だんだんと仮面という部分をピックアップしていった感じですね。「仮面ライダー」もたくさんのテレビシリーズがあって,いろいろな「仮面ライダー」のデザインやアプローチがあるなかで,ちょっと原点に戻ったところもある作品です。

4Gamer:
 キービジュアルのイケメンキャラクターの姿に,“ターゲットは女性では?”という声もあるかと思います。今回,こういったテイストにした狙いは何でしょうか。

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武部氏:
 女性向けゲームと限定しているわけでなく,男女問わず楽しめるものをお届けしたいと考えています。今までの特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズが大好き,毎回見ているという人だけではなく,チラッと見たことはある,「仮面ライダー」って人気あるらしいよね……という人たちに引っかかってほしいという想いがありました。

高橋氏:
 本来,特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズのキービジュアルは,変身後の姿が第一報で出て,そのあとにどんな俳優さんが演じるのかという情報が発表されます。ですが今回はキャラクターや人物の表情を先に出しました。どういう姿に変身をするのかなどの情報があとにくる逆転の感じになっていて,変身ヒーローのビジュアルが好きで特撮を好きな人とはまた違う,キャラクターや人物を好きな人たちにも楽しんでもらえるような入口になっていると思います。

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武部氏:
 差別化ですね。テレビはベースとしてはあくまで子ども向け番組なんです。もちろん二世代にわたって見ていただけるように,大人にも見ていただきたい気持ちはありますが,絶対的にちびっ子相手。でも,「ライドカメンズ」は大人向けになっています。

4Gamer:
 そんな“大人向け”な本作の特徴や,世界観について教えてください。新規層だけでなく,これまでの仮面ライダーファンも楽しめる要素はありますか。

高橋氏:
 特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズは,「仮面ライダーガッチャード」では錬金術,「仮面ライダーギーツ」では生き残りゲームや世界転生,というように,毎回モチーフとなるテーマがあります。今回は「仮面ライダー」を知らない人でも楽しんでもらえるように,原点である「仮面」をテーマにしています。

 僕もなんですが,きっと皆さんにも私生活やお仕事で違う自分を演じる瞬間があると思うんです。仮面をつけて,演じながら社会に関わるキャラクターたちに「ああ,分かるな〜」と感じてもらえるようなストーリーを作りたい。そういう思いを込めて,キャッチコピーでは「仮面」を「カオ」と読むようにしています。

武部氏:
 東映としては,ショッカー,裏切り者,脱走,敵と同じ力で戦う,といった,あえて初代「仮面ライダー」と同じような世界観を作り,高橋さんのところへ持っていきました。そこから,高橋さんがおっしゃった仮面の要素,人の内面という部分を入れていただいています。人体改造であったり,変身ベルトで変身しなくてはいけなかったりなども含めて「仮面ライダー」シリーズ要素を凝縮しました。

 実は,楽しそうに見える「仮面ライダー電王」も,イマジンという敵の力で戦っているし,華やかな「仮面ライダーオーズ」もアンクが敵の裏切り者だったりと,テレビでも取り入れていることではあるんですが,本作ではよりスタートを分かりやすくしようとしています。

 一見平和に見える学園から物語が始まりつつも,大変なことが起こる,という流れになっているんです。そう思うと,まごうことなく「仮面ライダー」な気がするし,仮面ライダーファンの人にも楽しんでもらえると思います。

高橋氏:
 物語のスタート時点でいうと,比較的プレイヤーが関わっていく若いメンバーたちは,プレイヤーと一緒に事実を知っていく側で,ベテランの先輩組はある程度事情を知っているという,大きく2つのグループに分かれているんです。

武部氏:
 全員が仮面ライダーではありますが,それぞれが所属しているクラスによって,立場やスタンス,知っていることなども違っていますね。

4Gamer:
 人体改造や記憶喪失など,不穏な単語も多いなと思ったのですが,差し支えのない範囲でメインストーリーの展開について教えていただけますか。

武部氏:
 不穏な言葉はありますが,それを打ち破っていくところから始まるので,怖かったりはしないと思います! 大丈夫!(笑)

高橋氏:
 展開としてはシリアス,ポップ,どちらもあります。シナリオのボリュームも多いし,キャラクターも多いし,誰もが主人公になり得る物語です。公式サイトにも載せましたが,「広く、長く、深い『物語』」になっていると思います。

武部氏:
 数年前から書いていると思うと本当に長いですよね。「仮面ライダーギーツ」の間もずっと書いているんだもの(笑)。

高橋氏:
 「仮面ライダーギーツ」が忙しいときは,「ライドカメンズ」の脳はほぼ動いていなかったかもしれないです。でも,そのときはわりと監修的ポジションに入れたので,両立できたポイントかもしれませんね(笑)。

4Gamer:
 両立とはすごいですね。これまでの特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズとの相違点,逆に共通点などはありますか。また本作での「仮面ライダーらしさ」も教えてください。

高橋氏:
 仮面ライダーに馴染みがない人に向けて言うと,作品によって多少差はありますが,「仮面ライダー」には同族同士の争いだったり,ショッカーという自分を生んだ親と戦う話だったり,「自分は生きていていいのだろうか」と自分自身の存在に思い悩んだりと,3つくらいの大きな柱があるんです。

 その柱は「仮面ライダー」を楽しんでもらううえで,今作でも外してはいけないと考えました。とくにジャスティスライドのメンバーは誰しもが一度は思い悩む部分にぶつかっていくので,その流れは共通点だと思います。

武部氏:
 相違点は先ほど言ったように,子ども向けではないので,ちょっと大人っぽい世界観ですかね。ずっとドラマが続いていくというところも違います。テレビではここで敵を倒すだとか,アクションシーンになるといった,ある程度決まった流れがあるんですけど,アプリゲームは人間同士の話をより深掘りすることで長く続けていけます。

高橋氏:
 そうですね。キャラクター同士の人間ドラマには,よりフィーチャーしている気はします。変身しても顔が見える点,キャラクターのコロコロ変わる表情の機微も含めて,セリフを楽しんでもらえることを目指しました。

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実写とは違うゲームならではの
キャラクターづくり


4Gamer:
 本作では16人のオリジナルの仮面ライダーが登場しますが,彼らが所属しているクラスはそれぞれどんな特徴を持っているのか簡単に教えてください。

●ジャスティスライド(教育地区)
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高橋氏:
 若手4人組のクラスで,プレイヤーと一緒に行動し,仮面ライダーとして活動していきます。モチーフが「平和」で,彼らは平和のために戦い,一番まっとうな人助けをしていく,分かりやすいヒーロー像です。

 また,迷子の猫も助けるし,強盗犯も捕まえるし,「何か困ったことがあったら助けます」というすごく範囲が広い便利屋“仮面ライダー屋”を営んでいます。爆弾を抱えたキャラクターもいますが,概ねみんな好青年で,とっつきやすいクラスです。

●マッドガイ(工業地区)
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高橋氏:
 モチーフは「力」で,人助けというよりは「俺が一番!」みたいなタイプが多いです。敵のカオスイズムを自分の力で打ち砕いて,復讐していくみたいな“野郎ども”。好青年ではなく,野郎どもというノリのメンバーです。

●スラムデイズ(娯楽地区) 
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高橋氏:
 「自由」をテーマにしているクラスです。誰かを倒すとか,人を助けるとかよりも,自分たちが楽しく,自分らしくあればいいというポジションになっています。

 本作の仮面ライダーたちは人体改造された時点で,みんな等しく過去の記憶の一部を失っているんですが,スラムデイズのみんなは,何よりも失くした自分の記憶を取り戻したいと願っています。

●ウィズダムシンクス(商業地区)
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高橋氏:
 「真実」をテーマにしている集団で,ラウンジ「ウィズダム」を経営しているんですが,そのお店に訪れる女性客から情報を集めています。カオスイズムのやろうとしていることや,カオストーンという不思議な石のことなど,いろいろな秘密に迫ります。

●タワーエンブレム(企業地区)
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高橋氏:
 わりとクラスの個性はそれぞれのエリア名からイメージが伝わるようにしていて,ジャスティスライドは正義だし,マッドガイはちょっと狂った感じ,スラムデイズは「自由に過ごそうぜ」で,ウィズダムシンクスは知識を大事にするみたいな。

 そんななかで,タワーエンブレムは「支配」がモチーフになっています。高層ビルの上から街を眺めるような,社会を私たちが回していくという統率者,社会的地位や権力を求めるクラスです。

4Gamer:
 クラスごとの個性が分かりやすいですね。クラス分けは最初から決まっていたのでしょうか。

武部氏:
 各キャラクターのモチーフを決めてから,少しずつクラスのメンバーを入れ替えたりしました。バランスを見ながら調整していった感じです。

4Gamer:
 なるほど。では仮面ライダーたちの制作エピソードをお聞かせください。

武部氏:
 当初からたくさんの「仮面ライダー」を出すことは決まっていたので,仮面ライダー名は分かりやすいほうがいいだろうと考えました。そのため「仮面ライダー才悟」とか「仮面ライダー荒鬼」とか,名前とすぐ結びつけられるシンプルな形になっています。それぞれの名前も高橋さんが大事につけてくださっているので,それを生かす形です。

高橋氏:
 スタートから16人いるというのは確かに多いですよね。

武部氏:
 でもですね! 高橋さん,16人の資料を作るのがすごく早かったんですよ! ご相談したら,3か月後くらいにはもうできていました。すごかったです。

高橋氏:
 「仮面ライダー」は他作品でも毎回,オリジナルの世界観とキャラクターを作っていたので,作ること自体は好きな作業でした。男性仮面ライダーで16人は差別化が難しかったですが,クラス分けすることでそれぞれの方向性が分かったので,各キャラクターの特色も広げられました。

4Gamer:
 内海紘子さんによる,素面状態でのキャラクターデザインの印象感はどうでしたか。

高橋氏:
 荒鬼狂介はいかにも狂介だなって思いましたね(笑)。

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武部氏:
 いろいろな表情のスケッチを見させてもらいましたが面白かったですね。それにみんなの身長,体重などを細かく決める,というのが実写をやっている身としては興味深かったです! 「なるほど,みんなで並ぶとこういう身長感なのか!」と分かる感じが新鮮でした。

 やっぱり実写だと,仮面ライダーの身長=役者さんの身長なので,身長差が企画作業で決まっていくのはゲームならではのアプローチでしたね。誕生日や好きなものをゼロから決めていくことも「なるほど!」と思うことでした。

 実写はエピソードなどが決まってきてから,こういうものが好きだよねという流れなので,だんだんと決まっていくことが多いんです。ゲームは分業していくシステムがあるからなのでしょうが,最初に決めていくスタイルはうちでもやろうかなって思いましたね。そうしたら,かぶらない!(笑)

高橋氏:
 (笑)。

公式Xで公開された仮面ライダー16人の身長比較イメージ
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武部氏:
 詳しく公開されることはないかもしれないんですが,人物造形は初期から本当にいろいろ書いてあるんですよ。好きな動物とか,マイブームとか。それは初めての体験だったので面白かったです。

高橋氏:
 きっとそれらを書いたときは時間に余裕があったんですよ(笑)。オリジナルアニメでこういうキャラクター表を作った経験があったので,それが生きたんだと思います。でも,そうやって細部を作ることでキャラクターの輪郭がちゃんとできたと思うので,大事な作業だったと思います。

 例えば,ウィズダムシンクスの皇紀は料理が得意なんですが,「調理する」ではなく「捌く」「解体する」なんです。そうやって使うワードを厳選することで,キャラクターの個性が際立ちますよね。同じ料理だとジャスティスライドの紫苑も上手なんですが,彼の場合は家庭料理で,皇紀のサバイバル感とは違うんです。そういう寄り分けは細部を作っていったからこそ抽出できた要素かなと思っています。

4Gamer:
 主人公は個性豊かな16人の仮面ライダーたちをサポートしていくとのことですが,そういった立ち位置のキャラクターは過去の特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズでは存在したのでしょうか。本作は仮面ライダーたちの個性が強いので,どうサポートしていくのかが気になります。

武部氏:
 古くは初代「仮面ライダー」を助けた“おやっさん”でしょうね。主人公の立場をどうするかは,当初からいろいろ考え直したりもして,みんなに平等に接せられる立場はなんだろう,仮面ライダーたちとスタート時に同じ立ち位置にいる存在は誰だろう,と考えました。

高橋氏:
 脚本を担当した「仮面ライダーエグゼイド」や「仮面ライダーゼロワン」でも秘書的な役割をする女性キャラクターがいたので,そういう意味ではサポートするポジションは馴染みがあるのかなと。とはいえ,本作では主人公は女性とは決まっていなくて,女性でも男性でもどちらでも大丈夫なシステムになっているので,なるべくニュートラルな立ち位置であるように意識しています。

4Gamer:
 主人公よりも目上の立場になりそうな仮面ライダーもいますが,どう関係を築いていくのでしょうか。

高橋氏:
 仮面ライダーたちはみんな等しく思い悩むんですよ。我の強いキャラクターも,一見悩みなんてないように見えるキャラクターも,みんな悩む。でも,主人公という,仮面ライダーじゃない,ニュートラルな存在だからこそ,聞けることや相談できることがあります。主人公も仮面ライダーじゃないからこそ,彼らの暴走を止めたくなる立ち位置に唯一いることができる存在なので,そこから関係を育んでいけることができたらいいなと思っています。

武部氏:
 主人公は財閥の後継者なので,資金面でサポートもできるんですよね。やっぱりそれは夢だと思いますよ。

高橋氏:
 財閥設定は武部さんのこだわりで初期からあった気がしますよ(笑)。

武部氏:
 エージェントで,絶対財閥だとは思っていました(笑)。何でもできるし,トレーニングルームとかも作っちゃいます! 実写ではそういうことはできないので,そこはゲームならではの部分かなと。仮面ライダーたちを外で見守ることしかできないのと,中に入って彼らを全面的にサポートできるのとは違いますよね。そういう立場からサポートしてみたいなと考えて,主人公の設定を財閥にしました。執事のいる生活もやってみたいと思って,藍上レオンという執事も登場します。

高橋氏:
 夢がてんこ盛りですね(笑)。

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4Gamer:
 ヒーローたちと相対する悪役も重要な存在だと思いますが,仮面ライダーたちと相対する悪の秘密結社「カオスイズム」について,制作するうえで大切にした部分はありますか。また,お二人が考える「悪の美学」のようなものがありましたら教えてください。

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高橋氏:
 何十年にもわたって悪事を働いています。でも,哲学を持っていて,ただ単純に人を傷つけたり,破壊したりっていうわけではなく,ある大いなる哲学を持って活動しています。多くを語らない,ある意味神秘的な秘密結社ですね。

 スタート時点ではとにかく強大な組織なので,16人の仮面ライダーが束になってかかっても簡単には勝てません。だからこそ,エージェントと接して成長していくことが不可欠なんです。彼らの活動や理念はプレイしていくことで判明していくんですが,世界の存在そのものを裏切るかのような驚きがあるかなと思います。

武部氏:
 もともとショッカーって,そういう存在だと思うんですよね。世の中の見えないところにいて,すべてをひっくり返そうと目論む存在。テレビでやるときも敵をどうするのか,何のために戦うのかは非常に話題になるんですが,今回もちょっとやそっとでは倒せない,とても強い敵ができましたね。

高橋氏:
 各地区に各仮面ライダークラスのテリトリーがあるんですが,カオスイズムもそれぞれ散らばっていて,幹部たちが暗躍してフィクサーのように裏社会をまとめています。街全体を掌握しているようで,どこにカオスイズムが潜んでいるか分からない,誰が裏か表か分からないって面白さもありますね。

武部氏:
 「カオスイズム」側のキャラクターのビジュアルもステキにしていただいたので,発表を楽しみにしていただけるとうれしいです。

高橋氏:
 悪の美学でいうと,結局は「仮面ライダー」がかっこよく描かれるための敵なので,毎回モチーフやテーマのカウンターであることは大事にしています。今回で言うと,仮面をモチーフにしているので,「仮面ライダー」がこうありたいという思いを妨害する悪の哲学を仕立てようと作っています。カオスイズムの目的は作品の根幹でもありますので,ぜひプレイしていただきたいです。

 「今の時代の恐怖って,何だろう?」というのは「仮面ライダー」シリーズで毎回話題になります。きっと時代時代の恐怖があって,それを怪人に見立てて,子どもたちがそれに立ち向かえる勇気を得られるように作ってきたと思います。

武部氏:
 私はワルはワルであってほしい,です。敵が改心したり,弱いところを見せたりするドラマより,「仮面ライダー」を描きたい。悪にあまり人間味はいらない,と思っています。

4Gamer:
 最後に配信を楽しみにしている読者へのメッセージをお願いします。

高橋氏:
 「仮面ライダー」が好きな人も,知らない人も楽しめる作品を作ったつもりなので,それを楽しんでもらいたいです。仮面ライダーをサポートするという体験はかつてない切り口だと思うので,それがどんなものかを実体験してほしいです。

武部氏:
 「仮面ライダー」も50年を超えるシリーズになり,2000年以降から続く平成・令和の「仮面ライダー」シリーズにも長い歴史があります。そういった積み重ねを踏まえた集大成であり原点になっているかと思います。「『仮面ライダー』だから」っていう部分が一番に出ると良いなと思っていますし,これが面白かったら,放送中のテレビシリーズをはじめとする歴代の作品群もチェックしていただけたりしたらうれしいです。よろしくお願いします。

4Gamer:
 ありがとうございました!

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――2024年2月20日収録

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