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印刷2024/10/24 00:00

プレイレポート

[プレイレポ]「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」は現代のJRPGファンにこそ遊んでほしいサガだ(ただし難度オリジナルは……)

 スクウェア・エニックスが本日(2024年10月24日)発売した,RPG「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」PS5 / Switch / PS4PC版は10月25日発売予定)は,1993年にスーパーファミコン用ソフトとして登場した「ロマンシング サ・ガ2」のフルリメイク作品だ。

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 物語の舞台は,はるか昔にモンスターたちから人々を守ったという「七英雄の伝説」がある世界。プレイヤーは,いまでは小国となってしまった「バレンヌ帝国」歴代皇帝の立場となり,再び現れたものの何故か敵対する七英雄に立ち向かうことになる。

 歴代皇帝の力と意志は「皇帝継承」によって受け継がれていき,ほぼ不死に近い七英雄たちともいつしか互角に渡り合えるようになる。
 またその戦いの歴史は,行先やイベントを自由に選べる「フリーシナリオ」として体験できるため,プレイヤーそれぞれの帝国史が織りなされる。

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 過去記事では,「ゴブリン来襲」と「沈没船」を体験できるプレビュー版のプレイレポートをお届けしたが,今回は製品版相当のビルドで遊ぶことができたので,その所感をお伝えしていこう。
 なお登場する13の地域のうち7つを勢力下にした段階での印象は,「ロマサガ2」の世界,ストーリー,システムの大枠を踏襲しているが,その遊び応えはまさに「JRPGの新作」といったところ。ただし,それは難度ノーマルまでの話ということも付け加えておきたい。

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 スクウェア・エニックスが2024年10月24日に発売を予定している,RPG「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」プレイレポートをお届けする。本作は,1993年にリリースされたスーパーファミコン用ソフト「ロマンシング サガ2」のフルリメイク作品だ。

[2024/09/05 20:00]

「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」公式サイト



「難度オリジナル」には覚悟の上で挑まれよ!


 まずは「ロマサガ2」ファンが最も気になっているであろうバトルの感触について述べておこう。ちなみに筆者は,3段階の難度(カジュアル,ノーマル,オリジナル)からもっとも難しいオリジナルでプレイしている。

 難度オリジナルでプレイしていてまず感じたのは,とにかく敵の攻撃が「痛い」ということ。あっという間にHPが削られていくので,つねに「どう回復するか」を意識しないといけない。あるいは,いかに素早く敵を殲滅するかだ。

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後衛は最大HPから一撃死することもしばしば

 本作の戦闘は,コマンドを選択すると行動が即実行される方式に変わっている。そのため,ターン冒頭に全員分の行動を入力するオリジナル版のスタイルに慣れている人には,それが大きな変化のように感じられるかもしれない。
 だが,各キャラクターの行動は原作と同じくターンごとに原則1回だ。順番が回ってきたときに何をしようか考えていると,すでに手遅れになっていることも多い。各ターンの区切りで「誰に何をさせるのか」をよく考える大切さは,じつは本作でもあまり変わらないのだ。
 そこを疎かにしていると,メンバーの誰かが倒され,陣形が崩れてその効果を受けられなくなり,最悪の場合は全滅へと至るわけである。

 一方で大きな変化を感じたのは,「敵の弱点属性を知り,そこを突く」重要性が増したこと。もちろんオリジナル版にも同様の要素はあるのだが,それがより顕著になっている。
 また,攻撃の要となる「連携」を使うための「連携ゲージ」は敵の弱点を突くことで溜まるため,弱点を突くとお得というより,弱点を突かないと勝ちにくい“属性バトル”的なニュアンスも生まれている。
 複数の属性を持つ「アクスボンバー」「つむじ風」といった技や,「ダイヤモンドダスト」「熱風」などの合成術は弱点を突けるチャンスが多いため,数値以上に使い勝手が良く感じられるだろう。

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 ちなみに本作の連携は,シリーズ中に類のない仕組みで「バトル中に連携を使うたびに段階的に連携数が増えていく」しくみ。詳しく説明すると,2連携を使ったあと同じバトル中に再度ゲージを溜めれば3連携が可能に,3連携を使ったあとなら4連携が可能になるということだ。3連携以降もゲージを溜めるのは1度でいいため,使える機会はそこそこある。
 なお最大連携数は,帝国の勢力下の地域が4になったときに3連携,11になったときに4連携が開放される。

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施設のオープンや拡張の条件にもなっているため,勢力下の地域を増やすことは大事

 連携は,BP(技や術を使うと消費するポイント)を消費せず敵に大きなダメージを与えられるが,連携に参加したキャラクターは別の行動ができなくなるので要注意。パーティ全体が大ダメージを受けた直後に連携を使うと,その後の回復が間に合わなくなり,全滅に至ることもある。
 本作はバトル後にHPが最大値まで回復するため,連携で戦闘が終わればとくに問題はない。ただ,それが確実ではないときは,ある程度HPを回復してから連携を使う,回復を行うメンバーは連携に参加させず回復に専念するなど,慎重な判断も必要になる。

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七英雄のひとり,ダンターグに3連携がヒットしたところ。ここまでに2連携および連携ゲージが溜まるほどの打撃を与えているわけで,彼のタフさがよくわかる

 その次に大きな変化を感じたのは,七英雄との戦い以外ではあまりなかった「通常戦闘とは明確に異なるボス戦」が随所に用意されていることだ。世界各地に点在するクエスト(シナリオ)のラストには,手応えのある敵が待っている。
 たとえば,アバロンの地下水路に巣くうディープワン。運河要塞を守るヴァイカー。ニーベル郊外のダンジョンで待ち受けるゼラチナスマター……といったファンにはおなじみの顔ぶれが,通常の敵の10倍近いHPでマヒや即死に耐性を持つ,いかにも「ボス扱い」の敵になっている。

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サイフリートもなかなかの強敵に

 こうした強力なボスを打ち破るには,パーティ編成,装備,陣形選び,適切な属性の技や術の設定といった事前準備をしっかり行う必要がある。
 さらにバトル中の地相変化への対応,味方の強化や敵の弱体化も可能な限り行うなど,丁寧なプレイイングも大事だ。

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帝都アバロンには,前世代までに習得した技や術を自由に覚えられる施設がある。それら活用しつつ戦力を整えよう

 ただ,しっかり対策を練っていても,複数の味方が同時に戦闘不能になることは珍しくない。LP(HPが0になり戦闘不能になったときに減る数値。LPが0になるとそれ以上復活できなくなる)が多いキャラクターのありがたみは,オリジナル版以上に感じられるだろう。その逆に,LPが低いキャラクターの扱いには細心の注意を払わなければならない。

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 またオリジナル版とは異なり,パーティ編成はダンジョンの攻略中以外は自由に行えるようになった。LPが残りわずかになったキャラクターは,パーティから外し「余生を平穏に過ごさせる」こともできる。その場合でも,世代が進めばそのキャラクターがひらめいた技や術は訓練場等で習得可能になるのが嬉しいところ。
 ダンジョンで激戦が続きキャラクターのLPが残り少なくなったとき,そのままボスを倒しにいくのか,それともLPが尽きてメンバーが欠けたまま戦うリスクを避けて撤退するのか。いつでもメンバーを交代できるからこその,少し悩ましい状況も生まれるようになっている。

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このままボクオーンに勝ち切れば賭けは成功だが……。今風のRPGらしい“思わぬ戦局の変化”などもあるので油断は禁物

 オリジナル版では可能だった,移動中の小まめなセーブができないこともあり,難度オリジナルの「リベンジオブザセブン」はかなりの緊張感を味わえるものとなっている。
 ただ筆者は,「稼ぎ」のためのバトルがあまり好きではなく,ストーリーを進める際に道中の敵をほどほどに倒す程度で済ますプレイスタイルである。バトルのバランスがギリギリのものに感じられたのは,それが一因かもしれないし,戦闘を繰り返してキャラクターを成長させればもう少しだけ楽に戦えるのではないかとも思った。

 また冒頭からここまでの話は,あくまでも難度オリジナルの場合であり,難度をノーマルに変えると敵から受けるダメージは格段に少なくなる。合わせて,LPを失う機会も激減する。「緻密に組み立てる」遊び方が少し大変だと感じたら,迷わず難度をノーマルにすることをおすすめしたい。

難度オリジナルでは全滅寸前まで追い込まれた「ぶちかまし」。だが難度ノーマルなら,そこそこ耐えるように
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 さらに難度をカジュアルまで下げれば,ボス戦ですらキャラクターが戦闘不能になることは稀になる。こうなると,LPという概念すら意識することなくゲームをクリアできるかもしれない。……それは流石に大げさだが,それくらい顕著にプレイ感が変化するので,ぜひほどよい難度を選択してもらえればと思う。


親しみやすい雰囲気だが「決断」の重さはそのまま


 続いては,3D化したグラフィックスやフリーシナリオなどについて説明しよう。本作では街やダンジョンが3D化されており,行先を大まかに示してくれるマーカーを頼りにしつつ探索するスタイルになっている。現代のRPGやアクションアドベンチャーが好きな人にはおなじみの方式であり,とくに戸惑うようなことはないだろう。

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一定のエリア内を捜索するパターンも。エリア内の建物内部も対象なのでくまなくチェック

 またマップの各所には,宝箱や武器強化のための素材などが落ちている。拾い集めておくとそれだけ有利になるので,すみずみまで探索しておくと何かとお得だ。ちなみに「せんせい」を何度も見つけると便利機能が増えていき,各ロケーションにある宝箱の総数などもわかるようになる。熱心に探さなくてもかまわないものだが,偶然見かけたときは声をかけておくといいかも。

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 イベントでの会話と選択は,やはり「ロマサガ2」の大きな魅力のひとつだろう。「こっちはダメでしょ」と思った方をあえて選んでみるのもドキドキして面白いし,選択した内容によって,その後の運命が大きく変わっていく決断の重さがあるのも,なかなかほかのゲームでは味わえないものがある。
 なお,普通のRPGにはよくある「冗談のような選択のあと,改めて無難なものを選べる」パターンはほぼほぼなかったりする。ひとつひとつの選択に真剣に向き合う感覚は,本作で初めて「ロマサガ2」に触れる人には新鮮に感じられるはずだ。

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 カンバーランドやステップといった地域では,元が30年以上前のゲームとは思えないほど,さまざまなアプローチでイベントを進めていける。オリジナル版のファンである筆者も忘れていたイベントも多かったので,ぜひいろいろな展開を確かめてほしい。

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 さらにはコムルーン海峡には,船を操作して渦潮を抜けたり,帝国大学でクイズゲームにチャレンジしたりと,オリジナル版にもある要素をアレンジした新たな遊びも用意されている。

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オリジナル版でも船を操作する場面だが,本作では海峡突破の方法が少し違ったものになっている

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武装商船団でクイズに挑戦すると,とあるRPGの如き絵面に(笑)

 このように,本作は2DRPG的な軽快さは薄れているものの,アクションアドベンチャーにも近い探索の楽しさ,バラエティ感のある遊びが新たに加わっている。また,イベント群も全体的に明るく親しみやすい描き方になり,歴史ものや戦記もののようなシリアスさは少し抑えられた印象だ。

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軍師のイベントは,親しみやすさと戦記的なノリのバランスが取れている例かも

 このあたりは人によって合う合わないが分かれる気もする。しかし本作で追加された要素で,七英雄たちの時代の出来事を描いた「七英雄の記憶」がシリアスな雰囲気を補ってくれるし,プレイヤーが使えるキャラクターたちも硬軟さまざまなテイストのものが揃っている。おそらく多くのプレイヤーが,自分なりの楽しみ方を見いだせるのではないだろうか。

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七英雄のひとり,スービエの過去エピソードは,シリアスな中にも少しクスリとさせるものがあった


今風に変わった中に,引き継がれる良さもある


 全体のまとめに入る前に,武器や防具,合成術の開発に関しても簡単に触れておこう。

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 これらの要素も,大枠では原作を踏襲しつつもシステムが「見える化」され,ランダム性を抑えた一般的なものに置き換えられている。また開発には,国庫から支払う資金以外にも素材や古文書が必要になり,街やダンジョンでのアイテム集めにも関連する遊びとなっている。

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資金のやりくりだけでなく,素材集めも重要に

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難度オリジナルで遊ぶ場合,合成術の開発に必要な「古文書」はなるべく取りこぼさないように

 なお本作では,武器や防具の開発だけでなく強化も可能となった。「スプラッシャー」「青水晶の槍」など,フリーシナリオの影響で入手タイミングがばらつき,使い所を逃しがちな武器を強化して使用できるのは嬉しい。

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 今となっては,武器や防具を開発・強化できるRPGは珍しいものではない(むしろ無いほうが珍しいくらいだろう)。だが,こうして改めて触れてみると,歴代皇帝と七英雄との戦いと並行して,軍備や術の開発を積み重ねていく「ロマサガ2」の開発の味わいは,時を経ても色褪せないものがある。職人や術士たち,そして最前線から遠く離れた帝国臣民もまた七英雄と戦っているのだ。

 世界観やストーリー要素はそのままに,システムの一部を現代のRPGファンにとっておなじみのものに置き換え再構成した「リベンジオブザセブン」。原作の自由なストーリー展開の面白さを保ったまま,現代のRPGファン,あるいはJRPGが好きな海外のゲーマーにとっても親しみやすい作品になったと言えそうだ。

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 ただしつこいようだが,これは難度ノーマルまでの話。難度をオリジナルに上げると,「オリジナル版よりキツいのでは?」と思われるバトルにしばしば遭遇する,緻密なRPGに変貌する。
 また2DRPGの軽快なプレイ感を再現しているわけでもない。そのあたりが気になる人は,各プラットフォームのストアから体験版をダウンロードして手触りを確認してみるといいだろう。
 確かにいろいろな部分がオリジナル版から変わってはいるものの,皇帝が代替わりするたびにパーティを組み立てる楽しさは変わらないどころか,むしろパワーアップしているので,ファンであればぜひ楽しく頭を悩ませてほしい。

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 こちらも過去記事でお伝えしているが,今回新たにアレンジされたBGMは,伊藤賢治氏がアレンジャーを統括し,オーケストラによる演奏も交えたシンフォニックなものとなっている。個人的にとても満足度が高かったので,最後に改めて推しておきたい。

「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」公式サイト

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