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印刷2024/11/25 10:57

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[プレイレポ]遊べるだけですごい,ボードゲームカルトクイズ製造機「ルドフィール」。美しくなって21年ぶりの復活を果たす

 日本最大級のアナログゲームイベントであるゲームマーケットの会場には,数多くのブースが出展しているだけあって,思いもよらないコンセプトの作品と出会うことも少なくない。

画像集 No.001のサムネイル画像 / [プレイレポ]遊べるだけですごい,ボードゲームカルトクイズ製造機「ルドフィール」。美しくなって21年ぶりの復活を果たす

 2024年11月16日と17日に開催された「ゲームマーケット2024秋」にも,大小合わせて800以上のブースが出展されていて,その1日目にのみに出展されていたゲーム開発サークル・ClockwiseWorksのブースで,面白いタイトルを見つけたので紹介してみたい。
 「ルドフィール」(Ludoviel)と題されたそのタイトルは,極めてニッチなコンセプトながら,コアなボードゲームファンであるほど楽しめる作品となっていた。

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[2024/11/21 10:00]

ClockwiseWorks X(旧)Twitterアカウント



10種類のルールを収録。これからずっと使える「ボドゲカルトクイズ製造機」


 「ルドフィール」は,もともとはフリードマン・フリーゼ氏をはじめとする5名のゲームデザイナーチーム(Friedemann Friese氏,Thorsten Gimmler氏,Martina Hellmich氏,Hartmut Kommerell氏,Andrea Meyer氏)が,2003年にリリースしたタイトルだ。日本語版はこれまで存在していなかったが,2020年頃にClockwiseWorksが同作の再販を目指してXアカウントを作成し,2024年7月に日本語版のリリース決定が告知された。

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 日本語版はオリジナル版とは異なる小箱型のパッケージになり,収録カードの一部は現代向けにアレンジが加えられているとのこと。アートワークは別府さい氏が担当し,実質的には“日本限定リメイク”とでも呼ぶべき仕様となっている。

 ファンの熱意で復活を果たした「ルドフィール」は,ジャンルとしてはクイズゲームにあたり,しかもボードゲームに関連するクイズを無数に作り出せる仕組みを備えている。言わば“ボードゲームカルトクイズ製造機”とでも言うべきタイトルだ。
 パッケージには119枚のカードが収録されていて,各カードには「大きさが異なるカードを含む」「ソロプレイ専用のルールを含む」といった,よくあるボードゲームの特徴が書かれている。これを用いてタイトルを絞り込み,当てはまるタイトル名を言い当てようというのが,本作の基本コンセプトなのだ。

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 かなり難しそうに思えるかもしれないが,遊ぶルールによってプレイヤーに求められる知識量を変更でき,条件の緩いカード群を使うことでも,難度を調整できる。

 アナログゲームにおけるクイズジャンルは「出版から時間が経つと内容が古くなる」問題を抱えていることが多いが,本作では“条件の絞り込み”という仕組みによって,情報の風化に強い構造を備えている。ルールも全10種とバリエーション豊富で,ボードゲームの歴史が続く限り,遊び続けられるタイトルといえる。

カードのうち半分には“新芽”のアイコンが記載されていて,それらは難度が低めの条件が設定されている。参加者の知識レベルに合わせて,使うカードを調整しよう
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 ルールの中でもっとも遊びやすいのは,最初に配られる7枚の手札を残り1枚まで減らすことを目的とする「ルディンゴ」だ。

 まずは,親プレイヤーがお題となるボードゲームを1つ宣言し,ほかのプレイヤーはそれに当てはまるカードを早いもの勝ちで捨てていく。いち早くカードを捨てたプレイヤーが次の親となり,またお題を宣言する……といった流れを繰り返し,手札を減らしていくのだ。

カード1枚ごとにタイトルが1つ以上浮かぶなら問題なく遊べる
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 ただし,誰も手札を捨てられなかった場合は,親プレイヤーが手札から条件に当てはまるカードを出さなければならない。そこでカードを出せなかった場合には,ペナルティとして手札が1枚増えてしまうので勝利が遠のくことに。

 逆に言えば,ほかのプレイヤーがカードを出せなかったときは,手札を連続で減らすチャンスでもある。ある程度知識があるならば,ほかのプレイヤーがカードを出せなさそうで,かつ自分は確実に出せるゲームをお題とすることで,展開を有利に進められるだろう。

 条件からゲームを当てるのではなく,宣言されたゲームに当てはまる条件を出す形式なので,ひとまず有名なゲームさえ覚えていればゲームに参加できる。初心者には絞り込みが緩いカードを配り,上級者には難しいカードを配るなど,難度の調整も容易に行える。このゲームを遊ぶときは,まずルディンゴから遊んでみるのをオススメしたい。

初心者向けカードと上級者向けカードは,違う山に分けておくと遊びやすい
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 もちろん,コアなボードゲームファン向けのルールもちゃんと用意されている。遊んだ中でもとくにオススメなのが,2つの条件から導き出されるゲームを当てていく「ルドファクツ」だ。

 セットアップはやや特徴的で,表向きのカードを縦に4枚,横に4枚並べて“総当り表”のような形を作り,各カードの交差するところに3枚のカードを裏向きに配置する。そして縦と横,2枚のカードで指定された条件を同時に満たすゲームを宣言できれば,交差する位置にある裏向きのカードを勝利点として獲得できるルールだ。

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 回答は制限時間(長さは任意)内であれば何度でも行えるので「縦横の条件から特定のゲームを導き出す」というより,「知っているゲームに合う条件の組み合わせを探す」感覚で遊べる。ある程度の知識量があれば,まったく回答できないまま終わることは少ないだろう。

 あまりに難しいようなら,縦横に置かれるカードのうち一方を初心者向けカードに変更するなど,細かな難度調整も行える。勝利点のボーダーラインを変えて協力ゲームとして遊んでみるなど,プレイヤー側でイジれる要素が多いのもおすすめポイントだ。

協力ゲームでクトゥルフといえば「マンション・オブ・マッドネス」! あと,リアルタイムゲームの「マジックメイズ」って拡張あったよね! ほかになにかあったっけ……
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 いくつかのルールを遊んでみたところ,想像以上に楽しめた。ある程度ボードゲームの知識がなければ,ゲームに参加するのも難しいという,極めてニッチな作品であるのは間違いないが,それだけにボードゲームファンにとっては唯一無二の楽しさがある。

 なにより,それぞれのルールが工夫に満ちていて,単純にクイズゲームとして面白く作られているのが嬉しい。単なる知識比べではなく,ファンであれば長く遊び続けられる作品として成立している。これから1年後,5年後,10年後と,時間が経つごとに味わいが変わってくることだろう。

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収録カードと,自分の持っているゲームを1つずつ当てはめていくソロルール「ルド・ソロ」。棚の整理をはかどらせるためのルールで,やってみると意外に楽しい。SNSなどで持っているゲームを紹介するのにも良いかもしれない
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手札の出し切りを目指す「ルドフィール」。カードを中央に出すか,前手番のプレイヤーに,現在出ているカードの条件をすべて満たすゲームを宣言させるかを選べる。クイズなのに知ったかぶりで勝てる可能性がある,珍しいルールだ

 ちなみに,個人的には本作のアイデアはもっと発展性があるもののようにも感じられた。具体的には小説,映画,音楽といった“作品の歴史”が積み重なっていくタイプのジャンルでは,近いシステムを採用した作品を作れるように思う。ジャンルごとにこういった作品が生まれるなら,ぜひ遊んでみたいところだ。

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 ClockwiseWorksのX(旧Twitter)アカウントによると,ゲームマーケット以降はEngames,バネスト,サニーバード,テンデイズゲームズで委託販売が行われるとのこと。ガッツリと楽しめるプレイヤーは限られるが,我こそはというボードゲームファンは挑戦してみてほしい。

※2024年11月25日 14:05追記:JELLY JELLY STOREでの取り扱いが決定。この発送をもってメーカー在庫切れとなり,流通在庫のみとなる。現在は増刷の手配が行われている

ClockwiseWorks X(旧)Twitterアカウント

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