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[TGS 2020]専門セッション「2020年版 eスポーツの楽しみ方」レポート。プロチーム,スポンサー企業,デバイスメーカーが考えるeスポーツの魅力と課題とは
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印刷2020/09/26 15:53

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[TGS 2020]専門セッション「2020年版 eスポーツの楽しみ方」レポート。プロチーム,スポンサー企業,デバイスメーカーが考えるeスポーツの魅力と課題とは

 本日(2020年9月26日),東京ゲームショウ2020 オンラインの公式番組として,専門セッション「2020年版 eスポーツの楽しみ方」が配信された。このセッションでは,プロeスポーツチーム,スポンサー企業,デバイスメーカーとそれぞれ違う分野のキーパーソン3名が,eスポーツの最前線の変化についてパネルディスカッション形式で意見を交わした。

左から,デビット・ベネット氏,福吉 敬氏,西谷 麗氏,平野亜矢氏
画像集#001のサムネイル/[TGS 2020]専門セッション「2020年版 eスポーツの楽しみ方」レポート。プロチーム,スポンサー企業,デバイスメーカーが考えるeスポーツの魅力と課題とは

出演者:
Rush Gaming CEO/Wekids CEO 西谷 麗氏
サッポロビール コミュニケーション開発部 メディア統括グループ シニア メディア プランニング マネージャー 福吉 敬氏
レノボ・ジャパン 社長 デビット・ベネット氏

モデレーター:
日経BP 日経クロストレンド副編集長 平野亜矢氏

※画像は配信映像をキャプチャしたものです


eスポーツのここが面白い


 ディスカッションの最初のテーマは「eスポーツのここが面白い」。ベネット氏は「平等」を挙げ,eスポーツは性別や年齢,社会的地位などに関係なく,誰でも同じように楽しめると語った。実際,ベネット氏はレノボの社員と一緒にeスポーツを楽しむこともあるそうで,プレイ中は社長ではなく1人のプレイヤーとして扱われることが嬉しいという。また社内のコミュニケーションを円滑にするうえでも,それは重要なことだと話していた。

画像集#003のサムネイル/[TGS 2020]専門セッション「2020年版 eスポーツの楽しみ方」レポート。プロチーム,スポンサー企業,デバイスメーカーが考えるeスポーツの魅力と課題とは

 福吉氏が挙げたのは「圧倒的熱量」。ゲームにはインドアなイメージがあるので,それを理由にeスポーツも揶揄されることが少なくないが,福吉氏は「選手達が性別や年齢,国境といった垣根を越えて同じゴールを目指すeスポーツには,すごい熱量がある。そして観客も同じ熱量を持って試合を見ている。その一体感はリアルスポーツと何ら変わりない」と説明した。

 西谷氏は「多様性」を挙げ,例えばこれまでサッカー選手の言葉を何とも思わなかった子供であっても,自分の好きなゲームに関わるeスポーツ選手の言葉になら心を動かされるかもしれないとし,eスポーツには社会的な意義があると語った。

 ほかにもこのテーマでは,年齢差がある人同士が気兼ねなく一緒にプレイできたり,コロナ禍でテレワークが増えている中,社員同士がゲームの中でコミュニケーションを取ったりといった,eスポーツの長所が挙げられた。


eスポーツの魅力を伝えることの難しさ


 続いてのテーマは,「eスポーツの魅力を伝えることの難しさ」。eスポーツを知っている人同士ならまったく問題ないのに,知らない人にeスポーツの魅力を伝えようとする途端にハードルが上がりがちになるのはなぜなのか,というモデレーターの平野氏自身の実感が,このテーマのベースになっている。

画像集#004のサムネイル/[TGS 2020]専門セッション「2020年版 eスポーツの楽しみ方」レポート。プロチーム,スポンサー企業,デバイスメーカーが考えるeスポーツの魅力と課題とは

 福吉氏は「タイトルごとにポイントが違う」ことを挙げ,競技としてプレイするゲームが多数あるのに,eスポーツとして一括りにされてしまうことが問題であるとした。つまり野球とサッカーがルールや見るべきポイントが違うように,FPSとMOBAにも違いがあり,もっと言えば同じFPSでも「Counter-Strike: Global Offensive」「PLAYERUKNOWN'S BATTLEGROUNDS」ではゲーム性がまったく異なるというわけである。
 またサッポロビールが協賛している「Shadowverse」のようなカードゲームは,カードの特性を知らないと観戦していてもまったく分からないという問題があると話していた。

 西谷氏が挙げたのは,「ビジネスと社会的意義(の両立)」。西谷氏自身,eスポーツ事業に関してはまだ投資フェイズなので,きちんとリターンがあるまでeスポーツが普及してほしいというビジネス的な視点を持っている反面,高校生や大学生が必ずしもプロ選手を目指してeスポーツに取り組む必要はないと考えているという。リアルスポーツの部活動やサークルがそうであるように,学生など若者が数年のあいだだけ取り組めるような環境ができれば,eスポーツにより社会的な意義が生じるのではないかというわけだ。しかし,現在はそれがビジネスと両立しないため,多くの人にとって魅力的に見えないのではないか,というのが西谷氏の意見である。

 「日本にPCゲーム市場がないと思われている」ことを挙げたのがベネット氏だ。実際,日本でゲームと言えばスマートフォンゲームが主流になっているし,コンシューマゲームもまだまだ人気を誇っている。それらと比較するとPCゲームは根強い人気があるとは言え地味であり,また市場もほかの国より小さいため,ゲームに詳しくない人にとって市場がないと思われていても不思議ではないかもしれない。

 ベネット氏は,「数年前ならスマホゲーム,コンシューマゲーム,PCゲームはそれぞれ違うものだったが,最近はかなり統一されてきた。そうなると,例えばFPSならPCを使ったほうが有利になる」とし,「レノボのミッションは,日本でPCゲームを盛り上げること,ひいてはeスポーツを盛り上げること」と意気込みを見せた。先日スタートしたレノボのゲームPCサブスクリプションサービス「スグゲー」は,ミッションを達成するための取り組みの1つである。



出演者各自の今後のeスポーツに対する取り組み


 最後のテーマは,「出演者各自の今後の取り組み」。ベネット氏は「誰でも,どこでも」を挙げ,レノボ社内にeスポーツ部を設けたことを紹介。ほかの企業にもそのノウハウを提供するなどして,企業内eスポーツ部を増やしていき,ゆくゆくは企業対抗リーグを開催したいと語った。
 またeスポーツに興味を持つお年寄りも増えてきているとのことで,レノボでは積極的にサポートしていきたいという。ベネット氏は「日本でも,スウェーデンのSilver Snipersのようなチームを作ってみようと考えている」と話していた。

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 福吉氏は「プロダクトとファンを近付ける」ことを挙げた。福吉氏はエンターテイメントという括りの中では,eスポーツとサッポロビールの扱う酒類は近い距離にあるとしながら,両者のあいだにある垣根を取り払うのはチームやeスポーツのファンに任せていたと説明。そこで現在,サッポロビールのプロダクトを文脈に沿った自然な形でファンに届けるための施策を準備しているという。その施策は,早ければ2020年内にスタートするそうだ。

画像集#006のサムネイル/[TGS 2020]専門セッション「2020年版 eスポーツの楽しみ方」レポート。プロチーム,スポンサー企業,デバイスメーカーが考えるeスポーツの魅力と課題とは

 西谷氏が挙げたのは,「もっとストーリーを。もっとつながる場を」。eスポーツに取り組む選手や関係者の熱量を今まで以上に伝えていくこと,そして選手とファンはもちろん,ファン同士をつなげる場所やイベントを作ることで,eスポーツを盛り上げていきたいと話していた。

 モデレーターの平野氏によると,レノボとサッポロビール,そしてeスポーツチームのRush Gamingという,一見すると共通点のない3者がeスポーツという1点でつながると,ほかの取材現場では見られない独特の盛り上がりが生まれるとのことで,それはこのディスカッションの中にも出てきた平等や多様性とも通ずると見解を述べた。
 また今後の日本のeスポーツについて,プロ選手に注目が集まっていたこれまでと異なり,企業eスポーツや草eスポーツの登場や,ファンコミュニティの拡大といった動きが見られるのではないかと予想を述べて,ディスカッションをまとめた。

4Gamerの「東京ゲームショウ2020 オンライン」特設ページ

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