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[TGS 2013]「30年後にソーシャルゲームクリエイター達はゲームを作り続けているか?」ソーシャルゲーム最前線のクリエイター陣がぶっちゃけトークを繰り広げた
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印刷2013/09/21 22:20

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[TGS 2013]「30年後にソーシャルゲームクリエイター達はゲームを作り続けているか?」ソーシャルゲーム最前線のクリエイター陣がぶっちゃけトークを繰り広げた

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 グリーは,東京ゲームショウ2013の2日目となる2013年9月20日,幕張メッセの同社ブース内ステージにおいて,「ネイティブ、ブラウザ、ぶっちゃけトーク!(仮)」と題したビジネスセッションを行った。本番までタイトルから(仮)が取れなかったという本セッションだが,ソーシャルゲーム制作の最前線にいる人材が本音のトークを展開した。

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 トークセッションに参加したのは,ソーシャルゲーム制作の現場に立つ4人だ。スクウェア・エニックス 特モバイル二部のジェネラルマネージャー/プロデューサーであり,「ケイオスリングス」PS Vita / iOS / Android)シリーズや「拡散性ミリオンアーサー」PS Vita / iOS / Android)を手がけた安藤武博氏がモデレーター。そしてパネラーとして,「聖戦ケルベロス」「ドリランド 魔王軍vs勇者!」を手がけたジクシーズの代表取締役社長 井坂友之氏「ブレイブフロンティア」iOS / Android)をリリースしたばかりのエイリム代表取締役 高橋英士氏「バハムートブレイブ」「エンペラーズ サガ」の立ち上げ・運用に携わる,オルトプラス 第2事業部事業部長 小林陽介氏の3名が参加した。

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スクウェア・エニックス 特モバイル二部 ジェネラルマネージャー/プロデューサー 安藤武博氏
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ジクシーズ代表取締役社長 井坂友之氏

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エイリム代表取締役 高橋英士氏
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オルトプラス 第2事業部事業部長 小林陽介氏

 当初,本セッションでは「ネイティブとウェブの違い」「ネイティブとウェブならではの強み」「ネイティブ,ウェブの可能性」といった内容が予定されていたようだが,安藤氏の鶴の一声によりこれらのテーマはすべて破棄され,フリーなトークが展開された。

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30年後にソーシャルゲームクリエイターはゲームを作り続けているか?


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 今のソーシャルゲーム業界には2種類のクリエイターが存在している,と安藤氏は認識している。「鈴木爆発」や「ヘビーメタルサンダー」といった家庭用ゲームを手がけたあと,ソーシャルゲームに携わるようになった安藤氏のような人材。そして,ウェブサービス出身のクリエイターだ。
 安藤氏は,自分のような人間は30年後もゲームを作り続けているだろうし,ゲームで儲からない時期があってもこれは変わらないだろう,と自身の今後を予測する。そのうえで,パネラーの3人に対し「ゲームで儲からなくなったとしてもゲームを作り続けるのか,それともeコマース(電子商取引)など,ゲーム以外のジャンルに力を入れていくのか,本音を聞きたい」とかなり突っ込んだ質問を投げかけた。

 システム会社や広告代理店に勤務したあと,ソーシャルゲームの世界に入ったという小林氏は「ビジネスとして成り立つものを常に追いかけていくのが重要だが,その中でもエンターテイメントは忘れたくない。“チケットを買うとポイントが貯まってガチャを引ける”など,あらゆるものに対してエンターテイメントは活用していける」と回答。

 2002年からジー・モードで携帯電話向けゲーム開発に携わり,現在はエイリムの代表取締役となった高橋氏は「ウェブかブラウザかは分からないが,その時に一番受け入れられているところで間違いなくゲームを作り続けていると思う」。
 井坂氏は「僕もゲームを作っていると思うが,(作るものの)形が変わっているかもしれない。教育方面にも興味があるので,教育ゲームなども作っていきたい」と,三者三様の答えとなった。ソーシャルゲームの最前線に立つ4人の考えだけに興味深い。


クオリティとテンポの二律背反


 ソーシャルゲーム業界は変化し続けている。ソーシャルゲームを遊ぶユーザーの目も肥え,これに伴い開発も長期化し,制作費用も高くなっている。安藤氏はこの状況を「ゲーム作りの難度が高くなっている」と表現する。事実,氏が手がけるスマートフォン用タイトルの中には「3DSでオリジナルタイトルのRPGを作れるくらい」の予算をかけているものもあるという。もちろん,多分に実験的な意味もある取り組みだそうだが,ソーシャルゲーム業界の変化を知るうえで重要なケースと言えるだろう。

 家庭用ゲームのような高クオリティを目指すと,リッチな演出や重厚なシナリオの導入は避けられない。ゲームとしての質は上がるのだが,ソーシャルゲームとしては喜ばしいことばかりではない。テンポが悪くなってしまうため,離脱する人も増えるというのだ。
 “クオリティは上がるが離脱する人も増える”というこの現象について,安藤氏は,家庭用ゲーム機とソーシャルゲーム,両者のユーザーの心構えの違いが原因であると予想する。
 家庭用ゲームは最初にゲーム代全額を支払う。そのため,プレイヤーの側に“ゲームを最後まで楽しむ”という心構えができている。一方,ソーシャルゲームは基本無料で,少しでも引っかかるところがあると簡単に離脱できてしまう。ソーシャルゲームプレイヤーに向けて,家庭用ゲーム的な演出やシナリオを提示していると考えると,離脱率が上がるのもうなずけるだろう。このように二律背反した悩みがいろいろな場所で発生していて,作っては直すということを繰り返している……というのが現状だと安藤氏は語った。


数字だけではなく,その陰にあるプレイヤーの経験と感情を読み取る


 家庭用ゲーム出身のクリエイターがソーシャルゲームを初めて作る際,「サイクルと循環を考えろ」ということが盛んに言われる……と安藤氏は言葉を続ける。ここでいうサイクルと循環とは,ゲームを繰り返し遊びたくなるような仕掛けのことだ。

 本来は「主力の商品(ここでは課金アイテムのことだろう)にどれくらいのバリューがあり,お客さんにそのバリューをどれくらい楽しんでもらえるかということ“ばかり”を考えてサービスしなければならない」(安藤氏)が,「ゲームの流れのこの部分に課金アイテムを差し挟めるんじゃないか?」という考え方をしてしまうと,「お客様にバリューのないタイミングで,バリューのない商品を展開してしまう」ような失敗が起こるのだという。
 こういう失敗を防ぐため,物づくりのうえでどういった部分を心がけているのか,と安藤氏は問いかけた。

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 小林氏は,数値の動きからユーザーの感情や体験を読み取るのが大事だと答えた。ソーシャルゲーム運営においては,KPI(重要業績評価指標)の数値を重視しがちだ。しかし,「提供すべきは体験や価値」であり,数字を上げることのみを目的にすべきではない,と小林氏は考える。数値が動いた陰にはユーザーの感情の動きがあるはずなので,これを数値から読み取ることが重要であると考えているとのことだ。

 一方,井坂氏は数字を見るのも大事だが,作るものに“ワクワク”や“驚き”がないとダメだと語る。感性でワクワクするものを作りつつ,数字もしっかりと意識していくというやり方を採っているそうだ。

 そして,このあたりで,さまざまなテーマが語られたセッションも最後となった。安藤氏は「東京ゲームショウは家庭用ゲームのお祭りとして大事な場所。そろそろモバイルゲームだけを個別に扱う“東京モバイルゲームショウ”をやる時代が来てもいいんじゃないかと考えています。“東京モバイルゲームショウ”をやるからには面白い作品を作らないといけないです。“良い作品こそがすべての問題を解決する”。これからもグリーさんを巻き込んで,面白い作品を作っていきたいと思いますので,(パネラーの)皆さんの作品にもご期待ください」と,今後の業界活性化へ向けた意気込みを披露し,ビジネスセッションの幕を引いた。

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