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印刷2023/04/28 18:51

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Steamで自分のゲームをリリースする際に知っておくべきことをまとめた「Steam Dev Cheat Sheet」。その日本語版「Steam開発早見表」が公開に

 「Steam Dev Cheat Sheet」の日本語訳,「Steam開発早見表」が公開された。公開したのは,「HOPE LEFT ME」「shita ni」などの日本語訳を行ったフリーランスの翻訳者nicolith氏だ。
 オリジナルの「Steam Dev Cheat Sheet」は,自分の作ったゲームをSteamでリリースするときに求められる,さまざまな作業や,その後のことについてまとめたワークシートで,書いたのは,2023年第3四半期に発売される予定のローグライクアクション「Witchmore」の開発者であり,ゲーム開発のハウツー本「How to Make a Video Game All By Yourself: 10 steps, just you and a computer」の著者でもあるマット・ハケット(Matt Hackett)氏

 Valveのデジタル配信サービスSteamの登場で,インディーゲーム開発者はパブリッシャに頼ることなく,容易に自分の作品を流通に乗せることができるようになった。とはいえ,ライバルも増えたわけで,競争が激化したのは間違いない。Steamでゲームを販売するという比較的シンプルなタスクでも,漫然とやっていたら競争に生き残ることはできない……というわけだ。

■Steamカプセル
 nicolith氏が訳した「Steam開発早見表」では,「Steamカプセル」「検索アルゴリズム」「ウィッシュリスト」「レビュー数から販売数見積」「トレイラー」,そして「他にある?」の6項目について,Tips(コツ)が公開されている。
 「Steamカプセル」とは聞きなれない言葉だが,Steamworksのドキュメント「グラフィックアセット」を見ると,Steamのストアページに表示されるアートワークで,「ヘッダーカプセル」「メインカプセル」など,用途・サイズ別に5種類が必須となっていて,ゲームロゴとアートアークのみで構成される。早い話,以下のようなヤツだ。

メインカプセル
画像集 No.002のサムネイル画像 / Steamで自分のゲームをリリースする際に知っておくべきことをまとめた「Steam Dev Cheat Sheet」。その日本語版「Steam開発早見表」が公開に
画像集 No.003のサムネイル画像 / Steamで自分のゲームをリリースする際に知っておくべきことをまとめた「Steam Dev Cheat Sheet」。その日本語版「Steam開発早見表」が公開に

 ハケット氏は,このSteamカプセルを「最重要箇所」としており,分かりやすく読みやすく売りがあることが必要だと述べる。つまり「フック」となる何かが必要であり,アーティストを雇うべし! とも書いている。

■検索アルゴリズム
 DLCも含めて8万本がラインナップされているというSteamだけに,検索アルゴリズムに引っかかることも重要になり,そのためには「リリース前に7000件以上のウィッシュリスト入り」と「なるべく急いで10件以上のレビューをもらう」ことが大切だという。それ以下だと,検索上不利になるそうだ。レビューの評価はあんまり気にする必要はなく,最低評価を表す「圧倒的に不評」にならない限り影響はないとのこと。

■ウィッシュリスト
 ハケット氏によれば,初週の販売数はウィッシュリスト登録件数の約15%だと述べるが,nicolith氏は「諸説あって,予測はなかなか難しい」としている。ともあれ,Steamはリリース時と20%以上オフのセールを実施するときに,ウィッシュリストの登録者にメールを送るので,この機能を活用するためにも,ウィッシュリストの登録者数を増やすことが重要になってくる。

■レビュー数からの販売見積
 レビューの数と販売本数にも関連があり,ハケット氏は,レビュー1件につき20本から55本のゲームが売れると述べる。英語版にあるNew Boxleiter Numberとは,ゲームアナリストでIndependent Games Summitの共同設立者兼アドバイザーなども務めるSimon Carless氏が提唱した数字で,ゲームの販売本数を公開していないSteamで,レビューの本数を元に販売数を想定するための基準を示す(外部リンク)。結局のところハケット氏は,30本ぐらいと見ておくのがいいとする。つまり,レビューが100本あれば3000本の販売が見込めることになる。

■トレイラー
 ゲームのトレイラーを用意しても,ほとんどスキップされるという。そのため,導入部分に強めの要素を持ってくること,イントロにゲームのロゴは不要,実際のプレイを見せるといったことを提唱し,時間は60秒以内で,最後にウィッシュリストへの登録か購入を促して終わるのがいいとしている。確かに,メーカーのロゴが延々と続くと視聴意欲がどんどん減退していく気はするし,凝りまくったカットシーンだけ見せられてもなかなか購買につながらないとも思えるが,このへんは人それぞれかもしれない。

 以下に掲載したのはハケット氏の「Witchmore」のトレイラーで,時間は62秒,最後に「ウイッチ(Witch)リストへの登録を」と,ダジャレで締めている。


 nicolith氏によれば,「Steam開発早見表」にかれているような内容は,Steamで実際にある機能と,コミュニティなどで通説になっていることが混じっているという。気になる人は,ほかのいろいろなソースにも当たってほしいとのこと。

 もちろん,面白いゲームであることが大前提になるのだろうが,それとは違うレイヤーでも,ゲーム1本を作って売るのはなかなか大変のようだ。「Steam開発早見表」は“第1版”となっているので,今後も改訂されていくのだろう。エンドユーザーに直接関係のある話ではないが,せっかくの日本語版なので,興味のある人はじっくり眺めてほしい。

画像集 No.004のサムネイル画像 / Steamで自分のゲームをリリースする際に知っておくべきことをまとめた「Steam Dev Cheat Sheet」。その日本語版「Steam開発早見表」が公開に
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