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全力で圧倒する「Over Power」をテーマに,学生たちが協力して作品を作り上げる。「BitSummit Game Jam 2024」ブースレポート
本稿では,それらの中から,磁力を操る「Ms.Magnet」と,異なるキャラクターを同時に操る「調理されてなるものか!」,そして,惑星をおはじきのように弾いて太陽系を破壊する「爆星」のプレイインプレッションをお届けしたい。
全力を出して圧倒する「Over Power」をテーマに
学生たちが作品を作り上げる
「BitSummit Game Jam」は,BitSummit実行委員会が主催するイベントで,専門学校,大学,大学院,高等専門学校に在籍する,ゲーム開発に興味や関心のある学生たちが参加する。所属の異なる参加者をシャッフルする形でチームが作られ,3か月でゲーム開発に挑むというものだ。
今回のテーマは「Over Power=全力を出す」で,力で圧倒するといた意味合い。参加者たちは,アクションやパズルなど,さまざまなジャンルでOver Powerを追求した。
●磁力を操ってゴールに向かう「Ms.Magnet」
「Ms.Magnet」の主人公は,性能テストに合格し,外の世界で人間の役に立つことを夢見る機械人形の少女「磁石ちゃん」だ。磁石ちゃんは自力では動けないが,磁力を発することができる。ゲームは,周囲にある磁石を利用してゴールにたどり着くという内容だ。
上記のとおり,磁石ちゃんは動けない。ポイントは「磁極変更」と「磁力範囲拡大」という2つのボタンで,あるときは磁気の反発力を使って前へ飛び,またあるときは,吸引力を使って空中の歯車に飛びつくなど,状況に応じて磁極を切り替えつつ,磁力の範囲を調整してジリジリと進んでいくのだ。
磁気を使って微妙な位置調整を行うことに加えて,磁極を間違えると思っていたのと正反対の結果になってしまう。それだけに,周囲を観察して思ったとおりの移動を決められると爽快だ。
磁石という分かりやすさと,磁石ちゃんが自力でまったく動けないという設定が本作のポイントだろう。アクションなのだが,磁力を発する前にじっくり考える必要があり,いざ動き始めると予想外の結果になるという静と動のコントラストが面白い。出展バージョンのステージは1つだけだったが,いろいろなステージを遊んでみたいと感じられた。
●リンゴとゴースト,異なる2キャラを両手で操る
「調理されてなるものか!」
「調理されてなるものか!」は,Nintendo SwitchのJoy-Conを両手に握り,片方のJoy-Conでリンゴを,もう片方のJoy-Conでゴーストを操作する。リンゴを調理しようとするコックが包丁や鍋で攻撃してくるため,これらをかいくぐりながら,リンゴとゴーストの合体を目指すのだ。
両手で異なるキャラクターを操作するというアイデアは,「リブルラブル」でも実現されていたが,本作では,リンゴとゴーストの性質が明確に異なっていることがポイントになる。
リンゴが包丁や鍋に触れるとミスだが,ゴーストは実体がないためミスではない。そのため,ゴーストを積極的に動かすほうが安全だが,だからといってゴーストだけに集中していると,放置したリンゴが包丁や鍋に襲われる。似たようなキャラクター2体ならともかく,性質がまったく異なるキャラクターを左右の手で同時に操作するのは難しく,頭がこんがらがってくる。
繰り返しリンゴとゴーストを合体させてパワーが満タンになれば,りんごがムキムキになってコックに逆襲する。Joy-Conを素早く振って力を溜め,自分を食べようとしたコックを全力でブチのめそう。
なお,本作では2人プレイも可能だ。公式サイトにはWindows向けとMac向けのビルドが用意されているので,友だちを誘ってプレイするのも楽しいはずだ。
●神になって太陽系を吹っ飛ばす「爆星」
プレイヤーは神であり,太陽系を吹っ飛ばすことが目的だ。そのためには,惑星をデコピンの要領で弾き,一列に並べて惑星直列を起こさなければならない。
しかし,惑星の公転軌道は内側が小さく,外側が大きいため,うまく並べるには,状況に応じてデコピンの強さを調節する必要がある。ゴルフのパターのような感じで,微妙な調整がピタリと決まって惑星が並ぶと,非常に気持ちがいい。
惑星が三角形に並ぶと「ミニトライン」,十字形になると「グランドクロス」というコンボが発動し,制限時間がのびる。さらに,動かした惑星を元に戻す「惑星逆光」や,惑星を2つにする「惑星分裂」といったさまざまなスキルを使うことで,ゲーム展開が有利になるのだ。
本作の魅力は,ルールのシンプルさとスケールの大きさだ。指で惑星を弾き,太陽が大爆発を起こす様子は,テーマである「Over Power」にふわさしい壮大さと呼べるだろう。
学生たちが作り上げた作品は,いずれもフレッシュなアイデアに満ちている。3か月という,ゲームジャムとしては比較的長めの時間が与えられているため,それぞれの作品はシェイプアップされ,ウリとなる部分が分かりやすく前面に押し出されていた。来年にはどんなテーマでどのような作品が集まるのか,今から楽しみだ。
なお,「BitSummit Game Jam」で作られた作品は,公式サイトからダウンロードすることもできる。興味がある人はチェックしてほしい。
「「BitSummit Game Jam 2024」」公式サイト
「BitSummit Drift」公式サイト
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