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タイトーはあらゆる世代へのエンターテインメント提供を目指す。同社が取り組む新業態の特徴や今後の展開を紹介したメディア向け説明会をレポート
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印刷2024/09/10 18:27

イベント

タイトーはあらゆる世代へのエンターテインメント提供を目指す。同社が取り組む新業態の特徴や今後の展開を紹介したメディア向け説明会をレポート

 タイトーは2024年9月2日,「新業態に関するメディア向け説明会」を,同社が運営する東京・新宿の「EXBAR TOKYO plus」で開催した。このイベントでは,同社の新業態の特徴や今後の展開が紹介された。

 イベントの冒頭では,2023年12月に実施したタイトーの認知度とイメージに関するアンケート調査の結果が提示された。それによると,同社のロゴと社名を表示して「この会社を知っているか」と質問したところ,全体では57%,40代後半で78.5%が知っていると回答したとのこと。なお40代後半の男性に限定すると,90%以上が知っていると回答したそうだ。
 その一方で,10代は38%という結果に。同社は,10代女性をターゲットにしたプリクラコーナーをゲームセンターで展開しているため,残念な結果という見解が示された。

説明会冒頭のプレゼンを行った,タイトー 総務管理本部長 児玉晃一氏
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 それでは「タイトーがどんな会社だと認識されているか」というと,約6割がゲームメーカー,約3割がゲームセンター,残りの約1割がキャラクターグッズメーカーだと捉えている。確かに同社は昔からさまざまなゲームを開発しているが,現在の売上でもっとも規模が大きいのはゲームセンター関連事業であり,会社の認識として少しズレが生じているようにも思える。ちなみにゲームセンター関連事業の次に売上が大きいのは,クレーンゲームの景品などのキャラクターグッズを扱うマーチャンダイジング事業だそうだ。

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 そうした世間のタイトーに対する認識を踏まえたうえで,タイトーが掲げるミッションが紹介された。それは「あらゆる世代の遊びが好きな人たちへ エンターテインメント体験・空間を通じて 笑顔や新たな驚き,人とのつながりをご提供してまいります」というもの。

 ミッションの「あらゆる世代の遊びが好きな人たちへ」という部分に関して,タイトーのキッズ向け施設「らくがキッズ」では,0歳児を含む3歳未満の子どもを対象とした「トドラーエリア」を設けていることや,アミューズメント施設にぶら下がり健康器や血圧計を設置したりラジオ体操の時間を設けたりと,シニア向けサービスを展開している事例が紹介された。
 ほかにも同社は,Z世代向けの施設や,会場となったEXBAR TOKYO plusのようなアルコールを提供する施設などを展開している。

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 「エンターテインメント体験・空間を通じて」という部分に関しては,コロナ禍以前にタイトーの強みについて社内で議論を重ねたことが明かされた。そのとき挙がったのが,「全国に約160店舗のゲームセンターを持っていること」「ゲーム機を企画・開発,製造・販売,運営,そしてメンテナンスできること」の2つだったという。そこで「フィジカルエンターテインメント」をキーワードに,体験・空間を提供しているという。

 「笑顔や新たな驚き,人とのつながり」という部分に関しては,まずエンターテインメントなので笑顔が大切であることが示された。驚きについては,1978年に「スペースインベーダー」を発表して以来,1987年には3画面筐体の「ダライアス」,1992年には世界初の通信カラオケ機器のリリースなど,タイトーが人々をワクワクドキドキさせるようなものを提供してきたことが紹介された。

 また人とのつながりについては,ゲームセンター事業の軸となるのがコミュニティ作りであることが示された。ゲームセンターは,家族や友人同士でコミュニケーションを取る場であることはもちろん,例え1人で遊びに来ても同じゲームファンがいるコミュニティでもある。

 そうした背景を踏まえて,タイトーが展開している新たな取り組みについて説明がなされた。最初に示されたのはアミューズメント業界の市況感で,ニュースなどで報じられているとおり,ゲームセンターの店舗数は,ここ10年間で約8000店舗減少している。

タイトーの新業態に関するプレゼンを行った,タイトー コーポレート・コミュニケーション課 広報担当 川口健士氏
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 一方,売上は2015年度から復調傾向にあり,それを牽引しているのがクレーンゲームなどのプライズゲームであることが分かる。この傾向はコロナ禍により2020年には落ち込むものの2021年には回復傾向となり,またプライズゲームだけ見れば過去最高の売上3000億円超を記録している。2022年度以降のデータはまだ出ていないが,市場の状況を鑑みるとコロナ禍以前の売上になっているのではないかという推測もあるそうだ。

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 プライズゲームの代表格であるクレーンゲームが好調である要因は,「インバウンド」「推し活」にある。とくに後者は,タイトーが2023年10月に実施した,10〜30代の男女を対象とするアンケートによると,特定のキャラクターや人物などの関連グッズを集めている人は全体の約45%,世代別に見ると10代は約70%にのぼる。
 またインバウンドについても,タイトーステーション 新宿南口ゲームワールド店を訪れる1日あたりの訪日客の数は,毎月のように更新されているそうだ。

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クレーンゲーム機がコンビニエンスストアに設置されている事例も紹介された
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 そうしたプライズゲームの人気が高まっている半面,タイトー社内ではそればかりに頼っていても大丈夫かという議論があったとのこと。そこでゲームセンターやプライズゲーム頼らない新業態の事業や新たな施設の開発・展開をすることとなった。

上記のミッションに沿って掲げられたビジョンも示された
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 タイトーが現在展開している,ゲームセンターではない6つのエンターテインメント施設も紹介された。

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 「らくがキッズ」は,「デジタル×フィジカル」をコンセプトとするキッズ向け施設で,0歳から12歳までの子どもと,その保護者やファミリーが対象となる。自社開発の「ラクガキシステム」を導入し,自分の描いたキャラクターを,自分が身体を動かすことでレベルアップさせたり,進化させたりできる。

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 「くらやみ遊園地」は,「ホラー×脱出ゲーム・謎解き」をコンセプトとし,10〜20代の男女グループを対象するコンテンツだ。SNS映えする装飾や,何度も挑戦したくなる脱出・謎解き要素が特徴となっている。

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 「ノボルト(NOBOLT)」は,「スポーツ・アスレチック×エンターテインメント」をコンセプトとする屋内型施設で,ボルダリングやスポーツクライミングなどを楽しめる。また本格的なトレーニングに取り組むことも可能で,2024年にはスピードクライミングの世界選手権にユース日本代表選手を輩出したとのこと。

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 「BOOTVERSE」は,「スポーツ×エンタメ」をコンセプトとし,10〜20代の学生グループやファミリー層を対象とするコンテンツで,タイトーのゲームIPを活用した15種類のアトラクションを楽しめる。

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 「X-STATION」は,「デジタル(XR・イマーシブ)×フィジカル」をコンセプトとしたVR・ARアトラクションが楽しめる施設で,10〜20代の男女を対象としている。シューティングやリズムゲームに加え,本格謎解きなどを楽しめるとのこと。

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 そして今回のイベント会場となった「EXBAR TOKYO plus」は,「クラフトビール×ゲーム(アーケード・レトロなど)」をコンセプトとした施設で,ダーツで遊んだり飲食を楽しんだりする一般客やインバウンド客,オフィスワーカーなどを対象としている。

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 上記のとおり,これらの新業態施設は2019年から展開しており,2021年から2023年にかけては毎年3店舗ずつ,2024年はすでに5店舗を出店している。加えて2024年秋から年末にかけても出店予定があるという。

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コンテンツや施設の特徴やターゲット層に合わせて,出店戦略を変えていることも紹介された
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新業態の特徴およびターゲット層のまとめ
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 7月29日にサービスを開始したばかりの「オンラインメダルゲーム」も紹介された。このコンテンツは,オンラインでクレーンゲームを楽しめる「タイトーオンラインクレーン」のアクティブユーザーの体験向上を目指し,開発・導入されたもの。オンラインクレーンの待ち時間や,欲しい景品がないときに遊んでもらえるゲームを目指したという。オンラインメダルゲームを遊ぶと,特典としてオンラインクレーンのアシストチケットをもらえるので,相乗効果にも期待できそうだ。

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 またオンラインメダルゲームは,実機のメダルゲームと異なり,事実上人数制限がない。そのため待ち時間がなくいつでも快適にプレイできるところを,「オンラインゲームセンターの可能性」として捉えていることも紹介された。

「TAITO」公式サイト

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